
結婚生活に慣れきった中年男性にカツを入れる映画!
映画を観終わって帰宅してから「行定勲」についてネットで調べてみたら、あの「セカチュウ」を撮った監督だった。さらにさかのぼれば、「LoveLetter」、「スワロウテイル」で助監督を務めた人であった。もし、この予備知識を持って観たとしたならば、至極頷いた映画である。
もちろん、予備知識なしでも何の違いもなく、入り込み、泣ける映画である。映画館内には、時折すすり上げる音が聞こえた。
あらすじ
かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介(豊川悦司)だが、今は写真も撮らずにダラダラと呑気な毎日を送っている。一方、健康オタクの妻さくら(薬師丸ひろ子)は、そんな夫に文句を言いながらもかいがいしく世話を焼く日々。しかしあるとき俊介は、友だちと箱根旅行に行く直前のさくらに“子どもを作る気がないなら、別れて”と切り出される。その場はごまかしたものの、さくらと入れ代わりでやって来た女優志願の蘭子(水川あさみ)といいムードになったところに、たまたま引き返してきたさくらが現われ、いよいよ愛想を尽かされる。その後、旅行に行ったさくらはなかなか戻らず、最初こそ独身生活気分を満喫していた俊介だったが…。(allcinemaより)
本作のレビューを書く前にいくつかブログのレビューを摘んでみたが、「(この物語の鍵を握るある事実が)先読みでき、おもしろさに欠ける」と書く「相変わらずの物知り顔の感想文」が散見された。本作はミステリーを売りにした物語ではない。そこのところを勘違いすると、単なる作りの下手な三流ミステリー映画との評価を下されてしまうので、要注意である。
確かに、本作には、三流映画とできのよい映画の境目を徘徊する作りになっている部分があることは否めない。それが監督の意図なのか、それとも編集上の課題なのかは、想像の域は出ないが、私は前者であると考える。岩井俊二監督の下で、「LoveLetter」、「スワロウテイル」の傑作2本が製作されてゆく様を間近に見、自身が「セカチュウ」で大ヒットを飛ばした行定監督のことである。本作の反転に次ぐ反転、下手すれば、テンションが下がりっぱなしでエンディングを迎える可能性すらある場面展開を、ぐっと持ち上げて一気にエンディングへ持ち込む力量は流石である。
なんと言っても本作の要は薬師丸ひろ子である。決して美人でもないただの(ファンにはご容赦)中年女優なのだが、あの表情の豊かさは天才と言われたデビューのころからの健在だ。年を重ね、幅を少しずつ広げてきた彼女の演技は、本作のようなキャラクターにおいてますますその威力を発揮する。豊川悦司という、ひょっともすると単調な演技ぶりに陥ってしまう役者を相手に、生き生きとした「夫婦ぶり」を演出している。彼女が演じる「夫からよく理解されないが、その心の奥には、じっと秘められたものを持つ」どこにでもいる妻ぶりが、本作のストーリー展開に大きく貢献している。
脇役にも、本作全体を考えた上で、それぞれツボを押さえたよい役者を起用している。
まずは、誰よりも重要な役割を果たすのだが、終盤の入口まではただの北見好きのオカマとしか思えない原文太役の石橋蓮、映画のオーディション応募用のスチルを撮らせようと北見に色仕掛けで迫る吉沢蘭子役の水川あさみ、北見の助手古田誠役の濱田岳、近所のショップの綺麗な店員井川ゆり役の井川遙、さくらの元生徒で彼女に思いを寄せる西田健人役の城田優。
深掘りして描かれる最初の3人だけでなく、ちょい役のように登場する後の2人もただ登場しただけではなく、自分の色をしっかり発色している。彼らの総体が、隠し味、時には、香辛料のようにピリリと効いて映画の面白さを増している。
エンディングテーマ曲は井上陽水の「赤い目のクラウン」。彼のけだるい歌いぶりが、本作を見た後の虚脱感にも似た感動を癒してくれる。
日本映画らしく、大作ではないがきっちりとした主張もし、しかも、説教くさくなく、さらに、淡く強い感動を与えてくれる映画、である。
冒頭にも書いたが、結婚生活に慣れきった中年男性にカツを入れる映画である。該当する人は是非観てもらいたい。
今度は愛妻家 公式ホームページ
jamsession123goの評価
エンタメ度 ☆☆☆☆(星4つ)
テーマ性 ☆☆☆☆☆(星5つ)
jamsession123goの私的映倫
Erotic度 ○(子どもでも大丈夫)
Violence度 ○(子どもでも大丈夫)
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jamsession123goの映画インデックス
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かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介(豊川悦司)だが、今は写真も撮らずにダラダラと呑気な毎日を送っている。一方、健康オタクの妻さくら(薬師丸ひろ子)は、そんな夫に文句を言いながらもかいがいしく世話を焼く日々。しかしあるとき俊介は、友だちと箱根旅行に行く直前のさくらに“子どもを作る気がないなら、別れて”と切り出される。その場はごまかしたものの、さくらと入れ代わりでやって来た女優志願の蘭子(水川あさみ)といいムードになったところに、たまたま引き返してきたさくらが現われ、いよいよ愛想を尽かされる。その後、旅行に行ったさくらはなかなか戻らず、最初こそ独身生活気分を満喫していた俊介だったが…。(allcinemaより)
本作のレビューを書く前にいくつかブログのレビューを摘んでみたが、「(この物語の鍵を握るある事実が)先読みでき、おもしろさに欠ける」と書く「相変わらずの物知り顔の感想文」が散見された。本作はミステリーを売りにした物語ではない。そこのところを勘違いすると、単なる作りの下手な三流ミステリー映画との評価を下されてしまうので、要注意である。
確かに、本作には、三流映画とできのよい映画の境目を徘徊する作りになっている部分があることは否めない。それが監督の意図なのか、それとも編集上の課題なのかは、想像の域は出ないが、私は前者であると考える。岩井俊二監督の下で、「LoveLetter」、「スワロウテイル」の傑作2本が製作されてゆく様を間近に見、自身が「セカチュウ」で大ヒットを飛ばした行定監督のことである。本作の反転に次ぐ反転、下手すれば、テンションが下がりっぱなしでエンディングを迎える可能性すらある場面展開を、ぐっと持ち上げて一気にエンディングへ持ち込む力量は流石である。
なんと言っても本作の要は薬師丸ひろ子である。決して美人でもないただの(ファンにはご容赦)中年女優なのだが、あの表情の豊かさは天才と言われたデビューのころからの健在だ。年を重ね、幅を少しずつ広げてきた彼女の演技は、本作のようなキャラクターにおいてますますその威力を発揮する。豊川悦司という、ひょっともすると単調な演技ぶりに陥ってしまう役者を相手に、生き生きとした「夫婦ぶり」を演出している。彼女が演じる「夫からよく理解されないが、その心の奥には、じっと秘められたものを持つ」どこにでもいる妻ぶりが、本作のストーリー展開に大きく貢献している。
脇役にも、本作全体を考えた上で、それぞれツボを押さえたよい役者を起用している。
まずは、誰よりも重要な役割を果たすのだが、終盤の入口まではただの北見好きのオカマとしか思えない原文太役の石橋蓮、映画のオーディション応募用のスチルを撮らせようと北見に色仕掛けで迫る吉沢蘭子役の水川あさみ、北見の助手古田誠役の濱田岳、近所のショップの綺麗な店員井川ゆり役の井川遙、さくらの元生徒で彼女に思いを寄せる西田健人役の城田優。
深掘りして描かれる最初の3人だけでなく、ちょい役のように登場する後の2人もただ登場しただけではなく、自分の色をしっかり発色している。彼らの総体が、隠し味、時には、香辛料のようにピリリと効いて映画の面白さを増している。
エンディングテーマ曲は井上陽水の「赤い目のクラウン」。彼のけだるい歌いぶりが、本作を見た後の虚脱感にも似た感動を癒してくれる。
日本映画らしく、大作ではないがきっちりとした主張もし、しかも、説教くさくなく、さらに、淡く強い感動を与えてくれる映画、である。
冒頭にも書いたが、結婚生活に慣れきった中年男性にカツを入れる映画である。該当する人は是非観てもらいたい。
今度は愛妻家 公式ホームページ
jamsession123goの評価
エンタメ度 ☆☆☆☆(星4つ)
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