缶入りの固形アルコール燃料は、旧日本陸軍で開発され、その後、自衛隊でも採用され、かつ現在においてもキャンプ用や防災用として、ホームセンターに売られています。一般に火力が弱いとされるアルコールの固形燃料(携帯燃料)が、未だに命脈を持ち続けているのは、まずもって壊れない構造である事、マッチ1本で着火が可能な簡便さが認められての事だと思います。

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今回は、ホームセンターで良く見かける
ニチネンのトップ缶250gを使用
他のメーカーのでも、中身自体は大体同じで
ゴトクの形状が違うくらいの差しかありません

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使い方は至って簡単
蓋を開けて、マッチで点火して、ゴトクを置くだけ
蓋さえしっかり閉まっていれば
中が揮発する事もありません

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ゴトクも意外と頑丈で
4合炊きの飯盒はおろか、4リットルのヤカンでも載ります

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使い終わったら、蓋をする前にゴトクをどかさねばなりません
ペンチなどを用意しておく必要があります

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消火は、蓋を逆さに被せます
缶が暑いうちに蓋をはめると、気化したアルコールで
蓋が吹っ飛んでびっくりします


■缶入り携帯燃料の火力の実際
   固形燃料は火力が弱い、と言われるのですが、では具体的にどの程度弱いのかを検証しました。4合炊きの飯盒で、何分でご飯を炊く事が出来るかで試しました。条件は無風の室内で気温27度としました。屋外では明らかに不利な熱源ですので、屋内専用とみなしての事です。
   点火した携帯燃料に、おもむろに飯盒を乗せます。携帯燃料は火力調整のしようがないので、あとは炊きあがるまで放っておきます。問題はいつ炊きあがるかで、まずグツグツ言い出すまでに13分を要しました。しかも、この段階ではまだ沸騰していなくて、まったく湯気も出ません。さらに待つ事、5分半、ようやく湯気を吹き出し始めました。そこから重湯が引くまで待つ訳ですが、これがいつまで経ってもなかなか引かない。結局、11分少し、トータルで30分そこらで切り上げましたが、その時点でもまだ重湯は残っていました。
   結果、出来上がったご飯は、辛うじて米粒が確認できるけど、あと少しでお粥になるんではないか、というほどのベタ飯で、まったく話しにならない出来映えとなりました。つまり、この手の缶入り携帯燃料では、4合炊きの飯盒炊飯をするには、明らかに火力不足である事が分かります。


飯盒を乗せてから、18分してようやく吹き出しました
これではベタ飯確定です

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実測値
ラップ3は重湯が引くまでの時間ですが
これでもまだ重湯が残ってました

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ご飯の真ん中が凹んでいるのは
残った重湯が溜まった跡です

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べったべたのご飯です
一応、「食べれる」ご飯ですが、「美味い」ご飯にはほど遠いです


■湯立て法で対策
   固形燃料で飯盒を使うのは、正味の話し、あまりお勧め出来ないのですが、それでも缶入り携帯燃料しかなかった場合に備えて、どうにかまともなご飯が炊ける工夫をしました。湯立て法というのは、沸騰した湯に洗った米を入れて炊く方法で、これなら水が沸騰する間、米はなんら影響を受けませんから、上記の様なベタ飯になる可能性が低い炊き方です。

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水は700ccを飯盒に入れます
米は4合、予め洗ってザルに入れておきます

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蓋をして沸騰させるのですが
タダの水からボコボコ言わせるまでに時間が掛かります

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水が沸騰したら、研いだ米を入れて蓋をして放置します


   とは言え、缶入り固形燃料だと、たった700ccの水を沸騰させるのに、約12分もかかりました。水と米を同時に入れる炊き干し法だと、この間に米がふやけてしまう様なもんですが、湯立て法はこの間は米は何の影響もありません。
   沸騰してから米を入れて蓋をして待つ事、約8分。やっと湯気が吹き出しました。湯気が吹くまでの時間は、炊き干し法の時と大して差がありません。ところが違いはここから重湯が引くまでの時間で、湯立て法では約4分で重湯が引き、トータルタイムで5分短縮という結果になりました。
   出来上がったご飯も、炊き干し法で炊いた時のベタ飯でなく、それなりにしっかりしたご飯になりました。しかし、その味は、米の味というより水の味で、火力が弱すぎてα化があまり進まなかった時のご飯の風味です。炊飯器の下くらいの出来映えです。むろん食べれはしますが、美味い飯とはほど遠い出来映えでした。

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湯立て法だと、5分ほど時間が短縮しました
その分、燃料も節約できる訳です

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ぱっと見、炊きあがりはそれなりにしっかりしてます

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食える飯としては炊けました
ただ、お味は今ひとつ


■缶入り携帯燃料の使い道
   湯立て法で辛うじてまともなご飯を炊けたのですが、それでも缶入り携帯燃料の火力では、荷が勝ちる事が分かりました。以前、2合炊きでチャレンジした事がありましたが、結果は多少マシなだけで、さほどの差はありませんでした。
   大きな飯盒で4合ものご飯を炊くのは大変でも、小さいクッカーで1合や2合炊くのであれば、また勝手は違ってきます。要するに、それなりに小さいクッカーであれば、缶入り携帯燃料でも活躍の余地はあります。また、時間は掛かるとはいえ、水を沸騰させる事は出来ますので、レトルト食品や缶詰、ハイゼックス炊飯袋などを温める用途には使えると思います。

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飯盒の底への火の当たり具合は
広くて良いのですが、如何せん、やっぱり火力が弱いです