本日の日経新聞夕刊に「インド攻略、アニメ主役、「巨人の星」など現地放映」という記事が掲載されていました。

 「インドで日本のアニメを使ったキャラクター事業が拡大している。テレビ番組「巨人の星」「忍者ハットリくん」などの現地放映を機にコクヨや日清食品がキャラクター商品を売り出すほか、自動車、家電、航空会社も広告、販促事業を始める。日印両政府はアニメや映画などクリエーティブ分野での産業協力で合意しており、日本企業のインド投資を後押しする。

 講談社と博報堂は8日、「巨人の星」をインド向けにリメークした日印共同制作アニメ「スーラジ ザ・ライジングスター」を仏カンヌで開かれる番組見本市で発表する。野球をクリケットに置き換えて主人公がスター選手になるという筋書きで、12月23日から6カ月間、インドで放映する。

 これに連動し、コクヨは講談社、博報堂と同番組のキャラクター商品をインドで販売することで基本合意した。コクヨが昨年買収した現地の文具メーカーを通じて来年3月からノート、筆記具、算数セットなどを発売する。「インドでの年商を現在の70億円から5年後には150億円に増やす」(北條元宏・執行役員)

 日清食品も即席めんなどのキャラクター商品をインドで発売する計画を検討している。近く、講談社などとライセンス契約を結ぶ予定だ。

 スズキ、全日本空輸、ダイキン工業は同番組のキャラクターを使った広告や販促事業を始める。全日空は10月28日、成田―ムンバイ線に続く2路線目となる成田―デリー線の運航を始めるのを機に「インド市場で顧客獲得を目指す」(杉野健治・ムンバイ・デリー支店長)。

 一方、パナソニックは10月上旬、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の拡販のため「忍者ハットリくん」を使った広告、販促事業を始める。「忍者ハットリくん」はテレビ朝日と博報堂DYメディアパートナーズがインド企業と共同制作し、5月から放映しており、キャラクターの人気をいかす。

 総人口10億人を超えるインドは一人っ子政策を続ける中国に比べると子どもの人口が多く、9歳以下の人口は中国の約1.6倍。中国には外国アニメの放映に規制があるが、インドには制約がほとんどないなど市場参入しやすい環境にある。

 アニメや映画、テレビ番組などインドのコンテンツ市場は現在、約55億ドル(約4300億円)。中国の半分以下の規模だが、持続的な成長が見込める。講談社はインドに子会社を設立して、「巨人の星」などを英訳した漫画本を出版することも検討する。尖閣諸島や竹島を巡る問題で対中、対韓関係が冷え込むなか「インドとのビジネス拡大に日本企業からの期待が集まっている」(田中繁広・経産省審議官)。」

出所:日本経済新聞(夕刊)2012年10月6日