February 16, 2012
香港報道空中戰

祭りだ祭りだ、今回は内乱!
舞台は香港政治界。
前回までの「香港祭り2012」は対大陸でした。
D&G祭り
アンチ大陸広告祭り
そして、再び新たなお祭りの火蓋が切られました。
3月で任期が切れる曽蔭権・ドナルドツァン現香港行政長官
については、いちばん最近ではここで少し詳しく触れました。
香港政治劇場2011
ここでも書いたように、中国返還後、最初の行政長官であった
董建華(中国による指名)がその失策に対して約50万人が
集まった市民の大抗議デモによって辞任。
そこで2005年、ドナルド・ツァンが棚上げ方式で仮就任。
董建華と異なり生粋の香港人であったドナルド・ツァンは
景気も回復した香港で支持率が高く、そのまま流れで正式就任。
そして2007年の行政長官選挙でも、その平和に軽々当選。
現在に至ります。
その後、香港のみならず、世界中への大陸の影響力が強くなり、
香港も環境は激変していっていることはよくここでも紹介している
とおりです。市民の香港政府への期待感は暴落の一途です。
続報はこちら(續香港政治劇場2011)
そんな中、香港において「初めての冷静な香港行政長官選挙」
が、今回なのかもしれません。
行政長官選挙は普通選挙ではないので(実現を目指して民主派
が活動していましたが、まだ実現は達成できていません)、
一般市民は選挙参加できませんが、報道や市民活動などで
選挙に影響を与えるなど補足的に参加していくことは出来ます。
ということで、次期特首(香港特別行政区行政長官)選挙を
約一ヵ月後に控え、メディアを中心に香港は熱く盛り上がって
来ています。
候補者の揚げ足取り合戦で。
なんか違う気がする、と思いつつ、
何をやってくれるか、よりも、「どっちがより良くないか」という方向に
報道の目が向きがちなのは、どこの国の代表選挙でも同じですね。
今、ホットな話題は、またもやこの有力候補二人の
揚げ足取りから始まりました。
英英(梁振英)。
以前審査委員をやった西九龍開発に関わる企画コンペで、
参加者が自分の関係者であったことで不正を疑われている。
本人は、否定。
でも、この話題は今、唐唐に盛り上がちゃっった香港市民的には
焼け石に水程度のどうでもいいスキャンダル扱いになりました。
唐唐(唐英年)。
ご自宅の豪邸庭園のプール。
(プールに関しては、香港では高級マンションや大きな家には
あるのが当たり前なので、それほど珍しいものではありません)

の、底に窓があることを最初に指摘したのが、たぶん明報。
プールの底に窓があり、灯りが漏れている。
すなわち、この下には何かがあるのでは?
君たちは秘密探偵かwwwwwwwwwww

そして他紙がこの報道に追随します。プールの底の謎の窓。
しかし、この指摘は、ものすごい方向に大きくなっていくのです。
ある建築専門家が言いました。
「プールの下に部屋がありますね。
プールに繋がる天井に天窓がついている。
だから、こうして灯りがもれるのです」
地下室だと?それはもはや、今ブームの違法建築ではないか!
祭りの予感がはじまります。
その後、追及されて地下室の存在を認めた唐唐。
「ちょっと穴掘りすぎちゃったかも。えへ♪」
怒る香港市民。
「掘ったのか!」
唐唐は、「えへへ、ごめんね」と笑ってごまかし、
公開しますよといいつつ、違法建築摘発視察団さえも
シャットダウン。
ここまでは、わたしは、なんとなく報道を傍観していました。
ちょっとくらいいいじゃん、くらいの気持ちもあったのも事実です。
しかし、こうなると、やっきになるのが香港メディアです。
香港最大手民主派メディア蘋果、スパイ作戦展開!
どこからか、地下室の設計図を入手!!
「ワインオタクの唐唐のこと。
おそらく地下にワインの貯蔵庫でも作っているのだろう」
これが、メディアを含めて大半の市民の予測だったと思います。
しかし、誰も想像さえ付かないスペクタクルな展開につながって
いくのです。

地下に掘られた2400平方フィートの秘密基地発覚!!!
ワインセラーはもちろんのこと、ジムやプライベート映画館、
なぜか日式浴室まで完備!
日式浴室。
香港のバスルームのバスダブは、
西洋スタイルの浅いバスダブでユニットであることが普通なので
おそらく洗い場が独立していたり檜作りなどの日本スタイル
なのだと思います。
その後は東方が、蘋果報道の設計図をもとにしたと思われる
立体の図面を製作し、掲載。

さらには、今度は明報によってこんな図面まで公開されます。

なんぞこれ!!
隣家からつながっている!忍者屋敷!!!
隣家も唐唐が所有する物件ですが、「空き家」ということに
なっていました。なのに、地下道でつながっていることが発覚!
唐唐は、非常に親日的で日本旅行が大好きでいらっしゃいます。
(ちなみに現行政長官のドナルド・ツァン氏もとっても親日的です)
これ、日本の影響?(笑)
リーク合戦留まるところを知らず、
東方は、建築中の地下室の写真まで掲載。
どこから流れてくるんだろう、恐ろしいことです。

こうして唐唐地下秘密基地の設計図と内部構造が
暴かれたのが、2月15日。
そして翌朝、2月16日。唐唐邸宅前。
そーれそれそれ、お祭りだ━━━(゜∀゜)━━━!!!

クレーン車の数wwwwwwwwwwwwwwwwwwww
香港全テレビ、新聞メディア全力を挙げての
香港報道合戦は空中戦に入りました!!!


住宅街がテーマパークのアトラクション状態!
「唐家地下秘密皇宮の秘密を暴け!!!」
メディアの意地をここに見たり!
まるで人質立てこもりや爆破事件のような
凶悪犯罪がおこっている歴史的事件現場のようです。
でも、実は違法建築取材。
それだけ香港にとって大きな出来事であったのも事実ですが
あえて一言言わせていただきます。
アホやwwwwwww
壁に張り付いているのは、おそらく新聞記者チーム。

秘密基地発覚、という、興奮のニュースに加え
前代未聞のクレーン車合戦に香港市民も盛り上がります。
この日は全港の視線が唐宮に集中!
即、こんな合成写真まで出回りました。
宇宙大戦!!!

トランスフォーマー!!!

あー、面白い。好搞笑・・・
24時間ニュースチャンネルは延々現場生中継をしていて
映すものなくなったら、ワンちゃんの癒し映像流したりしてました。

ワンちゃん、異常事態に警戒してめちゃくちゃ吼えてたけど・・・
だけど、これはただの揚げ足取りの悪乗りだけではありません。
土地が狭く住宅事情が著しく悪い香港は、
マンションの屋根部分をベランダにしたり
屋上に部屋を作ったり、違法建築が乱立しています。
それを昨年大々的に摘発しはじめたのが香港政府です。
その後、政府官僚らの自宅の違法建築が続々と発覚し、
報道メディアによって暴露され、官僚が追求されることとなる
ヤブヘビ展開となりました。
唐唐の場合、「プールの底から謎の光w」によっての発覚ですが
地下に違法建築を広げているため、表から見えずあまりにも巧妙。
外からばれないようにと配慮した上での設計と考えられても
しかたがありません。
一般市民が劣悪な住宅事情や物価急上昇で苦しんでいる香港、
お金のある人たちばかりが得をし、良い生活ができる構造になって
いることで社会の鬱憤がたまっているところに、こんな発覚です。
さすがにここで祭りになるのは当然かと思います。

許可されていない部分に建築物を作るのは違法、
さらには上部の建築物本体面積よりも広大な地下空間。
完全に建築物条例違法。
ただ、このあとの争点は単なるルール違反か犯罪行為かに移行。
この家が建てられたのが2007年。
増築で地下王宮を作ったのであれば申請忘れともとれるルール違反。
2007年の新築のときに「地下のない設計図」で申請しているとしたら
偽装で犯罪行為。

2月16日夕方、政府の「屋宇署(Buildings Department)」
が唐邸調査に入りました。
現場到着後、記者(と野次馬)が多すぎて
1時間以上中に入れなかったというトラブルはありましたが、
視察は現在実施中、調査発表される予定は3時間後。
そしてその後、唐唐本人の記者会見予定も発表されました。
中国大陸を含めた財政界にパイプが強い良家の子息である唐唐は、
そもそも庶民対策が苦手(わからない)ので香港庶民の支持率は低い。
そこにこのすっぱ抜き報道が来ました。
唐唐の情勢は、一気に危険水準まで下落です。
かといって英英がいい、というわけでもありません。
このまま揚げ足取り合戦が白熱していくと、
もしかしたら二人とも落ちて

えっ、俺っ!?
民主派代表候補が特首になっちゃうかもwwwwwwww
彼はあまり行政長官候補としては話題になりませんが、
行政長官選挙に出馬しており、その意義も大いにあります。
唐唐と英英だけだったら、二人の争いに終始するため
公約や演説で触れるの枠が狭まります。
民主派代表の彼が立候補し、二人の候補者の弱点を突き、
違った主張を持つ党の代表としての見解を公言していくことで、
次期行政長官になるであろう人の公約の幅を広げ、
民主的内容にも目を向けさせる。
だから当選目的だけではなく、彼のような存在が必要なんです。
(周囲の香港人らの意見をまとめたもので私見も入っていますが、
わたしもそういうことだろうと納得しています)
先日、D&G祭りやアンチ広告祭りなど表面化した大陸との
確執をここでご紹介したように、独特の歴史をもつ香港は、
現状市民は反大陸に大きく傾倒していて
しかし大陸の一部でもあるという非常に複雑な都市です。
行政長官になる人材はバランス感覚に優れていなくては
なりません。
大陸中央に言われるがままの御用聞きではダメ。
対大陸と香港の確執を煽るだけでもダメ。
すごく難しく、ストレスフルなパイプ役をも求められる代表です。
こういってはなんですが、
民主派もたぶん自分自身が行政長官になるには
ちょっと不足なことはわかっているのではないかと。
(当選を目的として出馬しているので、
あまり失礼なこともいえませんが・・・あれっ、言ってる?)
それに行政長官は、前述のとおり普通選挙ではなく
裏では中国の意向も大きく反映しています。
あからさまな民主派政党候補が代表に選ばれるわけが
ありません。そんなことは香港市民もわかっています。
だから出来る限りバランス感覚の良い(香港のことを
きちんと考えてくれる)人に代表になってほしいのです。
民主派政党活動の勢いが強い香港。
民主派メディアの報道が活発な香港。
香港政府や中国に公共の場で批判や抗議ができる香港。
内政のバランスをとるため、香港が香港であり続けるため、
民主派派閥の強い存在感は今後もすごく大事です。
みんな大好き過激派長毛議員の存在も、その代表たるもの。
ただ、彼らが国際舞台でも代表になることを求めるほど
香港は未熟ではありません。それはそれ、これはこれです。
もし、香港中で批判され、支持率の著しく低い人材が
大きな権力だけの意向によって香港トップに選ばれたとしたら、
それは大きな警笛です。
香港の未来は、どうなるのでしょうか。
これから1ヶ月、香港の動向から目が離せません。
行政長官選挙は3月25日!!
そして、今回の報道は、ただのゴシップではありません。
ここまで「政治家」を追いかけ、追求するのが香港です。
さて、調査発表と唐唐記者会見はあと数時間後!
まずはここまでの流れをざっとご紹介しましたが
明朝、この続報をここに追記します。
つづく。
2月16日20:15頃。唐唐記者会見。奥様同伴。

屋宇署の報告会見が遅れていたので
その前に先手を打って謝罪会見に踏み切ったと思われます。
そこで唐唐が言ったことを一言にすると
「僕じゃないの。ぜーんぶ、妻が勝手にやったことだから!」
工工エエエエェェェェェヽ(゚Д゚;)ノ゙ェェェェエエエエ工工
おそらく1日かけて側近含めて考えたであろう
釈明と謝罪が、それ?
唐唐いわく(要約)、
「家庭がうまくいっていなかったとき、
妻が自分の考えで建築したものです。
私は当時宿舎で生活をしていてほとんど自宅には帰っておらず、
夫婦仲も冷え切っていたので干渉もせず放置しました。
申し訳ありませんでした、私にもう一度チャンスをください」
知らない間に自宅に地下室作られたって無理がないか?
温かい家庭にするために、陸上の建物よりも巨大な地下室
を建造するっていうのも発想として斬新すぎる。
そもそも、それが真実だったとしても
女性を盾にするなんて香港的には最もOUT。
まさに火に油で、会見直後(渦中)から、香港炎上となりました。
特に香港男性陣は「なんて男だ!」と怒り心頭です。
そうです、香港はそういう気質の土地なのだから。
唐唐は、以前の【女性スキャンダル】の時も
「もう終わったことです」と奥さんに会見させていたので
これで「奥様盾作戦」は二度目です。
記者たちから良い質問が出てました。
「市民が同じことをしたければ、やっていいってことですか?」
唐唐は質問に答えてませんでした。
「私は違法建築を認め、謝罪します。
大きくても小さくても違法建築は違法建築です」と繰り返すだけ。
他には
「家庭も治められない人が、どうやって香港を治めるんですか?」
そんな質問も出ていました。
唐唐は、どんな質問にもまともに答えられていませんでした。
中国社会には全てに通ずる基本的な思想があります。
「修身、齊家、治國、平天下」
修身(身を綺麗に)・・・女性スキャンダルあり、すでにダメ。
齊家(家庭をうまく整え)・・・全然ダメ。
最初の2つでさえも既に脱落している唐唐が、
どうやって、国を治め、天下を治めるという次のステップに
行けるというのでしょうか。

奥様は
「全て私が悪いのです。
家庭を楽しい気持ちで過ごして欲しいという気持ちからでした。
申し訳ございませんでした」
と夫をかばっていました。
関係ないけど、奥様がマイクに向かって話をする時、
最初に「大家好(こんにちは)」と挨拶をしたのですが
後方から西洋人記者が「Good evening!」と答えていて
微笑ましかったです。礼儀正しいw
2月16日。それから1時間後の21:30頃。
屋宇署の測量士たちが報告記者会見を開きました。

「地下室の広さは19m×11m(2200フィート)
部屋はいくつもある。
どんな部屋・施設があるかは私達の調査対象ではない。
2007年、建築許可申請された図面には地下室は
含まれていない。いつ地下室が作られたかは、分析が
必要で今日中には結論は出せない。
地下室から駐車場には直接出られる構造。
ただし地下から隣家につながる階段は存在しなかった。
家の裏スペースがつながっているだけ。
今後、政府としてはお互いに相談しながら
どう対応していくかを考えていく。」
要約すると、こんな感じでした。
許可を受けていない場所に建造物を作るのは
屋上だろうと地下だろうと違法です。
小さな違法建築であっても摘発された市民は撤去させられています。
この話題、「クレーン出撃大騒動!さあ、どうでる、唐唐!」
というところまではすごく盛り上がっていたのですが
唐唐の釈明にあまりにもガッカリで、テンション落ちてしまいました。
それでは、明けて2月17日の主要新聞各紙大見出しです。
蘋果日報!
「賣妻求榮」(妻を売って栄誉を求めた)

明報!
「妻攬僭建上身 唐不退選」
(妻が全責任をかぶり、唐唐は出馬取り下げず)

東方日報!
「擺老婆上枱」
(妻を生贄に)

South China Morning Post!
「It was my wife's idea, says Tang」

行政長官選挙戦から下りずにすむよう自分自身の責任を
回避するため、奥様が全て負うという苦渋の策だったのでしょうが、
それは結果として、誰もが納得もフォローもできない謝罪となりました。
政界の支持者(だったはずの人たち)も、「(支持を)考え直します」
という発言が目立ち始め、今日も引き続き唐唐祭りは続いています。
この一連の流れを中国中央も知らないわけはありません。
この騒動がどう選挙に影響するのか。それともしないのか。
既に新たな出馬候補者の気配もあり、今後の選挙戦の行方から
目が離せません。
行政長官選挙の結果も、皆様に必ずご報告します!
最後に香港風物話題。
すっかり唐唐の話題に隠れてしまったけど、
本日2月17日の香港は「観音借庫」(詳細)です!

わたしは二億半ドル、お借りできましたー!観音様多謝〜!
japanavi at 19:37│TrackBack(0)│

