July 31, 2012
729反洗腦遊行

「国民教育科」導入計画。
1年位前から憂慮されていた計画ですが、
頻繁にこの言葉をよく聞くようになったのは、1ヶ月くらい前です。
今年9月から香港に導入予定の「国民教育」(中国への愛国心
を養うための愛国・道徳教育)の教材の内容がが公開された頃。
その教材には、「アメリカのような民主的政治システムを批判し、
共産党独裁体制を称賛」している内容が書かれていました。
さらに、「中国人であることを誇りに思うこと」
「中国国旗を掲揚したら感動すること」「国家に批判の感情を
持たないこと」なども教科書に載っています。
この現代にそんな Σ(゚д゚lll)
これは、まさに香港文化大革命!!!!!!!!!

(写真はイメージです)
それは、自由に世界中の情報が入り、高度な教育が受けられ、
どこよりも中国のこと(怖さを含めて)を知っている香港人にとって
ありえない内容でした。
天安門事件追悼集会にいまだに毎年十万人以上が集まり
(今年の6月4日は18万人が集まりました)
あの悲劇が忘れられないように世界に発信し続けている香港
にとって、「一党独裁賛美」などありえない教材なのです。
どこよりもテレビやら新聞やらの公共メディアが
ガンガンと中国の暗部を報道している香港が
「国家の批判をするべからず」とか受け入れられるわけないし。
ですが、市民の反発をよそに香港政府は推進をしようとしています。
中国中央による強要ではなく(それが表向きであるとしても)、
香港政府が推進していることが香港にとって大きな問題なのです。
最近よくこの言葉を思い出します。
【ここ】でも紹介した香港最後の総督、パッテン元総督の言葉。
1996年の発言です。

「我感到憂慮的,不是香港自主權會被北京剝奪,
而是這項權利會一點一滴地斷送在香港某些人手裏。」
日本語訳:
「わたしが憂慮していることは
香港が北京からその自主権を奪われることではなく、
こういう権利が少しずつ少しずつ、香港のある人たちの手によって
消えていくことです。」
パッテン総督・・・・・・(´・ω・`)
さて、そんな反発広がる香港。7月28日の蘋果日報。

「子孫が紅衛兵化の恐怖!」
新聞一面に強烈な見出しがwww
これがコンビニ店頭や街頭に並ぶ香港!素敵!!
ともかく、
子どもたちが共産党に洗脳されてしまう!
国民教育への反対の声は、子供を持つ親たち(これから、も含めて)、
そして教員たちからも大きく出ていますが
実はこの愛国教育への反対運動を推進してきたのは、子どもたちです。
僕たちは、洗脳されたくない!
こうして1990年代生まれの中高生が中心となり出来たグループが
「學民思潮(Scholarism)」。
彼らはネットでの活動を中心に、
政府への陳情、政治家との討論、街頭抗議もしています。
民主化活動などでなにかと話題になることが多い
80年代生まれグループ(80後)がハンストや警察との衝突も
辞さない過激な動きをすることが特徴だとすると、
90年代生まれのグループ(90後)は、非常に理論的です。
何かと「騒ぎ」を起こしがちな議員(大人)たちが圧倒されるほどに
冷静で知的です。すごいな〜〜〜、と思います。
あまりに賢いので、香港中の注目を集める彼らが属している学校は
やりにくいだろうなあ・・・(笑) と思ったりすることもあるほどです。

情報過多な香港です。
こんな科目ひとつで、簡単に「共産党バンザーイ」なんて
洗脳されたりするものではないかもしれない、とは思います。
だけど、これは香港にわざわざ導入する必要のない思想教育です。
そもそも今までなかったのに、「導入されること」が問題なのです。
ただでさえ中国(共産党)に対する警戒心が強い香港で
その警戒心と不安感がさらに強まっている今、この反発は当然のもの。
逆に「現状の香港」がコントロール不可能な状態だからこそ、
中国(共産党)はこういった「子どもの教育」から導入していきたい、
と思っているのかもしれません。
教育からか・・・なるほどなあ、じわじわと侵略するという戦略かあ。
「愛国心」というものは、一般的には誰もが持っているものです。
ただ、香港は「英国領」(英国ではない)から「中国」になりました。
中国返還後も一国二制度のもと司法も法律も通貨も交通ルールも
教育制度も中国とは異なり、パスポートも「中国国民パスポート」
ではありません。
以前、【ここで激化する香港と中国の衝突を紹介】したときに書きましたが、香港と中国の関係は複雑です。
だいぶ前、香港の友人に言われたことがあります。
「愛国心ってものがわからない。
どこかの国民になったことがないし。
自分には香港への愛着心しかない。
知識の上での”愛国心”というものが強いことはだいたい戦争とか
あまり良くないことへ行くもののような気もしてしまう。」
なるほどなあ。と思いました。
それは、どこか”国”というものに所属している人たちから見たら、
不安定でかわいそうに見えるかもしれません。
でも、香港はこれまでも、「香港という家族」にずっと属していて
香港を愛しているのです。何かあった時の団結力の強さも、
不安定な環境で色んなことを乗り越えてきた絆があるからこそです。
(不安が解決できない極限まで行くと、土地に固執せず
「あっさり移民する」という選択をするのも香港らしさです)
それから、香港人に「チャイニーズ」という意識が
まったくないかというと、そうではありません。
たとえば、四川の大震災のような災害が中国であったとき、
心を痛め、すぐに多額の義援金を送る人が多いです。
たとえばオリンピックなどがあれば、香港チームはもちろんですが
なんとなく中国チームのことも応援する人が多いのも確かです。
愛国心って、そういう自然発生的なものなんじゃないかな。
15年前まで別の国に属していた香港に強要することはおかしい
とも思いますが、そもそも香港は「中国を知る(学ぶ)」ことを
拒絶しているのではなく、「国家を批判してはいけない、国旗を
見たら感動して涙を流しなさい」のような共産党賛美の偏った
思想教育を受け入れることを拒絶しているだけです。
洗脳反対騒動が広がる中、「もう植民地化はごめんだ!」という
言葉も見ました。香港は、香港のままであることを求めています。
この一ヶ月、洗脳反対の声は日に日に大きくなり、
ニュースでも話題になることが増えました。
【ここ】で軽く触れましたが、香港ローカル校の二大勢力の
一つである天主教(カトリック)系の学校は、
7月19日に「国民教育導入を拒否する」と発表しました。
そして7月29日に、「反洗腦遊行」(洗脳反対デモ行進)が
実施されることがネットやメディアを通じて市民に広まっていきます。
7月29日の国民教育導入反対抗議デモ前日、
香港國民教育促進會の姜玉堆主席が
国民教育は洗脳だという声が大きくなっていることに対し
「腦有問題的人要去洗腦(脳に問題がある人は、脳を洗う
必要がありますね)」「腎臓が悪い人は腎臓洗うでしょ?」と
答えてしまいました。
さあ大変。
こういう失言って、市民のパワーにつながっちゃうんですよね。
一言で言うと、「火に油を注ぐ」。
7月29日(日)当日。猛暑。
蘋果日報一面。

「反洗腦遊行」の集合は、15:00。いつものビクトリアパーク。
この日は炎天下に小さな子どもがたくさん来るだろうことが
予想されていたため、事前に
「必ずしも公園に集合する必要はありません、
途中合流でかまいません。
必ずしも最終ゴールまで行く必要はありません、
途中離脱でかまいません」
というアナウンスもありました。
さて、下記、反洗腦遊行デモ現場からのわたしのツイートです。
posted at 18:25:51
「香港は現在「洗脳教育反対デモ」中。
9月導入予定の中国への愛国心を育むという
国民教育に反対するもの。
既に天主教系の学校は導入拒絶を表明済み。
デモには一万人参加が予想されてましたが
何倍も上回る参加者の波です!
参加者は子供も多く、ベビーカー連れ夫婦も多いです!」
posted at 19:12:03
「先程ツイートした香港の
中国愛国洗脳教育導入反対デモの様子。
ちなみに今日のデモは政党や議員は応援だけ、
主催は民間団体2つで1つは現役中学生グループです!
中学生!」

posted at 20:05:07
「参加者、少なくとも9万人だって!」



7月1日の民主デモは毎年恒例ですが
それ以外のイレギュラーに企画されたデモは、集まりにくいものです。
さらに【今年はその7月1日に40万人もの人が集まった】ばかり。
そんなこともあって今回のデモへの参加人数は、
1万人くらいだろうと予想されていました。
それが、90,000人。
ちなみに、主催発表は「90,000人以上」。
警察発表は「19,000人、ピーク時は32,000人」
デモで「ピーク時は」とか補足する意味がわからない。
ということは、参加者32,000人ですよ。
警察発表はどこの国でも明らかに少ないというのが定例のようですが
香港では、最近はもはや「警察発表少なすぎ!」と怒る声も
聞かなくなりました。完全スルーw
香港メディアも主催発表を採用することが一般的です。
主催発表を報じるとともに、「なお警察発表では」と補足することも
多々ありますが、テレビや新聞で「このあいだのデモは・・・」という
話題になる時に採用されるのは、主催発表であることが普通です。
まあそもそも、どうやって推計してんだよっていう追求はじめると
よくわからないですけど、今回のデモは、先頭が15:00に出発して
2時間くらい経っても最後尾がまだ公園にいたということですし
どこまでもつながる人の波を実際に目にし、歩いている時から
1万人どころじゃない、何倍もの人が集まってるー!とは思いました。
7月30日 蘋果日報一面

そして、修正です!!!
上のツイートで「主催は2つの民間団体」と書きましたが、
1つの大きな連盟の間違いでした!
わたし、「民間反對國民教育科大聯盟」と「學民思潮」だと
勘違いしていました。実際は「民間反對國民教育科大聯盟」
という連合の中に學民思潮も入っていたのでした。ごめんなさい。
主催団体:民間反對國民教育科大聯盟
(連盟加入グループ:學民思潮、國民教育家長關注組、
香港教育人員專業協會、香港專上學生聯會、公民教育聯席、
兒童關愛網絡、香港基督徒學會、香港天主教正義和平委員會、
眾樂教會、合一青年牧養平台、關注學童發展權利聯席、
華人民主書院、支聯會青年組、鍵盤戰線、民間人權陣線)
しかし、ツイートにも書いたとおり、今回のデモの主催は
前述の中高生グループの「學民思潮」である、と言って
過言ではありません。
中高生が、自分たちの受ける教育と将来を真剣に考え、
そして香港を大きく動かす力となっています。
頼もしい。
わたしはそう思います。
なぜ参加したの?と聞かれた幼い女の子が、
「香港にとって、良いことをしてあげたいから」
と答えた画像が、Facebookでたくさんシェアされていました。
もうひとつ、Facebookでたくさんシェアをされていた画像は
募金箱に入っていたという「おばあちゃん」からの手紙でした。

「学生の皆さん、こんにちは。
あなたたちはみんな本当にお利口です、本当にお利口。
身体に気をつけて、勉強も頑張って、
お父さんお母さんに心配かけないようにね。
半月分の高齢者生活補助金を寄付します。(600ドル)
皆さん、頑張ってくださいね。
おばあちゃんより。」
全港が泣いた!!!!!!!!!!!
おばあちゃん!!おばあちゃん、ありがとう!!!
そもそも香港のデモは、
両親と子どもでのファミリーや青年グループの参加が多いことが
特徴ですが、今回は本当に多かったです。



たくさんの小さな子供たちとお父さんとお母さん家族
たくさんのベビーカーを押したお父さんとお母さん。
教育は、未来を作ります。
だから、扇風機をいっぱい取り付けたベビーカーを押して
水分補給をずっと気にしながら赤ちゃんと一緒に参加する、
妊婦さんも参加する、
これから子どもを産むであろう人たちも参加していたのです。
参加した子ども達の多くは、
自分たちでプラカードなどを作ってきていました。
そうして「政治参加意識」をしっかり教えることが
香港では一般的な家庭教育だったりします。
(もちろん、どんな家庭でもみんな、とはいえませんが)
自分たちに関係があるということ。異議がある時、「しかたがない」で
終わらせるのではなく自分たちが団結して変えようとしなくてはいけない
ということ。香港を守るのは香港人であること。
香港は何かと「ニュース参加型」ですが、
政治の身近さはこうやって育成されていくんだなと感心します。
高校生くらいになると、お母さんに今の政治問題について
説明している青年たちを見かけることもあります。
反洗腦遊行の主役は本当の意味で「市民」。
政党は静かに応援するのみです。
民主デモなどでは街頭演説やパフォーマンスで注目を集める
香港の民主派議員たちも今回のデモには
そっと静かに参加していました。


今回、子どもや青年が中心になっていることを
目だけではなく、耳でも感じました。
民主デモのときは、かかってる音楽はいつもだいたい同じなのですが
今回はいつもは聴かない曲を結構耳にしました。
同じBeyondでも民主デモの時とは違う選曲だったり、
ロックかけながら歩いてるグループがあったり。新鮮!
こんなことで感じるのは間違ってるかもしれませんが、
世代交代、新しい流れって大事かも!(・∀・)
と思いました。

余談ですが、ゴールの政府総部直前で強烈な生ごみ臭に
見舞われました。見渡すとゴミ収集車が。「これはきっと
ゴールを阻止する政府の策略に違いない!」などと言いながら通過w
翌日7月30日、反洗腦遊行が大規模になったことを受けて
梁行政長官が国民教育導入問題に触れる会見をしましたが
「一応会見した」というだけで、別に何も動きはありませんでした。
少しずつ、政府に何か変化があればいいですが、今はわかりません。
政府が無反応なので、導入が予定されている学校側でその科目を
ボイコットするという方向に進もうという動きになってきています。
「教師たちは教えない」「生徒たちは受けない」。


この反洗腦遊行は、アメリカ、イギリス、ドイツなどなど
世界中の報道メディアでも報じられました。
日本の新聞やテレビでもたくさん報じられていましたよね!
市民が団結して声をあげることで、世界に問題を知ってもらえる。
それは大きなデモをおこなう目的のひとつでもあります。
世界が報じて関心を寄せてくれることで
「政府が無視できなくなる」から。
問題なんてないほうがいいけど、
問題が起きたときこそ、その土地の性質がよく見えます。
わたしは、いつもそんな時、香港を誇らしく思います。
ずっとそうであってくれたらいいなと、心から思っています。
そして、できることは協力していきたいと一市民として思います。
ブログに時事話を書くと反響が大きいことも本当に嬉しいです。
多くの人が香港の動向に関心を持ってくれることを嬉しく思います。
この件も、また続報があったとき、書きますね!
がんばろう、香港!
続きはこちら。2012年9月4日:
http://blog.livedoor.jp/japanavi/archives/52128822.html

それはそうと、オリンピック観戦で、連日寝不足〜〜〜。
開幕式だけ見て、あとはまあ適当に・・・という心構えだったのに
気付いたら連日すんごい見ちゃってます。
香港のオリンピック放映騒動は【ここ】で触れましたが
結局地上波局でも毎晩オリンピック観戦楽しめています。
地上波HD放送がないのが残念ですが(それが条件なのかも)
TVB PearlとATV Worldで「仲良く」交互に放送しているので
Pearlで放送が終わったらWorldに変えると続きが見られたり。
ただし、香港で鉄板のサッカーだけはケーブルテレビが独占放送(笑)。
いずれにしても、暑い時期です。
皆様、寝不足で体調を崩さないように気をつけてくださいね!
japanavi at 15:17│TrackBack(0)│

