March 15, 2016

【電影】香港映画:十年 (Ten Years)

001
10年前には想像すらできなかった今の香港から、10年後の香港を想う。






2015年、亞洲電影節(香港アジアン・フィルム・フェスティバル)
での反響を受けて一般公開が決まり、
12月に一館での限定的な上映予定のはずが
爆発的な関心を集め、上映映画館が香港全域に拡大。
公開当初はチケットが手に入らないほどの終日満席状態が続き
口コミも広がりメディアにも多く取り上げられ、
2ヶ月以上公開され続けたインディーズ映画が香港にあります。


002



香港映画「十年」(Ten Years)

中国共産党に支配された(と思われる)、
自由が失われてしまった10年後の架空の香港。
そこにあるのは、救いのない暗黒の未来と不条理な恐怖。

それは果たして架空の出来事なのか・・・

【浮瓜】
【冬蟬】
【方言】
【自焚者】
【本地蛋】

「十年」は、5人の若手監督による5話のオムニバス映画です。

この「政治的にとても敏感」な映画は、
ひっそりと小さく上映されたのではなく
香港最大手シネコンUA各館を含む多くの映画館で上映され、
約50万ドル(約700万円)で制作された自主映画でありながら
約600万ドル(約9,000万円)の興行収入を記録。
娯楽大作以外の映画のヒットは極めて珍しい香港で
商業映画ではなく且つ政治的メッセージの強い自主制作映画が
異例のヒットに結びついたこと。
それは、以前ブログでご紹介した
「100毛」「毛記電視」現象(参照:http://blog.livedoor.jp/japanavi/archives/52359795.html
に引き続き、今の香港の時代を象徴している出来事だと感じます。

親中派代表格の新聞「大公報」が「100毛」に続いて、
「十年」に対しても批判コラムを掲載したことも、
時代の象徴を証明するもののような気がします。
この映画は「環球時報」(中国政府機関紙、人民日報の
国際版)でも、「絶望を煽る思想的に有害な映画」だと
こきおろされていました。

しかしながら、香港はこの映画を称賛し続けます。

香港では毎年4月に日本で香港アカデミー賞とも言われる
映画授賞式の香港電影金像獎があります。
そのノミネートが1月29日に発表されたのですが、
最優秀作品賞候補5作品の中に、
大物俳優が出演する香港映画の大作に並んで、
この「十年」が選ばれたのです。

最佳電影:
《十年》、《五個小孩的校長》、《踏血尋梅》、《葉問3》、《智取威虎山》


一番上に書いてある・・・
(一番上だからエライわけじゃないけど)
香港はすごいな、と思いました。

毎年、この香港映画の祭典である「香港電影金像獎」は
中国大陸でも中継されていました。
今年は当局の意向によりCCTVのテレビ生中継もネット中継も
全て中止が決まったそうです。


今回のブログでは、
下記に「十年」のほとんどの筋書きを書きました。
(ただ、鑑賞後の記憶があいまいな部分や忘れている部分が
あるので、ストーリーが前後していたりするところもあるかと
思います。あとは自分自身の解釈も少し混ざっているので、
あらすじのような解釈のようなものです。)

公開終了を待って題材にして書こうと思っていたら
上映が全然終わらず、そろそろ終わるかと思った頃に
香港電影金像獎の最優秀映画賞候補になってまた盛り上がり、
さらには3月、日本の「大阪アジアン映画祭」での
海外初上映が決まり、なかなかUPできませんでした(笑)


自分たちの周りで起きていること、起きるかもしれないこと、
止められない動きを伝えたい。
この映画では、今の香港人が抱える危機感と不安感と失望が
具体的に表現されています。
知ってほしいこと、共有したいメッセージが詰まっています。
なのでブログで紹介するにあたって映画の中の描写や展開の
重要な部分やメッセージをぼかして書こうとしたら
今回のブログで伝えたい焦点が伝わらなくなってしまったので
できるだけストーリー展開をそのまま書くことにしました。
映画を見る機会がなかったとしても、香港に関心があり
ブログを読んでくださっている方々にも映画の内容を伝える
ことができたらいいなと思って書いています。
もう香港での劇場一般公開は全て終わったので、
今後見られるとしたらDVDや映画祭かと思いますが
鑑賞予定があり内容を知りたくない方は読まないでください。
内容と背景を深く理解するため前知識をつけてから観たい、
という方は、思い切りネタバレしてしまっていますが
良かったらどうぞご参照ください。
この映画は、ストーリーを最後まで知ってから見てもいい
映画だと思います。むしろ、そこから今後の香港の現実を
少しでも考えていただけたら嬉しく思います。


第一話【浮瓜】
親中派の区議員たちが出席する地域のチャリティイベント。
ステージでは中国出身らしきおばさんたちが楽しそうに踊っている
(昨今の香港の親中派政治イベントや公園などでよく見かける光景)。
その背後ではチンピラ2人は、議員の暗殺パフォーマンスを
持ちかけられている。
「これは西環(中国中央政府の香港駐在事務所がある場所)の
政治家からきている話だ。パフォーマンスだけで殺す必要はない。
警察もバックアップするから、絶対大丈夫だから。」
しかし、ただ場を混乱させるだけのはずだった
暗殺パフォーマンス計画は失敗、
銃を持って会場に入ったチンピラ2人はその場で警察に射殺される。
テロリストの襲撃と暗殺未遂事件は大きく報道される。
同時に香港の不安定な情勢への憂慮とテロへの対策として
国家安全法が制定をしなければならない、急ぐ必要があるという
報道も流れる。
まるでそれが、最初からそうなるように仕組まれた筋書きだったか
のように。



第二話【冬蟬】
多くを言葉では語らないアート的作品。
住んでいた古い建物がブルドーザーで
粉々に破壊されてしまい、
砂になってしまったものやカケラを集めては
永久保存するために標本を作り続けるカップル。
最初から、そこに追い詰められた狂気を感じる。
そして自分自身をも標本にしようとする男、協力する女。
髪の毛を少し切り、爪を切り、体全体を少しずつ削り
保存していく。何か保存剤のようなものを食べる男。
しかし、それらの挑戦はうまくいかず、狂気は静かに爆発する。
鏡を見ながら自らの髪の先端を少し切る女。
その傍らに、男はいない。



第三話【方言】
個人的には一番面白かった。
そして、一番現実としてあり得ると思った作品。

003



広東語は公式な香港の言葉ではなくなり、
公用語として北京語(普通話)が採用されている香港。
基本的に香港人同士の会話は広東語で行われている。
ただし、北京語が優遇されているという状況だ。
たとえばタクシーは、運転手が北京語試験に合格しなければ
「北京語」ができないというステッカーを貼らなくてはならず
空港や啓徳空港跡地の大型客船ターミナルからお客さんを
乗せることは禁止されている。
さらに市街地(オフィス街や繁華街)にもその範囲を広げる
計画が発表される。商売に大きな影響が出てしまう。

主人公は北京語が下手なタクシー運転手。
小学生の息子は流暢に北京語を話し、妻も息子の北京語教育に熱心。
家族内での日常会話は広東語。
ある日、息子が何を言っているか聞き取れない単語があった。
「ベッカム」を北京語読み(漢字の当て字)で発音していたからだ。
「そんな古臭い言い方しなくてもいいのに」というが相手にされない。

カーナビも北京語発音にしか対応していない。
お客さんの行き先がわからないため、カーナビを使いたいが
北京語発音が悪く、聴きとってもらえない。
後部座席からお客さんが発音してくれる。カーナビが始動する。

北京語が話せないと冷遇される時代になっている。
友人に北京語発音のレッスンをしてもらうが、
なかなかうまく発音できない。ひとりでも練習を続ける。

このあたりの描写はテンポもよくコミカルで、
会場ではたびたび笑いが起きていた。
でも、その笑いはちょっと切ない笑いでもあったと思う。

ある日、西洋人のお客さんが乗り込んでくる。
英語で対応すると、北京語で返される。
最後まで北京語で話す西洋人を複雑な顔で見送る。

ある日乗せた女性は、
北京語が下手でうまく仕事の話ができずにクビになり、
電話を切った後、タクシーの中ですすり泣いていた。

空港で「北京語はあまりわからない」という
海外帰りの香港人が客として乗り込んでくる。
タクシーには「北京語不可」ステッカーが貼られているため
空港で乗客を降ろすことはできるが乗せることは禁じられている。
運転手は乗せられないと告げるが
乗客は「広東語で話したいんだからいいんだ」と気にしない。
通りがかった北京語ライセンスを持つ運転手に
「ここで客を乗せるな」と咎められ、通報されてしまい、
警察が来る。驚く乗客。
乗客は「彼は広東語を話すぞ」と庇うが、
広東語が話せるかどうかは関係ない、北京語が話せないなら
ここでの商売は禁止されている、と違反キップを切られてしまう。
「広東語は違法になったのか?」

タクシーで学校へ子供を迎えに行く運転手。
友人たちと出てきた息子はお父さんに話しかける言葉も
友人たちとの会話もすべて北京語だ。
冒頭では広東語で「老豆(ロウタウ)/ お父さん」と言っていた
子供が、友人たちと一緒の時には北京語で「爸爸」と呼びかけてくる。
(広東語でもパパと言いますが、ここでは明確に分けていました)
友人を迎えに来た高級車で友人と遊びに行く息子。
悲しい表情でうつむく父。

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※なお、今回、中国本土で標準語とされている「普通話」を
「中国語」と書くとややこしいので、日本で定着している
「北京語」と書かせていただきました。
普通話話者の日本人の方の中には「北京語」と称されることを
不快に思われ苦情を言われる方が時折いらっしゃるのですが
便宜上文章の混乱を避けるため、ご理解いただきたくよろしく
お願いいたします。
また、たびたび書いていますが「広東語」は現在香港では
方言の扱いではなく英国領時代と変わらず正式な公用語であり、
政治も学校教育も報道もテレビ番組もビジネスも日常会話も
全て「広東語」です。
(英語もオフィシャル用語扱いで学校は中文系と英語系にわかれ、
英語系学校では公立でも授業は英語で行われます)
=========================



第四話【自焚者】
どこから見ても、雨傘運動にインスパイアされている映画。

2025年の香港。
イギリス領事館の前で民主を求め抗議の焼身自殺をする者が出た。
初めての香港人による焼身自殺だが、誰が自殺したのか
明らかにされない。
そこから、「十年前の雨傘運動の失敗」から抗議の焼身自殺者が
出るに至るまでの十年間の民主抗争が、ドキュメンタリー風に
語られていく。
広東語を話す香港人は華人だけではない、
様々人種が広東語を話し、「香港人」として
香港のことを考えている。
政治家、学生リーダーなど民主活動をする学生たち、そして
反共産党の作家へのインタビューをしながら、現状の問題に
迫っていく。このインタビューに答えているのは架空の人物
なのだけれど、政治家も学生たちも反共産党の作家さんも
まるで現実の香港に存在している誰かみたいなリアリティが
ありすぎてちょっと笑える(笑)、いるいる、こういう人たち!
香港では、香港独立を求める活動家の運動が続いている。
政府批判を禁ずる国家安全法案(二十三条)が可決され、
雨傘運動のような警察と若者たちの抗争シーンが挿入される。
若者たちを支持する人たち、その光景の目撃者たち。
警察に殴られる若者。
国家安全法を犯した罪で逮捕された若者は、
刑務所の中で絶食による抗議を続け、死に至る。
「抗議を続けるのは憎しみからではない、希望があるからだ」
香港で民主主義が実現されないのは、死者が出ていないからだ。
果たしてそうなのだろうか。
こうした絶望的な出来事を受けて、
最後に焼身自殺をした人が明らかになる。


けれど、それはここには書かない。
あまりに重たく絶望的で心が痛く、泣いた。
こんなこと、あってはならない。
なぜそうしたのか、ということにも、
たぶん現実の雨傘運動を支持して参加していた人たちの動向が
反映されている。
雨傘運動は、決して夢見がちな若者たちの運動ではなかった。

そして、こんなことをしても権力に利用されるだけかもしれない。
「自焚者」は、そうした現実を考えさせる作品でもあった。


※「雨傘運動 / 雨傘革命」については、こちらを。
(2ヶ月ずっと記録しましたが、はじまりはここからです)
http://blog.livedoor.jp/japanavi/archives/52303845.html



第五話【本地蛋】

004


005



食材をメインとした個人雑貨店を営む店主。
卵を仕入れていた養鶏農家から、
「農園を閉めることになったから最後の卵を持っていくよ、
少ないけど」と連絡が入る。
来るのを待たずに農園を訪ねる店主。
親子二代で営んできた養鶏農家だったが政府の圧力があり
やめると決めたとのこと。
このあとどうするのかと問うと、台湾から養鶏農家をやらないかと
いう誘いがあって移住することにしたことを告げられ、
手伝ってくれないか?と聞かれる。
「そんな簡単じゃないよ。」
家族がいて仕事があって生活に慣れた土地があって
簡単に海外移住なんてできず、
香港にいるしかない人たちが、実際にたくさんいるのだ。

ここが香港最後の養鶏農家であったため、
香港ローカルの卵(本地蛋)はこれで絶滅することとなった。
政府はMade in Hong Kongを残したくないのだろう。

最後の卵に「本地蛋(ローカル卵)」と書いて店頭に出す。

他から仕入れなくてはならないため、
タイの卵を仕入れられるか問い合わせる店主。
息子に「僕の軍服は?」と聞かれ、あっちにあるだろと答える。

香港の小学生には部活的な組織として
文化大革命時の紅衛兵のようなグループが作られている。
国家の安全と規律が守られるよう監視をする「少年軍」である。
(強制的か自主的な活動かは述べていない)
放課後、店の偵察に来た少年軍の少年たちは学校の教えに従い
偵察し写真を撮る。
「本地卵」の「本地」は禁止されている言葉だから
ダメだと少年軍リーダーが店主に警告をする。
店主は「香港卵」ならいいのか?と聞く。
禁止リストを確認し、
「香港」は大丈夫だ、書かれてないから、と答える少年。
これは「本地(ローカル/地元)の卵、これは香港の卵、
同じ卵なのに本地をという言葉を使ってはダメなのはなぜだ?
自分の頭で考えなさい。」と諭す店主。
何も言わず店を後にする少年軍隊長。

その後、別の店を偵察する少年軍。今度は本屋。
本棚には「進撃の巨人」のポスターが貼られている。
少年軍には、雑貨店の店主の息子も参加している。
あちこち見て回るが、店には特に問題はないようだ。

学校から親にメッセ―ジが届く。
「少年軍に入っている子供たちは、
学校から何か任務を与えられてもその任務内容を
親に伝えないこともある」

雑貨店店主は息子に聞く。
「どんなことやらされてるの?
禁止されているリストを見せてみろ」
というと「なくなっちゃった」と告げる少年。
ムッとする店主。
「ただ他人の言う通りにするんじゃないぞ」

別の日。
シャッターが閉まっている店に卵を投げつけている少年軍たち。
雑貨店店主の息子もいる。手に卵を持っているが投げはしない。
雑貨店店主が彼らを見つけ咎めると少年軍は逃げていく。
ひとりその場に残っていた息子を叱ろうとする店主。
「僕は投げてない。
来たくなかったんだけど、どうすればいいのかわからなかったんだ。
でも投げてない」

シャッターが開き、本屋の店主が顔を出す。
雑貨店店主と息子を別の部屋に案内する本屋店主。
ドアを開くと、禁止されている日本の漫画などがぎっしりと
並べられた秘密の部屋があった。
「彼(雑貨店の息子)が事前に禁止リストをくれて
何が禁止されているのかを教えてくれたから、
全部隠すことができたんだ。
予め卵で攻撃されることも教えてくれたから
シャッターを下ろすことができた」

息子は部屋の奥に腰かけて漫画を読んでいる。
雑貨店店主が息子の隣に歩み寄ると、
漫画を読み続けながら、息子はこう言う。

「ドラえもんも禁書なんだよ。バカみたい」



【エンディング】

そして5話全てが終わったあと、
真っ白な画面にこの文字が出る。


「為時已晚 」(Already too late / もう遅すぎる)


「已」(もう)の文字が薄くなっていき、
「未」(まだ)という文字に変わっていく。


「為時未晚」(Not too late / まだ遅すぎはしない)


006



===おわり===


これから現実に起こりそうなことや
銅鑼灣書店関係者失踪事件などが既に現実におきていることを思い、
あまりの理不尽さに笑ってしまうほど
観終わった後、絶望感と苦笑いしかありませんでした。

でも、そんな絶望的な未来を展望する映画が作られ、
そしてチケットが売り切れる状態が続いた香港という場所。
人々の危機意識と関心。そこに希望はあると思いたいです。


「為時未晚」 まだ遅すぎはしない。

きっと、希望はある。

超ネタバレというか、ほとんど全部書きました。
書かないと伝わらないと思ったから。
あまりにも政治的な内容なので、
日本で一般公開される可能性は低い気もしますが
でも、いつか香港や日本や他の国で見る機会があったら
映像で見るとまた全然違うはずなので、
ぜひ見てみていただければと思います。
私も日本語字幕でも見てみたいです。
言語が変わると違った角度からの発見もあるかもしれません。


ひとつ、あるストーリーを書き添えます。

日本でも報じられている
「銅鑼灣書店関係者連続失踪事件」続報です。
(事件詳細参照:http://blog.livedoor.jp/japanavi/archives/52358808.html


=================================================

【被失踪】

2016年1月17日
007



「銅鑼灣書店関係者連続失踪事件」が
国際的にも注目を集める中、
去年10月にタイで行方不明になり中国に連行されたと
見られているスウェーデン国籍の桂民海さんの告白映像が
突然中国官製メディアの新華社及びCCTVで報道され、
中国公安当局に拘束されていることが明らかになった。

「11年前に中国内で飲酒運転をして女の子をひき殺した後、
執行猶予中に他人のパスポートで海外逃亡をして逃げ続けて
いたこと悔いて、去年10月に中国公安に自首した」

告白映像では「私はスウェーデン国籍だが、
中国人である。私個人のプライバシーと権利と選択を
スウェーデン政府関係に尊重してほしい」
ということも付け加えている。
これより前に、行方不明者の一人が自国籍であることから
スウェーデン政府が中国に対し働きかけをしていることが
報じられたりしていたところだった。

ここで、香港メディアが報じている情報を少し整理する。

「桂民海」と「桂敏海」。

タイで連行されたとみられる銅鑼湾書店関係者は「桂民海」、
記録によると12年前に飲酒運転ひき逃げ事件を起こしたのは「桂敏海」、
中国の報道で流れた自首告白映像では名前のテロップが「桂敏海」になった「桂民海」が出ている。
さらに、ひき逃げ事件当時には1959年生まれと報じられていた「桂敏海」が
今回の報道では「桂民海」と同じ1964年生まれと報道されている。
ちなみに北京語(普通話)では「桂民海(Gui Minhai)」と「桂敏海(Gui Minhai)」は発音は同じである。

後日、スウェーデン政府はこの件に関して
「真相を究明し続ける」と毅然とした対応を表明。

この報道と同時に、
香港内から中国に連行されたとみられている
李波さん(イギリス国籍)からは奥さん宛に直筆FAXが届く。
無事であること、「桂民海」さんの背景が複雑らしく、
中国でひき逃げをして海外逃亡していたり知らない面が色々ある
らしいとわかったこと、そして、
みんなには個人のプライバシーや権利や選択を尊重してほしい
ということが記されていた。
その後、中国側が中国内にいることを認め、奥さんが面会。
無事である、順調であると答えるばかりで
香港からの関心には「騒ぎ立てないで」というようなことを
繰り返し言及するようになっており、
「圧力をかけられているのではないか」という不信感が
香港では募っている。


2016年2月4日
008



昨年から行方不明となっていた他の書店関係者3名も
「犯罪に関わっていたため取り調べをしている」として
中国公安当局が拘束していることを明らかにした。
なお、この3人が中国内に拘束されていることが明らかに
されたのは、2015年10月に消息を絶ってから
100日以上が経過してからのことだった。


2月29日
009


英国籍パスポートを持つ李波さんが
「あくまでも自分の意志で密入境の形で中国に入り、
中国公安の調査に協力している」(理由や内容は言わない)
「中国では自由と安全が確保できている、失踪などと騒がれて迷惑だ」
「政治利用されたくないので英国永住権は放棄することにした」
と中国系ニュースメディアの鳳凰衞視(フェニックスTV)などを
通して発信。
笑顔で語られている背景では何が起こっているのか。


3月3日
外国籍でタイや香港から拘束されたことで注目されがちな
桂民海さんと李波さん以外の3人を順次香港へ返すと発表。

3月4日
中国滞在中の失踪から123日後、
呂波さんが香港に戻ったと報道。

3月6日
中国滞在中の失踪から125日後、
張志平さんが香港に戻ったと報道。

しかし、香港に戻った2人は、
失踪届の取り消しを求めたあと、再び中国へ戻る。

結果として、現時点で5人とも中国内にいるままとなっている。

また、李波さんの奥様への何者かによるアドバイスに従い
銅鑼湾書店が中国の禁書4万5000冊以上を処分していたとも
報道された。

010




=================================================


以上、これは、映画「十年」の第六話ではなく、
10年後の話でもなく、
2016年3月の香港に起きている現実の話です。
色々粗いストーリー展開ですが、
別に粗くてバレバレでもかまわないんだろうとも思います。
わからないように緻密に練られているよりも、
「どうでもいいけどあんたたちがうるさいから出しました」
的な粗さのほうがよほど怖いです。
それを何の疑いもなく信じてしまう人たちがいることも怖い。
こんなに背景や思惑がわかりやすい展開が
「出したことが事実」として押し切られてしまうとしたら
そんな恐ろしいことはありません。
そして、これは誰の身にも起こりうることです。
香港からの出国記録がない李波さん同様、
桂民海さんにはタイから出国記録がなく、
家族にも何も言わずに姿を消しています。
またしても、「自己的方式(自分の方法)」での中国入り・・・
日常を過ごしている場所から突然連れ去られてしまうことは
どんなに気を付けていても防ぎようがありません。


そして
2016年2月8日、元旦の旺角黒夜。
旧正月元旦から2日にかけては旺角で
急進民主派市民と警察の激しい衝突がありました。
(参照:http://blog.livedoor.jp/japanavi/archives/52362635.html

2月28日、香港郊外地区での立法会議員補欠選挙では
この暴動を首謀したとされる急進民主派の本土派政党から
出馬した立候補者が投票数全体の15%の票を獲得しました。
(当選したのは穏健民主派の立候補者)
不安感から、これまでの香港らしい平和的な抗議方法よりも
より過激な抗議方法を取る側へ市民の気持ちが向かっている
表れかもしれません。

2016年。
9月4日には、立法會議員の総選挙が予定されています。
市民票は親中派 / 穏健民主派 / 急進民主派の3派に分かれる
のではないかと見られています。
(中立派のスタンスでは話題にもならない今日この頃)


それから、
新学期である2015年9月から青少年の連続自殺が止まりません。
3月14日時点で、24人。過去最高です。
3月だけでも9日間で7人連続。
香港の未来が託されるはずの青少年たちが・・・。
香港は幼稚園から英才教育で学歴社会の土壌ではありますが、
失敗もひとつの経験でまた次頑張ればいいと前に進める風潮もあり、
香港では学校内での心理カウンセラー制度もしっかりしていて
社会的に不安を感じる事件があった時や自殺したくなった時など
子供たちが頼れるシステムが浸透しています。
ニュース番組で自殺を扱う際には、必ず相談窓口の「命の電話」の
電話番号が表示されます。
それでもフォローしきれない絶望感、社会の急激な病みと圧力を感じます。

じわじわと恐怖を感じる現実が、
十年後ではなく今目の前の香港で、おきている気がします。


011



10年前には、2015年の香港が、
政治的にも経済的(庶民生活)にも未来にも
こんなに絶望感漂う場所になっているなんて
想像だにできませんでした。
2005年の香港は、SARS蔓延後で経済ダメージはあったけれど
それでもまだ香港の将来には楽観的で人々は陽気でした。
2012年、行政長官が代わったことから流れが突然変わります。
それはただのきっかけだっただけかもしれませんが、
ただ、トップが代わっただけで。


映画「十年」は、絶望感溢れる香港の未来を描きますが
最後にひとつの希望を残します。

「為時未晚」 まだ遅すぎはしない。

今から10年後。
2025年には「2012年から2015年あたりは暗黒の時代だった」
と振り返ることができる香港であってほしいと心から願います。



いつも香港に関心を持ってくださって
今回も最後まで読んでくださった皆様、
ありがとうございました!


香港映画「十年」予告映像




香港では、4月1日に大学の公会堂やカフェや街頭での
パブリックビューイングなど香港30か所で「十年」が
またまた一挙再上映されることが発表されました。

そして、
香港映画の祭典「香港電影金像獎」授賞式は
4月3日に執り行われます。


2016年4月4日追記:
022


2016年の香港電影金像獎で、
最佳電影(香港映画の最優秀作品賞)に
「十年」が選ばれました!詳細はこちらです。

【香港金像奨2016の最佳電影!映画「十年」】
http://blog.livedoor.jp/japanavi/archives/52367826.html



=== レギュラー出演中 ===


日本観光紹介番組「JP TIME TV/日語大放送」

※4月からの放送は新しい地上波Viu TV広東語チャンネルに移ります。
(参照:http://blog.livedoor.jp/japanavi/archives/52364797.html

3月いっぱいは香港地上波ATV系チャンネル
日曜18:25, 翌土曜20:00, 翌日曜10:00で放送継続!
どうぞご覧ください!!


「JP TIME TV/日語大放送」Official website(日本語・中文・英語)
www.jptime.tv/
(HPでも放送動画が見られます。日曜19時(日本時間20時)更新)
037


038



放送週以降の放送映像は全てHPバックナンバーページで視聴可能です。
2015年度版バックナンバーページ
http://www.jptime.tv/common/back2015.html

2016年度バックナンバーページ
http://jptime.tv/common/back2016.html

「日本地図から見るバックナンバー」も便利です。
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りえ

2000年〜香港移住。

香港永久居民。

香港TVタレント(電視節目主持)

日本夜景応援大使

関西観光大使

座右の銘は「芸人魂」「騎牛搵馬」

香港最長寿の訪日観光番組、香港地上波Viu TV「日本大放送 Go!Japan TV」レギュラー出演中。


「日本大放送 Go!Japan TV」

*Viu TV 99ch
毎週日曜日11:30放送!
*2012年からは台湾,シンガポール,中国等でも放送開始!


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