Akiraです。

ちょっと古めのニュースにはなりますが、数ヶ月前に米国のアスレティックトレーナーの資格を管理する団体であるBOC (Board of Certicication)から非常に興味深いアナウンスがなされました。

それはアスレティックトレーナー の資格取得後にさらに専門分野に特化した資格を発行するというニュースです。



国内での例を挙げると、国家試験に受かったメディカルドクターが、現場で経験を積んでそこから脳外科や内科などそれぞれ自分の専門分野で「専門医」や「認定医」としての試験を受けるイメージではないでしょうか。

BOCではこれをAT Specialitiesと呼んでいます。

以前、アメリカで理学療法士になることについてのブログ記事を書きましたが、実はアメリカの理学療法士の世界ではすでにこの取り組みが行われています。(アスレティックトレーニングがそれに追随していると思われます)。


(アメリカにおける理学療法士の資格取得についての記事 )

ちなみに理学療法士は、資格を取得後に以下の専門分野に特化した個別の資格をさらに取得することができるそうです。この記事を書いている2021年8月時点でオファーされているSpecialitiesは以下のものがあります。

  • Cardiovascular&Pulmonary
  • Clinical Electrophysiology
  • Geriatrics
  • Neurology
  • Oncology
  • Orthopaedics
  • Pediatrics
  • Sports
  • Wemen's Health
  • Wound Manegement
ご覧の通りかなりたくさんの数のがあります。一方で、現在BOCがオファーしているATの専門資格はOrthopedic Speciality (整形外科)のみですが、今後その数は増えてくると思います。

Orthopedic Specialityの資格試験を受けるには二通りの道(path)があるようです。細かい説明は省きますが、CATTEというアスレティックトレーニングプログラムを統括する団体が指定するResidency Programで一年、さらにフルタイムで整形外科クリニックで仕事をするのが一つ。

もう一つはResidency Programを通さずにフルタイムの仕事で指定された時間仕事をしていること、CEUなどのProfessional developmentをこれも指定された時間以上こなしていることが条件になります。

ちなみに第一回の資格試験は今年の10/1に行われるとのこと。

ATCだけで十分じゃない?と思われる方もいると思いますが、この制度によるメリットはかなり大きいと思います。

大きな理由としてより自分の専門分野で知識・スキルを身につけたもを客観的に証明できること。これによりその分野でのさらなるステップアップが望めますし、何より雇用する側も自分たちが探している専門性を持っている人材をより的確にリサーチすることができます。

加えて、PTに追随して作ったこの制度は、実質競合他社となっているPTとの業界争いに対抗する狙いもあるのではないかと思います。

実際、既にPTはDoctore(正確には臨床博士)を取らないと資格が取れなくなっていますし、AT界もこれに習ってどんどんDoctorレベル(Doctor of Athletic Training)のプログラムを作って臨床博士号をもったアスレティックトレーナーを養成しています

DATプログラムについても過去に記事を書いているので参考にしてみてください。日本人でもDATを取得している人はまだまだ少ないですが、修士プログラムを経てATCになり、数年働いてからDATをとる人はアメリカで増えていますし、今後日本から留学する人たちもその流れが主流になっていくのではないかと考えられます。

以上、簡単ですが気になっていたニュースについて書いてみました。

今後はもっといろんな専門資格が出てくると思いますし、Sports Medicineに特化したものなどが出てくるのではないかと思います。

ちなみにアスレティックトレーナー が合わせて取ることが多いNACAのCSCSに加えて、最近ではSports Scientistの資格が出され始めました(Certified Performance and Sports Scientist; CPSS)。



スポーツサイエンティストはヨーロッパやオーストラリアの色が強いですが、アメリカ国内でもスポーツサイエンティストの仕事もどんどん増えていますし、個人的にはこちらの分野にも注目してます。

いずれにせよアスレティックトレーニング業界としては非常に良い方向に進んでいると思いますし、今後が楽しみです。

では。

Akira