私は今、山梨県牧丘町にある牧丘病院にいます。

ここにきて早くも 3 か月目に突入しました。

牧丘病院は、在宅療養支援病院として外来・入院のみならず、人口約 13 万人の圏域で訪問診療を行っており、 医師・看護師だけではなく、理学療法士、言語聴覚士、薬剤師、栄養士も在宅へ出てそれぞれの専門性をいかし ながら活動しています。


私は今病棟で勤務しているのですが、1 フロアで 30 床という小さな病院です。
こじんまりしていますが、患者さんの外出や退院の送迎の時など、事務スタッフや MSW 含め病院スタッフが一 丸となって協力体制になれるというエネルギッシュなところも魅力的だと感じています。

周りは山々に囲まれ、あちこちにブドウ畑が広がり、とってものどかなところです。


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さて、なぜ私が牧丘病院に来たかというと
様々な職種が在宅へ介入しながら地域の人々の療養を支えており、根強い地域密着型というところに魅力を感じ、 そんなところで働いてみたいと思ったからです。

牧丘に来る前も、患者さんの生活に沿って介入することは多々ありました。
しかし、実際に在宅に行き患者さんが「自宅」という環境の中で生活している場を自分の目で見たことはありま せんでした。

牧丘にきてから、訪問診療をしている先生や訪問看護のスタッフと一緒に訪問に行かせていただく中で、この「自 宅」という環境の大切さを日々感じています。


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病院に入院すれば、その人は「患者さん」になりますが、
自宅にいるときは、「お父さん」「お母さん」あるいは、「おじいちゃん」「おばあちゃん」です。
病院という環境下においては患者という立場になりますが、自宅にいるときはそれぞれに役割があるということ
です。

当たり前のことですが、
これってすごく重要なことだなと最近よく思います。

一時退院や、退院後の方のご自宅に行くと、病院でのその人の表情とまるで違うのに驚き、私もうれしくなりま す。


今まで過ごしてきた家での時間を思い出すかのように家のあちこちを見回して、壁に飾ってある写真を 見 れ ば 、 その当時の思い出を詳細に語り始めてくれます。
そんな表情を見ていると、
「どうにか自宅にかえしてあげられないか」
そんな気持ちが強くなります。

この時に忘れてはならないのは、「その人がそれで幸せなのかどうか」ということ。

私たち医療者の「〇〇してあげたい」と「患者さんの望むところ」がズレないようにするためにも、「この人は何 に幸せを感じるのか、何が生きがいになっているのか」という角度から見ることがとても重要で、欠けてはなら ないところだと感じます。


牧丘病院の先生と往診に回る中で、今までより一層そう感じるようになったのですが、
よくその先生は、往診が一件終わると、私にこう聞きます。
“この人は幸せそう?”
“何が生きがいになってるんだと思う?”

あらためてそう聞かれると、
「幸せそう、雰囲気いいな。でもなんでだろう?」
とすぐ出てこず、あれこれ考えるようになりました。

幸せの形は人それぞれとよく言いますが、本当にその通りだなと思います。
一見、『幸せ』というと『=楽しい、うれしい』というイメージがわきますが、
一概にそれだけではないなと思うのです。



先日往診に行ったのは、寝たきりの高齢のお母さんと障害を持っている息子さんのご自宅でした。
今は寝たきりのお母さんですが、幼少期から障害のある息子のことを心配して生きてきたという背景がありまし た。

心配だから幸せではないのかというと、まったくそうは見えません。
往診の時の息子さんの柔らかい表情、ご自宅の暖かい雰囲気はとても幸せそうで、自宅で息子さんと過ごすこと がその人にとって生きがいになっているのかなと思わせてもらった時間でした。



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往診での先生を見ていると「まるごとみる」という言葉が浮かびます。

家族構成はもちろん、趣味、性格、ご近所さんのこと…
100人以上担当している患者さんがいる中で、全部頭の中に入っています。


牧丘病院の先生はじめ、多職種ががっちりチームになって試行錯誤していくところがすごく好きなところで、た くさん学ばせてもらっています。今回はその一部を少し書いてみました。



猊賊,箸いΥ超がその人の今までの性格や嗜好を隠してしまうことも少なからずあるのかもしれない。 患者さんを患者さんとしてみるだけでは見えないことがたくさんある。

自分の固定観念にとらわれることなく“まるごとみる”というイメージを持って、もっといろんな角度から関わっ ていきたいなと思います。



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