ショートショート・ダイアリーズ

日記、エッセー、短編、ショートショートを主に公開しています。

日常の一部を切り取って、ショートショート風日記やエッセーにしています。
くだらない内容のものばかりですが、クスリと笑える日々の発見を大切にしたいです。
創作ショートショートや短編も随時公開しています。
それではショートショート・ダイアリーズをお楽しみください。

寒波が容赦なく押し寄せる早朝。

電車のホームには、次の電車を待つ人だかり。

『あぁ…寒い…。まだ来ないのか…』

たった1分が1時間のように長く感じられた。

銀色の電車が到着し、車内の暖かい空気を浴びたときはおもわずため息が出た。

ほころぶ顔を浮かべながら、ドアに身体を預ける。

窓からは、向かいホームで電車に乗り込む人だかりが見えた。

全員が電車に乗った中、電車の前でしゃがみこんでいるボサボサ頭のオバさんがいた。

『具合でも悪いのかな?』

なんとなく様子を見ていると、そのオバさんの足元から大量の液体が流れ出していた。

『駅のホームで飲みかけのジュースでも捨ててんのか?』

『全く迷惑も甚だし…』

そう思ったとき、俺はそのオバさんがケツ丸出しなことに気がついた。



え?



頭が混乱したまま、乗っていた電車が動き出した。

オバさんはずり下ろしていた下着を履き直し、何事もなかったかのように、向かいのホームの電車に乗り込んで言った。

そしてホームには、寒空の下、湯気だつ水溜りだけが残されていた。
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