2011年06月16日

VOICE/上原ひろみ

ヴォイス(初回限定盤)(DVD付)
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3月16日発売の上原ひろみ最新作です。
前作はソロピアノでしたが、彼女のアルバム製作に対する基本姿勢は、10年に一枚区切りとしてソロを発表するというものですので、今作がトリオとなったのは、自然な流れです。

彼女のアルバム製作は、ツアー中などに感じたものから作曲し、それをライブで演奏しながら固めていき、あるまとまりを持ったところで、アルバムとして発表するといった感じです。
今回、ベースは過去にも共演しているアンソニー・ジャクソンと決め、アルバムコンセプトなどは相談していたようですが、ある程度曲ができてきた頃に、ドラムスはサイモン・フィリップスがイメージに一番合うと思ったようで、ちょうどスタンリー・クラークとのツアー中だったので、スタンリー・クラークにも相談した上での人選だったとのこと。
サイモン・フィリップスといえば、元TOTOのドラマーで、幅広い活躍で知られた名ドラマーですが、まさかの組み合わせです。

この3人が、非常にメリハリの利いた、聴き応えのある演奏をしています。
今までも彼女の作品は、どれも質の高い演奏ですが、今作はもっと良いと、言い切れる内容です。
技術的に非常に高い3人だからこそできる、高度な技の部分もありますし、音楽的な質もスキのなさを感じます。
録音はかなり乾いた良い音です。

8曲ひろみオリジナルで、最後にベートーベンピアノソナタ第8番悲愴の2楽章。
ラビリンスのみ、スタンリー・クラークのグラミー賞受賞アルバムに提供していますので、聴き比べるとよいでしょう。

デビュー作からして、超絶技巧の誰も真似できないレベルの高さを聴かせてきたのに、新作ごとにさらに上を行くものを発表してきて、そろそろ新曲発表だったり、メンバーや編成が変わったりの新しさを売りにするようなアルバムになっていくのかと思いきや、このアルバム、どう聴いてもまた全ての面でレベルアップしています。
そのことについて、あるインタビューでひろみは、「ピアノが上手くなったんです」と答えていました。
今までだって十二分に上手かった彼女にそういわれると、でも確かにその通りで、一言で言えば「上手くなった」です。
努力を続けることで、際限なくレベルアップしていくということですね。

震災直後は、海外ミュージシャンのキャンセル穴埋めに、日本でライブしていましたが、最近はまた世界を飛び回っています。
8月末頃からは日本に帰って来るようですので、ぜひまた聴きに行きたいです。

Posted by jazz_nardis at 21:32│Comments(0)TrackBack(0) アルバム紹介 

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