2006年11月25日

アニタ・オデイの訃報

アニタ・オデイ・アット・ミスター・ケリーズジャズ歌手アニタ・オデイが昨日(2006年11月23日)、ロサンゼルスの病院で亡くなった。享年87歳。アメリカでは日本の盆か正月に相当する、家族が集まる重要な祝日、感謝祭の朝のことだった。

1919年にシカゴに生まれ、10代から歌手として活躍。ジーン・クルーパ楽団に入った1941年に"Let Me Off Uptown"が大ヒットして一躍有名に。その後スタン・ケントン楽団などを経てソロ歌手として独立。ノーマン・グランツ率いるVerveレーベルに数多くの作品を残した。

ビッグ・バンド時代から荒っぽいジャズメンたちと同様に酒を飲みまくり、ヘロインを打ちまくっていたパーティ・ガールで、69年にはヘロインの過剰摂取で死にかけた。ヘロイン中毒は何とか乗り越えて音楽活動も再開したが、アルコール依存は長く続いたそうだ。81年にはそうした問題も含めて人生を赤裸々に綴った自伝"High Times, Hard Times"を出版して話題を呼んだ。

声量や声域などの物理的素質ではエラやサラほど恵まれていなかったが、ヒップでいなせなスイング感と、ビリー・ホリデイの流れをくむ独特のフレージングでジャズファンを魅了した。映画『真夏の夜のジャズ』でのライヴ・パフォーマンスにノックアウトされた方も多いだろう。

僕はジャズを聴き始めてごく間もない頃に、ヴァーヴの傑作"This Is Anita"を聴いて、すっかり彼女に惚れ込んでしまった。You Are the TopやHoney Suckle Roseの抜群のスイング感、A Nightingale Sang in Berkeley SquareやTime After Timeの脆弱なまでの愛らしさ・・・。ジャズそのものを体現したような、素晴らしい歌手だった。彼女の歌は、これからもずっと、僕に微笑みをもたらしてくれるだろう。ありがとう、アニタ!

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この記事へのトラックバック

1. アニタ・オディと云う歌手  [ マルシオの心Coração do Márcio ]   2006年11月27日 09:09
粋な姐さんが死んじゃった・・。 映画「真夏の夜のジャズ」での鮮烈なスイート・ジョ
2. Anita O'Day in her early years  [ microgroove.jp ]   2006年11月28日 19:15
公開する前に逝去されたのが個人的には残念でしたが、ともあれ、数ヵ月前からぽつぽつと書いて未公開だったのがこれです。 Personally I regret that this article (which I started writing a few months ago but not published yet) was not in time before her passaway ...
3. 真夏の夜のジャズ  [ 1-kakaku.com ]   2007年01月12日 15:10
コンサート・ドキュメンタリーと、ポップ・カルチャーのタイム・カプセル。バート・スターンの『真夏の夜のジャズ』には、1958年ニューポート・ジャズ・フェスティバルの模様が、まさにその音楽のように、一見リラックスしているが、衝動的ですらあるアプローチで記録され...

この記事へのコメント

1. Posted by マルシオ   2006年11月26日 00:27
Hajiさん、
今、知りました。
どうしてるかなと思ったけど。
それなりの歳ですね。
ご冥福を祈り、
明日彼女のレコードを聴きます。
合掌
2. Posted by voice and breath   2006年11月26日 14:16
アニタ・オデイが亡くなりましたか。。。
私にとって、アニタはジューン・クリスティーの次に好きな歌手だったので残念です。
これを機に、ご紹介いただいたPick Yourself Up with Anita O'Day含め、持っていないアルバムを何枚か注文しました。
ちなみに、今聴いているのはwaiter,make mine bluesという国内盤です。とてもしっとりとしたブルージーなアルバムでバド・シャンクのアルトも美しいのですが、これUS盤はないのかな?他にも初CD化が日本という盤も多いみたいですね。それだけ日本でも愛されたということでしょうか。
一方、Sings The Winnersは、音楽が最高なのにイコライジングがきつくて聴き辛い代表だったのですが、ジャケットの違うUS盤があるんですね。これも注文しました。HMVのサイトで試聴しても全く音が違います。国内盤では、Dellの付属SPでも不自然にベースの音がデカイ!
3. Posted by jt   2006年11月26日 14:39
サン・フランシスコのクラブでライブきいたことがあります。
なつかしいですね。
4. Posted by jazzaudiofan   2006年11月26日 19:25
皆さん、コメントありがとうございます。今日は1日、彼女のアルバムを聴いていましたが、いかに素晴らしい歌手だったか、改めて実感しました。

>voice and breathさん
Waiter, Make Mine BluesはたしかにアメリカではCD化されていませんね。僕のお気に入りThis Is Anitaも日本盤しかないようです。70年代以降本国で活躍の場がなくなった彼女を招いて日本公演を実現させるなど、日本のファンは本国以上にオデイを愛していたようです。

>jtさん
ライヴをきかれたことがあるとは、羨ましいです。一度聴いておきたい歌手でした。
5. Posted by マルシオ   2006年11月27日 09:11
Hajiさん、
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させて戴きました。
(初めて!)
チャウ♪
6. Posted by voice and breath   2006年11月27日 21:57
>僕のお気に入りThis Is Anitaも日本盤しかないようです。

エッ〜!・・・と、にわかには信じがたくサイトを覗いてみたのですが、本当ですね!
アマゾン・ジャパンにUS盤が在庫切れとして掲載だけあるのですが、90年に出されたきりなんですね。
ということは、本国のジャズファンでも聞いたことがある人の方が少ないのかな?
こんな素晴らしい盤が・・・なぜ??
7. Posted by 六根清浄   2012年06月25日 12:46
えーもうとっくに時効だと思いますが。
今になってショックです。
いったいそのとき自分は何してたんだか…

いちぱん好きな歌手ですよ〜
this is anitaなんかもう〜。

この人の歌きいたら、今のどんなにうまい歌手でも野暮で野暮で…。

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