2007年11月02日

真空管の寿命

Mullard 4004 4024僕は真空管の音が大好きなのだが、管球式アンプを使う苦労というものが少し見えてきた。McIntosh MC275IVを使い始めて約2年半、出力管をユーゴスラヴィア製KT-90に変えてから1年と3カ月、ミニチュア管(12AX7と12AT7)をすべてMullardのNOS管に変えてから1年と1カ月が経っているが、ここにきて初めて真空管の寿命という問題に直面したのである。

まず数週間前のことだが、アンプに電源を入れただけで「シューシューパチパチ」というようなノイズが発生するようになった。マッキンの真空管が原因とわかるまで時間がかかったが、その後も真空管が合計11本もあるもんだから、どの球がいかれたのかを突きとめるのにさらに時間がかかった。結局犯人は1本の12AX7(MullardのCV4004)と判明。

出力管の寿命は5000〜1万時間、ミニチュア管の寿命は1万〜2万時間とマッキン本社のエンジニアからきいたことがあるが、それが本当なら毎日3時間聴いたとして出力管は最低5年、ミニチュア管は最低10年はもつはず。CV4004が1年でいかれたのはアンラッキーだったのか…?

いずれにせよ1本悪くなったのだから、他の球が近い将来に寿命を迎える可能性も考えなくてはならない。それに、音質面で大いに気に入っている今の状態を長く保つには、同じ球のスペアを一式揃えておいた方がいいだろう。MullardのNOS管は当然ながらなくなっていく一方だし、EiのKT-90も工場が昨年操業を停止したので値段はこれから上がっていくだろう。どうせ買うなら早い方がいいと思い、2週間ほど前にUpscale AudioからMC275用の真空管一式を思い切って取り寄せた。

そのお値段は合計で約700ドル! アウチ! MullardのCV4004などは1本100ドルだもんな〜。でも、中国等で現在生産されているミニチュア管は、マッキントッシュが選別して金色のロゴをつけた純正管であっても、数十年前に英国で作られたMullardに音質面でまったく太刀打ちできない。いい音・好きな音を維持するためだから、この出費は仕方ないとあきらめよう。

しかし、話はここで終わらない^^;。

CV4004を1本交換して後はしばらく快調だったのだが、5日ほど前から、「なんかおかしい…」と思うようになった。例えばジャコ・パストリアス・ビッグバンドの奇跡的なライヴ・イン・ジャパン"Twins"。最近日本で再発された最新24ビット・マスタリングのCDを手に入れたので、メインシステムで音量を上げて浴びるように聴いたらさぞ気持ちよかろうと思ったのだが、全体的に音がキンキンして音量を上げると実にキツイ。このときは「こういう録音なのだろう」と思っていたが…。

そして決定的だったのが、昨日の「事件」。最近オーディオ・チェック用のリファレンスにしているタイガー大越の"Color of Soil"(JVC XRCD2 Samplerに収録)をかけたところ、右チャンネルから出てくるトランペットが、ある帯域だけ思い切り歪んでいるではないか! しかも、特定のパッセージにくると変な発振(?)が起きているのか、ウーファーが異様に大きな動きをするのである。これは明らかに何か「異常」が起きている。

その後半日かけて、ようやく出力管KT-90が「犯人」だと突きとめた。5年くらいもつと思っていたのが、1年3カ月ほどでダメになったことになる。出力管は特性を揃える必要があるので、4本のうちダメになったものを1本だけ変えるというわけにはいかない。「前もって買っておいて良かった〜」と思いつつ一気に交換すると、上記の症状がなくなっただけでなく、全体的な出力レベルも上がった。

決定的な症状が出る前に特性は少しずつ悪化し、高域に歪みが出て、出力も落ちてきていたに違いない。ここしばらく変な音で聴いていたんだろうなあ…。「仕事でも使うリファレンス・システムには、同じ音質を維持できない真空管は使わない」と言っておられた田口晃さんの言葉が思い出されて身にしみた。

さて、今回真空管に詳しい「超自作派」のAJさんに相談したのだが、彼にいわせると出力管が5000時間もったのは昔の話で、現在東欧や中国で作られている球は1000時間くらいでへたってしまうものが多いという。マッキンの担当者にきいた「5000時間」が頭の中にすり込まれていた僕にとって、今回の体験とAJさんの話はちょっとショックである。

今まで僕は「最低5年はもつ」という前提で、メインシステムをかなり長時間つけっぱなしにしてBGM的に使ったりしていたが、それはやめた方がよさそうだ^^;。これからBGMは別のシステムにして、気合いを入れて聴くときにだけMC275に火を入れることにしよう。テスターを買って真空管の状態を定期的にチェックするのもいいかもしれない。こうした苦労は、この時代にあえて真空管を使うオーディオファイルの宿命といえそうだ。

TWINS I&II~ライヴ・イン・ジャパン’82TWINS I&II~ライヴ・イン・ジャパン’82
ジャコ・パストリアス・ビッグ・バンド
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この記事へのコメント

1. Posted by NIKI   2007年11月02日 21:58
そういう意味では、ギターアンプなんかにたくさん使われている球の場合は、供給が絶たれるということがなく、安心して使ってます(笑)。

最新の球で、結構ええ音すると感じているのが、TAD(Tube Amp Doctor)の球です。そう高価でもないので、お試しください。
2. Posted by jazzaudiofan   2007年11月03日 04:49
NIKIさん、コメントありがとうございます♪ 特殊な球より、入手しやすい一般的な型の球の方がいいですよね。真空管が使用される数でいえば、ギターアンプなどの方が家庭用オーディオよりはるかに多いらしいですね。

TAD、調べてみました。ドイツのショップで、中国で作らせたものを選別して自社ブランドとして売っていると理解しました。中国製の球の音質は昔の欧州製にかなわないという人が僕の周りには多く、僕も(ごく限られた経験に基づいてですが)そう感じています。
3. Posted by JT   2007年11月03日 09:03
約二年でプリ・パワーすべて交換しています。

まずドライヴァー管がノイズっぽくなり、出力管がだめになるのが典型的症状。
ノイズをほっておくと、出力管が破裂することもある。そうなると抵抗やコンデンサーもいっしょに死んでしまう。

気をつけましょう。

PS: Mullard NOSなどおそれ多くてつかったことなし。
ぜんぶネット安価販売のロシアのEH(笑)
ARCから買っていたころは、ドイツのSiemensなど送ってきたことあったけどそれは昔のおはなし・・・
4. Posted by voice and breath   2007年11月03日 11:48
>現在東欧や中国で作られている球は1000時間くらいで
>へたってしまうものが多いという

そ〜なんですか。先週末に鳴らし始めたばかりで、真空管暦1週間の私には驚きです。

PCL86(14GW8)という東欧のものらしいのですけど、なくなる前に仕入れておいた方が良いのかな〜?
5. Posted by jazzaudiofan   2007年11月03日 17:03
>JTさん、
約2年ですか。「典型的症状」が僕の場合も当てはまりました。参考になります。

>ノイズをほっておくと、出力管が破裂することもある。そうなると抵抗やコンデンサーもいっしょに死んでしまう

恐ろしい話ですね^^;。気をつけます。

>voice and breathさん

真空管の世界へようこそ(笑)
アンプはいかがですか?

PCL86(14GW8)で東欧のものというとユーゴスラヴィアのEi製でしょうか?僕のKT-90と同じ工場で操業を停止したそうですから、同じものが欲しければスペアを一式買っておいた方がいいかもしれません。そう高いものではないようですし。(http://www.boiaudioworks.com/index.php?cPath=88&language=ja)
6. Posted by voice and breath   2007年11月03日 20:55
PCL86(14GW8)でも、色々あるんですね。
ネットで写真を探してみたら、ポーランド製かもしれません。
7. Posted by NIKI   2007年11月04日 10:44
5 RCAとか、Hytron、テレフンケンとかのNOS菅持ってますが…。使っているのは、RCAの12AX7かな。

音は昔の球がやっぱり良いです。

でも、限りあるし…

この球だけは、前のアンプから移植したから、もうかれこれ3年以上使ってますね。ただ、今のアンプなので、たまに負担かかってないから長持ちしているだけのような…。
聞く時間が長いと、ランニングコストが馬鹿にならないので、私はメインの装置で球アンプは使ってないんですね(笑)。
8. Posted by kt90jp   2007年11月04日 12:33
こんにちは。いつも楽しく拝見しています。私はEAR899をパワーモードで仕用してますが、オリジナルのエディクロン社のKT90からエレハモKT90X8に替えたら音の定位が良くなり音質が格段に向上しました。ECC83X2,ECC85X2はテレフンケンのダイヤマークです。

プリアンプも管球でECC82X4をテレフンケンのダイヤマークに替えましたが、寿命が心配ですね。。
9. Posted by Roberto   2007年11月04日 13:16
こんにちは!

僕も最近、悲劇が(T_T)

愛用しているハイブリッドアンプの初段ECC99の不良から異常電流が流れ、MOS-FETが飛び、スピーカーのボイスコイルも焼き切ってしましました。スピーカーユニットがヴィンテージものだったので大ショック!
保護回路を入れていなかったことが災いしました(T_T) 保護回路を入れる改造修理をお願いしてあります....

現在、MC275も似てますがアルテックのシアターアンプを参考にしたパラレルプッシュアンプの特注を構想中です。これも出力管がEL34×8本あるわけで、寿命の問題は深刻であります。

初段管だけなら安いハイブリッドアンプを普段使いにして、本気モードはパラプッシュに切り替える、というのを考えてます(-_-)

というわけでJAFさんのご苦労も人事ではありません(笑)
10. Posted by jazzaudiofan   2007年11月04日 18:46
>NIKIさん
球に負担をかけないデザインだと長持ちしていいですね。ランニングコストはほんと、無視できません^^;。

>kt90jpさん
「エディクロン社」というのはきいたことがありませんが、EARについてくるオリジナルということは僕が使っているEiのことなのでしょうね。
 KevinさんはエレハモよりEiの方が音がいいといっていますが、彼はEiを売ってる人ですから話を割り引く必要があります^^。KTさんのところでは逆の結果になったんですね。
 いずれにせよ、操業停止したEiの製品はいずれなくなりますから、僕も次はエレハモを試してみようと思います。そっちの方が安いですし^^。
 それにしても前段管が全部テレフンケンとは凄い!僕にはちょっと手が出ません^^;。

>Robertoさん
スピーカーまで…。それは災難でしたね^^;。やはり音質を多少犠牲にしても、最低限の保護装置はあった方がいいのかもしれませんね。特に真空管を使う場合は…。
11. Posted by JDON   2007年11月05日 16:58
始めまして、楽しく読んでいます。
私もアンプは絶対真空管派ですが、ガレージメーカーのものです。(この出力トランスはピアレスの権利を買い取ったTSUGE電気製です)
過去の真空管回路は真空管が使い捨て時代のものですので、定格ギリギリで動作させていますね。それに比べ現代の良心的な真空管アンプは定格の50%〜70%で使用しているため10年や20年の耐用年数は製品として結構あります。
私のものはE130L(メーカー保障10,000時間)を定格の70%以下での動作のため20,000時間以上と言われました。実際10年以上1日平均3時間程度聞きますが、まったく問題ありません。実際そこのガレージメーカーのお客さんも20年以上ノントラブルの方が多いと聞きます。
すでに限られたNOS管はやはり長持ちするように設計して欲しいものですね。
※また、真空管自体の熱も結構影響がありますので“チューブラジエター”を使うと良いですよ。
12. Posted by kt90jp   2007年11月06日 12:20
日本の管球王国25号にEAR899のインプレが掲載されており、オリジナルはエディクロン社と書いてあります。勿論、ロゴプリントされています。日本仕様はEiではありませんでした。
http://blogs.yahoo.co.jp/kt90jp/45281711.html
13. Posted by jazzaudiofan   2007年11月06日 15:24
>JDONさん、コメントありがとうございます♪ 真空管が長持ちする設計って大事ですよね。最近ではソフトスタート機構やオートバイアス回路といったものもあるようですし。「チューブラジエター」は日本の製品なんですね。アンプの見た目が少し気になりますが、本当に寿命が延びるなら価値がありますね。

>kt90jpさん、コメントありがとうございます♪ 調べてみるとEdicronは英国の会社でした(http://www.edicron.com/)が、ウェブサイトをみるとKT-90はセルビアで作っているようですから、もとはEiですね。輸入→自社ロゴスタンプ→輸出という、真空管ではよくあるパターンではないでしょうか。

そもそもKT-90というのはEiが最初に作った真空管で、最近になってエレハモが作り始めるまで、世界中でKT-90を作っている工場はEiしかなかったというのが私の理解です。
14. Posted by kt90jp   2007年11月06日 18:10
なるほど!Eiも試したいと思っていましたが、買った時から使っていたのですね〜勉強になりました。これからも宜しくお願い致します。
15. Posted by 真空   2007年11月09日 23:18
5 初めてメールします。NOSチューブは本当に素晴らしい音がしますね。ただ,高価であるのが難点。NOSの真空管は長持ちさせたいものですね。NOSチューブは長い間使われていないので,最初にいきなり通電すると電気的ショックで傷みやすいそうです。宣伝するわけではありませんが,SDサウンドという会社から出ている真空管チェッカーは真空管のエイジングも出来るようになっています。このような機械を使い,所定のエイジングを済ませると持ちが違いますし,音もいきなり使うのに比べ滑らかになるようです。わたしは前のバージョンの機械を持っていますが,なかなか良いと思います。またNOSチューブだけでなく中国・東欧のものはエイジングをあまりしていないものが多いらしいので,あらかじめ自分でエイジングをした方が良い結果を生むと思います。
16. Posted by jazzaudiofan   2007年11月11日 16:43
真空さん、コメントありがとうございます♪ おっしゃる通りNOS管は長持ちさせたいものです。1本100ドルのMullard12AX7が1年でダメになったのは痛いです^^;。真空管にもエージングが必要なんですね。僕がNOS管を購入するディーラーではテスト・選別・等級付け・24時間のエージングを行っているので、その点でも安心です。SDサウンドのバルブチェッカーは便利そうです。素人の僕に使いこなせるかどうか不安もありますが「おかしいな?」と思ったときに真空管をチェックしたいと思っていますので、購入を検討したいと思います。
17. Posted by 真空   2007年11月12日 21:06
アメリカにはNOS管のエージングなどをしてくれるディーラーがあるのですね。私も時々アメリカから購入しますが,そういうところは知りませんでした。その代わり値段も良いのでしょうね。ところで,SDサウンドのバルブチェッカーのことについてその後調べてみました。型番はTC−2というものですね。私が買った頃はキットだけでアマチュアライクなものでしたが,今はキットと完成品両方があってデザインも良くなりました。キットが3万6千円,完成品が5万6千円ですから馬鹿になりませんね。それにテスターは別に購入しないといといけないのではなかったかな思います。どなたか自作してくださる方がいれば良いのですがね。操作そのものはいったん覚えれば解説書通りに操作すれば良いので大して難しくはないと思います。でも真空管大国のアメリカのことですから似たような製品でもっと安いものがあるような気もしますが……。
18. Posted by jazzaudiofan   2007年11月18日 04:57
真空さん、返事が遅れ失礼しました。SDサウンドのTC-2はおっしゃる通り結構なお値段ですね。こちらでもチェッカー自体はあると思いますが、TC-2ほど便利なものが手頃な値段であるかどうか…。もう少し探してみます。

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