2008年02月21日

Taylor Eigsti Live!3

Lucky to Be MeTaylor Eigsti(テイラー・アイグスティ)は北カリフォルニア出身の若きピアニスト。幼い頃から「神童」と呼ばれ、2006年、22歳でConcordレーベルからLucky To Be Meでメジャー・デビュー。これはプロデューサーにAl Schmitt、共演にChristian McBride, Lewis Nash, James Genus, Billy Kilson等を迎えた素晴らしい作品で、僕はTaylor Eigsti注目すべしとの思考を脳裏に刻みこんだ。

そのEigstiが地元市民会館でのジャズ・コンサート・シリーズに登場。共演者は事前には知らされていなかったが、若手ギタリストとして注目されEigstiとは付き合いの長いJulian Lage、ドラムにEric Harlandという豪華なメンツ。ベースは知らない人だったが、これも若手のBen Williams。

カジュアルな格好で登場したEigstiは素朴で礼儀正しい好青年という感じで、曲目やメンバーをきっちり紹介していた。全員20代のジャズバンドというのはやはり新鮮ですね。チケットが高いので普段は年長者が多いこの劇場にも、今回は若い人がかなりたくさん来ていたようだ。

さて、カルテットの演奏はHerbie Hancockの"And What If I Don't"で始まった。シンプルなブルースで、意外と伝統的というか、あまりひねりのないストレート・アヘッドな演奏だった。Eigstiの演奏能力は予想以上で、ヴァーチュオーソという言葉が頭をよぎるほどだった。次の曲はMonkのEvidence。フリー系のイントロから急速調に展開し、メロディが判別できないほど解体されていた。ベースとドラムがすごいソロを展開。

その後はムソルグスキーの「展覧会の絵」から"Promenade"。これは先のLucky To Be Meにも収録されていたが、このライヴ・バージョンは組曲風に延長され、テンポやムードが次々に入れ替わり、最後はニューエイジからヒップホップにまで突き進むという展開。

この辺りで僕は「ムムム…」と唸り、眉にしわを寄せ始めた。メンバーは全員、テクニックはスゴイものがあり、ソロになるとビックリするほどの音数が出てくるが、そこにアートが感じられないのだ。音楽性がいちばん高いと思われるEigstiのソロをたっぷり聴きたいのだが、彼はいわゆる寛容なリーダーというやつで、比較的あっさりとソロを他のメンバーに譲ってしまう。

リーダーよりも長くソロを取っていたベースとドラムは、それぞれ最初のソロこそ感心したが、それ以降はどんな曲でも基本的に同じようなソロになってしまうことが判明。ベースのWilliamsが作曲したという"Dawn of the New Day"は、ムードはあるがまったくおもしろくない曲で、これがまた全員長〜いソロを延々と取るのでうんざりしてしまった。

今回いちばん良かったのは、ピアノとギターのデュオで演奏されたTrue Colors。優しく美しいメロディ、デジタル・ディレイを少しきかせたLageのクリアなトーン、長年一緒に演奏している二人のセンシティブなインタープレイは感動的だった。最後は複雑なリズム処理を施しキメの難しい"Giant Steps"。CDで聴いたときはすごくカッコイイと思ったアレンジなのだが、このライブではあまり感心しなかった。

結局のところ、このライヴは「若気の至り」という言葉で総括できると思う。テクニックがあるのでガンガン弾くのが楽しくて仕方がない時期なのだろうが、僕にはこのグループにおいてはそれが表面的なものにとどまり、アートに昇華されていなかったように感じられた。それにはテイストとある種の抑制が必要だと思うのだが、それは年齢を重ね、経験を積んで初めて身に付くものなのかもしれない。

なお、Eigstiが言っていたのだが、新作"Let it Come to You"がConcordから5月6日に発売されるとのこと。今回のライヴはいまひとつだったが、Eldar Djangirov、Austin Peraltaと並ぶカリフォルニア在住の若手ピアニストとして注目しているので、CDはチェックしてみようと思っている。

2008年2月9日
Orange County Performing Arts Center

Taylor Eigsti (piano)
Julian Lage (guitar)
Ben Williams (bass)
Eric Harland (drums)

1. And What If I Don't (H. Hancock)
2. Evidence (T. Monk)
3. Promenade (Mussorgsky)
4. Dawn of the New Day (B. Williams)
5. True Colors (Lage - Eigsti)
6. Giant Steps (J. Coltrane)

Taylor Eigsti関連アルバム
Lucky to Be MeLucky to Be Me
Taylor Eigsti

☆1日1度のクリック、ポチっとお願いします☆
人気blogランキング
jazzaudiofan at 15:43│Comments(0)TrackBack(0)Jazz etc. Live! 

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Welcome!
1日1度のクリック、
ポチッとお願いします<(_ _)>↓
人気blogランキング
Profile

jazzaudiofan
ジャズとオーディオが好きで、アメリカに住んでます。Audiogon等を通じてアメリカからオーディオ機器を個人輸入したい方をサポートしています。詳しくはこちらをご覧下さい。