2011年03月30日

ジャズ以外の好録音盤の紹介:Kaiser Acousticsのデモ・ディスクから

音楽の話をしよう。

昨年10月のロッキー・マウンテン・オーディオ・フェスト(RMAF)で、コンサート・フィデリティはドイツのスピーカーメーカー、カイザー・アコースティクス(Kaiser Acoustics)と一緒に展示をした。カイザーのカウェロ(Kawero)というスピーカーが極めて優秀なことはここで詳しく書いたが、その展示の際に、スピーカーを設計したライナー・ウェバーさんから1枚のCD-Rをいただいた。

ショウで使うために様々な音楽を集めた彼の個人的なコンピレーションなのだが、これが凄くいいのである。スピーカーの長所を活かすべく録音の優れた曲が集められているだけでなく、実にいろんなジャンルから、幅広く優れた音楽が集められていて、ライナーさんのセンスの良さが伝わってくる内容なのだ。

このCD-Rは今年1月のラスベガスのショウでも大活躍したし、そのうち特に気に入ったものは僕もCDを探して入手した。最近「ジャズしか聴かない」症候群に陥っていたので、ジャズ以外の優れた音楽に触れたことは実に新鮮だった。

そこで、そのコンピレーションCDに収められていた曲から、特に気に入った4曲を紹介したい。

Jason Mraz "If It Kills Me" (from the Cassanova Sessions)
(CD: We Sing, We Dance, We Steal Things - Limited Edition, Disc II)

We Sing We Dance We Steal Things (W/Dvd)ジェイソン・ムラーツはサンディエゴを拠点に活躍する才能豊かなシンガーソングライターだ。2008年に発売されたアルバムは「全米初登場3位を記録。シングルカットされた「I'm Yours」は世界各国でNO.1を獲得、全米だけでセールス100万枚を突破した。また同曲は第51回グラミー賞で最優秀楽曲賞と最優秀男性ポップボーカル賞にノミネートされた」(Wikipedia)そうだが、僕はまったく知らなかった。(Mrazを「ムラーズ」と表記することもあるようだが、僕はベーシストのジョージ・ムラーツに慣れていることもあり、「ムラーツ」と書く方が自然に感じる。)

実際、探して手に入れたこのアルバムには「I'm Yours」「Lucky」「Butterfly」「Live High」「If It Kills Me」「A Beautiful Mess」など、一度聴いたら忘れられない優れたメロディとインテリジェントな歌詞を備えた曲が目白押し。様々な音楽スタイルを取り入れた巧みなアレンジと演奏技術の高さも素晴らしく、この時代にこんなソングライターがいたのか!と僕はびっくりしてしまった。

というわけで、このアルバムだけでも充分いいのだが、ライナーさんのコンピレーションに入っていたのは、CD2枚+DVDを組み合わせたスペシャルエディションに入っている"Disc II The EPs"に収められた「If It Kills Me」の別バージョンだ。というのは、メインのCDは様々なスタジオで録音したものを集めてミックスしたらしく、音質は「ごくふつう」。ところが"Disc II"に入っているのは、オーシャンサイド(サンディエゴ郡にある町)のカサノヴァ・スタジオでムラーツ本人が録音したもので、メチャメチャ音がいいのである。

彼がアコースティック・ギターの弾き語りをし、それにほんの数人ミュージシャンが加わる程度のシンプルな編成で、おそらく全員が同じ部屋に集まって一発録音したものと思われる。メインのアルバムと同じ曲を演奏しているのだが、歌手としても実に魅力的なムラーツの声が実に生々しく、インティメットに録られており、「うた」のインパクトという意味でもこちらのディスクの方が圧倒的に力強いと思う。

その中でもライナーさんが選んだ「If It Kills Me」は、ジェイソンのアコギの弾き語りにパーカッションとバックボーカル担当、エレキベースの3人だけで見事に演奏される。ムラーツは横恋慕の切ない思いを情感豊かに歌い上げ、背筋がぞくぞくするほどの感動を覚える。皆さんも是非、スペシャルエディションの"Disc II"を聴いていただきたい。

Fairfield Four "My God Called Me This Morning"
(CD: Standing in the Safety Zone)

Standing in the Safety Zoneフェアフィールド・フォーはナッシュヴィルの教会で1921年から歌い続けているゴスペル・アカペラ・グループで、1940年代に大活躍した後1950年にいちど解散。1980年に再結成してから人気が再度上昇し、1998年にはグラミー賞も取ったという奇跡のようなグループだ。このアルバムは1991年12月から1992年2月にかけてナッシュヴィルで録音されたもの。ライナーさんのコンピレーションCDには、アルバムの中で最良のトラックが厳選されて収録されているので感心するが、このアルバムもその例にもれず、ベストトラックは2曲目の「My God Called Me This Morning」である。

5人の歌手によるアカペラだから、録音もごくシンプルになされたのだろう。深いバスの声を土台にしたパワフルな歌唱で、スケールの大きな再生を望みたい。

Tommy Emmanuel "House of the Rising Sun"
(CD: Live One)

Liveoneオーストラリアのバカテク・ギタリストのライヴアルバム。アコギ1本、1人だけでCD2枚分のライヴをこなしてしまうことにまず驚くが、ライナーさんが選んだのは、彼がヴォーカルもこなした「House of the Rising Sun」。演奏自体が素晴らしいのはもちろんのこと、力強いカッティングを含むギターの多彩な音、味のあるヴォーカル、ボディをパーカッションのように叩く「ドラム・ソロ」に加え、会場の空気感や聴衆の反応も実にうまく録音されており、デモ・トラックとしても最適だ。

Sylvia McNair & Andre Previn "All The Things You Are"
(CD: Sure Thing: The Jerome Kern Songbook)

シングス・ジェローム・カーンクラシックのソプラノ歌手がアメリカン・ソングブックに挑戦した1993年録音のアルバムで、ジャズ界とクラシック界を自在に往き来する才人アンドレ・プレヴィンがピアノを担当。これにジャズベーシストのデイヴィッド・フィンクが加わる。ピアノとベースはジャズだが、シルヴィア・マクネアはいまひとつスイングができていないところが微笑ましい。彼女の声とピアノが実に美しく録音されていると思ったら、録音の監修がフィル・ラモーン(!)ということで、驚くと同時に納得した次第。心が落ち着き、優しくなれるCDだ。

このように、17曲あるコンピレーションのうち4曲を挙げただけで、その多彩さとリーチの広さに感心させられる。ライナーさんのセンスには脱帽だ。彼は素晴らしいスピーカーをデザインしてくれただけでなく、僕がふだん聴かないジャンルの素晴らしい音楽を紹介してくれた。感謝、感謝!

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この記事へのコメント

1. Posted by l0ga   2011年04月05日 21:00
5 いつも楽しく拝見してます。ネットで試聴したら結構イイですね〜。全曲名を教えていただけると嬉しいです。
2. Posted by jazzaudiofan   2011年04月07日 07:22
l0gaさん、コメントありがとうございます。
他の曲名とアーティストは下記の通りです。
・Blues in Blueprint / Duke Ellington
・Beyond the Sunrise / Belle & Sebastian
・Love Letters [live] / Tom Jones & Jeff Beck
・Sage of Lamberene / Kurt Bestor & Sam Cardon
・Japanese Roots / TakeDate with Neptune
・House on the Lake / Rosanne Cash
・Pots & Pans / The Bacon Brothers with Mickey Hart
・The Vikings / Dallas Wind Symphony
・Because / The Nylons
・Just a Little Lovin' / Shelby Lynne
・Tarentelas 1 a 6 / Atrium Musicae de Madrid
・Blackbird / Dionne Farris
・The Way / Neil Young
3. Posted by l0ga   2011年04月07日 23:43
5 わおー。ありがとうございました!
4. Posted by 杉ちゃん   2011年04月12日 18:06
Tommy Emmanuel "House of the Rising Sunもよろしいが、わたしゃこっちの方が気に入ってます。→ Only-Tommy-Emmanuel 何度も聴き返しますが、どんな奏法で弾いているのか想像できない音です。(ホント!)一度ライブを聴きに行って確かめるつもりですわ
5. Posted by jazzaudiofan   2011年04月14日 12:24
杉ちゃんさん、コメントありがとうございます♪

"Only"は別のCDですね。機会があれば聴いてみます。確かにこの人のソロギター、ほんまにひとりかいな?と思いますね。僕も一度ライブを見てみたいものです。
6. Posted by エルメス ケリー 歴史   2014年08月28日 19:56
http://www.sineidt.org.br/handbags/hermes-news-116.htmlエルメス ケリー ポロサス
エルメス ケリー 歴史 http://www.sineidt.org.br/handbags/hermes-news-510.html

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