2012年01月18日

T.H.E. Show Las Vegas 2012レポート(1)

01-CF-system1月10〜13日にラスベガスで開催されたCESとT.H.E. Showに、コンサート・フィデリティ(CF)の一員として出展参加してきた。CFは今回初めてCES(The Venetian Hotel)とT.H.E. Show(The Flamingo Hotel)の両方に同時出展するという快挙をなしとげ、両会場共通のパートナー、エストニアのメーカーEstelonのXA Diamondという優秀なスピーカーとの組み合わせで、ハイレベルな音質での展示を実現した。

02-EstelonXA-Dショウ全体としては、不景気の影響でCES(ハイエンド・オーディオ部門)は3フロア予定されていた展示部屋が埋まらず、T.H.E. Showもキャンセルが出て展示部屋の数が減少。来場者数も昨年比で減少したようだ。今年の会期が火曜日から金曜日までの4日間で、土日が含まれなかったのも原因のひとつだろう。

03-DiamondTweeterこのような逆境ではあったが、CFは特に僕たちがセットアップしたT.H.E. Showの部屋の音は素晴らしく、多くの来場者から「今回のショウで最高の音」とのコメントを得た。XA Diamondとの組み合わせを念頭に置いてCFが投入した新製品は、モノブロックアンプのZL-120V2SE(ペア3万4000ドル)。従来のZL-120V2に、より大きくパワフルなZL-200の電源部(トランスと整流器の容量が2倍、コンデンサの容量は50%増)を搭載した「スペシャル・エディション」で、MOSFET出力デバイスの数が比較的少ないことから立ち上がりの瞬発力が高いZL-120V2の長所を保ちつつ、電流供給能力を高め、ウーファーをがっちり駆動できるようにしたものだ。

04-CF-electronics1設計者の津田さんが「これまで作った中で最高のアンプかもしれない」というだけあって、一瞬真空管?と思わせるようなスムーズで有機的な音の感触と、半導体アンプでなければ得られない瞬発力と引き締まった低域レスポンスを両立させた素晴らしいアンプだと思う。

05-CF-electronics211インチのAccuton製セラミック・ウーファーを搭載し低域レスポンスが質量共に半端でないEstelon XA Diamondと、このZL-120V2SEの相性は抜群で、大音量でも低域がソフトになることなく、ダイナミックな再生を実現できた。ちなみにこのスピーカー、Accuton製の直径1.2インチ(!)のダイヤモンド・ツイーターを搭載しているのが特徴で、大理石を主原料とする複合素材を型に流し込んで作るエンクロージャの彫刻のような外見も美しい。

昨年のRMAFでこれまた素晴らしい音を実現したKaiser Kaweroと奇しくも同じ値段(ペア6万6000ドル)だが、解像度、スピード、正確さ、音調のニュートラルさはEstelon XAの方が上である。タチの悪い半導体アンプと組み合わせるとギラギラしそうだが、CFのアンプとの組み合わせでは高域はハイスピードだがスムーズで、嫌な音は出ない。音場の広さと低域の伸びについてもEstelonの方が上かもしれない。マイナス面は、音像がやや大きめになってしまうことと、中低域に付加的な響き(キャビネットの振動?)が感じられる点だ。Kaiser Kaweroはスピーカーの存在を感じさせず、音像が正しい大きさで提示される点、キャビネットの振動が皆無である点、小音量でもしっかり鳴る点などが勝っている。音調は暖色系でEstelonほどニュートラルではないが、僕は個人的にどちらを取るかと言われれば、たぶんKaiserを取るだろう。

T.H.E. Show Las Vegasでの展示機器
  • Denon DP-3000ターンテーブル + DA-305トーンアーム(CFによる改造)
  • Shelter 501カートリッジ
  • Concert Fidelity SPA-4Cフォノプリアンプ
  • Esoteric X-05 CD/SACDプレーヤー(トランスポートとして使用)
  • Concert Fidelity DAC-040 DAC
  • Concert Fidelity CF-080LSX2プリアンプ
  • Concert Fidelity ZL-120V2SEモノブロック・パワーアンプ(新製品)
  • Fono Acustica Armonicoケーブル
  • Fono Acustica Sinfo電源ディストリビューター
  • Stillpointsラック&アンプスタンド
(続く)

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