レーベル紹介

2008年08月13日

高音質レーベル紹介:Yarlung Records

僕が運営するオンラインCDショップ、Eastwind Importで、高音質クラシック・レーベルYarlung Recordsの作品を扱うことになったので、紹介したい。

Yarlung Recordsは、クラシック音楽とオーディオをこよなく愛するナイスガイ、Bob Attiyeh(ボブ・アティエー)氏が数年前に設立。才能のある若手を発掘してデビューCDを録音・発表し、コンサート・アーティストとしてのキャリアを後押しすることを目的としている。内容面では、僕のようなクラシック初心者でも知っているような、いわゆる古典的な作曲家だけではなく、20世紀、21世紀に活躍する新しい作曲家の曲を積極的に取り上げている。

ボブさんは、僕が幹事を務める地元オーディオ同好会に何度かやってきたので知り合ったのだが、かなりのオーディオファイルである。録音ポリシーは、自然な音響空間であるコンサート・ホールを使い、ステレオマイク1ペアによるワンポイント録音。その場でバランスを取ってミックスするダイレクト・トゥ・2トラック録音である。管球式のヴィンテージ・マイクと管球式のマイクプリを使い、高サンプリング・レートのデジタル形式で録音する。

モニタリングの機材等では、先日訪問したハイエンド・オーディオショップ、Acoustic ImageのElliot Midwood氏が協力している。しかも、CDへのマスタリングには、オーディオファイルの間でつとに有名なAcousTech MasteringのSteve Hoffman、Kevin Gray両氏を一貫して起用している。彼らは有名な高音質レーベルのLP、CD、SACDのマスタリングを手がけるチームで、僕はこのマスタリング・スタジオを見学したこともある(その見学記はこちら)。
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2007年07月14日

今日買ったディスク:SSJ編

シナトラ・ソサイエティ・オブ・ジャパン(SSJ)は、先日詳しく紹介したピンキー・ウィンターズ盤以外にも魅力的なCDを発売している。最近聴く機会を得た3枚について簡単に紹介しておきたい。いずれもSSJのサイトで試聴・購入が可能だ。

コートにすみれをコートにすみれを
リンカーン・ブライニー
シアトル出身のシンガー・ソングライターが1994年から2006年にかけてコツコツと録りためた音源をまとめたデビュー作。二の腕に"Jobim"(ジョビン)の入れ墨を彫り、「スピーチ・レベル」の歌手を模範とするブライニーの歌唱は繊細かつ爽やか。洗練されたジャジーな編曲も伴奏陣の演奏も完成度が高い。ブラジリアン・フレーバーも魅力的かつ爽快だ。

ムーンライト・ビカムズ・ユームーンライト・ビカムズ・ユー
谷口英治
僕はクラリネットという楽器が好きで、東京にいた頃は北村英治のライヴに何度か足を運んだし、最近はパキート・デリヴェラやケン・ペプロウスキのライヴでその音色に聴き惚れた。谷口英治は今回初めて聴いたけれど、真っ当なクラリネットらしい音色で奏でるモダン・スイングがすこぶる魅力的だ。ピアノレスのフォーマットも畑ひろしというギターの名手を得て成功している。美しいバラードでリラックスさせ、熱気を帯びたスイングで興奮させる上質のジャズ。

ナイス・ン・イージー(紙ジャケット仕様)ナイス・ン・イージー(紙ジャケット仕様)
マル・フィッチ
90th Floor Recordsというレーベルは、最近あるジャズ・フェスティバルで展示されているのを見かけたことがある。そのときは「?」だったのだが、このCDの解説を読んで納得した。テキサス州ダラスという、ジャズのメッカとはいいがたい町で1959年から63年にかけて存続し、最近復活した幻のレーベルなのだ。男性ピアノ弾き語り歌手によるこのアルバムも、僕はまったく知らなかったが、日本のコレクターにとっては垂涎の「幻のアルバム」だったそうだ。聴いてみると、Mal Fitchは歌もピアノも達者でとても趣味がいい。ヴォーカル・ファンに魅力があるというのも納得できる。原題は"Mal/Content"で、「不満な(形容詞)」もしくは「不平家(名詞)」という意味の単語"malcontent"に引っかけてある。

ワールド・オン・ア・ストリング:ピンキー,シナトラを歌う(紙ジャケット仕様)ワールド・オン・ア・ストリング:ピンキー,シナトラを歌う(紙ジャケット仕様)
ピンキー・ウィンターズ
これは先日の記事で紹介済みだが、記録のためここにもメモしておく。

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2007年05月17日

鈴木良雄トリオ/For You5

For_Youロバータ・ガンバリーニやジェシ・ヴァン・ルーラーのアルバムを日本に紹介するなど、最近元気な独立系レーベル、55 Records代表の五野洋氏が鈴木良雄(ベーシスト)、伊藤潔(プロデューサー)、タモリの各氏と組んで「ONE」という新レーベルを設立した。4人は同世代で、伊藤氏を除く3人は早稲田大学(モダンジャズ研究会もしくはハイソサイエティ・オーケストラ)というつながりもある。これまで異なる分野で音楽に関わってきた4氏が力をひとつにあわせて新たな音楽を創造しよう、という心意気が「ONE」という名前に込められているそうだ。

その第1弾のアルバムが5月16日に発売された。若手ピアニスト、海野雅威(うんの・ただたか)をフィーチャーした鈴木良雄トリオの「For You」である。55 Recordsの商品をアメリカで販売している関係で一足先に聴くことができたのだが、これはすばらしいピアノトリオ作品だ。

「チンさん」の愛称で親しまれる鈴木良雄は日本のジャズ界を代表する大ベテラン。70年代にはニューヨークに居を構えてスタン・ゲッツ・グループやアート・ブレイキー・ジャズ・メッセンジャーズのレギュラー・ベーシスト(!)として活躍したという輝かしい経歴の持ち主。太くウォームなベース音と豊かな音楽性でトリオをリードしている。

海野雅威は1980年生まれ。僕は恥ずかしながら初めて聴いたのだけれど、ジャズの伝統をガッチリ咀嚼したすばらしい正統派ピアニストだと思う。オスカー・ピーターソンのようなドライヴ感のあるスイングと技巧、クロード・ウィリアムソンを思わせる華麗なフレージングを兼ねそなえており、とても魅力的だ。ピアノの音が美しいのも特筆すべきだろう。

ドラムは78年から日本に住んでいるセシル・モンローで、出過ぎることなく堅実に、しかもヤルときはヤルという絶妙のサポートを提供している。このトリオは息がピッタリと合っていて、アップテンポ・ナンバー(例えばFalling in Love with Love)で一丸となってぐいぐい前に進んでいくところは、鳥肌が立つほどの快感をもたらしてくれる。

録音面も、美しくスケールの大きいピアノの音色、太く豊かなベース、ダイナミックなドラムなどが実に質感豊かに捉えられていて、実にすばらしい。オーディオファンにも高く評価されると思う。

新生レーベル「ONE」の第1弾は、どこから見てもスキのない、思わず快哉を叫びたくなるほどよくできたアルバムだ。ウェブサイトから直接購入もできるので、ぜひチェックしてみて欲しい。最初にこれだけのアルバムを作ってしまうと2作目が大変かもしれないけれど、今後もすてきなアルバムをどんどん出して欲しいと思う。五野さん、期待していますよ!

For You
Suzuki Yoshio Trio featuring Tadataka Unno

Suzuki Yoshio (b)
Tadataka Unno (p)
Cecil Monroe (ds)

Rec. in NY, June 2006

1. What Kind Of Fool Am I
2. Soon
3. Falling In Love With Love
4. For You
5. Roulette
6. Witchcraft
7. Summer Night
8. Triste
9. I Should Care
10. Darn That Dream

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2007年04月27日

今日買ったディスク070427:ヴィーナス篇その2

最近入手したヴィーナス盤の続き。

ジェントル・バラッズ
エリック・アレキサンダー・カルテット
僕の嫌いなエロジャケだが、内容はとてもいい! アレキサンダーのテナーは朗々と力強く鳴りきっているし、バラード集といっても甘すぎないし、アグレッシブな演奏もテンポの変化もあって飽きさせない。

ジェントル・バラッズII
エリック・アレキサンダー・カルテット
同じく残念なジャケット。演奏の水準は高いが、同じコンセプトの1作目と比べると内容はやや劣る。ソフトにかつ甘くなり、アレキサンダーの演奏のエネルギーが(比較的にだが)ダウンしたように感じる。

ビギン・ザ・ビギン~コール・ポーターに捧ぐビギン・ザ・ビギン~コール・ポーターに捧ぐ
ニューヨーク・トリオ
大好きなピアニスト、ビル・チャーラップの2005年録音。彼は日米でヴィーナスとブルーノートをまたにかけてソングブック・シリーズを展開しているが、このコール・ポーター盤も秀逸。

THOU SWELL 君はすてきTHOU SWELL 君はすてき
ニューヨーク・トリオ
チャーラップの最新作はリチャード・ロジャース歌集。これは傑作だ! このトリオのアルバムの中で最高の出来だと思う。1曲目のThous Swellのスピード溢れるスウィングがたまらない。録音レベルも他のヴィーナス盤と比べると控えめで、そのため音質が向上している。今後もこの方向で改善してくれるといいのだが…。

ホリー・キャッツホリー・キャッツ
ラッセル・マローン・カルテット
いきなり古くなるが、マローンは僕が大好きなギタリスト。彼がダイアナ・クラールのバンドに入って知名度を増す以前、95年の録音で、ストレート・アヘッドな内容が最高だ。この時期にはテクニックもスタイルもすでに完成していたことがよく分かる。ちなみにWholly Catsはチャーリー・クリスチャンのオリジナル曲の名前で、「なんてこった!」「スゲエ!」というような意味。

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2007年04月25日

今日買ったディスク070425: Venus篇その1

先日エロジャケを批判したが、僕はVenus Recordsというレーベル自体を否定するつもりはない。レーベル全体を見渡せばエロジャケは一部だし、商売上「とにかく売れるCD」を作っておいて、その利益を還元して「売れそうにないが作りたいCD」を作るという考え方も垣間見えるからだ。それに、僕は好きなアーティストのCDなら、たとえジャケットが下品でも録音レベルが高すぎても聴きたいと思うタイプである。アーティストに罪はない。

また、日本のジャズCDをアメリカで紹介する事業において、ヴィーナスのCDを輸入しないという選択肢はあり得ない。アメリカではかなり知名度が高まっていて、著名なジャズ雑誌にもほぼ毎月のようにレビュー記事が載るようになっている。

…という言い訳をした後で^^、最近入手したヴィーナスのCDをメモしておこう。

ニューヨーク・ララバイニューヨーク・ララバイ
フランチェスコ・カフィーソ・ニューヨーク・カルテット
録音当時16歳だった「神童」のレーベル・デビュー作。David HazeltineをはじめとするNYの精鋭を従えて堂々たる演奏を繰り広げる。チャーリー・パーカー、フィル・ウッズ直系のアルトには度肝を抜かれた。テクニックもすごいが音色がいい。こんなに豊かなアルトの音はめったに聴けるものではない。

天国への七つの階段天国への七つの階段
フランチェスコ・カフィーソ・カルテット
デビュー作から2年後の新作は、イタリアのミュージシャンを率いてのローマ録音。アップテンポの曲が多くスピード感溢れるアルバムで、さらなる成長を見せつけた。今後がますます楽しみだ。

情事の終わり情事の終わり
ワン・フォー・オール
エリック・アレキサンダーを中心とするNYの若手オールスター・グループは、多忙なわりに多作でもあり、ヴィーナスにもかなりのアルバムを録音している。内容面では、メンバーのオリジナル3曲を含むこのレーベル・デビュー作が僕はいちばん気に入った。

危険な関係のブルース危険な関係のブルース
ワン・フォー・オール
テナーサックス、トランペットにトロンボーンという3管フロントのグループは現在では数が少ない。その分厚いアンサンブルの音もこのグループの魅力だ。ジャズ・メッセンジャーズゆかりの曲を集めるというコンセプトも悪くないが、僕はどうしてもオリジナル曲に耳がいってしまう。

キラー・ジョー(紙ジャケット仕様)キラー・ジョー(紙ジャケット仕様)
ワン・フォー・オール
超有名なタイトル曲は別として、A. JamalやT. Dameron、J.J. Johnson、D. Pearsonなどの選曲が渋い。S. Davisのオリジナル"Hot Sake"を聴くと、日本好きでユーモラスな曲を書くホレス・シルヴァーを思い出してニヤリとさせられる。

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2007年04月10日

今日買ったディスク070407:TBM SACD篇その3

ミスター・ワンダフル(紙ジャケット仕様)ミスター・ワンダフル(紙ジャケット仕様)
細川綾子
こんなにうまい歌手がいたとは! 藤井プロデューサーが言うとおり「優しく美しく心温まる感情が明るく自然に表現される」。「ミスター・ワンダフル」は涙が出るほど感動した。英語の発音も完璧。横内章次のアレンジ、西条孝之介、山本剛を含むバンドも最高だし、曲により配されるストリングス・カルテットも録音もバッチリ。ヴォーカル・アルバムの名盤だ。

アンフォゲタブル(紙ジャケット仕様)アンフォゲタブル(紙ジャケット仕様)
中本マリ
中本マリのデビュー作。ハスキーで魅力的な声とジャズ・フィーリングに溢れる自由なフレージングが素晴らしく、ジャズを歌い始めて3年とは思えない実力を見せる。普段からクラブで共演していた大沢保郎、横内章次のサポートも極上。

デイ・ドリーム(紙ジャケット仕様)デイ・ドリーム(紙ジャケット仕様)
後藤芳子
録音時すでに20年の経験を積んでいたベテランらしく、非常にうまい。しっとりしたバラードに大人の雰囲気があり、少しヘレン・メリルを彷彿とさせる。これもいいなあ。

戸谷重子+今田勝トリオ(紙ジャケット仕様)戸谷重子+今田勝トリオ(紙ジャケット仕様)
戸谷重子・今田勝トリオ
これも新人のデビュー作。ブルース感覚に溢れ、ソウルフルな歌いっぷりが実に独特だ。ジャズ歌手としての完成度は高いとはいえないが、不思議な魅力がある。野心のない人だったらしく、6年ほど活動した後、結婚を機に引退してしまったそうだ。

TBMが70年代に録音した4枚のヴォーカル・アルバムを聴いて思ったのだが、皆英語がうまい! 僕は英語の発音が下手な歌手は生理的に受け付けないのだが、その厳しい基準を適用しても全員合格である。アメリカ人と結婚し17年間カリフォルニアで暮らしていた細川綾子は別格としても、皆自然な発音で、歌詞をはっきり聴きとることができる。

それに比べ、最近の日本人ジャズ(?)歌手のほとんどは英語の発音が下手すぎて、僕は聴いていられない。70年代より英語を学習する環境は整っているはずだから、これは努力不足としか思われない。ジャズ歌手を目指すなら、英語圏に留学するなりネイティブ・スピーカーによる発音矯正を受けるなりして、少なくともレパートリーの歌詞の発音くらいは完璧にしてほしい。ベテラン歌手でも、日本に住んでいる限りは発音が変な方向に流れていくので、定期的に発音矯正を受けるべきだと思う。

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2007年04月08日

今日買ったディスク070407:TBM SACD篇その2

スタンダード(紙ジャケット仕様)スタンダード(紙ジャケット仕様)
今田勝トリオ
昨年ジャズ生活50周年を迎えた今田勝の、TBMとしては珍しいスタンダード集。独特のリズム感とハーモニー感覚で、よくスイングしている。

モーニング・フライト(紙ジャケット仕様)モーニング・フライト(紙ジャケット仕様)
福村博クインテット
Kai & JJを思わせる福村と向井滋春のトロンボーン双頭クインテット。メンバー全員が20〜24歳という若さで、溌剌としたすばらしい演奏。TBMの神成芳彦による録音はどれも見事だが、これは特に傑出していると思う。

ライヴ・アット・ミスティ(紙ジャケット仕様)ライヴ・アット・ミスティ(紙ジャケット仕様)
山本剛トリオ
「ミッドナイト・シュガー」でデビューしたその年に、山本剛は本作を含め3枚ものアルバムを録音した。本作は1年間ハウス・トリオを務めた六本木「ミスティ」でのライヴ録音で、ミュージシャンも観客もノリノリの楽しい雰囲気がよく捉えられている。

ライヴ!(紙ジャケット仕様)ライヴ!(紙ジャケット仕様)
日野皓正クインテット
僕の苦手なフリーの要素が強いが、リリカルな側面もある。ミュージシャンの峻烈な集中力とインタープレイに圧倒される。

ブロンド・オン・ザ・ロックス(紙ジャケット仕様)ブロンド・オン・ザ・ロックス(紙ジャケット仕様)
横内章次カルテット
ポップスの世界で作編曲者としても活躍した横内が小西徹を迎えてツインギター・カルテットを編成。ブルージーでよくスイングしており、ギターの掛け合い、絡み合いが実に見事。文句なしに楽しめる優秀アルバムだ。

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2007年04月06日

今日買ったディスク070407:TBM SACD篇その1

TBMときいて「スリー・ブラインド・マイス」といえるのはコアなジャズファンの証。69年生まれの僕は、70年代までのいわゆる「和ジャズ」をリアルタイムで体験していない。アナログもやらないので、CD化されない限り往時の名作を聴くこともできない。そんな僕にとって、TBMがソニーと組んで昨年11月と12月に発売した20枚のハイブリッドSACDは、この時代とこの名門レーベルの業績を追体験する絶好の機会を与えてくれた。

以前、比較的有名な7タイトルを購入していたが、今回残りの13枚を手に入れてコンプリートとなった。この20枚を俯瞰して、当時の日本人ミュージシャンが非常に高い水準の演奏をしていたことに驚き、さらにTBMというレーベルの素晴らしさに驚嘆した。優秀な新人を次々に発掘してレコード・デビューさせ、地方のアーティストにも光を当てた功績。商業主義を拝しミュージシャンのやりたいことを優先させたストイックな制作方針。素晴らしい録音。そしてイロジャケなどとは無縁だが印象的なジャケット・デザイン。まさにジャズ・レーベルとはこうあるべし、という見本のような存在だったのだなぁ、と実感させられた。

音楽のスタイルは多彩で、時代を反映したフリー寄りの演奏もあるが、僕はほぼすべてのディスクを楽しんだ。「日本人にしては」というエクスキューズのいらない高度な演奏ばかりである。TBMプロデューサーの藤井氏が監修し、ソニーの優秀なスタッフがDSDマスタリングした音質も素晴らしい。最近入手した13枚を3回に分けてメモしていきたい。

ココのブルース(紙ジャケット仕様)ココのブルース(紙ジャケット仕様)
和田直カルテット+2
日本一のブルース・ギタリストを目指していた和田直(すなお)の初リーダー作。見事なブルース・スピリットを聴かせてくれる。

トキ(紙ジャケット仕様)トキ(紙ジャケット仕様)
土岐英史カルテット
これも25歳のデビュー・アルバム。アルトとソプラノ・サックスの音がとても美しく、演奏も瑞々しい。渡辺香津美のギター伴奏があまりにうまいので、ピアノレス・カルテットだということにしばらく気づかなかった^^。

ステップ(紙ジャケット仕様)ステップ(紙ジャケット仕様)
宮本直介セクステット
関西で活動しているというだけでレコーディングの機会に恵まれなかったベテラン・ベーシストのデビュー・アルバムで、コルトレーンやショーターの影響を感じさせるスリル溢れる演奏。ジャケットデザインも秀逸だ。

アランフェス協奏曲(紙ジャケット仕様)アランフェス協奏曲(紙ジャケット仕様)
金井英人クインテット
幻の「銀巴里セッション」にも参加していたベーシストによるプログレッシブなジャズ。僕はフリーはどちらかというと苦手なのだが、表題曲には鳥肌が立つほど感動した。

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2007年03月25日

Straight Ahead Records (2)

高音質レーベルStraight Aheadの紹介を続けよう。2005年に発売された3枚のデュアルディスクの感想である。

デュアルディスクというのは日本では馴染みが薄いと思うが、この場合は片面がCD層、反対側にステレオDVD-Audio層を記録したもので、2枚のディスクを貼り合わせた形になっている。通常のCDよりほんの少し分厚く、CD層は信号記録面までの距離がやや短いなど、いわゆるレッドブック規格に準拠していない。CDプレーヤーでの再生が100%保証されないことになるので、これを問題視するユーザーもいる。僕も少し心配していたが、PCも含め4台のプレーヤーで問題なく再生できた。

3枚に共通していえることだが、音質は本当に素晴らしい。しっとりとした生々しい音触で、驚くほどのディテールが捉えられているし、低域の迫力やダイナミクスもさすがだ。マルチマイク録音なので、例えばMA Recordingsのような音場感はないが、最近のCheskyのジャズSACDに見られるような軟弱な音でもない。50〜60年代の「黄金時代」のジャズ録音を、そのままあらゆる面でグレードアップした感じである。

CD層も十分いいのだが、DVD-Audio層(24-bit, 96kHz)は音がさらに濃密かつなめらかになり、よりアナログ的なサウンドになる。DVD-Audioと書いたが、24-bit・96kHzのリニアPCMだから通常のDVD-Videoプレーヤーでも再生できることを強調しておきたい。
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2007年03月24日

Straight Ahead Records (1)

Straight Ahead RecordsStraight Ahead Recordsというレーベルをご存知だろうか。世界最高峰といわれるマスタリング・エンジニア、バーニー・グランドマンとプロデューサーのスチュワート・レヴァインが2005年に設立したオーディオファイル・レーベルで、「1950年代後半の録音の黄金期」のジャズ録音を再現するだけでなく、さらに発展させようという目標を掲げている。

バーニー・グランドマンは西海岸ジャズレーベルの雄コンテンポラリーでマスタリング・エンジニアを務めた後、A&Mのマスタリング部門を15年間率い、1984年に自らのマスタリング・スタジオをオープンした。コンテンポラリーのオーナーだったレスター・ケーニッヒ一家と親しかったことから、同レーベルで使われていた真空管式マイクを譲り受け、現在でも使用しているという。ちなみに「クラシック・レコーズ」の高音質LPの多くは、グランドマンのリマスタリングによるものだ。

また、A&M時代からグランドマンを支えてきたテクニシャンであるトーマス・"ベノ"・メイは、名エンジニア、ロイ・デュナンの下で長く働き、直接指導を受けた。マスタリング・コンソールやEQコンソールなど、グランドマン・マスタリング・スタジオの使用機材はほとんどすべて、彼がグランドマンと共に設計・開発したものだという。レコーディング・エンジニアは、主にクラシックやアコースティック音楽の録音を手がけてきた若き俊英、スコット・セディヨーだ。Straight Ahead Recordsはこのように、機材、人材、理念の点でコンテンポラリー・レーベルの伝統を色濃く受け継いでいる。

ビジネス面を切り盛りしているバーニーの息子さんのポールにきいた話を含め、同レーベルの録音手法について紹介しよう。
  • マスタリング・スタジオの共用スペース(ラウンジのように使用されていた)をそのまま録音スタジオとして利用。衝立のようなものは使うが、音響的に隔離された「ブース」はない。ミュージシャンはその部屋で一堂に会して、ライヴ・トゥ・2トラック方式で録音する。
  • 使用マイクはほぼ全て、コンテンポラリーから引き継いだヴィンテージものの真空管マイクで、複数を使用(2本だけではないということ)。それ以外の機器は独自に設計・開発したもの。
  • 録音データは、(1)CD用のコンピュータ、(2)DVD-Audio用のコンピュータ、(3)LP用のテープという3系統で同時に記録される。デジタルの方は、その後同じコンピュータでマスタリングを行い、デジタル領域での加工はほとんど行わない。
これまでに、このような方式で録音したDual Disc(片面がCD、片面が24-bit, 96kHzのDVD-Audio)とLPを3枚発売している。Dual Discのインプレは明日紹介したい。

余談だが、僕の好きなピアニスト、ビル・カンリフがGroove Noteから"Live At Bernie's"というSACD/CDを出しているが、これがグランドマン・マスタリング・スタジオの共用スペースで録音された最初のアルバムだそうだ。これも優秀録音として自信をもってオススメできる。

Straight Ahead Recordsの関連情報

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