>オーディオファン向け好禄音盤

2011年10月29日

RMAF2011レポート(4):音楽編

オーディオ・ショウに出展する楽しみのひとつに新しい音楽との出会いがある。Concert Fidelityの展示スタイルとして、来場者がCDやLPをもってきた場合は喜んでかけることにしている。もちろんこちらでも用意しているが、自分がよく知っている音源を聴いてもらった方が、システムの良さをよく理解してもらえると思うからだ。

RMAF2011レポートの最後に、今回出会った新しい音楽と、僕が用意して好評だった音源を紹介しよう。

Rodrigo y Gabriela / Live in Japan (CD)
Live in Japan (W/Dvd)Estelonのスピーカー設計者、アルフレッドさんが試聴に使っていたCD。アコースティック・ギター2本だけで世界中のリスナーに衝撃を与え続けている男女2人組のユニットのライヴ盤だ。アルフレッドさんが使っていたのは13曲目の"Tamacun"。「Are you fucking ready?!」つまり「いくぜ!てめえら!」というロドリーゴの叫びとともに始まるこの曲、強烈なギターのかき鳴らしだけでなく、(おそらく下が空洞になっている)舞台の床を踏みならすドン、ドン、という低域がどれだけ再生できるかがポイントだ。

Andreas Kapsalis & Goran Ivanovic / Guitar Duo (CD)
Guitar Duoシカゴで活動している、これも偶然だがアコースティック・ギター・デュオ。Andreas Kapsalisは名前からしておそらくギリシャ系で、スチール弦ギターを使いタッピング技法も駆使する。Goran Ivanovicはクロアチア出身でナイロン弦のクラシック・ギターだけを使う。バルカン民謡、クラシック、ジャズ、ロックなどの要素が混じり合ったオリジナル曲は知的で実験的にすぎる嫌いもあるが、ヴァーチュオシックな演奏と相まって、これまでにないユニークな音世界を生み出している。

Cowboy Junkies / Trinity Revisited (LP)
Trinity Revisited (Ogv) [12 inch Analog]有名な"Trinity Sessions"の20年後に同じトロントの教会で、Natalie MerchantやRyan Adamsなどをゲストに迎えて録音された。来場者が持ち込んだLPバージョンをうちの部屋でかけたのだが、ナチュラルな音が実に素晴らしかった。

Pat Metheny / What's It All About (LP)
What's It All Aboutこれは僕が最近入手して、音楽も録音も気に入ったのでRMAFに持って行った。アナログバージョンはLP2枚組で、CDに入っていないボーナストラックが2曲ある。かける度に絶賛されたのがA面2曲目の"Cherish"と1曲目の"The Sound of Silence"だ。

Count Basie and His Orchestra / 88 Basie Street (LP)
88 Basie Street中古レコード店で3ドルで入手したパブロのオリジナル盤(1983年録音)。このアルバムは数あるベイシー楽団の作品の中で特に音が良く、XRCDとして再発されるなど、オーディオファイルの憧れの的になっている。ハリウッドのOcean WayスタジオでAllen Sidesによって録音されたこのオリジナル盤は、実際びっくりするほど音が良く、演奏も最高だ。A面3曲目の"Contractor's Blues"をかけるたびに、部屋にいる人全員が笑顔になり、テンポを取ってノリノリになるのが嬉しかった。

Eva Cassidy / Songbird (LP)
Songbird [12 inch Analog]よく知られている傑作ヴォーカル・アルバム(ベスト盤)のLPバージョン。A面1曲目の"Fields of Gold"は何度聴いても感動的だ。

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2011年09月09日

ハリー・ピアソン氏宅訪問記(3)

米国オーディオ評論界の重鎮ハリー・ピアソン氏宅の訪問記の最終回(関連記事:その1その2)。リスニング・セッションでピアソン氏がかけてくれたレファレンス・ディスクを紹介しよう。色々なジャンルから取られていて、それぞれに聴き所があり、システムを多角的に検証するのに適したセレクションとなっているのはさすがである。

我々の訪問に備え、ピアソン氏と助手のJさんは事前にかける曲を選んでくれていたようだ。「アナログをかけるともうデジタルには戻れないので、まずCDから」ということで試聴が始まった。ちなみにB先輩のところでもそうだが、シリアスなオーディオファイルの試聴会でデジタルとアナログを両方聴く場合は、デジタルから始めるのが一般的だ。もちろん彼らのシステムではデジタルも相当のレベルに達しているのだが、高水準のアナログは必ず高水準のデジタルを上回るので、アナログをかけた後にデジタルに戻ると、何となくがっかりしてしまうのである。

High-Standards最初にかかったCDは、NYで活躍しているという女性ヴォーカリスト、Napua Davoyのスタンダード集「High Standards」である。僕は全く知らなかったが、調べてみると、自らピアノを弾き、作曲や劇作もし、メゾ・コントラルトでオペラからジャズ、ポップスまで幅広く唄うマルチタレント。ピアソン氏が「個人的に知っている歌手なんだ」と言っていた。ピアノとベースだけをバックにした、シンプルで好ましい録音だった。CDは彼女のウェブサイトから入手可能。

Hodie2枚目は、イギリスのWorcester Cathedral Chamber Choir(ウースター大聖堂室内合唱団)の「Hodie: Advent To Christmas」。Vaughan WilliamsやBrittenが作曲した20世紀のクリスマス・ソングが収録されている。これが「奥行き30メートル」という驚異の音場を出現させたCDだ。イギリスの教会で演奏されるオルガンや合唱を中心に録音しているマイナー・レーベル、Regent Recordsの作品で、アメリカ最大のクラシック専門オンラインショップ、ArkivMusic.comで入手可能。

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2011年05月24日

Puente Celeste / Nama

B004UMAPNGNama
Puente Celeste
M.a. Recordings 2011-05-10

by G-Tools
オーディオファイルにはお馴染み、MA Recordingsから新譜が届いた(レーベル紹介記事はこちら)。プロデューサーであり録音エンジニアでもあるタッド・ガーフィンクル氏が「自然な音響空間で1本のステレオマイクのみを使って2チャンネルの一発録音を行う」という独特の方針を貫くマイナーレーベルである。

Puente Celesteというアルゼンチンのグループは、MAの2大傑作「Sera Una Noche」と「La Segunda」の中心人物であるパーカッション奏者、Santiago Vazquezが97年に結成したもので、名前は「天空の橋」という意味。「Sera Una Noche」に参加していたリード奏者のMarcelo Moguilevskyと、「La Segunda」のギタリスト、Edgardo Cardozoもメンバーである。

タンゴやミロンガの伝統曲も演奏していたSera Una Nocheと異なり、Puente Celesteはメンバーのオリジナルのみを演奏する。これまでに発表されている4枚のアルバムからベストのレパートリーを選んで再演する、というのが本作「Nama」のコンセプトである。ボーカル入り(歌詞付き)は9曲、残る7曲はインスツルメンタルで、うち2曲は純粋な即興演奏。
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2011年05月10日

Kind of Blue LP3枚聴き比べ

B0041TM5OUKind of Blue [12 inch Analog]
Miles Davis
Sony 2011-04-12

by G-Tools
この間、B先輩宅でMiles Davisの大名盤“Kind of Blue”のLP3種類を聴き比べる機会があった。このアルバムはありとあらゆるフォーマットで何度も復刻されているが、最近、大手コロンビア/ソニーが180gの重量盤LPとして再発したので(2011年4月12日発売)、それをB先輩が持っている他の2種類のLPと比べてみよう、という趣旨である。

他の2種類とは、B先輩が百数十ドル出して購入した状態の極めて良好なオリジナル盤と、オーディオファイルの間ではリファレンスとされている、Classic Recordsの200g盤である。ちなみにClassic Recordsは去年破産してAcoustic Soundsに買収され、全タイトルが廃盤となった。この200g盤“Kind of Blue”も当然廃盤となり、今は中古市場で高く取引されている。

最近特にアナログもデジタルも奇跡的なレベルに達しているB先輩のシステムをおさらいしておくと、カートリッジはLondon Reference、トーンアームはHelius Omega、ターンテーブルはEAR Disc Master、フォノステージはEAR 324、ラインステージはEAR 912、パワーアンプはEAR 890(モノ接続x2台)、スピーカーはMarten Bird。ケーブルはJorma Origoが主で、所々にKubala-Sosna Elationが使われている。
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2011年03月30日

ジャズ以外の好録音盤の紹介:Kaiser Acousticsのデモ・ディスクから

音楽の話をしよう。

昨年10月のロッキー・マウンテン・オーディオ・フェスト(RMAF)で、コンサート・フィデリティはドイツのスピーカーメーカー、カイザー・アコースティクス(Kaiser Acoustics)と一緒に展示をした。カイザーのカウェロ(Kawero)というスピーカーが極めて優秀なことはここで詳しく書いたが、その展示の際に、スピーカーを設計したライナー・ウェバーさんから1枚のCD-Rをいただいた。

ショウで使うために様々な音楽を集めた彼の個人的なコンピレーションなのだが、これが凄くいいのである。スピーカーの長所を活かすべく録音の優れた曲が集められているだけでなく、実にいろんなジャンルから、幅広く優れた音楽が集められていて、ライナーさんのセンスの良さが伝わってくる内容なのだ。

このCD-Rは今年1月のラスベガスのショウでも大活躍したし、そのうち特に気に入ったものは僕もCDを探して入手した。最近「ジャズしか聴かない」症候群に陥っていたので、ジャズ以外の優れた音楽に触れたことは実に新鮮だった。

そこで、そのコンピレーションCDに収められていた曲から、特に気に入った4曲を紹介したい。

Jason Mraz "If It Kills Me" (from the Cassanova Sessions)
(CD: We Sing, We Dance, We Steal Things - Limited Edition, Disc II)

We Sing We Dance We Steal Things (W/Dvd)ジェイソン・ムラーツはサンディエゴを拠点に活躍する才能豊かなシンガーソングライターだ。2008年に発売されたアルバムは「全米初登場3位を記録。シングルカットされた「I'm Yours」は世界各国でNO.1を獲得、全米だけでセールス100万枚を突破した。また同曲は第51回グラミー賞で最優秀楽曲賞と最優秀男性ポップボーカル賞にノミネートされた」(Wikipedia)そうだが、僕はまったく知らなかった。(Mrazを「ムラーズ」と表記することもあるようだが、僕はベーシストのジョージ・ムラーツに慣れていることもあり、「ムラーツ」と書く方が自然に感じる。)
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2010年01月01日

2009年ベストディスク:録音編(デジタル)

2008年末に初めてターンテーブルを購入した僕にとって2009年はアナログ元年となり、音の良さに感動するのは圧倒的にアナログレコードの方が多かった。とはいえ、デジタルの方でも優秀録音ディスクがなかったわけではない。重複するのでここでは挙げないがジャズ・インスツルメンタル編やヴォーカル編で紹介した中でもマリア・ベターニア、ベニー・モウピン、トーマス・エンコ、マルガリータ・ベンクトソン、ダド・モロニなどは特筆すべき好録音盤だ。ここではそれ以外の優秀録音盤を順位なしで紹介する。

Opening (Dig)Opening
Mathias Landaeus
先日詳しく紹介したMA Recordingsの最新録音盤。ワンポイント・マイクによる高品位デジタル録音でピアノトリオのソノリティが自然かつ豊かに捉えられている。PCオーディオ専用のHi-Rezファイルを収めたDVD-ROMバージョンもある。購入はMA Recordingsまで。

Art of the Violin
Petteri Iivonen
クラシックの優れた新人を発掘しそのデビューCDを非営利ベースで制作しているYarlung Recordsの最新作。フィンランド出身のPetteri Iivonenのソロ・ヴァイオリンを中心とした24KゴールドCD。オーディオ的には、僕が同レーベルの最高作と考えている『Dialoghi』と同じ機材を使って(ただし違うホールで)録音されたということで注目される。Dialoghiよりややドライな印象を受けるが悪くない。同レーベルはウェブサイトから海外へも販売しているので、興味のある方は直接申し込んでいただきたい。(ただしこのタイトルは2010年1月1日現在で「近日発売予定」となっている)

Music from the Court of Burgundy
Ciaramella
Ciaramellaはロサンゼルスを拠点に活動している古楽アンサンブル。復元された15世紀当時の楽器(オーボエの前身shawm、リコーダー、バグパイプ、トロンボーンの前身であるslide trumpet, sackbut等)を使い、曲により女性2人男性2人の歌手を加えて、15世紀の宮廷音楽を演奏している。意図的に近接マイクを利用したためややドライで残響が少なめだが、Yarlungならではのナチュラルな音が楽しめる。

HANDSHANDS
ブライアン・ブロンバーグ
キングの低音シリーズからついに出た!という感じのCD。超絶技巧のブロンバーグが全編にわたってソロ・アコースティック・ベースを弾きまくる。注目されるのは、アナログ信号を一切用いないデジタルマイクを使って録音されたこと。マイクプリアンプもEQもベース・ピック・アップもアンプも使わず、生のベースの音を3本のデジタルマイクで拾って直接コンピュータに録音(24ビット・96kHz)したという。演奏も録音もややハッタリじみたところがあるが、オーディオファイルがシステムの自慢をするにはぴったりかも。

Made in the Shade
Sara K.
ドイツのStockfischレーベルから届いたSara Kの最新録音(ハイブリッドSACD)。アコースティック・ギター、ハープ、ハモンド・オルガン、フレットレス・ベースを中心に、曲によって管楽器やパーカッションが加わるといったユニークな編成で、いかにもハイファイ的な音を聴かせてくれる。(Eastwind Import取扱商品)

Cool Struttin (XRCD)
Sonny Clark
True Blue (XRCD)
Tina Brooks
Soul Station
Hank Mobley
Speakin My Piece (XRCD)
Horace Parlan
年末ぎりぎりに届いたブルーノート初のXRCDバージョン。XRCDの米国ディストリビューターが新たにAudio Waveという会社を立ち上げ、プロデューサーにJoe Harley、マスタリング・エンジニアにAlan Yoshidaを迎え、オリジナル・アナログ・テープから24ビットでのリマスタリングを行った渾身のシリーズの最初の4タイトルだ。期待にたがわず素晴らしい音で、RVGエディションのCDなど吹っ飛んでしまう!最近出たMusic Mattersの45回転LPと比べてもほとんど遜色がないというか、勝るとも劣らないから驚いた。Analogue ProductionsのSACDとはまだ比べていないが、ブルーノートのCDとしては間違いなく過去最高の音だろう。ブルーノートのファンもオーディオファイルもこれは必聴ですぞ!(EI取扱商品)

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2009年12月20日

Mathias Landaeus / Opening4

OpeningsMA Recordingsのタッド・ガーフィンクル氏から新作CDが届いた。MAは自然な音響空間で無指向性マイクを2本だけ用い、高品位デジタル方式でライブ録音を行う純粋志向の高音質レーベル。本作はスウェーデンのピアニストMathias Landaeusをリーダーとしたトリオ・アルバムで、ベースは世界的に有名なPalle Danielsson、ドラムはBobo Stensonなどと活動しているJon Fält。

MAとしては久々のジャズ作品でもある。珍しくスタジオ録音だが、スウェーデンラジオ放送局のスタジオは広々としていて観客席も設けられており、実際にはコンサートホールに近いそうだ。そんな恵まれた環境で録音された本作のサウンドはとても好ましい。ハンブルク・スタインウェイのコンサート・グランドの音はウォームで美しく、ワンポイント録音だと弱くなりがちなベースの音もしっかり録れていてバランスがいい。繊細かつダイナミックなドラムは演奏の様子がまざまざと目に見えるようだ。

Mathias Landaeus音楽的にはいわゆる北欧ジャズの典型的な要素(メランコリックで内省的なムード、ホリゾンタルなメロディ・ハーモニー展開の強調等)が多く含まれているが、「What A Wonderful World」のように明るくスイングする曲や、逆にフリーっぽくスリリングに展開していく曲もあり飽きさせない。3人のインタープレイは高次元だし、ピアニストの「ちょっとねじれた」感性がこちらの期待を微妙に裏切ってくれる感覚も心地いい。

オーディオ業界では最近PCをソースとした高品位デジタルファイルの再生が注目されているが、これまで高サンプルレートPCMもしくはDSDで録音してきたMAはこうした高品位デジタル音源の宝庫だ。MAでは最近、24ビット・96kHz以上の高品位デジタルファイルを収録したDVD-ROMを発売しており、この作品も24ビット・176.4kHzのWAVファイルと24ビット・88.2kHzのFLACファイルを収録した「Hi-Rez DVD-ROM」バージョン(通常CDも同梱)が発売されている。Hi-Rezファイルの再生環境が整っている人はぜひ試してみていただきたい。

本作品の購入はMA Recordingsまで。

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2009年02月25日

Analogue Productions Blue Note 45rpm再発シリーズ

Analogue Productions Blue Note 45rpm Reissue Seriesアメリカではアナログの復権が言われて久しいが、ここにきてジャズの歴史的名盤を高音質レコードで再発する動きが活発化してきた。古今東西、ジャズの再発といえばブルーノート。以前から色々なオーディオファイル・レーベルが様々な形で再発してきたわけだが、今回はAnalogue Productionsが力の入ったシリーズを投入してきた。Kevin Gray & Steve Hoffmanによるリマスタリング/カッティングで、RTIによる180g重量盤、しかも45回転の2枚組という強力な仕様だ。

僕はアナログを昨年12月に始めたばかりだけれど、ジャズ・オーディオ・ファンとしてこれほど魅力的なレコードはなかなかない。1タイトル50ドルと高いのだけれど、シリーズ25タイトル全部を予約すると送料が無料になることもあり、迷わずシリーズ購入を予約した。これまでに写真の13タイトルが届いている。

このシリーズのLPの音はびっくりするほどリアルで、同じタイトルのCDやDVD-Audio、SACDバージョンを軽く蹴散らしてしまう。特に抜けの良さと音像の実在感が素晴らしい。45回転だから片面に1〜2曲しか入っておらず、頻繁に席を立ってレコードをかけかえる必要があるが、音質のためならそれくらいの不便さは気にならない。

これを音質面で上回る可能性があるのはブルーノートのオリジナル盤だけだと思うが、このシリーズは現代の高性能再生システムを前提にリマスタリングされており、45回転という利点もあるので、いくつかの点でオリジナル盤を上回っている可能性もある。いつかオリジナル盤を手に入れることができたら比べてみたいものだ。

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2009年01月22日

2008年ベストディスク:録音編

僕が2008年に聴いたディスクの中から選ぶ「ベスト・ディスク」シリーズの最後は優秀録音編。ジャズもクラシックも最新録音の水準は高く「オッ、なかなか」と思うものはたくさんあったが、ここで選んだのはそういうレベルを超え、ビックリするほど音の良いディスクだ。基本的に2008年発売のものを対象にしたが、一部2007年発売のものも混じっている。

1位
DialoghiDialoghi
Elinor Frey & David Fung
ロサンゼルスを本拠に若手ミュージシャンを発掘している新興クラシック・レーベル、Yarlung Recordsは、スタジオを使わないホール録音、ヴィンテージ真空管マイク2本だけを使った高サンプルレートのPCM録音、Steve HoffmanとKevin Grayによるマスタリング、そしてCDプレス工場の選択にまで気を配る高音質レーベルでもある。同レーベルの作品のうち、おそらく録音面での最高傑作はこのCD。ピアノと特にチェロの音が自然かつ鮮明に録られており、試聴会やシステム調整用のレファレンス・ディスクとして大活躍している。プログラムの半分は現代音楽で、黛 敏郎(まゆずみ・としろう)が書いた独奏チェロのための「文楽」も収録されている。三味線の音をチェロで表現する超絶技巧には驚いた。

2位
ブルー・モンクブルー・モンク
リチャード・デイビス ジュニア・マンス
1曲目、まずジュニア・マンスのピアノの音の解像度の高さ、力強さとスケール感に「おお〜」と唸らされ、リチャード・デイビスの重厚なベースが入ってくるとさらに「うーん」と唸らされる。そして2曲目、デイヴィスのアルコによるベース・ソロの凄絶なまでの迫力には「参りました」とひれ伏すしかない。日本のエンジニアが日本のスタジオで録音したジャズ作品で、これほど音のいいものがあるとは。キングレコードさん、やりますなぁ。これもリファレンス・ディスクとしてよく使った。

3位
Blue MinorBlue Minor
ハンク・ジョーンズ ジョージ・ムラーツ ビリー・キルソン
これも日本人が日本のスタジオで録音した作品。全体的に水準が高く、特にドラムの音が超リアル! 最初からきちんとDSD録音されたSACDには高いポテンシャルがあることを再認識させてくれるディスクだ。ジャズの新作をDSD録音してSACDとして発売するレーベルは世界広しといえどもEighty-Eight'sしかない(と思う)。ソニー本体に見限られたSACDは行く末が懸念されるが、Eighty-Eight'sにはできるだけ長くこのやり方を続けて欲しいと思う。

4位
スタムニングスタムニング
ザ・リアル・グループ&エリック・エリクソン
スウェーデンが誇る驚異のア・カペラ・グループが母国の賛美歌や民謡をシンプルに(得意の楽器表現を使わずに)歌った傑作。録音も素晴らしく、涙が出るほどの感動をもたらしてくれる。

5位
Melancholy DelightMelancholy Delight
Espen Rud
ノルウェーのベーシストTerje Geweltが自ら運営するレーベルResonant MusicのCDはどれも音質水準が高い。これはオスロの有名なRainbow Studioでの録音で、バリトンサックス、ヴィブラフォン、ギター、ベース、ドラムというユニークな音色の組み合わせが秀逸。

6位
Just a Little Lovin'Just a Little Lovin'
Shelby Lynne
中堅カントリー・シンガーのShelby LynneがDusty Springfieldにインスパイアされて作ったアルバムで、2008年アメリカのオーディオファイルに愛されたヴォーカルCDの1枚だ。プロデューサーがPhil Ramone、録音とミックスがAl Schmitt、マスタリングがDoug Sax。バックはアコースティックギターやエレピを中心とするミニマルな編成で、声も楽器も鮮明に録られていて質感が高い。あえてアナログ録音にこだわり、スタジオに全員が入って「せーの」で一発録音したのが高音質につながった。

7位
風と共に去りぬ風と共に去りぬ
ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ
僕の好みからすると内容はちょっとメロウすぎるが、HQCDで発売された最新録音は極めて美しく、ベースの迫力もなかなか。音の良さのうちどれだけがHQCDの新素材によるのかは分からないが、SHM-CDと同様の技術を利用していることと、本作の音質の良さを考えればHQCDにもポテンシャルがありそうだ。

8位
ラブ・ダンスラブ・ダンス
カレル・ボエリー・トリオ
ルイス・ヴァン・ダイク盤と同じM&Iレーベルから発売された作品だが、こちらは通常のCD。音質はヴァン・ダイク盤と比べるとやや劣るかもしれないが、暖かみのあるピアノの音が魅力的だ。(ちなみに音楽的にはヴァン・ダイク盤よりこっちの方が僕の好みだ)

9位特別賞:アナログLP
Analogue Productions Blue Note 45RPM Reissue Series
Various Artists
僕は2008年、ついにレコードプレーヤーを導入した。実は低音が出ないというミステリアスな問題がまだ解決しておらず、現時点ではサブウーファーで低域を補うという邪道な再生しかできないのだけれど、それでもこの45回転LP復刻盤の音はすでにCDを凌駕している。Steve HoffmanとKevin Grayがマスタリング・カッティングを担当し、RTIでプレスされた180g重量盤(RTIプレス工場見学記はこちら)。全部で25タイトルが発売予定で、うち"Blue Train"を始めとする9タイトルを入手済み。僕は全タイトルを予約しているので、今後各タイトルがプレスされる毎に送られてくることになっている。ちなみにこの25タイトル、LPと同時にSACDも発売される。

10位特別賞:再発CD
ソニー・クラーク・トリオ+6ソニー・クラーク・トリオ+6
ソニー・クラーク
内容面の素晴らしさで「ジャズ・インスツルメンタル」編にも登場したTimeレーベルSHM−CD復刻シリーズ10枚をセットで5位に挙げたい。オリジナル・テープの調査、テープ再生機器の吟味からバーニー・グランドマンによるマスタリング、JVC横浜工場でのSHM-CDプレスに至るまで、すべてにこだわり抜いた音質は素晴らしい。特に2chにミックスダウンしてリバーブが加えられる以前の、3トラック・レコーディング・テープから新たにミックスダウンされたトラックは鳥肌が立つほど抜けが良く、リアルだ。このシリーズについては、再発プロデューサーの田口晃さんからきいた話をもとに記事を書く予定なのでお楽しみに。

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2008年10月05日

SHM-CD

B001BEELGIこれがSHM-CDだ!ジャズで聴き比べる体験サンプラー
最近日本で話題になっているSHM-CD。Super High Material CDという、これまた日本特有のヘンテコな英語だけれど、オーディオファイルの方はもうご存知だろう。規格としては普通のCDだが、LCDに使われる透明度の高いポリカーボネート素材を使ってレーザーの読み取り精度を上げ、音質の向上を図る、というアレである。

ユニバーサルとJVCが共同開発し、昨年末頃から主にユニバーサルがその厖大なカタログをこのSHM-CDで再発している。ダウンロードに押されてCDの魅力が低下している現在、もう一度音楽ファンにCDを買ってもらおうという努力の一環だと思うが、通常CDよりも値段を高く設定し、輸入盤なら1000円程度で手に入るジャズの<昔の名盤・定番>を2800円で売り出しているところが強気だな〜。

最近は大手競合他社のEMIが追随し、基本的に同じものを「HQCD」として発売。これも、これまで何度も再発されてきたジャズの<名盤>をまたまた再発し始めている。

<CDの改良版>はこれまでにもたくさんあったが、実際に効果があるかどうかは疑わしい。僕は当初、SHM-CDについてはかなり懐疑的で、ほぼ<知らん顔>をしていた。まじめに聴いてみなければいけないな、と思ったのは、XRCDの生みの親で、僕のオーディオの師匠でもある田口晃さんから「これは本物だよ」ときいたからである。
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