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2010年01月03日

2009年ベストディスク:アナログレコード編

2009年ベストディスクの最終回はアナログレコード編。2009年にいちばんたくさん聴いたのも、オーディオ的にいちばん感動したのもアナログレコード。色々聴いているうちにアナログの欠点も見えてきたけれど、やはり抜けの良さや音のリアルさといった点で、デジタルは良くできたアナログには決してかなわないと思う。

今回紹介するのは、2009年中に聴いた新品アナログレコードのうち音質と内容が共に素晴らしく感動させられた20枚。中古盤にももちろん良いものはあったが、きりがないので「新品」(新譜LPか再発盤)というしばりをかけることにした。最近のアナログブームはたいしたもので、ジャズに限っても追いつかない勢いで高音質再発盤が続々と発売されている。なお、紹介する順番は順位ではなく、アーティストのラストネームのアルファベット順である。

Chet [12 inch Analog]
Chet Baker
Analogue Productionsによる180g復刻盤。マスタリングはダグ・サックス。チェット・ベイカーが最高の共演人を得て録音した傑作のひとつ。泣きたくなるほど音がいい。(Eastwind Import取扱商品)

Tribute To Cole Porter [180g LP+Hybrid SACD]
Bassface Swing Trio & Barbara Burke
ドイツの高音質レーベルStockfischから届いた珍しいセット。内容はピアノトリオ+女性ヴォーカルによるコール・ポーター・ソングブックなのだが、ライヴ・トゥ・2トラックDSD録音と同時にメタルマスターのダイレクト・カットを行ったもので、180gLPとハイブリッドSACDが同梱されている。500セット限定プレスで、アナログとCDとSACDの比較ができるという点でも貴重だ。歌手の実力にはクエスチョンマークがつくが、さすがに音はいい。(EI取扱商品)

ボディ&ソウル [12 inch Analog]
ジャンニ・バッソ ジャンニ・バッソ&レナート・セラーニ
オーディオファイルの間で賛否が分かれるヴィーナス・レコードだが、200g重量盤レコードの品質は世界でも最高レベルだ。音源はデジタル録音だが、24ビットのデジタルデータからD/A変換しているからか、CDより数段音がいい。サーフェスノイズの低さなど、日本プレス盤のモノとしての品質は間違いなく世界一だ。
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2010年01月01日

2009年ベストディスク:録音編(デジタル)

2008年末に初めてターンテーブルを購入した僕にとって2009年はアナログ元年となり、音の良さに感動するのは圧倒的にアナログレコードの方が多かった。とはいえ、デジタルの方でも優秀録音ディスクがなかったわけではない。重複するのでここでは挙げないがジャズ・インスツルメンタル編やヴォーカル編で紹介した中でもマリア・ベターニア、ベニー・モウピン、トーマス・エンコ、マルガリータ・ベンクトソン、ダド・モロニなどは特筆すべき好録音盤だ。ここではそれ以外の優秀録音盤を順位なしで紹介する。

Opening (Dig)Opening
Mathias Landaeus
先日詳しく紹介したMA Recordingsの最新録音盤。ワンポイント・マイクによる高品位デジタル録音でピアノトリオのソノリティが自然かつ豊かに捉えられている。PCオーディオ専用のHi-Rezファイルを収めたDVD-ROMバージョンもある。購入はMA Recordingsまで。

Art of the Violin
Petteri Iivonen
クラシックの優れた新人を発掘しそのデビューCDを非営利ベースで制作しているYarlung Recordsの最新作。フィンランド出身のPetteri Iivonenのソロ・ヴァイオリンを中心とした24KゴールドCD。オーディオ的には、僕が同レーベルの最高作と考えている『Dialoghi』と同じ機材を使って(ただし違うホールで)録音されたということで注目される。Dialoghiよりややドライな印象を受けるが悪くない。同レーベルはウェブサイトから海外へも販売しているので、興味のある方は直接申し込んでいただきたい。(ただしこのタイトルは2010年1月1日現在で「近日発売予定」となっている)

Music from the Court of Burgundy
Ciaramella
Ciaramellaはロサンゼルスを拠点に活動している古楽アンサンブル。復元された15世紀当時の楽器(オーボエの前身shawm、リコーダー、バグパイプ、トロンボーンの前身であるslide trumpet, sackbut等)を使い、曲により女性2人男性2人の歌手を加えて、15世紀の宮廷音楽を演奏している。意図的に近接マイクを利用したためややドライで残響が少なめだが、Yarlungならではのナチュラルな音が楽しめる。

HANDSHANDS
ブライアン・ブロンバーグ
キングの低音シリーズからついに出た!という感じのCD。超絶技巧のブロンバーグが全編にわたってソロ・アコースティック・ベースを弾きまくる。注目されるのは、アナログ信号を一切用いないデジタルマイクを使って録音されたこと。マイクプリアンプもEQもベース・ピック・アップもアンプも使わず、生のベースの音を3本のデジタルマイクで拾って直接コンピュータに録音(24ビット・96kHz)したという。演奏も録音もややハッタリじみたところがあるが、オーディオファイルがシステムの自慢をするにはぴったりかも。

Made in the Shade
Sara K.
ドイツのStockfischレーベルから届いたSara Kの最新録音(ハイブリッドSACD)。アコースティック・ギター、ハープ、ハモンド・オルガン、フレットレス・ベースを中心に、曲によって管楽器やパーカッションが加わるといったユニークな編成で、いかにもハイファイ的な音を聴かせてくれる。(Eastwind Import取扱商品)

Cool Struttin (XRCD)
Sonny Clark
True Blue (XRCD)
Tina Brooks
Soul Station
Hank Mobley
Speakin My Piece (XRCD)
Horace Parlan
年末ぎりぎりに届いたブルーノート初のXRCDバージョン。XRCDの米国ディストリビューターが新たにAudio Waveという会社を立ち上げ、プロデューサーにJoe Harley、マスタリング・エンジニアにAlan Yoshidaを迎え、オリジナル・アナログ・テープから24ビットでのリマスタリングを行った渾身のシリーズの最初の4タイトルだ。期待にたがわず素晴らしい音で、RVGエディションのCDなど吹っ飛んでしまう!最近出たMusic Mattersの45回転LPと比べてもほとんど遜色がないというか、勝るとも劣らないから驚いた。Analogue ProductionsのSACDとはまだ比べていないが、ブルーノートのCDとしては間違いなく過去最高の音だろう。ブルーノートのファンもオーディオファイルもこれは必聴ですぞ!(EI取扱商品)

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2009年12月31日

2009年ベストディスク:ヴォーカル編

2009年中に聴いたヴォーカルCD(アナログレコードは除く)から選んだベスト6を紹介する。

1位
スピーク・ロウスピーク・ロウ
ジャッキー・ライアン
ジャッキー・ライアンはカリフォルニア在住で、地元で何度かライヴを見たこともあり、以前から大好きな歌手の一人。最新作は豪華共演陣を迎えた会心作で、安定感のある歌唱、多彩な選曲、趣味の良い編曲、ゲストミュージシャンの好演と魅力がいっぱい。歌手として最高の時期にさしかかっているのではなかろうか。日本でメジャーレーベル(EMI)から発売されたことも喜ばしい。アメリカでは自主レーベルから2枚組みの『Doozy』として発売されているから、日本盤は曲を絞り込んだのだろう。

2位
ソー・イン・ラヴソー・イン・ラヴ
ロバータ・ガンバリーニ
正統派ジャズ歌手筆頭株の地位を確立したように見えるロバータ・ガンバリーニ待望の新作は期待を裏切らない出来。自信に満ちた歌唱はスケールが大きくなったようだし、タミール・ヘンデルマン、チャック・バーグホファー、ジェフ・ハミルトンやジェームズ・ムーディといった地元のお気に入りミュージシャンが活躍しているのも嬉しい。

3位
ターン・ミー・ルースターン・ミー・ルース
イーデン・アトウッド
ロサンゼルスで行われた収録の前夜祭に招かれイーデンやピアノのデイヴィッド・モーゲンロス、ドラムのジョー・ラバーバラ、プロデューサーの三具さんや小針さんとお会いしたこと、11月にはCD発売記念来日ツアー中のイーデンのライヴを大阪で見たことは僕の2009年のハイライトになった。可憐・繊細な歌手からダイナミックでスケールの大きな表現者に成長(変身?)したイーデンの姿がライヴさながらの迫力で捉えられている。

4位
ホエア・ザ・ミッドナイト・サン・ネヴァー・セッツホエア・ザ・ミッドナイト・サン・ネヴァー・セッツ
マルガリータ・ベンクトソン
ザ・リアル・グループのころから注目しているマルガリータ・ベンクトソンは、ジャズ歌手には珍しい透き通った美しいソプラノヴォイスの持ち主。ソロデビューとなった前作『アイム・オールド・ファッションド』も良かったが、最新作はそれを上回る。アンドレアス・エーベルグのギターとベースとトロンボーンだけをバックに歌う1曲目やスモール・ビッグバンドのアレンジが秀逸なタイトル曲は感動的だし、トランペットとのデュオでキーだけを決めて一発録音したという「My Funny Valentine」は鳥肌もの。ただし「Dat Dere」は僕にはちょっと滑っているように思われる(笑)。飾り気のない録音も素晴らしい。

5位
Maria Bethania Sings the Vinicius de Moraes SongbookMaria Bethania Sings the Vinicius de Moraes Songbook
Maria Bethânia
最後の2枚はジャズではないが、田口晃さんに教えてもらった素敵なヴォーカル盤。これはカエターノ・ヴェローゾの妹マリア・ベターニアが歌ったインティメットなヴィニシウス・ヂ・モライス歌集で2006年の作品。歌の力と美しさに打ちのめされる思いがする。「作った音だが、とても巧く作っている」と田口さんが評する録音も最高。

6位
Safe Trip HomeSafe Trip Home
Dido
最近「ジャズしか聞かない男」になりつつある僕にとって完全に守備範囲外だったポップスのCD。田口さんに教えてもらわなければ存在すら知らずに終わっただろう。彼の自宅で聞かせてもらった後ですぐさまハリウッドのアメーバ・レコードへ行って中古盤を手に入れたことが楽しい思い出なった。いわゆるハイファイ的な音ではないが音作りはしっかりしており、何より「癒し系」という言葉だけでは片付けられないダイドの鋭い感性とセンスの良さを感じる。

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2009年ベストディスク:ジャズ・インスト編

2009年ベストディスク:ジャズ・インスト編

毎年恒例の「ベスト・ディスク」を発表しよう。まず、2009年中に聴いたジャズ・インスツルメンタルCDの中から気に入った11枚をリストアップしてみた(どうしても10枚に絞れなかった!)。今年はアナログをたくさん聴いたので新譜のCDを聴く枚数が減ったかもしれない。アナログレコードのベスト・ディスクは後ほど別稿で紹介する。

1位
Right on TimeRight on Time
Graham Dechter
このブログで何回か書いた期待の新人ギタリスト、グレアム・デクターの豪華なデビューCD。世界初(本人談)のインタビューを敢行し(大げさ?)『ジャズ批評』に記事を書いたこと、CD発売記念ライブで4人のミュージシャン全員にサインをもらったことなどが2009年のよい思い出になった。

2位
SymbiosisSymbiosis
Jeff Hamilton Trio
僕はこのグループが現在世界最高のピアノトリオのひとつであると信じて疑わない。スイングするというのはこういうことをいうのだよ、諸君!と自分のことでもないのに自慢したくなる快演だ。グレアム・デクター盤と録音スタジオもスタッフも同じで時期も近いのに、なぜかこちらのほうが音がいい。

3位
Early ReflectionsEarly Reflections
The Bennie Maupin Quartet
今年見たライヴの中ではベニー・モウピンとバスター・ウィリアムズのデュオが特に強烈な印象を残した。そんなモウピンがポーランドのミュージシャンとポーランドで録音したのが本作で、内容も録音も素晴らしい。ライヴでも聴いた「Escondido」が最高だ。
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2009年01月22日

2008年ベストディスク:録音編

僕が2008年に聴いたディスクの中から選ぶ「ベスト・ディスク」シリーズの最後は優秀録音編。ジャズもクラシックも最新録音の水準は高く「オッ、なかなか」と思うものはたくさんあったが、ここで選んだのはそういうレベルを超え、ビックリするほど音の良いディスクだ。基本的に2008年発売のものを対象にしたが、一部2007年発売のものも混じっている。

1位
DialoghiDialoghi
Elinor Frey & David Fung
ロサンゼルスを本拠に若手ミュージシャンを発掘している新興クラシック・レーベル、Yarlung Recordsは、スタジオを使わないホール録音、ヴィンテージ真空管マイク2本だけを使った高サンプルレートのPCM録音、Steve HoffmanとKevin Grayによるマスタリング、そしてCDプレス工場の選択にまで気を配る高音質レーベルでもある。同レーベルの作品のうち、おそらく録音面での最高傑作はこのCD。ピアノと特にチェロの音が自然かつ鮮明に録られており、試聴会やシステム調整用のレファレンス・ディスクとして大活躍している。プログラムの半分は現代音楽で、黛 敏郎(まゆずみ・としろう)が書いた独奏チェロのための「文楽」も収録されている。三味線の音をチェロで表現する超絶技巧には驚いた。

2位
ブルー・モンクブルー・モンク
リチャード・デイビス ジュニア・マンス
1曲目、まずジュニア・マンスのピアノの音の解像度の高さ、力強さとスケール感に「おお〜」と唸らされ、リチャード・デイビスの重厚なベースが入ってくるとさらに「うーん」と唸らされる。そして2曲目、デイヴィスのアルコによるベース・ソロの凄絶なまでの迫力には「参りました」とひれ伏すしかない。日本のエンジニアが日本のスタジオで録音したジャズ作品で、これほど音のいいものがあるとは。キングレコードさん、やりますなぁ。これもリファレンス・ディスクとしてよく使った。

3位
Blue MinorBlue Minor
ハンク・ジョーンズ ジョージ・ムラーツ ビリー・キルソン
これも日本人が日本のスタジオで録音した作品。全体的に水準が高く、特にドラムの音が超リアル! 最初からきちんとDSD録音されたSACDには高いポテンシャルがあることを再認識させてくれるディスクだ。ジャズの新作をDSD録音してSACDとして発売するレーベルは世界広しといえどもEighty-Eight'sしかない(と思う)。ソニー本体に見限られたSACDは行く末が懸念されるが、Eighty-Eight'sにはできるだけ長くこのやり方を続けて欲しいと思う。

4位
スタムニングスタムニング
ザ・リアル・グループ&エリック・エリクソン
スウェーデンが誇る驚異のア・カペラ・グループが母国の賛美歌や民謡をシンプルに(得意の楽器表現を使わずに)歌った傑作。録音も素晴らしく、涙が出るほどの感動をもたらしてくれる。

5位
Melancholy DelightMelancholy Delight
Espen Rud
ノルウェーのベーシストTerje Geweltが自ら運営するレーベルResonant MusicのCDはどれも音質水準が高い。これはオスロの有名なRainbow Studioでの録音で、バリトンサックス、ヴィブラフォン、ギター、ベース、ドラムというユニークな音色の組み合わせが秀逸。

6位
Just a Little Lovin'Just a Little Lovin'
Shelby Lynne
中堅カントリー・シンガーのShelby LynneがDusty Springfieldにインスパイアされて作ったアルバムで、2008年アメリカのオーディオファイルに愛されたヴォーカルCDの1枚だ。プロデューサーがPhil Ramone、録音とミックスがAl Schmitt、マスタリングがDoug Sax。バックはアコースティックギターやエレピを中心とするミニマルな編成で、声も楽器も鮮明に録られていて質感が高い。あえてアナログ録音にこだわり、スタジオに全員が入って「せーの」で一発録音したのが高音質につながった。

7位
風と共に去りぬ風と共に去りぬ
ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ
僕の好みからすると内容はちょっとメロウすぎるが、HQCDで発売された最新録音は極めて美しく、ベースの迫力もなかなか。音の良さのうちどれだけがHQCDの新素材によるのかは分からないが、SHM-CDと同様の技術を利用していることと、本作の音質の良さを考えればHQCDにもポテンシャルがありそうだ。

8位
ラブ・ダンスラブ・ダンス
カレル・ボエリー・トリオ
ルイス・ヴァン・ダイク盤と同じM&Iレーベルから発売された作品だが、こちらは通常のCD。音質はヴァン・ダイク盤と比べるとやや劣るかもしれないが、暖かみのあるピアノの音が魅力的だ。(ちなみに音楽的にはヴァン・ダイク盤よりこっちの方が僕の好みだ)

9位特別賞:アナログLP
Analogue Productions Blue Note 45RPM Reissue Series
Various Artists
僕は2008年、ついにレコードプレーヤーを導入した。実は低音が出ないというミステリアスな問題がまだ解決しておらず、現時点ではサブウーファーで低域を補うという邪道な再生しかできないのだけれど、それでもこの45回転LP復刻盤の音はすでにCDを凌駕している。Steve HoffmanとKevin Grayがマスタリング・カッティングを担当し、RTIでプレスされた180g重量盤(RTIプレス工場見学記はこちら)。全部で25タイトルが発売予定で、うち"Blue Train"を始めとする9タイトルを入手済み。僕は全タイトルを予約しているので、今後各タイトルがプレスされる毎に送られてくることになっている。ちなみにこの25タイトル、LPと同時にSACDも発売される。

10位特別賞:再発CD
ソニー・クラーク・トリオ+6ソニー・クラーク・トリオ+6
ソニー・クラーク
内容面の素晴らしさで「ジャズ・インスツルメンタル」編にも登場したTimeレーベルSHM−CD復刻シリーズ10枚をセットで5位に挙げたい。オリジナル・テープの調査、テープ再生機器の吟味からバーニー・グランドマンによるマスタリング、JVC横浜工場でのSHM-CDプレスに至るまで、すべてにこだわり抜いた音質は素晴らしい。特に2chにミックスダウンしてリバーブが加えられる以前の、3トラック・レコーディング・テープから新たにミックスダウンされたトラックは鳥肌が立つほど抜けが良く、リアルだ。このシリーズについては、再発プロデューサーの田口晃さんからきいた話をもとに記事を書く予定なのでお楽しみに。

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2009年01月18日

2008年ベストディスク:ジャズ・インスト編

僕が2008年に聴いたディスクの中から選ぶ「ベスト・ディスク」シリーズ、今回はジャズ・インスト編をお届けしたい。

1位
Five for FunFive for Fun
High Five
2008年のベストにこれを挙げる人はかなり多いのではないだろうか。イタリアから届いたこの爽快なハードバップ・アルバムのインパクトは大きかった。これほどノリが良く、スカッとさせてくれるジャズ・アルバムは珍しい。

2位
デュエットデュエット
チック・コリア&上原ひろみ
音楽性の高さとライヴ録音のエキサイティングな即興性にワクワク・ドキドキ・ハラハラさせられる傑作。

3位
The Remedy - Live At The Village VanguardThe Remedy - Live At The Village Vanguard
Kurt Rosenwinkel
アメリカのメジャー・レーベルと契約していた数少ない本格派ジャズミュージシャンであるカート・ローゼンウィンケルも自主制作組合ArtistShareに移籍。この壮絶なライヴアルバムには2006年6月に見たライヴを彷彿とさせる迫力がある。

4位
Season of ChangesSeason of Changes
Brian Blade Fellowship
これまでもそうだが、天才ドラマー、ブライアン・ブレイドのリーダー作はドラム演奏よりも作曲を重視した作りになっているのが興味深い。全体を通じて祈りを捧げているような精神性を感じるアルバムで、3位に挙げたギタリスト・ローゼンウィンケルも活躍している。

5位
アクト・ユア・エイジ(DVD付)アクト・ユア・エイジ(DVD付)
ビッグ・ファット・バンド
高い精神性とは無縁の(笑)ビッグバンドの最新作はあまり印象に残らなかった前作より出来がよく、とことん楽しい。チック・コリアと共演した「セニョール・マウス」が特にいいね。


6位
MOMENT'S NOTICEMOMENT'S NOTICE
ALAN BROADBENT TRIO
今年聴いた(数多くの)ピアノトリオ盤の中でピカイチだったのがこれ。ブロードベントの美しいタッチと高度なハーモニー感覚、驚異的なソロの展開力に脱帽。ベテラン・ベーシスト、パター・スミスの唸り声が大きいのはご愛敬。

7位
新世紀~Out of tracks~新世紀~Out of tracks~
ジョバンニ・ミラバッシ
才能豊かなミラバッシの最新作は期待に違わぬ出色のトリオ・アルバムだ。「南へ帰ろう」の美しさは感動的だし、爽やかな力溢れる「ル・シャン・デ・パルチザン」やピアノトリオでの演奏は珍しい「インプレションズ」など聴きどころが多い。

8位
黒水仙黒水仙
リニー・ロスネス
才媛ロスネスがピーター・ワシントン、ルイス・ナッシュという最強のリズムセクションを得て恩師ジョー・ヘンダーソンゆかりの曲に挑んだ傑作。日本発のピアノトリオ盤にはあまりスイングせず、耳当たりだけよくて内容の薄いものも散見されるが、これはびしっと筋の通った本格派だ。

9位
ワーズ・アンスポークンワーズ・アンスポークン
ギラッド・ヘクセルマン
最近活躍が著しいイスラエル出身ジャズミュージシャンの中でも若手のヘクセルマン。才能豊かな新人の実質的な初リーダー・アルバムが日本経由で紹介されるところがおもしろい。彼の実力を認めたNYの中堅・実力派ミュージシャンが脇をガッチリ固めた会心の作品で、メセニーを消化しローゼンウィンケルを追うテクニックと歌心が存分に発揮されている。彼が今後大きく羽ばたくことは間違いない。

10位
ソニー・クラーク・トリオ+6ソニー・クラーク・トリオ+6
ソニー・クラーク
日米で2008年中に発売された再発盤の中で突出しているのが、XRCDの生みの親である田口晃氏がプロデュースしたTimeレーベルの10枚だ。オリジナル・テープの調査、未発表曲の掘り起こしからバーニー・グランドマンによるマスタリング、JVC横浜工場でのSHM-CDプレスに至るまで、こだわりの田口さんがすべてにこだわり抜いたCDは内容・音質ともに素晴らしい。再発盤はこうあるべきという見本のようなシリーズだ。

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2009年01月12日

2008年ベストディスク:ヴォーカル編

さて、毎年恒例の個人的「ベスト・ディスク」を発表しよう。まず、2008年中に聴いたヴォーカル・アルバムの中から特に気に入ったベスト5をリストアップしてみた。特にしばりをかけたわけではないが、今回は全部2008年中に発売されたものになっている。2008年は個人的にはヴォーカル不作の年だったかもしれない。好きな歌手の最新作や話題の若手のデビュー作品を買ってみたけどイマイチ…というケースが多かったような気がする。それでも、ここにあげる5枚は僕の心にバッチリとヒットしたものだ。

1位
What Lies WithinWhat Lies Within
Denise Donatelli
結婚して子育ても終えてから、ジャズ歌手になる夢をあきらめられず、2005年に遅咲きのデビューを果たしたデニース・ドナテッリの最新作は、天才ジェフリー・キーザーをアレンジャーに迎え、ロス在住のオールスター・バンドを従えた豪華なアルバムだ。キーザーの難しいアレンジを完璧にこなすドナテッリの技量は素晴らしいのひとことだし、バンドの演奏もグレイト!

2位
Live at Jazz Standard, Vol. 2Live at Jazz Standard, Vol. 2
Dena DeRose
何度かライヴを見ているディナ・ディローズはあくまで「歌も歌うピアニスト」だが、このライヴアルバムでは歌もピアノも素晴らしい。マーティン・ウィンド(ベース)、マット・ウィルソン(ドラム)というパートナーを得て、エキサイティングな高水準のジャズを聴かせてくれる。

3位
Serve or SufferServe or Suffer
Roseanna Vitro (Delirium Blues Project)
Delirium Blues Projectという訳の分からないグループ名と、魅力のない(笑)カバーイラストでかなり損をしているのではないかと思われるが、これは実に素晴らしいジャズアルバムなんである。ロザンナ・ヴィトロが選んだ様々なジャンルの曲を魔術師ケニー・ワーナーがアレンジし、ランディ・ブレッカー、ジェームズ・カーター、ジョン・パティトゥッチを含むオールスター・バンドがNYブルーノートで演奏した様子を捉えたライヴ・アルバムなんだから。それにしても、2008年はケニー・ワーナーが大活躍した年だった。

4位
キー・ラーゴの夜キー・ラーゴの夜
テッサ・ソーター
イギリス出身の元ジャーナリストで歌手に転身したという変わり種。この人も遅咲きのデビューで無名の新人だが、ヴィーナスが超一流のミュージシャンと組ませて豪華なアルバムをプロデュースした。透明感と陰影感が絶妙にバランスした美しい声の持ち主で、テクニックも文句なし。バックでは特にピアノのケニー・ワーナーが大活躍し、デュエットで演奏する「The Look Of Love」がアルバムの白眉となっている。

5位
サマー・サンバサマー・サンバ
ローラ・アン&クワトロ・ナ・ボサ
テクニックはまだ未熟かもしれないが、少しハスキーでしっとりした声の魅力にやられてしまった。典型的なボッサの唄い方よりソウルフルで力強いところがいい。全曲文句なしというアルバムではないが、情熱的な「Eu Sei Que Vou Te Amar」など、ずばぬけて素晴らしい曲がいくつかある。

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2008年02月05日

2007年ベストディスク:ヴォーカル編

新緑・再発盤のいずれも2007年に発売されたものがほとんどだが、中には2006年発売のものも混じっている。

1位
On the Other SideOn the Other Side
Tierney Sutton
曲名を見るとHappyという言葉が並んでいるが、これは「幸福」という状態をただノーテンキに歌ったアルバムではない。幸福を追求するというのはどういうことかを問いかけ、その行為の裏側に潜む危険や哀しみにも迫った意欲作だ。コンサートでサットンが言っていたが、ちょうど中間に"Haunted Heart"が挿入されているのは偶然ではない。アルバムの雰囲気とそぐわないジャック・シェルドンとのデュエット曲だけはない方がよかった^^;。

2位
Breakfast on the Morning TramBreakfast on the Morning Tram
Stacey Kent
ステイシー・ケントはその過度にコケティッシュな唄い方が気にくわず、僕は今まで敬遠していた。ブロッサム・ディアリーに似すぎているという印象も僕にとってはマイナスだった。しかし、このCDで彼女は大きく飛躍したのではないだろうか。純粋なジャズというよりジャジーなアダルト・ポップという趣もあるが、曲、アレンジ、演奏、歌唱とすべてにおいてレベルが高い。カズオ・イシグロが作詞した"The Ice Hotel"は長く印象に残った。

3位
Why Can't You BehaveWhy Can't You Behave
Kristin Korb
ベースを弾きつつ見事な歌をきかせるクリスティン・コーブはLAジャズシーンですっかりおなじみ。最新作はルー・マシューズ、スティーヴ・バーンズ、アンディ・マーティン、ラリー・クーンスというLAの精鋭たちがサポートしており、ごきげんにスイングする。
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2008年02月03日

2007年ベストディスク:ジャズ新譜編

すっかり遅くなってしまったが、2007年の私的ベスト盤をまとめておこう。延ばし延ばしにしていたら2月に入ってしまい、ちょっとマヌケだが、2005年、2006年と続けているので書かずに済ませてしまうのはちょっと悔しいのである。

「今日買ったディスク」シリーズを中断してしまったこともあり、2007年に何枚のディスクを買ったのかはわからない。CDを輸入販売する商売を始めたので全体的にはものすごい数を購入しているが、全部メモする余裕はなくなってしまった^^;。

さて、2007年の新譜ジャズ・インスツルメンタル部門である。一応順位はつけたが、2位以下の順番にはそれほどこだわりはない。

1位
Sky Blue
Maria Schneider Orchestra
僕の中ではダントツの1位。ジャズを超えたジャズ。20分を超える壮大な"Cerulean Skies"は鳥肌モノ。とにかく感動させられた。

2位
ア・スウィンギング・ランデブーア・スウィンギング・ランデブー
ヤン・ラングレン・トリオ
現在僕が最も愛するピアニストの1人、ラングレンの新作は、力強いスイングと洗練された美しさが同居する傑作だ。

3位
THOU SWELL 君はすてきTHOU SWELL 君はすてき
ニューヨーク・トリオ
ビル・チャーラップの録音については米ブルーノートよりヴィーナスの方がよっぽどいい仕事をしていると思う。特にこの最新作は1曲目から強烈にスイングしていて最高!
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2007年01月12日

2006年ベストディスク:録音編

年初来続けてきた「2006年ベスト」の最後は優秀録音編の10枚。ジャズもクラシックも最新録音の水準は高く「オッ、なかなか」と思うものはたくさんあったが、ここで選んだのはそんなレベルをはるかに超えて、ビックリするほど音の良いディスクだ。オーディオファンが音質チェックのためのリファレンスとして、また仲間を驚かせるために^^使えるものばかりだと思う。

もちろん内容的にも優れていて、他の部門でベストに挙げたかったディスクを、音が良いためにあえてこちらに持ってきたものも多い。なお、順番はジャズを最初に、クラシックを後に便宜的に並べたもので、順位というわけではない。

ニューヨーク・アンカヴァード(XRCD)ニューヨーク・アンカヴァード[XRCD]
国府弘子
有名な録音エンジニア、ジム・アンダーソンがスチューダーのテープ・レコーダーを使った「ライヴ・トゥ・2トラック」のアナログ録音を、JVCが誇るXRCDの最新進化形態であるXRCD24 (24 bit super analog)技術を使ってA/D変換・マスタリング・CD製造を行った、驚愕の超高音質CD。内容も素晴らしい。

JoeMcQueenTen at 86 [Hybrid SACD]
Joe McQueen & Friends

ケーブルで有名なレイ・キンバー氏が開発した「IsoMike」で録音した珍しいディスク。ホールのステージで演奏するジャズコンボを離れた場所から2本のマイクだけで捉えたピュアな録音だ。リミッターやコンプレッサーを一切使用していないので、ボリュームを通常よりかなり上げなければならないが、その分ダイナミクスが大きく、ディテール、音色、遠近感も見事。システムが良ければ良いほど凄い音が出てくる究極のリファレンス・ディスクだ。

ロンターノLontano
Tomasz Stanko Quartet
SACDでもXRCDでもない通常のCDとしては驚くべき高音質。ECMには好録音盤が多いが、これはタダゴトではない。ピアノの音には暖かみがあり、シンバルのディテール、ベースの力強さ、そしてトランペットの幽玄さが見事に捉えられているし、ダイナミクス・レンジも半端ではない。いつものレインボウ・スタジオではなくフランスのスタジオで録音したからかも。Gerard de Haroというエンジニアの名前は覚えておこう。
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