ピアニストの友人に連れられてブルーノートへ行ったときのこと。ハンク・ジョーンズのザ・グレーテスト・トリオの演奏でした。僕はバンドメンバーなんて調べずに行ったんですが、そこで見たドラマーのリー・ピアソンに衝撃を覚えました。なんじゃこいつは!と。
なにしろスティックではなく手で叩き始めるわ、演奏しながら飲み物飲むわ、身を乗り出してバスドラをスティックで叩くわ。挙句の果てには帽子を脱いでスティックを頭に乗せる。そしてそのまま演奏する。観客は大喜びでしたが、ハンクさんがまるで目立たなかった^^
演奏家というよりはまるで曲芸家でした。
でもテクニックは本物だし、演奏自体は派手ではありますがトラディショナルなジャズと言った印象です。ブラシワークにも卓越してて、しっとりしたバラードでは本当にムーディに演奏できてる。優れたジャズドラマーです。そしてそれだけの実力がありながら、観客を楽しませることを忘れない。
例えばどんな優れた演奏でも、子供やジャズを初めて聞いた人はいまいちピンと来ないわけです。そういった人がリーピアソンのドラムソロを見たら、「ジャズって楽しい音楽なんだな」と感じてくれると思うんです。ああ、パフォーマーってこうあるべきだなと僕は思いました。
まあブルーノートに子供もジャズ初心者もほとんどいないと思いますが^^
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ちなみにブルーノートへ行った数ヵ月後、ハンクさんは亡くなりました。ジャズの歴史とともに生きてきたようなハンク・ジョーンズ。生で見れて良かった!ご冥福をお祈りします。