2014年05月05日

5/5 La Folle Journee au Japon / 小曽根 真 featuring No Name Horses

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La Folle Journee au Japon 2014 / ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 2014
Makoto Ozone featuring No Name Horses

2014年5月5日 19:45-, 21:30- 東京国際フォーラム ホールC

#345 5/5 19:45- Gershwin x Gershwin
No Strings Attached (Makoto Ozone) – Short version
Rhapsody in Blue (George Gershwin / Arr. by Makoto Ozone)
Someone to Watch over Me (George Gershwin / Arr. by Makoto Ozone)

#346 5/5 20:30- Gershwin x OZONE
Rhapsody in Blue (George Gershwin / Arr. by Makoto Ozone)
No Strings Attached (Makoto Ozone) – Full version
Someone to Watch over Me (George Gershwin / Arr. by Makoto Ozone)

小曽根真(p)、中村健吾(b)、高橋信之介(ds)
エリック・ミヤシロ(tp)、木幡光邦(tp)、奥村晶(tp)、岡崎好朗(tp)
中川英二郎(tb)、片岡雄三(tb)、山城純子(b-tb)
近藤和彦(as, ss, fl, piccolo)、池田篤(as)、三木俊雄(ts)、岡崎正典(ts, cl)、岩持芳宏(bs, bcl)
たぶん、、岡田勇輔(照明)、伊藤文善(音響) 

文章が長くなったので、参考動画リンクを上においておきます。
小曽根 真(p) ロヴェルト・トレヴィーノ指揮 シンフォニア・ヴァルソヴィア / ラプソディ・イン・ブルー LFJナント2014

Someone to Watch over Me / PROUD x MILFORD SOUND CM


今年のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンは、5/2前夜祭「アメリカの夜」での小曽根さんとジャン=ジャック・カンタロフ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアの「ラプソディ・イン・ブルー」で幕を開けました。比較的、地味な印象を持っていたこのオケでしたが、小曽根さんとのケミストリーの中で、スウィングと呼ぶのか、アメリカ的なグルーヴを強く魅せていました。ポーランドの底力をまたも見ました。本当に素晴らしい演奏でした。ナントでの演奏をストリーミングで見ることができます(指揮者が違います)。
http://concert.arte.tv/fr/la-folle-journee-soiree-de-cloture

そして、ホールCでの最終公演がNo Name Horsesの「ラプソディ・イン・ブルー」。今年のLFJは10人の作曲家をテーマにした「祝祭の日」でしたが、その一人が、ジョージ・ガーシュウィンとそのお友達ナディア・ブーランジェ。背景には本家ナントのテーマが「アメリカ」だったことがあり、ホールA「#316」という全体の締めはあったものの、隠れテーマだった「アメリカ」を締めるのがこの公演でした。
ホールCに入ると照明が創り出す華やかで落ち着いた空間に目を奪われます。岡田さんだと思いますが、もはや岡田さんは小曽根さんの音楽の大切な一部です(音響はおそらく伊藤さん)。「Road」の照明も素晴らしかったですし。今回は、ピアノはYAMAHA CF-Xではなく、スタインウェイでした。CF-Xの驚異的な表現力に魅了されつつ、スタインウェイらしい響きもまた魅力です。

「ラプソディ・イン・ブルー」はジャズ的に捉えられることが多いものの、構造的に自由度が高い訳ではなく、編曲するということについては、ずっと原曲を超えられないと思っていました。カデンツァを自由に弾くということも見かけ以上に難しいと思います。その中で小曽根さんが着実に足場を築きその距離を縮めてきて、その集大成がニューヨークフィルとの共演であり、その満を持して取り組んだ今回のアレンジ、原曲のよさを損なうことなく、色彩感とダイナミックな魅力が増しています。
基本的に「ラプソディ・イン・ブルー」を長くするということは、持ち味の展開のスピード感が損なわれることと表裏一体で、今回は約2倍の長さですが、ブラスのインパクトと色彩感で、変化点を強調することでむしろスピード感は増しています。フォービートやラテンやさまざまなリズムの移り変わりを盛り込むことで、ニューヨークのモザイク状の街の構造や、心地よい喧噪を彷彿させ力強いパワーを生み出していました。

ガーシュウィンはアレンジがすごく得意ではなかったようですが、確かに、小曽根さんがおっしゃるように、ガーシュウィンがビッグバンドにアレンジするならこんな風にしたいと思える、珠玉のアレンジでした。

「No Strings Attached」は、もともとピアノトリオに書かれた曲ですが、ビッグバンドアレンジによって新しい命を得ています。特にコレクティブインプロビゼーションは圧巻でした。今回、LFJをみまわして気づいたのは、プログラムの中で管打楽器、特に金管楽器フォーカスが弱いということでした。日本のほぼすべての中学高校にブラスバンドがあり、500万人近い吹奏楽経験者がいる中で、クラシックに有機的なつながりをもたないまま、卒業とともに去って行きます。LFJでももっと金管や打楽器もフォーカスされたら、そうだ、No Name Horsesがあった!!メンバーの名前がプログラムにクレジットされるだけで大分違ったかもしれません。今後のLFJで何かうまく発展したらいいなあ、と勝手に思いました。
# 345の3曲目、# 346のアンコールで演奏されたのが、「Someone to Watch over Me」。サックスアンサンブルの美しいハーモニーから始まる美しい曲。野村不動産CMで「PROUD×MILFORD SOUND」で放映されていました。ずっとずっと聴きたかった名アレンジだったので、この機会に生で聴けてとても嬉しかったです。(まったく余談ですが、この曲は「著作権の切れたスタンダードの名曲」で、All the Things You Areと並んで覚えておくと便利です!?)すばらしい、今年のLFJの締め括りになりました。

最後に触れておきたいことがあります。ジョージ・ガーシュウィンから、ナディア・ブーランジェ、クインシー・ジョーンズ、そして小曽根さんへ。今回のLFJのテーマ作曲家のひとりが、ジョージ・ガーシュウィンがいますが、お友達にフランスの作曲者・教育者ナディア・ブーランジェを連れてきたという設定になっています。お弟子さんには、レナード・バーンスタイン、アーロン・コープランド、ミシェル・ルグラン、アストル・ピアソラ、フィリップ・グラス、キース・ジャレット、エグベルト・ジスモンティなどがいますが、その最も世界に影響を与えたお弟子さんは、クインシー・ジョーンズです。小曽根さんはクインシーの弟子になった訳ではないですが、クインシーはバークリー大学卒業時に小曽根さんの実力を見抜いて、クインシーのプロデュースによるデビューを提案されます。それを断る形でCBSからデビューします。30年にわたって小曽根さんの気持ちの片隅にはクインシーへの想いがあったと思います(No Name Horsesのメンバーの多くもクインシーを尊敬していますし、塩谷哲さんもそうですね)。昨年の亀田誠治さんプロデュースによるクインシー・ジョーンズ・トリビュート・コンサートへのNo Name Horsesの出演を経て、クインシーのデイヴ・ウェックル・バンドのライブへの来訪など、バークリー卒業時以上に小曽根さんの音を最大級に認め、喜んでいるように思います(上から目線にしかならなくてすみません)。

その意味で、ガーシュウィンのオリジナル版に始まり、小曽根さんのビッグバンドアレンジで締めくくられた今回のLFJは、ガーシュウィン、ブーランジェ、クインシー、「アメリカ」というキーワードの中で大きな意味があったのではないかと思います。

ルネ・マルタンさんは、立ち止まることなくLFJを常に革新的に変えて行きたい、これからのLFJはこの10年とは違う形にするといいます。その中で小曽根さんがどんな新しい音を聴かせてくれるのかとても楽しみです。

Posted by jazzworld at 23:45│Comments(0)TrackBack(0)

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