のし日和。

日本のどこかの高校で国語を教えている人の備忘録的雑記の集まり。思いついたことをあれこれと。

寺田恵子『いのちの授業』

今日は、本を一冊紹介しようと思います。

私は、担当しているクラスでよく本の紹介をします。
文学、評論、実学的な新書から気軽に読めるお話まで、ジャンルにとらわれない様々な本を紹介するように心がけています。

私がこのような試みをするようになったのは、たまたま懇意にしていただくようになった図書館の司書の先生の「どうにも最近の高校生、特に新入生の図書館の利用状況が思わしくない。」という一言でした。
私個人としては、中高生のうちはたくさんのいい本と出会い、その中でも一生付き合っていけるような素敵な本と出会うことのできる貴重な期間だと思っています。
ただ、「たくさん本を読みなさい。」と言っても、ほとんどの中高生にはどの本が良くてどの本が悪いかということはわかりません。(本当は悪い本などないのですが・・・)
そこで大切なのは、教師の側からいかに生徒たちにとって「良い本」を紹介するかです。
残念ながら、本の紹介(これをブックトークと言います。私も図書館の司書の先生から教えていただきました。)をしてくださる先生はあまりいないようで、これに関しては私個人としては本当に残念に思います。
そこで、私は何を読んでいいかわからない生徒たちのために、「私個人が心からおすすめできる本を紹介しよう」と思うようになりました。

幸いなことに、私が紹介した本をたくさんの生徒たちが借りてくれるようになり、私が紹介した本は必ず借りる、という生徒まで出てくるようになったのは本当に嬉しく思います。

今日は、私が今までに紹介した本の中から一冊の本を紹介しようと思います。

寺田恵子『いのちの授業』(学習研究社)※詳しくはこちらで。

私は生徒に対して、「この本を読みなさい。」と命令口調で押し付けるような真似だけはしたくないと常日頃から思っています。
ただ、この本だけは心から中学生、高校生に読んでほしいと願います。

昨今、DVを始めとした家庭内の問題や、虐待、孤食、様々な親と子供をめぐる社会問題が取り沙汰されています。
また、若い世代での性の氾濫や若い世代における妊娠、出産の不安や弊害なども日々のニュースの中で取り上げられるようになりました。
私は、この本をこれから新たな《いのち》を育んでいく中学生、高校生に是非とも読んでもらいたいと思います。

《いのち》を授かるとはどういうことなのか。
《いのち》を育むとはとういうことか。 

この本の中にはそういった大切な問いに対するヒントが優しい言葉で散りばめられています。

また、この本は、すでに親となった保護者の方にも是非読んでいただきたいと思います。
これまで子供を育てるにあたって感じてきた苦労、初めて我が子と対面したときの歓び、これまでお子さんと歩んできた足跡を鮮明に思い出すことが出来るはずです。

最後に、私が図書館の先生から依頼されたこの本の紹介文を載せてこの本の紹介を終わりたいと思います。


 私には《いのち》を深く語る言葉も経験も持ち合わせていませんが、この本の中には《いのち》と日々向き合う現場に身を置く筆者の優しい言葉が溢れています。
 《いのち》を巡る様々な問題が取り沙汰される昨今、これから新しい《いのち》を育んでいくあなたたち中学生、高校生に手にとって欲しい本だと思います。また、もしこの本を手に取ったなら、是非保護者の方にも読んでもらってください。どの世代の人が読んでも学ぶところの大きい本です。
 この本を読み終わったとき、きっと自分にも他の人にもちょっぴり優しくなれるはずです。

伊勢物語(あづま下り)②-和歌の修辞-

さて、今回は「あづま下り」の中に出てくる「から衣…」という歌の修辞についてです。
この歌は、主要な和歌の修辞が満遍なく使われているので、単になかなか凝った歌というだけでなく、古典の特に和歌の学習にはもってこいの教材です。

前回、〈散文中の和歌を理解するとはどういうことか〉についてお話しました。
今回も、前回お話しした内容が重要になってくるので、まずはこちらをしっかりと読んでおいてください。続きを読む

古典文法-動詞の活用③

今回は動詞の活用の識別のお話です。

前回、動詞の活用における「特定の19語」の話をしました。(詳しくはこちら
今回の話でも、この「特定の19語」が非常に重要になってきます。
というよりも、この「特定の19語」が頭に入っていないとお話になりません。
しっかりと頭に叩き込んでおきましょう。続きを読む

伊勢物語(あづま下り)①-散文中の和歌を理解するということ-

から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ

『伊勢物語』の「あづま下り(東下り)」の中に出てくるあまりに有名な歌です。
恐らく、ほとんどの高校の古典の授業の中で「あづま下り」の段は扱われると思いますが、それは一つに和歌の修辞を学習するのに非常に適した教材であることが理由として挙げられます。

今回は、この「から衣…」の歌を使って和歌の修辞について話をしようと思います。

最近のセンター試験では、毎年必ずといっていいほどに和歌が出題されています。
以前のセンター試験であれば、極端な話、問題文を読まなくても設問だけで答えを出せてしまう、ある意味での悪問がありました。
事実、そのようなセンター試験の解き方を取り上げた参考書が非常に流行しました。
しかし、ここ数年のセンター試験では、その方法は全く通用しません。

よく、「効率よく得点を伸ばす方法を教えてくれ」という質問を受けますが、そんな方法は存在しません。
文法事項を基礎からきっちりと固め、ある程度の古典常識を知った上で、問題文を丁寧に読み込む。
それが一番誠実な解き方ですし、一番正確な解き方です。
センター試験は内容さえつかめてしまえば比較的に楽に選択肢を吟味できるので、安易な方法を模索するのではなく、問題文としっかり向き合う姿勢を養うことの方が大切です。(そのためには日々の学習が大切になるのですが…)

さて、なぜいきなりセンター試験の話を出したかというと、季節柄センター試験が近づいてきているから、というわけではありません。
センター試験には、「問題文を丁寧に読み込んで内容がしっかりと把握できているか」を見定めようという意図が感じられます。
その際、一番手っ取り早く、かつ受験生を引っ掛けやすい問題を作成するには和歌を出題するという方法が最も理に適っています。
センター試験で出題される和歌は、「散文中の和歌を理解するとはどういうことか」を端的に示しています。

「散文中の和歌の理解」についても、「から衣…」の歌を使って説明していきます。
続きを読む

古典文法-動詞の活用②

今回の話は動詞の活用その2です。

活用そのものの話に入る前に、「活用の種類」と「活用形」の違いについて話しておきましょう。
意外と混同している高校生も多いので、ここできちんと区別しておきます。

活用の種類とは、活用の仕方によってカテゴライズ(分類)したものです。
つまり、動詞、形容詞、形容動詞は様々に活用しますが、活用の仕方の特徴によって分類したもの、それが「活用の種類」です。
一般に「~活用」の形で表されます。

活用形とは、活用した後の単語の形を表す言葉です。
一般に「~形」と表されます。
ここで、活用形の識別の仕方も説明しておきます。
活用形には、未然形/連用形/終止形/連体形/已然形/命令形の6つがありますが、以下に識別の方法をまとめておきます。

未然形:活用語に「ず」をつける。
連用形(用言に繋がる形):活用語に「て」をつける。
終止形(文末に現れる、基本形とも言う):言い切りの形(ウ段)にする。
連体形(体言=名詞に繋がる形):活用語に「時」をつける。
已然形:逆説の接続助詞「ども」をつける。
命令形:大抵の場合已然形と同じ形になる。
※已然形の識別に関して、「ば」をつける、と教えられる場合があると思いますが、これはあまりオススメしません。古典には、「ば」の助詞が接続する形として「未然形+ば」と「已然形+ば」の二つがあり、必ずしも「ば」という助詞が已然形に接続するとは限らないからです。

例も挙げておきましょう。
例:ハ行四段活用「食ふ」の場合。
未然形:食は(食ふ+ず=食はず)
連用形:食ひ(食ふ+て=食ひて)
終止形:食ふ
連体形:食ふ(食ふ+時=食ふ時)
已然形:食へ(食ふ+ども=食へども)
命令形:食へ

例を見ても分かると思いますが、動詞(厳密には形容詞や形容動詞も同様に)には活用する部分と活用しない部分があるのに気づくと思います。
活用しない部分を語幹(「食ふ」の場合、「食」の部分)活用する部分を活用語尾(「食ふ」の場合、「ふ」の部分)といい、活用表を完成させるときには、語幹と活用語尾は区別して表記します。

前置きが長くなりましたが、以上が動詞の活用を押さえる上での基本になります。

では、いよいよ活用の話に入っていきましょう。続きを読む
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