今回は動詞の活用の識別のお話です。

前回、動詞の活用における「特定の19語」の話をしました。(詳しくはこちら
今回の話でも、この「特定の19語」が非常に重要になってきます。
というよりも、この「特定の19語」が頭に入っていないとお話になりません。
しっかりと頭に叩き込んでおきましょう。
さて、肝心の動詞の識別ですが、より正確に言えば、ここからの話は「四段・上二段・下二段をいかに識別するか」ということになります。
というのも、四段・上二段・下二段以外の正格活用、変格活用は単語が決まっていますので(=特定の19語)、見た瞬間にどの活用の種類に属するかが分かってしまいます。
厄介なのが四段・上二段・下二段の活用で、これは数え上げられないほどたくさんの動詞があります。
したがって、この3つの活用の種類のうち、どの活用の種類に属するかを判別できることが、動詞の識別のミソになるのです。

四段・上二段・下二段のいずれの活用の種類に属するかを判別するには、3つのプロセスを踏みます。
以下にその3つのプロセスをまとめておきます。


〈動詞の判別の3つのプロセス〉
① 終止形を考える。
※終止形とは基本的に文末に出てくる活用形。ラ変以外の活用に関しては、全てウ段の音に直す。(ラ変の終止形は全て「り」)
②特定の19語に含まれるかをチェック。
※終止形を考えた上で特定の19語に含まれていれば、その段階で活用の種類は判明する。
③特定の19語に含まれていない場合、その段階で四段・上二段・下二段のいずれかの活用になる。
この3つのいずれの活用になるかをチェックするためには未然形を確認する。
※未然形の確認方法:活用語に「ず」(打消の助動詞)をつける。
「ず」をつけた上で、
a 活用語尾がア段の音になっている→四段活用
b 活用語尾がイ段の音になっている→上二段活用
c 活用語尾がエ段の音になっている→下二段活用


この3つのプロセスがきちんと使えるようになれば、動詞の活用の判別にそれほど苦労することはなくなるはずです。

では、実際に具体例を挙げながらこのプロセスを実践してみましょう。

① 「かばかりになりては、a飛び降るるとも降りなむ。いかにかく言ふぞ」
② 手にうちb入れて、家へc持ちてdぬ。

a~dの動詞の活用の種類を答えることはできますか?

上記の3つのプロセスに当てはめて考えていきましょう。
① 終止形を考える。
a 飛び降る(とびおる) b 入る(いる) c 持つ(もつ) d 来(く)

② 特定の19語に含まれているか。
a,b,c:含まれない
d:カ行変格活用
この段階でdの動詞の判別は終了。

③ 未然形を確認し、活用語尾をチェック。
a~cに「ず」をつけます。
a:飛び降ず b:入ず c:持
a=活用語尾がイ段→ラ行上段活用
b=活用語尾がア段→ラ行四段活用
c=活用語尾がア段→タ行四段活用
となります。


この作業は、とにかく慣れが大切なので、何度も繰り返していくうちに体が覚えます。
用言の活用や助動詞の活用などは、何度も書いて手を動かし、頭で理解するというよりは、体に覚えこませてください。
時間はかかりますが、定着という意味では最も確実な方法のはずです。

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