現在地球上では、人間の乗り物に対して依然としてガソリンなどをはじめとする、石化燃料を浪費し続けていると思う。地球温暖化防止のため、京都議定書などで規制しようとしているCO2規制など、依然として、先進国、開発途上国など、経済発展から生じる各国のエゴがあからさまに現れ、なかなかまとまらない状況です。我々の最も身近な自動車など、乗り物について、どれだけ石化燃料をムダにしているか、また、CO2削減ができるかを考えてみたい。
ロンドン市内では、今年、7月末からレンタルが始まった公営の貸自転車制度が好評だそうです。私もかつて自宅から、電車の最寄り駅まで自転車を利用していたので、この記事を読んで大変共感しました。ロンドンの銀行や証券会社が集まる金融街、シティーの通勤時間帯に多くのビジネスマンが青い自転車をこぐ姿が目立つそうです。市内335カ所に、自由に自転車を借りたり、また乗り捨てたりできる駐輪場が用意されているそうです1)。 駐輪場に自転車が無かったり、満杯だったりした場合も、パネル画面で近くの空き状況が分かるそうです。大変便利だと思います。
ヨーロッパではベロシティーと言って、フランスからスタートした自転車乗り捨て制度は、かなり以前から実施されています。横浜を始めとして、日本の各都市でも、少し前からこのような貸自転車制度が、主として観光客向けに実施されているようです。日本もロンドンの様なしっかりしたシステムを導入すれば、通勤の主役が自転車になるのではないでしょうか。今のところロンドンのように、通勤の主役に自転車が取り入れられたというのは聞きませんが、渋滞緩和、CO2排ガス抑制、更に運動不足の解消・交通費節約のためにもベストだと共感しました。ただ気をつけなくてはいけないことは、自転車による交通マナーも大事で、ルールを十分守り、交通事故の原因になってはいけないという事です。
一方、将来、より厳しくなると思われるCO2規制や石油の枯渇化のため、10年後、20年後に訪れるであろう電気自動車社会は、どのような社会だろうか。もっと未来予想図を描かなければならないのではないでしょうか。 なぜなら、この社会を構成する主要な技術が大きく進歩しそうだからです。リチウムイオン電池と電気自動車、充電設備に大きな技術革新が起きて、現在予想されている電気自動車社会よりも、もっと大きく飛躍した世界が広がっているかも知れません。 リチウムイオン電池は液晶パネルや太陽電池に作り方が似ているので、大容量化、低価格化は急速に進むと思われます。今はガソリン車が“電気自動車化”した段階で、電気自動車の変化も大きいのではないでしょうか。現在、普及されているハイブリッドカーから、これから各社で売り出される予定の電気自動車でも、既存のガソリン車の“電気自動車化”という開発手法が用いられているようです。だから、これらが将来の電気自動車の理想形であるかどうかには疑問が残ります。
電気自動車の設計思想というか設計法については、まだしっかりしたものがないと聞いています。 電気自動車を考える上での大きな課題は、航続距離性能だそうです。あちらこちらで“電欠”して立ち往生する電気自動車が現れたのでは、電気自動車社会への進歩が大きく阻害されてしまいます。電気自動車の製造は、従来のガソリン車製造と比べて、電池を除けば、構造が単純で、部品数、ノウハウと圧倒的に少なくてすむので、小規模の会社でも、低いコストで短期間に作り出すことができるそうです。そんな訳で、既に現在でも、中国では大小併せて22社以上の電気自動車会社が活動していると聞いています。更に、電気モータのスクーターは1500万台/年製造されており、結構これらの基礎技術が4輪車にも活かされていると思われます2)。これからは、中国が電気自動車大国になるかも知れません。
人間は本来、健康のことを考えても、特に大都市では自転車の有効利用を行うべきと思います。ヨーロッパでは、特にこのことを重視して、国、地方都市を先頭に、自動車の都市中心への走行を制限して、渋滞緩和、CO2削減のためにも、自転車の有効利用が実施されています。勿論、そのための専用道路などのインフラも十分整えられているそうです。私が思うには、現状、どうしても4輪車を使うのであればなるべく複数の人に乗ってもらい、一人一台の自動車は、大きなエネルギーの浪費をしていると考えるべきです。利用者の使用状況にもよりますが、自転車以外に、どうしても一人で乗り物を利用するのであれば、四輪車でなく、電動自転車、電動スクーター、バイクなどの利用を進められれば良いと思います。近い将来、四輪車を使う場合、電気自動車の比率が年々増すでしょう。コスト的に見ても、現状、通常のガソリン車走行では、15円/kmが、電気自動車では1円/kmということで、明らかな省エネ対策になるはずです。(小泉)
分献
1)日本経済新聞2010年9月26日 朝刊
2)http://agora-web.jp/archives/1030670.html