2015年12月17日

法人課税に関する平成28年度税制改正大綱について

 先日、与党の平成28年度税制改正大綱が公表されました。今回の法人課税に関する改正事項では、法人税率の引き下げが大きな目玉となっています。主な改正事項を下記します。

1.法人税の税率の段階的引き下げ
(神 28 年4月1日以後に開始する事業年度ついては23.4%
∧神 30 年4月1日以後に開始する事業年度ついては23.2%

2.減価償却制度
 平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備及び構築物の償却の方法について、定率法が廃止され定額法のみとなります。また、鉱業用の建物・建物付属設備・構築物についても、定額法又は生産高比例法の選択となります。

3.欠損金の繰越控除制度
\朕Х臑散發篋匈佳纂唆發旅欺限度割合について、平成28年4月1日以後開始事業年度より、一年ごとに100分の60、100分の55、100分の50と段階的に引き下げられます。
∪朕Х臑散發篋匈佳纂唆發侶越期間について、平成30年4月1日以後開始事業年度より現行の9年から10年に延長されます。また、法人税の欠損金額に係る更正の期間制限も10年に延長されます。

4.法人に係る地方税率の改正
 平成28年4月1日以後開始事業年度より、法人実効税率の引き下げを意識してか、資本金1億円超の普通法人について、法人事業税の所得割が引き下げられる一方、付加価値割や資本割が引き上げられます(負担変動の軽減措置あり)。また、地方法人特別税の税率も引き上げられます。

5.その他
\源裟向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度は、適用期限をもって廃止されます。
交際費等の損金不算入制度について、 その適用期限を2年延長するとともに、接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人の損金算入の特例の適用期限が2年延長されます。
C羮企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例について、対象となる法人から常時使用する従業員の数が1,000 人を超える法人を除外したうえで、その適用期限が2年延長されます。

税理士 齋藤 忠志[http://www.saito777.com]
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2015年04月01日

企業交際費、想定より低調 13年度は6.3%増どまり

 国税庁によると、2013年度の企業の交際費支出は3兆825億円となり、前年度に比べて6.3%、1815億円増えたようです。13年度から中小企業の交際費の非課税枠が拡大し、14年度からは大企業も交際費の一部を非課税にできる税制措置も一因とみられています。

 今回は交際費等の非課税枠の拡大について、非課税となる接待飲食費の範囲をとりあげます。

 交際費等の損金算入限度額は、平成26年4月1日以後開始事業年度より接待飲食費の50%相当額となり、従前の全額損金不算入より一部非課税となります。

 但し、中小法人は接待飲食費の50%と定額控除限度額(800万円)のいずれか大きい金額を損金算入とすることができます。

 この接待飲食費とは、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用であり、帳簿書類により飲食費であることが明らかにされているものをいいます。

 接待飲食費には、社内の役員や従業員又はこれらの親族に対する飲食費のような社内飲食費は含まれませんが、親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する飲食費は接待飲食費に含まれます。

 また、飲食費には以下のような費用も含まれます。
(1)飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
(2)飲食等のために支払う会場費
(3)得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」(差入れ後相応の時間内に飲食されるようなもの)
(4)飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」

 しかし、以下のような費用は飲食費には含まれません。
(1)ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
(2)接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
(3)飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用

 なお、1人当たり5,000円以下の飲食費で書類の保存要件を満たしているものについては、従前通り、交際費等に該当しません。

 上記の範囲を踏まえて、費用によっては、その内容から飲食費の区分を行い、正確な税務申告を行って頂きたいと思います。

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2014年12月31日

法人課税関係の平成27年度税制改正大綱について

 平成26年12月30日付で与党の税制改正大綱が公表されました。ここでは、法人課税関係の主な税制改正事項について下記します。概して、法人税の税率引き下げに伴い、下記2や3については負担増となる措置となっています。

1.法人税率の改正

(1)法人の平成27 年4月1日以後に開始する事業年度より、法人税の税率が23.9%(現行25.5%)に引き下げられます。

(2)中小法人の軽減税率の特例(所得の金額のうち年800 万円以下の部分に対する税率:19%→15%)の適用期限が2年延長されます。

2.欠損金の繰越控除制度の見直し

 青色欠損金の繰越控除制度、災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額について、以下のように段階的に引き下げられます。

(1)平成27 年4月1日から平成29 年3月31 日までの間に開始する繰越控除をする事業年度
その繰越控除前の所得の金額の100 分の65(現行100 分の80)

(2)平成29 年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度
その繰越控除前の所得の金額の100分の50

(3)中小法人等については、現行通り所得の金額が繰越控除限度となります。

(4)青色欠損金の繰越期間、災害による損失金の繰越期間が10 年(現行9年)に延長されます。

3.受取配当等の益金不算入制度の見直し

 益金不算入の対象となる株式等の区分及びその配当等の益金不算入割合が下記のように改正されます。

(1)株式等保有割合3分の1超・・・益金不算入割合100%
(2)株式等保有割合5%以下・・・益金不算入割合20%
(3)上記以外の株式等保有割合・・・益金不算入割合50%

4.外形標準課税の税率改正
 資本金1億円超の普通法人に適用される法人事業税の外形標準課税について、所得割の税率が引き下げられる一方、付加価値割・資本割・地方法人特別税の税率が引き上げられます(但し、負担変動の軽減措置あり)。赤字企業であっても負担が増加する可能性があります。

5.その他

(1)雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度における、雇用者給与等支給増加割合の要件が緩和されます。

(2)地方拠点強化税制が創設されます(地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度、雇用促進税制の拡充)。

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2013年12月15日

法人税の平成26年度税制改正大綱について

法人税関係の平成26年度税制改正大綱が24日に閣議決定されましたので、主要な改正事項を下記します。

1.復興特別法人税の1年前倒し廃止
 復興特別法人税の課税期間が、1年間前倒しして終了されます。復興特別法人税の課税期間終了後には、利子・配当等の復興特別所得税の額を、利子・配当等に課される所得税の額と合わせて、各事業年度の法人税の額から控除します。この場合に、復興特別所得税の額で法人税の額から控除しきれなかった金額があるときは、その金額は還付されることになります。

2.交際費等の損金不算入制度
 交際費等の損金不算入制度について、次の見直しを行った上、その適用期限が2年延長されます。
(1) 交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額(社内接待費を除く)の50%を損金の額に算入します。
(2)中小法人に係る損金算入の特例について、上記(1)と選択適用とした上、その適用期限を2年延長します。

3.生産性向上設備投資促進税制の創設
 青色申告書を提出する法人が、生産等設備を構成する機械装置等で生産性向上設備等に該当するもののうち、一定の規模以上のものの取得等をし、事業の用に供した場合には、その取得価額の50%の特別償却とその取得価額の4%の税額控除(法人税額の20%を限度)との選択適用ができることとなります。
 
4.国家戦略特別区域における機械等の取得の特別償却制度の創設
 国家戦略特別区域法上の青色申告法人が、国家戦略特別区域内において機械等を取得し、特定事業の用に供した場合には、その取得価額の50%の特別償却とその取得価額の15%の税額控除との選択適用ができることとなります。

5.会社法の改正に伴う税制の改正
(1)みなし配当の額が生ずる事由となる自己の株式の取得について、その範囲から、株式の併合に反対する株主からのその併合により端数となる株式の買取請求に基づく取得が除かれます。
(2)損金の額に算入される役員に対する利益連動給与の決定の手続に係る要件について、監査等委員会設置会社においては、取締役会の決議において監査委員の過半数がその決議に賛成していることとします。
使用人兼務役員とされない役員の範囲に、監査等委員会の委員である取締役が加えられます。

6.その他
(1)雇用者の数が増加した場合の税額控除制度(雇用促進税制)の適用期限が2年延長されます。
(2)雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度について、雇用者給与等支給増加割合の要件を引き下げたうえ、その適用期限が2年延長されます。
(3)使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限が撤廃されます。
(4)中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付制度の不適用措置の適用期限が2年延長されます。
(5)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限が2年延長されます。

以      上
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2013年01月25日

平成25年度税制改正大綱(法人税関係)について

 法人税関係の平成25年度税制改正大綱が29日に閣議決定されましたので、主要な改正事項を下記します。

1.設備投資促進税制の創設
 青色申告法人が平成25 年4月1日から平成27 年3月31 日までの間に開始する各事業年度に取得した生産等設備で、取得価額の合計額が一定の要件に該当する場合、その生産等設備を構成する機械装置をその法人の国内にある事業の用に供したときは、その取得価額の30%の特別償却とその取得価額の3%の税額控除(法人税額の20%を限度)との選択適用ができます。

2.給与等支給拡大税制の創設
 青色申告法人が、平成25 年4月1日から平成28 年3月31 日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して給与等を支給する場合、雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であるときは、その雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除(法人税額の10%、中小企業者等は20%を限度)ができることとなります。

3.研究開発税制
 2年間の時限措置として、控除税額の上限が当期の法人税額の30%(現行20%)に引き上げられます。

4.雇用促進税制
 雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)について、税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり40 万円(現行20 万円)に引き上げられます。

5.交際費等の損金算入限度額
 一定の中小法人について、定額控除限度額が800 万円(現行600 万円)に引き上げられるとともに、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置(現行10%)が廃止されます。

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2012年12月29日

自動車部品の三桜工業、15億円申告漏れ−出向者等の人件費負担について−

 東証1部上場の自動車部品大手「三桜工業」(東京都渋谷区)が東京国税局の税務調査を受け、2011年3月期までの5年間に約15億円の申告漏れを指摘されたとの報道がありました。

 同社は海外子会社に出張したり出向したりした社員の旅費や給与を支払っていましたが、国税局は子会社が負担すべき支出で、税務上の損金への算入を認めなかったということです。

 今回は上記ニュ−スにあるような出向社員等の給与の税務処理についてとりあげます。

 出向社員は出向先の会社の業務に従事しますので、その給与も出向先会社が負担するのが原則です。出向元会社が負担すれば、寄付金等として税務処理することになります。

 社員の出張旅費については、出張先の会社の業務に従事するなどの事実がなければ、自社の業務に関係するものである限り、自社の損金とすることができます。 

 この点、問題となるのは技術指導に伴う出張旅費です。出張先の会社に技術供与をし、その一環として技術指導を行う場合は、その旅費はロイヤルティの売上原価になることはあっても、単純な損金とはならないでしょう。

 上記は原則的な取扱いですが、出向者がたとえ出向先の会社の業務に従事していても、出向元の会社が負担する給与等を損金にできる場合があります。

 それは給与格差の補てん金です。出向先の会社の給与条件が出向元より低いような場合、誰も低い給与で出向したくはありませんし社命ですので、他の社員との公平さを維持するための支出として損金にすることが認められるという趣旨です。

 この給与格差の補てん金には、以下のものが含まれます。
(1)出向先法人が経営不振等で出向者に賞与を支給することができないため、出向元法人が当該出向者に対して支給する賞与の額
(2)出向先法人が海外にあるため、出向元法人が支給するいわゆる留守宅手当の額

 また、会社の役員等が親会社としての子会社管理の一環として、子会社等に出向した場合の出向元の給与負担についても、損金として認められる可能性があります。
 
 いずれにしても、出向社員の給与負担や出張旅費については、その業務内容等に応じた税務処理が求められますので、その損金算入の妥当性に関して文書化しておく必要があるでしょう。

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2012年11月27日

研究開発の税控除2450億円 11年度、租税特別措置

 財務省によれば、企業が研究開発費の一部を法人税額から控除できる「研究開発税制」は2011年度に7792件が適用され、税額控除額で2450億円の利用があったそうです。

 11年度の研究開発税制の適用額を企業の規模別に見ると、資本金が100億円を超える大企業が62%を占め、業種別では製薬企業が含まれる化学工業が36%と最も多く、輸送用機械が8%で続いています。
 
 今回は試験研究費の税額控除制度についてとりあげます。試験研究費については、いくつかの制度が併存しており複雑化していますので、整理したいと思います。

 今般の税制改正により、試験研究費の増加額等に係る税額控除制度のの適用期限が2年延長されましたので、平成26年3月31日までの間に開始する事業年度では、総額基準による税額控除とは別枠で増加額基準に
よる税額控除が認められます。

A 原則的な税額控除額の算定

1.税額控除限度額(法人税額の20%を限度、超過額の繰越制度あり)

 下記の金額の合計額を控除額とします。
 (1)総額基準による税額控除額=損金算入された試験研究費×8%〜10%
 (2)増額基準による税額控除額

2.増額基準による税額控除額
 下記のうちいずれかを選択適用します。

 (1)試験研究費の増加額に係る税額控除(試験研究費の額が比較試験研究費の額と基準試験研究費の額を超える場合)
 *税額控除限度額=(試験研究費の額−比較試験研究費の額)×5%
 *比較試験研究費とは前3期の試験研究費の平均額です。
 *基準試験研究費とは、前2期の試験研究費の額のうち最も多い金額をいいます。

 (2)平均売上金額の10%を超える試験研究費の額に係る税額控除
 *税額控除限度額=(試験研究費の額−平均売上金額×10%)×超過税額控除割合
 *平均売上金額とは当期と前3期の売上高の平均額です。
 *超過税額控除割合=(試験研究費割合−10%)×0.2
 *試験研究費割合=試験研究費÷平均売上金額高

B 中小企業者の場合

1.税額控除限度額(法人税額の20%を限度、超過額の繰越制度あり)

 下記の金額の合計額を控除額とします。  
 (1)総額基準による税額控除額=損金算入された試験研究費×12%
 (2)増額基準による税額控除額(計算方法は上記と同じ)

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2012年10月08日

日本紙、固定資産売却益50億円−固定資産売却益の計上時期とは−

 日本製紙グループ本社は1日、2014年3月期の連結業績で固定資産売却益が約50億円発生すると発表しました。財務の改善を図る一環で、子会社の日本製紙が保有する賃貸用不動産を売却しますが、来年4月に引き渡すため、売却益の計上は来期になる予定です。
 
 今回は固定資産の売却損益を計上する時期についてとりあげます。

 固定資産の売却については、通常の製品・商品の売上計上時期と同様、原則として引き渡しがあった日に計上するのが税務上の取扱いとなっています。

 ただ、固定資産でも不動産の場合は、棚卸資産と異なり物理的な移転を伴わない場合もあるため、その引き渡しの時期についてわかりにくいときがあります。

 そこで、固定資産が土地又は土地の上に存する権利であり、その引渡しの日がいつであるかが明らかでないときは、次に掲げる日のうちいずれか早い日に、その引渡しがあったものとすることができます。

(1)代金の相当部分(おおむね50%以上)を収受するに至った日
(2)所有権移転登記の申請(その登記の申請に必要な書類の相手方への交付を含む。)をした日

 また、固定資産が土地、建物等の資産である場合には、その固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日に計上することも認められます。

 従いまして、固定資産を売却する場合には、上記ニュ−スのように計上時期が翌年にずれ込むこともありますので、計上時期については、上記基準のうちいずれを適用するのか事前に検討しておく必要があります。

以     上
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2012年09月30日

シスメックス、3億円所得隠し−経費の計上時期とは−

 大手医療用検査機器メーカー、シスメックス(神戸市)が大阪国税局の税務調査を受け、米国の子会社に医療機器や試薬の臨床データについてのリポート作成を委託した際、この経費を、レポ−ト未完成の段階で経費計上したとして、約3億1千万円の所得隠しを指摘された旨の報道がありました。
 
 子会社が了解した上で意図的に計上する時期をずらし、所得を圧縮したとして仮装・隠蔽を伴う所得隠しに当たると判断されたようです。

 今回は経費の税務上の計上時期についてとりあげます。

 減価償却費を除く経費については、下記の債務確定基準により経費を計上するのが原則です。
(1)当該事業年度終了の日までに、当該費用に係る債務が成立していること。
(2)当該事業年度終了の日までに、当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)当該事業年度終了の日までに、その金額を合理的に算定することができるものであること。

 よって、経費は対象となる役務が完成し、それを支払側が受取り、事業の用に供したときに計上することになります。ただし、その経費が上記のような内容である場合、全体が未完成でも経費を分割して計上できる余地があるのではないかと考えます。

 例えば、技術役務の提供については、法人税基本通達により、収益を分割計上できる場合の要件が規定されています。それは、報酬の額が作業の段階ごとに区分され、かつ、それぞれの段階の作業が完了する都度その金額を確定させて支払を受けることとなっている場合です。

 収益を分割計上できるのであれば、それの対となるべき経費の計上についても分割して計上できるのではないかとの考えです。

 このように、上記のような法的根拠をもって分割計上することにすれば、仮に税務調査時に否認されても、見解の相違として、仮装隠ぺい行為に該当するとの指摘も受けずに済むわけです。

 経理の知恵の出しどころを間違えますと、本来は負担しなくてもよい重加算税を課されてしまうわけですから、経理の役割を考えさせるニュ−スでした。

 なお、上記見解は個人的見解ですので、実際には社内での検討をお願い致します。

以         上
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2012年08月30日

協同飼料、29億円の債権放棄−税制改正後の貸倒引当金の計上−

 協同飼料は28日、取引先企業の債権約29億円を放棄すると発表しました。飼料の販売先である養鶏企業が清算手続き中のため。すでに2012年3月期までに債権放棄相当額の貸倒引当金を計上しているようです。
 
 今回は債権について、債務者が清算手続き中にある場合の貸倒引当金の計上についてとりあげます。

 上記のような場合、会計上は破産更生債権として、財務内容評価法により、債権額から担保の処分見込額及び保証による回収見込額を減額し、その残額を貸倒見積高とします。

 税務上は、個別評価金銭債権として貸倒引当金を計上しますが、債務者が清算の場合、手続上の段階に応じて個別貸倒引当金を計上します。

 まず、特別清算開始の申立てがある場合、債権金額から債務者に対する債務(買掛金等)や担保権の実行により取立て等の見込みがある金額を控除した残額に50%を乗じた金額を貸倒引当金の限度額とします。

 次に、特別清算による協定の認可の決定により弁済金額等が決まった場合、債権金額から5年以内の弁済予定金額や担保権の実行により取立て等の見込みがある金額を控除した残額を貸倒引当金の限度額とします。

 ところで平成24年4月1日以後開始の事業年度より、貸倒引当金の計上方法が変わります。

 まず中小法人等に該当する場合には、従前通りの貸倒引当金を計上します。ここで中小法人等とは、資本金の額が1億円以下の法人で、大法人(資本金の額が5億円以上の法人等)や保険業法上の相互会社の100%子
会社などを除きます。

 中小法人等以外の法人については、原則として貸倒引当金は廃止されますが、経過措置として改正前の貸倒引当金繰入限度額の一定額を限度額として貸倒引当金を計上することができます。

 一定額とは、平成24年4月1日から平成25年3月31日までの間に開始する事業年度は4分の3、その翌年度は4分の2、翌々年度は4分の1となります。

 原則として中小法人等以外の法人は、リ−ス資産の譲渡等がない限り、経過措置適用の方が有利になりますが、事前の試算が必要でしょう。また、会計上の金額との差額については申告調整が必要となります。

以     上

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