2005年10月10日

理念のための力の行使:「PHASE-48 新世界へ」

機動戦士ガンダムSEED DESTINY
第49話「PHASE-48 新世界へ」視聴メモ8

 前回までの記事で述べたように、オーブとアークエンジェルの軍事行動について、正当性に関する表現を適切に行わずに、機動要塞メサイアに対してオーブ正規軍たるアークエンジェルに軍事行動を行わせれば、重大な問題が生じます。自衛権の範囲を超えた軍事行動である懸念が生じることはもちろん、計画に賛成・または明確に反対していない国々や人々の、選択権や利益をエゴイズムによって一方的に奪う行為であり、もはやデュランダル議長率いるプラントや国際社会に対する、戦争行為に他ならないといっても過言ではありません。

 これではオーブやアークエンジェル一派の主義主張が何であれ、無法者国家と軍であることに何ら変わりはありません。自らが信じ主張する理念があっても、その“達成手段”にはオーブにもアークエンジェルにも正当性も正義もありません。それは結局、ギルバート・デュランダル議長自らが信じ主張する理念と計画であるデスティニープランを、軍事力を背景に実現しようとする行為と、何ら変わりはないからです。

 繰り返しになりますが、以上のような点について、脚本上適切に構成し表現しないと、カガリやアークエンジェル、エターナルの行動は、デュランダル議長の行動と全く変わらないものになってしまいます。むしろ政治的手段をとり、全世界のコンセンサスも暗にある程度存在するかのような表現がデュランダル議長側に存在した以上、デュランダル議長の行動のほうに正当性が強いということにもなりかねません。

 もしこのような論理を無視してアークエンジェルらの軍事行動を、単に正義や必要悪として、また言葉足らずで不適切な脚本として物語構成すれば、「正しい理念のためならば、戦ってよい」という主張だと、結果的に解釈可能な余地が生じます。解釈可能な余地ではなくて、作り手は単にそういう主張なのでしょうか。素直に物語で表現された結果を見る限りは、そういう主張で構成していると考えられます。少なくとも主な視聴対象の子供はそう受け取る可能性が高いでしょう。その主張は一見心地よい正しいもののようにも思えます。しかしそれは結局「テロ行為」を容認することと同じです。テロリストも自らの信じる「正しい理念」のために闘っているわけですから。

 インド独立の父として、ノーベル平和賞の候補にもなったマハトマ・ガンディーという大変著名な方がいらっしゃることを、みなさんご存知だと思います。マハトマ・ガンディーは、インド独立運動の手段として、「非暴力・不服従」という一見非現実的とも思える方法を提唱して実行し、見事インドを独立へと導きました。ラクス・クラインや、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』のお話を作った方々には、マハトマ・ガンディーの爪の垢を煎じて召し上がって頂きたいと思います。


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この記事へのコメント

1. Posted by 紅(kure)   2005年10月10日 21:09
ホントに言われる通りです。

以前私が、凄く気になったのは、カガリがユウナを「「国家反逆罪」で捕らえたところ。
令状も必要なくその場の判断で、容疑者を拘束することができるらしい。
ユウナの政治的な判断が間違ってるとしても、それだけで罪となるのか・・・
凄い脚本でした。
2. Posted by ★ジャン   2005年10月10日 22:30
 紅(kure)さん、こちらにもコメントありがとうございます。

 カガリが指揮権を取り戻す場面は、私も苦笑いさせられました。カガリを散々子供にして、ユウナが台頭するご都合にしておきながら、最後は「私も悪いが」の一言でカガリ自らの責任回避。ユウナの行動と最悪の結果は、代表であるカガリ自身の責任であり、偉そうにユウナ逮捕云々して責任転嫁するなんて酷いお話ですよね(苦笑)。

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個人的な印象の数値化です。
(最低〜最高点。120点満点。)

印象とはいえ数値で一覧化すると自分でも疑問を感じる整合性のなさです。最高点順であり平均点ではありませんので、一部かなり奇妙な順序になっています。1話の評価しかない作品もあり、一律に序列化すること自体に無理があるのは承知です。並べてみるのもおもしろそうだったので試したまでです。管理人自身の今後の参考用とお考えください。平均点順に順次変更中。
【 2006/1/15 更新 】

  1. WOLF'S RAIN
    ウルフズレイン

     :110点
  2. 攻殻機動隊
    S.A.C. 2nd GIG

     :90〜107点
  3. 攻殻機動隊
    STAND ALONE COMPLEX

     :84〜104点
  4. SAMURAI 7
    サムライセブン

     :103点(シリーズ)
  5. かみちゅ!
     :103点
  6. 創聖の
    アクエリオン

     :103点
  7. 巌窟王
     :95点(シリーズ)
  8. ふたつのスピカ
     :94点
  9. ジパング
     :82点(シリーズ)
  10. バジリスク
    甲賀忍法帖

     :81点(シリーズ)
  11. 劇場版
    機動戦士
    Zガンダム
    星を継ぐ者

     :79点
  12. Rozen Maiden
    ローゼンメイデン

     :77点(シリーズ)
  13. BECK
     :77点(シリーズ)
  14. ぺとぺとさん
     :56〜77点
  15. 英國戀物語エマ
     :54〜73点
  16. 機動戦士
    Vガンダム

     :72点
  17. TIDE-LINE BLUE
    タイドライン・ブルー

     :72点
  18. 撲殺天使
    ドクロちゃん

     :70点
  19. NARUTO ナルト
     :54〜65点
  20. MONSTER
    モンスター

     :51〜64点
  21. ケロロ軍曹
     :57〜61点
  22. ONEPIECE
    ワンピース

     :56点
  23. ガン×ソード
    GUN SWORD

     :30点〜54点
  24. ハチミツと
    クローバー

     :53点
  25. 交響詩篇
    エウレカセブン

     :52点
  26. トリニティ・ブラッド
    Trinity Blood

     :50点
  27. IGPX Immortal Grand Prix
     :49点
  28. ピーチガール
     :48点
  29. SPEED GRAPHER
    スピードグラファー

     :32〜44点
  30. エレメンタル
    ジェレイド

     :39点
  31. SHUFFLE!
    シャッフル!

     :39点
  32. 奥さまは魔法少女
     :35点
  33. おねがい
    マイメロディ

     :33点
  34. 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
    :32.8点(50話平均)
    22〜55点
  35. こみっくパーティーRevolution
     :26点
  36. 円盤皇女
    ワるきゅーレ

     :25点