2005年10月11日

対話なく戦争をしかけるカガリ・ラクス・キラ・アスランの正義:第50話「PHASE-49 レイ」

機動戦士ガンダムSEED DESTINY
第50話「PHASE-49 レイ」視聴メモ2

 本編冒頭からいきなりアークエンジェル、エターナル、オーブ正規艦隊によるプラントへの軍事行動。以前の記事で色々と考察した後だけに、全くもって唖然とさせられました。プラントのギルバート・デュランダル議長の計画「デスティニープラン」に反対して、事前に交渉や外交努力も行わず、ただ自分たちが計画に反対という立場のみを表明して、突如奇襲による侵攻です。

 連合軍の月面のアルザッヘル基地が、ザフト軍の戦略兵器レクイエムによって攻撃された件について、オーブのカガリやラクス、キラ、アスランたちに批難させる構成になっています。しかし、そもそも連合軍とザフト軍はまだ全面戦争の最中であり、正式に講和した表現もありません。そのような状況で月面のアルザッヘル基地の残党軍の軍事行動が確認されたわけです。

 しかも月の裏側から奇想天外な方法で、プラントの首都アプリリウスを戦略攻撃しようとさえした前科のある、暴走していると解釈されても当然の、実際作り手自身がそう表現していた、極めて危険な連合軍に対して、ザフト軍が戦争を終結させるという戦争目的上も事実上の防衛軍事作戦上からも、残党とはいえ立派な基地と艦隊のある連合軍に作戦行動をとるのは当然のことです。このような“プラント国と連合国の争い”について、「他国の争いには関与しない」とかいう理念のあるらしい第三者国家オーブやアークエンジェル一派が、とやかく批難する筋合いはありません。

 しかもあろうことかその件を目にして、“オーブへの漠然とした脅威”という“推測”を口実として、アークエンジェルをはじめとするオーブ軍やエターナルが、プラントの軍事施設へ侵攻します。しかしそれは、戦略兵器による脅威があるというだけで、自国の積極的防衛のためとして、相手国に先制攻撃をしかける軍事行動と同じです。それは防衛ではなく滅亡への世界大戦を招く恐れさえある、最も危険な類いの戦争行為にもなり得ます。

 たしかにデュランダル議長が、内心オーブを次の標的としていることを示す場面はあります。実際オーブが危険に晒されることになっていたのは、“我々視聴者にとっては”明らかです。しかしデュランダル議長が、「オーブをレクイエムで戦略攻撃する」という意思は、オーブ政府やカガリ、ラクス、キラ、アスランたちに直接公式に表明された表現はありません。デュランダル議長の思惑は、“視聴者にとって”明らかでも、“彼らにとって”明らかではありません。よってカガリやラクスたちが、プラントの軍事施設に侵攻する理由は、やはりあくまでオーブへの“漠然とした”脅威という“推測”にすぎない構成になってしまっているのです。

 本作品の作り手は、オーブのカガリやラクス、キラ、アスランたち主人公らに、“漠然とした脅威”に対する自国の“積極的”防衛のための“奇襲”攻撃という、非常に危険な戦争行為を行わせようとしているように受け取れる余地のある構成しかできていないのです。先制核攻撃戦略の問題を作り手はご存知ないのでしょうか。今まで散々お経のように唱えていた主人公らの言葉は、一体何だったのでしょうか。作り手のモラルや実力の底が知れようというものです。


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この記事へのコメント

1. Posted by がじゅー   2005年10月12日 02:08
はじめまして。最終回まで自分で見てから各SEED(D)のブログを閲覧していてたどり着きました。同感できるところ多々あります。他の酷評ブログよりも冷静に書いていらっしゃる(様に見える)ので、気持ちよく読ませてもらっています。それにしても、PHASE-48から、急に長文で主張なさっていますね。とうとう我慢できなくなったのでしょうか(笑)
2. Posted by ★ジャン   2005年10月12日 22:26
 がじゅーさん、コメントありがとうございます。

 がじゅーさん、鋭いです、お察しのとおりです(笑)。子供向けという言い訳を盾にした、表現のあまりの酷さに、我慢できなくなったためです。今まで長文を書かなかったのは、都合により書く余裕が無かったこともありますが、そもそも本作品は批判すること自体、ため息が出るようなレベルの作りだったからということもあります。だから現在色々書いてる状況がお恥ずかしい限りです(苦笑)。

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個人的な印象の数値化です。
(最低〜最高点。120点満点。)

印象とはいえ数値で一覧化すると自分でも疑問を感じる整合性のなさです。最高点順であり平均点ではありませんので、一部かなり奇妙な順序になっています。1話の評価しかない作品もあり、一律に序列化すること自体に無理があるのは承知です。並べてみるのもおもしろそうだったので試したまでです。管理人自身の今後の参考用とお考えください。平均点順に順次変更中。
【 2006/1/15 更新 】

  1. WOLF'S RAIN
    ウルフズレイン

     :110点
  2. 攻殻機動隊
    S.A.C. 2nd GIG

     :90〜107点
  3. 攻殻機動隊
    STAND ALONE COMPLEX

     :84〜104点
  4. SAMURAI 7
    サムライセブン

     :103点(シリーズ)
  5. かみちゅ!
     :103点
  6. 創聖の
    アクエリオン

     :103点
  7. 巌窟王
     :95点(シリーズ)
  8. ふたつのスピカ
     :94点
  9. ジパング
     :82点(シリーズ)
  10. バジリスク
    甲賀忍法帖

     :81点(シリーズ)
  11. 劇場版
    機動戦士
    Zガンダム
    星を継ぐ者

     :79点
  12. Rozen Maiden
    ローゼンメイデン

     :77点(シリーズ)
  13. BECK
     :77点(シリーズ)
  14. ぺとぺとさん
     :56〜77点
  15. 英國戀物語エマ
     :54〜73点
  16. 機動戦士
    Vガンダム

     :72点
  17. TIDE-LINE BLUE
    タイドライン・ブルー

     :72点
  18. 撲殺天使
    ドクロちゃん

     :70点
  19. NARUTO ナルト
     :54〜65点
  20. MONSTER
    モンスター

     :51〜64点
  21. ケロロ軍曹
     :57〜61点
  22. ONEPIECE
    ワンピース

     :56点
  23. ガン×ソード
    GUN SWORD

     :30点〜54点
  24. ハチミツと
    クローバー

     :53点
  25. 交響詩篇
    エウレカセブン

     :52点
  26. トリニティ・ブラッド
    Trinity Blood

     :50点
  27. IGPX Immortal Grand Prix
     :49点
  28. ピーチガール
     :48点
  29. SPEED GRAPHER
    スピードグラファー

     :32〜44点
  30. エレメンタル
    ジェレイド

     :39点
  31. SHUFFLE!
    シャッフル!

     :39点
  32. 奥さまは魔法少女
     :35点
  33. おねがい
    マイメロディ

     :33点
  34. 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
    :32.8点(50話平均)
    22〜55点
  35. こみっくパーティーRevolution
     :26点
  36. 円盤皇女
    ワるきゅーレ

     :25点