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2018年11月22日

(2235)南野拓実

エゴイスティックな動きと戦略的な動きは違います。要求したり、議論したりすることはすごく大切です。議論を行なわないとヨーロッパでは生き残れませんし、上にも行けないでしょう。チームとしても戦術的に成熟していきません。

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約3年ぶりの日本代表復帰! 南野拓実が語るゴールの工夫より(出典:『サッカークリニック』2018年9月号)


――すると、シュートの打ち方にも工夫が必要になりそうです。

先ほどのボックス内への入り方で言えば、ワンタッチでシュートを打てるタイミングでボックス内に飛び込むことが1つの方法となっていました。味方がチャンスをつくり、最後に僕がワンタッチでゴールを決めることが理想的だと思っていて、実際にヨーロッパに来てからワンタッチ・ゴールが増えました。

――しかし実際には、高度な技術や判断、スピードなどが求められると思います。どのようにして、それらを磨きましたか?

ザルツブルクのサイドバックとサイドハーフは高い位置をとることが多く、彼らのクロスからのシュートを攻撃の形としている面があります。例えば僕がフォワードとして試合に出たとき、ニア・サイドに飛び込んで行くと決定機になることが多かったです。「君がこの位置に来たときは、僕は必ずニアにいるようにするからパスが欲しい」などということは味方によく要求していました。

――周囲とのコミュニケーションはアタッカーに不可欠です。その点で南野選手はドイツ語を習得し、ドイツ語で味方に要求したりすることができています。

味方とコミュニケーションを図ることは大切です。海外のクラブへ移籍するときには「言葉の壁」が障害となるでしょう。それでも、味方に伝えようとする姿勢を見せたり、「自分が今、何をしたいのか」を知ってもらったりするように努めることが必要です。自分のしたいことを言えない選手はヨーロッパではやっていけません。ヨーロッパにおいて自分のしたいことを言うのはマイナスになりません。主張しすぎるくらいがちょうどいい気がします。

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――普段の練習から高い意識がないと、個で打開できる選手やストロング・ポイントのある選手にはなれないと思います。例えば、シュート練習でも何か工夫がないといけないのではないでしょうか?

セレッソ大阪U―18時代までは誰よりもシュート練習をしていたと思います。ただし、シュート本数を増やすだけではいけません。1本1本に意識を込めてシュートするようにしていました。例えば、相手がいない設定でのシュート練習でも「相手が常にいる」ことを意識して行なっていました。相手を意識した中でボールをコントロールしたり、スピード感を持って行なったりすることを毎日繰り返していました。

よく行なっているシュート練習を紹介しましょう。3カ所にいる味方から順にパスしてもらい、僕が走り込んでシュートを打つもの(下のトレーニング3)です。練習の際に意識したのが、ボールを受けるときに左足(利き足ではないほうの足)のアウトサイドでコントロールしてから右足(利き足)でシュートを打つことです。左足のアウトサイドでいい場所にボールを置ければ、そのまま左足で踏み込んで上体をキープしたまま右足を振り抜くことができるのです。最も速く打つことができますし、腰の回転を使った強いシュートを打つことができます。

この方法は、ディフェンダーの足が日本よりも伸びてくるヨーロッパでゴールを奪うために、練習から見つけたものの一つです。レベルが上がれば上がるほどボックス内でのシュート時間は与えられないものですが、この方法は試合で実際に活きていると感じます。

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――ヨーロッパの舞台では多様なフォワードを見ると思います。どのような印象を持っていますか?

「ゴールだけでのし上がっている」と感じるフォワードが多いです。フィニッシュ面以外の仕事があまりできなくても、ボックス内でゴールを奪えるポジションなどが分かっている自信を持ったフォワードが多いです。


――ただし、走り込むポジションが正しくないと味方の邪魔になったりします。

だからこそ、チームとしてゴールを奪う正確な判断が必要です。エゴイスティックな動きと戦略的な動きは違います。例えば、僕がスペースに立っていて味方が来たとき、「味方がそのスペースに入ったほうが良い」と感じたら僕は別のポジションに移動します。一方、味方の動きが間違っていると感じたら僕は動きません。よく言い合いにもなります(笑)。試合後に僕が映像を確認し、自分の判断が正しいと思ったら該当選手に「あのシーンは僕の動きのほうが正しかったよね?」と話したりします。するとその選手は「あのときはこの動きのほうが正しいと思ったんだ。なぜなら……」と、お互いが納得しながら深い話をすることができます。

――何か現象が起きたあとのケアは大切ですね。コミュニケーションを深める手段になりますし、戦術に関する頭の整理にもつながります。

要求したり、議論したりすることはすごく大切です。議論を行なわないとヨーロッパでは生き残れませんし、上にも行けないでしょう。チームとしても戦術的に成熟していきません。


――最後に、ザルツブルクでよく行なっているシュート練習はありますか?

基本的にヨーロッパでは自主トレをしたら止められるのですが(笑)、自主トレ時間をもらえたら先ほど話した「シュートの形を磨く練習」を行ないます。加えて、両サイドから高速クロスを蹴ってもらい、ワンタッチでゴールの両脇に蹴り分ける練習(下のトレーニング4)もしています。

ヨーロッパでゴールを奪える選手はワンタッチ・ゴールが本当にうまいです。ライナー性のボールに対して鋭角に入り、ゴールの隅をしっかり狙って決めることができます。素早いクロスからのシュート・チャンスは1試合に1回は必ず訪れるものですから、そのチャンスをしっかりものにできる選手でありたいと思います。昨シーズンを振り返っても、このパターンによるゴールが増えたと感じています。試合で起こるシーンをイメージして、これからも練習に取り組んでいきます。


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Number833 出よ!新戦力「柿谷曜一朗」インタビュー金子達仁より

余談がある。

柿谷とヨーロッパに旅立った教え子たちとの競演を期待する小菊コーチには実はもう一人、楽しみで仕方のない存在があるという。

「曜一朗とは違う18歳の衝撃を感じます。同じぐらい、ひょっとしたらそれ以上の可能性を秘めているかもしれません」


その選手、名前を南野拓実という。


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mondの意味について

「珍奇な」「別世界の」「ちょっと変わった視点の」・・・これは映画「世界残酷物語」(原題 Mondo cane イタリア語で犬の世界)から始まったもので、似たような映画をモンド映画、それらに使われた曲のような(内容に不釣り合いに美しい)音楽をモンド音楽と呼ぶようになったものです。

これは日本語だけでなく、英語にも入り形容詞として mondo が使われていた時期があります(オックスフォード辞典に97年に採録)。これと別に「非常に・すごい」という意味で形容詞や副詞に使われる mondo もありますが、これはスペイン語の mondo (=pure, net etc.) の影響もあるのではないかと言われています。


「月」の Mond(モーント)と「世界」の mondo, monde は別物で、「珍奇な」の mondo も「世界」であり、映画のタイトルから転化した意味で使われたものです。




 
jeep_55 at 23:10│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 日本代表 

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