今年はウルトラQ放映50周年、ウルトラマン生誕50周年、快獣ブースカ生誕50周年と様々な記念イヤーですが、忘れてならないのが、「ラドン生誕60周年」でもあるんです!!(^^♪
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■空の大怪獣 ラドン
1956年(昭和31年)作品
原作:黒沼健
監督:本多猪四郎
特技監督:円谷英二
脚本:村田武雄、木村武
音楽:伊福部昭
製作:田中友幸
出演:佐原健二、白川由美、平田昭彦、村上冬樹、田島義文、緒方燐作、中島春雄 ほか
あらすじ:阿蘇山を望む炭鉱町。浸水してしまった炭鉱で、無残に切り刻まれた炭鉱夫の遺体が発見され、直前に彼とケンカしていた五郎に嫌疑がかかる。
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五郎の姿が見えないことから、より一層怪しまれることになり、五郎の妹・キヨは心を痛めていた。キヨの恋人である炭鉱技師の河村も調査に加わるが、第二の事件が発生し、今度の被害者は3人、そのうちの一人の首は皮一枚でかろうじて繋がっているという残酷なものだった。
炭鉱町の人々は五郎の犯行だと信じ、キヨに辛く当たるが、第二の事件の被害者は五郎とは仲の良い鉱夫も含まれていることから、河村は彼の無実を信じ、キヨのそばに付いていた。
しかしその時、キヨの家の庭から、キチキチと不快な音を立て、巨大な虫が姿を現した!!
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ヤゴに似たその虫はハサミ状の腕を持っていた。炭鉱夫たちを惨殺したのは、この巨大な虫だったのである!
古生物学者の柏木博士によれば、目撃されたこの巨大な虫は、およそ2億年前に生息していたメガヌロンという巨大トンボの幼虫(ヤゴ)だという。原水爆の放射能と、急激な温暖化などで地中に仮死状態で埋まっていた卵が孵ったのだろうと推測された。
警察と自衛隊とが協力して、メガヌロン掃討作戦が展開される。河村たちも参加し、メガヌロンを追い詰めるが、落盤事故が発生、河村を取り残したまま撤退せざるを得ない羽目に…
局地的な地震が原因かと思われたが、地震研究所によれば落盤を起こすほどの規模の地震の記録は認められないという。
現地に訪れた調査隊は、無残に崩れた炭鉱跡地に、河村の姿を発見したが、彼はショック症状で記憶を失っていた。
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時を同じくして、国籍不明の超音速飛行物体を追撃していた航空自衛隊のF-86Fセイバーが撃墜される事件が発生し、東アジアを中心に謎の飛行物体が頻繁に目撃されるようになった。
各地に警戒が促される中、阿蘇に旅行に訪れていた新婚のアベックが行方不明に。
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無理心中という捜査結果に落ち着きそうだったが、彼らの直前の行動にそのような兆候が見られなかったこと、心中にしては靴が揃えられていないなどの理由から、別の線で捜査が進められ、彼らの使用していたカメラに奇妙なものが映っていることが判明。
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何か生物の一部だと考えられ、柏木博士によると、恐竜時代の翼竜・プテラノドンの翼の先端ではないかと推測された。
メガヌロンと同時代の生物が出現した可能性が取りざたされる中、入院していた河村が、文鳥の雛が孵化する様を見て記憶を取り戻した。
落盤で坑内に取り残された河村は、メガヌロンが徘徊する中に巨大な卵を見つけた。ほどなく卵にひびが入り、巨大なヒナが誕生し、周りのメガヌロンを次々と啄んでいったのだ!!
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そのあまりに荒唐無稽な情景を見た河村は、ショックのあまり記憶を失うことに…
河村の証言から、アベックを襲った謎の物体が古代の翼竜プテラノドンであることがほぼ間違いないと断定され、残された卵の殻の一部から解析されたその大きさは、常軌を逸したものであった。
現地に赴いた調査団が目撃したのは、地の底から現れた巨大な翼竜プテラノドン=ラドンであった!!
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「ゴジラ」「ゴジラの逆襲」につぐ、東宝巨大怪獣路線の第三弾にして、「白夫人の妖恋」に次ぐ特撮カラー映画の第二弾になります。
原作の黒沼健氏はオカルト・ライターの草分けであり、本作のほかに「大怪獣バラン」の原案、「海底人8823(ハヤブサ)」の原作・脚本なども手掛け、「預言者ノストラダムス」を日本に最初に紹介した人物としても知られています。
前半の謎の連続猟奇殺人事件と、後半のラドンによる大怪獣の襲撃とのギャップ、さらに猟奇殺人の「犯人」である巨大昆虫メガヌロンが、単にラドンの「エサ」でしかなかったという驚愕の事実。この仰天の展開が、本作の白眉でありましょう(^_^)v
前半の舞台である阿蘇山ふもとの炭鉱。
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実は阿蘇山は活火山なので炭鉱は存在せず、ロケは長崎県の日鉄鉱業加勢炭鉱で行われ、同炭鉱で働く鉱夫がエキストラで多数参加しているそうです。
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前半の「主役」ともいうべきメガヌロン。オケラ、シロアリ、ヤゴの3種類のデザインが起こされ、台本の通りヤゴで行くことに決まり、主に実物大の着ぐるみを中心に、ギニョールや小サイズのプロップを使い分けて撮影されました。
実物大のものはフルサイズのものと上半身(?)のみのものの2体が製作され、フルサイズのものは3人の役者が入って演じるようになっています。3人のうちの一人は、ゴジラに入り、本作ではラドンにも入った中島春雄氏。3人入って動かすことで、昆虫独特の硬さのある動きを再現できたというわけですね(^_^)v

航空自衛隊のF-86Fセイバーは、ミニチュアのほかに、実際に撮影された実物(米軍機のものもあり)や、実物大モデルも使用されており、円谷特技監督の要請で入江義夫氏が製作したこのモデルは、米空軍から借り受けた本物のキャノピーのパーツを使用していたとのこと。実物を使用することで迫力は出たものの、ブルーバック合成が抜きにくくなる欠点があり、画面が暗くなるのを承知でスクリーンプロセスに切り替えたと、当時の特撮カメラマンであり円谷監督の右腕である有川貞昌氏が振りかえっています。
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一方のミニチュアのセイバーの方は、ピアノ線で吊る操演で撮影されていますが、「ゴジラ」のときには実現できなかった「ピアノ線で操演しているミニチュアから、火薬を仕込んだロケット弾を発射させる」という高度なテクニックを用いており、発砲時にミニチュアが反動で揺れるのを防ぐために、複数の個所でピアノ線を繋ぐことで実現に至ったそうです。
また、セイバーがラドンを追撃するシーンの一部は実際に空撮を行っており、スモークを焚いて飛行する1機目の飛行機の後ろから、追いかけるようにして飛行する2機目の飛行機から撮影するという手法を採用しているそうです。こうすることで飛行機雲の中に入って追撃する様を再現したわけですが、スモークがなかなかうまく撮影できず困ったそうです。
なお、円谷英二特技監督と有川貞昌氏は、お互い元飛行機乗りだったこともあり、仕事の上でぶつかることがよくあっても、飛行機の話となるととても気があったそうです(^^♪

いよいよ出現したラドンが飛び立ち、ジープを衝撃波で吹き飛ばすシーン。
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ジープは吹き飛ばせるように、重量や素材を計算してミニチュアを製作したそうです。ジープを運転していた警官は、ボタ山のシーンでメガヌロンともみ合って転げ落ちた人形を流用しているそうです。こうした細かい気配りが、良いシーンを産み出していくんですね(^^)
なお、本作ではラドンの飛行時に発生する衝撃波で、建物が倒壊する場面が多く、そのために“超兵器”風起こし機を使用しているそうですが、飛行機のエンジンを流用した特別な機械で、特撮の現場にはこうした特撮用超兵器がいろいろ作られたようです。

クライマックスであるラドン福岡襲撃は、綿密にリサーチされ再現された精巧なミニチュア・セットにより再現されています。この福岡市街のロケハン時に、「あのビルからこのビルに飛び火して…」といった特撮プランをしゃべりながらまわっていたところ、不審者扱いされて職質を受けたという逸話(?)も残されています(;^_^A
F-86Fの追撃で一度海中に落下したラドンが再び浮上したのち衝撃波で叩き折った西海橋は、公開前年に完成したばかりの「新名所」で、映画公開後に阿蘇山や西海橋に観光に訪れる人が増えたといいますから、良い宣伝になったんでしょうね(^^)
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ラドンが飛来した福岡市天神地区、有名デパート「岩田屋」を中心とするセットは、従来の25分の1スケールではなく、さらに大きめのスケールで再現することで作りこみを密にし、より現実感を高めることに一役買いました。
西鉄福岡駅近辺で暴れまわるラドン。
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衝撃波で倒れる西鉄車両は、非常に精巧なモデルですが、なかなか風で倒れず、ようやく倒れたと思えば作り込まれていない裏側が見えてしまうというアクシデントがありましたが、特撮シーンの撮り直しは不可能であるため、そのまま使用されています。
当時の自衛隊の主力であったM24チャーフィー軽戦車。
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こちらも非常に精巧なミニチュアで、ある一定以上の世代には懐かしいカルピスの看板を踏み潰しながら前進する様など、なかなか良い活躍を見せてくれます。このミニチュアの台車部分は、上に載せる「かぶせ物」を変える事で、61式や90式戦車として後々まで使用され続けたといいます。
M24チャーフィー軽戦車と一緒に戦闘に参加する24連装ロケット砲車。
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通称「ポンポン砲」と呼ばれるこの車輌は、東宝特撮映画のオリジナルで、画面での見た目の派手さを考慮して製作されたそうです。DVDのコメンタリーで有川貞昌氏は「ラドンで初めて登場した」と仰いましたが、実は「ゴジラの逆襲」から登場しています。
「ゴジラ」や「ゴジラの逆襲」でビル街のミニチュアセット製作は経験済みのスタッフでしたが、これ以降の作品では「空の大怪獣ラドン」でのミニチュア製作のノウハウが参考にされたということです。
ラドンは飛行する怪獣、ということで着ぐるみに入る中島春雄氏ごとピアノ線で釣り上げて撮影するという、今でいうところの「ワイヤーアクション」が採用された最初期の作品でもあります。

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ラスト、阿蘇山のラドンの巣に自衛隊が総攻撃をかける場面。オネスト・ジョンという地対地ロケット弾を搭載するトラックのミニチュアは、普段依頼する郡司模型が多忙であったため、代わりに山田模型が製作することになりましたが、ミニチュアが木製であったため火薬が引火してしまうというトラブルが発生し、以降の作品では火薬を用いる撮影では必ず金属製ミニチュアを使用することとし、郡司模型が重宝されるようになったとのことです。
自衛隊の攻撃でついに噴火する阿蘇山。
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噴火口から流れ出る溶岩は、製鉄所から溶鉱炉を借り受け、溶鉄にて再現したそうですが、そのあまりの熱でラドンのミニチュアを吊っていたピアノ線が切れてしまうアクシデントが発生。
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力なくだらりとぶら下がったラドンのミニチュア、その様子を見た円谷監督は、そのまま溶鉄の上に降ろすよう指示。
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燃え上がる1頭の上に、もう1頭を覆いかぶせるように降ろすことで、あのシーンが出来上がった、というのは非常に有名な話ですね(^_-)-☆
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本作の音楽を担当したのは、「ゴジラ」第1作に続いて伊福部昭先生。メインテーマはゴジラと同様、巨大な怪獣であることを音楽面で表すため低音で表現されており、後年の「ラドンのテーマ」として知られる、疾走感豊かにトランペットによって高らかに奏でられる旋律とは趣が異なりますが、実はメロディラインは酷似しています。このメロディラインは’58年の「大怪獣バラン」に受け継がれ、「飛翔する怪獣のイメージ」としてより洗練され、「三大怪獣 地球最大の決戦」(’64)のラドンのテーマへと昇華、以降’93年の「ゴジラVSメカゴジラ」まで使用され続けることになります。
重厚なラドンのメインテーマに対し、疾走感は自衛隊機によるラドン追撃シーンの曲が担っています。通称「ラドン追撃せよ」と言われるM15は、伊福部先生の映画音楽デビュー作である「銀嶺の果て」(’47年、谷口千吉監督作品、志村喬、三船敏郎 出演)のメインテーマとメロディラインが共通しています。本作で使用されたこの曲は、’86年のレコードアルバム「OSTINATO」にオリジナルの楽譜から再演奏されたものが収録されており、川北絋一特技監督の要望で「ゴジラVSキングギドラ(’91)」の航空自衛隊のF-15によるキングギドラ追撃シーンに流用されています。
クライマックスの福岡襲撃シーンの「ラドン福岡襲撃」(M18)は、伊福部先生の作曲されたバレエ音楽「サロメ」の「水槽から首斬役人の大きな黒い腕だけがでてくる。その腕はヨカナーンの首を差し上げている」と共通したメロディラインを持っており、壮大な破壊シーンを盛り上げています(^^♪
僕はこの曲を、映画本編よりも先に上で紹介したアルバム「OSTINATO」で初めて聴いたのですが、そのあまりのカッコよさにいたく感動したものです!!(´Д` )
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本作の主役であるラドンに関しては…、またいずれご紹介しますね(^_-)-☆
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というわけで、ラドンもついに還暦。皆さんも「空の大怪獣 ラドン」を、この機会にご覧になってはいかがでしょう??☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
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※追記
主役のラドンに関しましては、こちらをどうぞ(^^)
http://blog.livedoor.jp/jef_godzilla/archives/1063331505.html

※2016 12/26 追記
記事中に誤りがある点を、Facebook友達の方から訂正いただきました。
以下、訂正していただいた内容を引用いたします。

いきなりのメッセージ、失礼します。
ブログの『ラドン』のレビュー、拝読しました。そこで一つだけ誤りを見つけましたのでお知らせしておきます。「スタッフが福岡市内のロケハンに来て不審者と間違われ、職務質問された」というような記述がありましたが、それは『ゴジラ』の時の逸話です。『ラドン』の時には地元のヤクザに絡まれ、スタッフが事情を説明したところ「福岡にゴジラやアンギラスみたいな怪獣が来るのか!」と感激され、撮影時にはエキストラの手配など協力してくれて、逆に助かったという逸話が残されています。差し出がましい様ですが、より正確な情報を若い世代に伝える為にも、訂正することをお勧めします。

訂正いただきまして、ありがとうございましたm(_ _)m