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先代の跡を継ぐ。父から子へ。


跡継ぎとして職人になると、先代の使っていた工具を引き継ぐことが多いです。

ゴールドやプラチナを切るためのこの大きな金鋏(かなはさみ)は、生前父が使っていたもののひとつ。
長さが20cm超えのロングサイズ、300gほどのドッシリとした重量感に圧倒されます。

父は学生時代、柔道をしていたこともあり、握力が半端なく強く、粉砕した道具は数知れず。
特に金鋏はよく壊したようで、段々と頑丈で大きなものになったよう。結果的にこの大きさに落ち着いたみたいです。

初めてこの鋏を練習で貸してもらった時、薄板1枚もまともに切ることはできませんでした。
金鋏の構造上、普通に切ると刃と刃の間に隙間が出来てしまうからです。
刃と刃を寄せながら切る技術が必要で、しかも握力が無いと厚みのあるものが切れません。
しかも、握る部分で手を挟むことしばしば。
血豆出来まくりました。
握力を鍛え、まともに切れるようになるまで1年。
苦戦した思い出が詰まっています。
人に歴史ありといいますが、職人の工具にも歴史ありです。

父が急逝してからは、ずっと使っているので、この金鋏とも14年の付き合いになりました。
最近では、この大きさがいちばん使いやすいと感じるようになりました。
同じくして、跡継ぎになった実感も湧いてくるように。
案外、何が作れるようになれば跡継ぎになったと感じられるというものでなく、こんなことで実感する方が喜ぶように思えるのです。

実はちょっと切れ味が落ちてきたので、早起きして研いで金板で試し切りしていました。
まあまあかなぁ。
この金鋏には、出来たら自分が一生付き合って欲しいと思っています。


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