January 08, 2007

逢わばや見ばや 完結編(出久根 達郎著) 3

06213735

いくら古書が重宝がられていた時代であったとはいえ、また学生が多くて需要のある東京であるとはいえ、古書店がさほど儲かるとは思えない。しかし、著者の自伝小説を読んでいると、えも言われぬ魅力ある商売として伝わってくる。実際、著者にとっては天職であって、人生そのものといって過言ではないだろう。あの人柄なのだから、顧客、同業者との厚い信頼関係の中で続けてこられたことには違いない。小説の中で、相変わらず辛い部分がほとんど描かれていない。小説としてあえて盛り上げんと、悪者を創ったりすることは決してないのがいかにも著者らしい。せいぜい自らを赤軍の残党としてマークされたかのごとく描き、いくらかの緊張感を醸し出している。事実であったとしても、著者の温厚な雰囲気からして、さほど執拗なマークをされたとは到底思われない。それにしても、店仕舞いされた今となっては叶わぬ話であるが、“芳雅堂書店”を一度訪れてみたかった。せめても、著者発行の古書目録『書宴』なるものを読ませていただきたい



jf4lkx at 22:36コメント(1)トラックバック(0) 
書評 

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by coo   January 16, 2007 22:46
またしても著者の広くて穏やかで慎ましい人柄が溢れた1冊だった。どんなに理不尽な攻撃が向けられても反撃せず、受け入れ相手の心情を汲みとり自分の非を認める。自分が未熟だからと反省したりする。売り言葉に買い言葉なんて無縁の人。すごい。今日だけを振り返っても思いやりがない自分がたくさんいたぞ。そう、思いやりの心。下心も上心?もない純粋な相手を思いやる心。出久根さんには「だって」がないんだよね。言い訳をしない。普通ならストレス溜りそうだけど、やや天然な性格もあってそれもなさそう(失礼か) 縁あってお話しも聞けたし何冊かの本も読んだ。少しはあやかりたいものだ。書評でなく人評だった

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
Archives
Categories
Profile