2001年より移動運用記をブログに記録して、2019年新春までに延べ移動運用回数も210回を超えました。
これまで特に自分の移動運用に関するスタンスは記してこなかったのですが、世の時流と共に変化する昨今の移動運用環境を鑑みて、これまで得た経験などから移動運用の現状や将来への展望などを年頭に当たって備忘録的に綴ってみることにしました。
あくまで個人的見解ですので、必ずしもこれが正しいというものでもありません。
移動運用を嗜む各位が自己責任の下で判断し、今後の移動運用ライフの参考になれば幸いです。

IMG_20181007_142106aa

●自分のアマ無線、ライセンスフリー移動運用のスタイル
1987年にアマ無線を開局して以来、一貫して徒歩、公共交通機関を使ったシングルQRP運用(5W以下)に限られます。
モービル運用や多素子指向性アンテナ、5W以上の運用、移動地での広い占有スペース確保が必要なテント、発電機の使用、更には複数人でのグループ移動運用(無線とは無関係な知人、家族とのハイキング等は除く)に関しては範疇外ですので、ここでは述べません。
また、ライセンスフリー無線は、基本的に特定小電力のみの運用です。
DSCN2159aa


●移動時の機材、運用バンド一覧(2019年1月現在)
○無線機
<アマチュア無線>
FT817&VX-3
<ライセンスフリー>
ユニデンSLT001(特定小電力無線)
○運用周波数
<アマ無線>
50~430MHz中心。
最近は21~28MHz帯にもQRV可能に。
出力は電池運用で0.5~1W.
<ライセンスフリー>
特定小電力422MHz帯10mW
IMGP6043
○アンテナ
<アマ無線>
50~430MHzSSB,CW/ミズホのポケットダイポールPAN-62(FT817使用時)
およびローディングホイップ
144・430MHzFM/DIAMOND SRH805S(VX-3使用時)
21~28MHzSSB,CW/ GAWANT
7MHz~28MHz/BNC750
DSCN0097

●移動運用地の選択
私が行う移動運用場所は主に公共交通機関と徒歩で日帰りアプローチ可能な東京近郊の小高い丘、展望台、高層ビルの展望ロビー等です。
移動運用地を選ぶ基本的スタンスとしては
1.従来から移動運用地や夜景スポットとして周知されている見晴らしのよいパブリックスペース。
2.公式サイトや現地掲示板に無線禁止の明記がなく、特に許可を要しないパブリックスペース。

を基本的な選択条件にしています。


●移動運用地別運用例
○展望ロビー
IMGP5167
2012年、当ブログにて「東京スカイツリー展望台からの移動運用を考察する」と題して、高層ビル展望ロビーにおける移動運用に関して述べたことがありました。
もうあれから7年経っていますが、今尚東京近郊にてV~UHF帯のQRP移動運用地として高層ビルなどの展望ロビーパブリックスペースは欠かすことが出来きない貴重なポイントです。
どなたかが高層ビル移動を「アーバン移動運用」と呼称される位、アマ無線、ライセンスフリー問わず盛んなジャンルかと思います。
都心部には多くの高層ビルが林立し、その中には無料、有料問わず高層部に展望スペースが設けられており、無線運用が可能です。
東京のような密集地で多くの局と交信する場としてはアクセスの利便性含め、コストパフォーマンスが優れています。
但し、スペースは狭く、人も多いため、主にQRPハンディ機での移動運用に限られます。
私は主にスタンダードVX-3を使用します。
非常にコンパクトでウエストポーチに入れておけば意識せずに持ち運べます。
アンテナは直付けのヘリカル。出力は1W以下。
運用時間は大体1時間以内に納めます。当然イヤフォーンを使用。
夜景など眺めながら運用すれば飽きることもありません。


●山、丘陵
IMGP7852aa
東京近郊で公共交通機関と徒歩で移動運用可能な場所はかなりの数に上ります。
昔から高尾山系、御岳山系等は移動運用のメッカ。
多摩丘陵地帯を含めれば数え切れないほどです。
徒歩移動は体力を使うので出来るだけ荷物は軽くし、8Kg程度に留めます。移動時はハンドフリーにしたいので荷物は出来るだけリュック一つにすべて収めるのがベターです。

屋外移動時の持ち物機材一覧
●無線機/ヤエスFT817
FT817は荷物の限られる徒歩での移動運用定番無線機。オールモードで HF~430MHzまで手軽に出ることが出来る。重さは1Kg強程度。内部電池では最大出力2.5W。
電池消耗を考えると0.5Wに絞ればエネループでもかなり長時間運用可能。
●スタンダードVX-3
超小型144/430FMハンディー機。
ラジオや業務無線も聞くことが出来て、現地でのFM放送受信状況を調べる特にも役に立ちます。
●ユニデンSLT001
特定小電力トランシーバー
●ラジオ/ソニーSRFM-100
AMステレオ受信可能。小型ラジオにしては受信性能がよく、VX-3と併用して屋外BCLに使用。
●サンヨーICRーRS110M(ICレコーダー付)
受信音声録音用
●アンテナ/ミズホポケットダイポールPAN-62
1.5mのロッドアンテナを2本使用し、6mバンドの半波長分の長さになる。
コンパクトで屋外QRP移動運用の定番アンテナ。
●ローディングホイップ
FT690Mk2に付属していた6m垂直アンテナ。
●電鍵/ミズホBK1S
超小型電鍵。
アンテナポール「SポールⅡ」
重さ580g。縮めた時の全長は55cmほど。三脚と共に30Lのリュックにも収めることが可能なので移動運用には便利な伸縮棒。
DSCN0058aa
●カメラ三脚
アンテナポールの基盤用。
DSCN0056aa
DSCN0060aa
●その他
アンテナ同軸ケーブル、電鍵コード、エネループ電池、マイク、アンテナ変換コネクター
ラジオ番組表、JARLニュース、手帳、ボールペン。
これらはB5サイズの収納ボックスに収まります。
IMGP2616aa
IMGP2629aa
●迷彩リュック
サイズは30L程度であれば移動用機材等もほぼ収まります。

●迷彩シート
大凡2m四方のもので2千円位で入手出来ます。

●迷彩ネット
アンテナポールや三脚に覆えばカムフラージュに役立ちます。

●登山用ストック
山登り時には必須。

これでQRP0.5W~1Wで3~4時間は移動運用可能です。


●運用中の注意事項
無線禁止の明記がない場所であれば、基本的に最低限のマナーさえ守ればパブリックスペースでの運用で支障が発生するケースは経験上殆どありません。
これまで1987年開局以来、30年以上に渡り、延べ200回以上の移動運用を経験してきましたが警察の職務質問を受けたのは1回だけ。
警備員や管理者に注意されたのは2~3回程度。
これらはいずれも2001年9月のアメリカ貿易センタービルテロ事件直後だったり、住宅密集地に隣接していたり、売店等営業地域に近い場所でした。
マイナーな趣味ゆえに「アマチュア無線の移動運用」が如何なるものか移動地の管理者がすべて理解している事は稀です。
同じ場所でも時と場合、また担当の人によって対応が違ったりして一貫性がないこともあります。
明確な基準がないので、回答も曖昧なままです。
現在は未確認ですが、10年ほど前、都立公園の一部には「アマチュア無線等で公園の一部を占用利用する場合は、公園管理所への届出が必要です」という掲示がありました。
六道山公園(2009年4月)↓
DSCN8281
シングル移動運用でポケットダイポール程度の利用が「占用」に当たるかどうかは微妙でした。
2012年9月、都立の長沼公園内で移動運用中、管理者に声を掛けられたことがありましたが、アマ無線であることを伝えたところ、問題なく移動運用を続けることが可能でした。
ですのでその日、思い立ってすぐに出発する徒歩レベルのシングルQRP運用では、事前許可云々は現実的ではありません。
許可が出るまで三日くらい待たされるというケースもあるようでした。
勿論、「無線禁止」の表示がないからといっても「グレーゾーン」であることは常に心得ておくべきでしょう。
パブリックスペースに記される注意や禁止事項に記される項目は、大抵カメラ撮影、ドローン、ラジコン、犬の散歩、テント設営、焚き木、自転車、トレールランニング、釣りなどに関してです。無線に関してはっきりと是非を表記しているケースは稀です。
以下は其々の場所で撮影した注意事項が記された掲示板の例です。
タワーホール船堀(2016年3月)↓
IMGP5871

あさひ山展望公園(2016年3月)↓
IMGP6111a

長尾台遺跡公園(2016年)↓
IMGP7653a

多摩市桜ヶ丘公園(2016年9月)↓
IMGP8905

生田緑地(2018年)↓
IMGP8835a

仏果山山頂(2017年4月)↓
IMGP2690

昭和記念公園(2018年5月)↓
IMGP9054aa

どの場所もアマ無線等移動運用に関しての詳細な項目は特段設けられていないようです。
近いものとしてはラジコン等ですが、これは無線そのものというより操縦する飛翔体に対しての注意と思われます。
その理由として、そもそも無線の移動運用自体が他のアウトドア趣味と比べ、愛好者の絶対数が少ないので敢えて表示する必要性がないのかもしれません。
よって無線に限っての規則が明記されていないパブリックスペースにおいては、移動運用は「グレーゾーン」と考えたほうがよいでしょう。
この場合「その他、人の迷惑になる行為」を基準にして移動運用の是非を判断します。
人によって何が迷惑行為なのか明確な基準というものはありませんので、これはもう「一般常識」に委ねるしかありません。
例えれば
1.風光明媚な場所では視界の妨げにはならない。
2.スペースを長時間、広く占有しない。
3.音を極力出さない。
4.風景に溶け込んで目立たない。

ということでしょうか。
万一運用中、管理者から中止を求められたらおとなしく撤収する等、ケースバイケースとして柔軟に応対していくのがベターでしょう。


●移動運用は思いのほか「孤独」
IMGP3464a
徒歩でのシングル移動運用は思いのほか「孤独」な趣味です。
最近はライセンスフリーの方をよく見かけることが増えましたが、基本的にコンテスト等を除き、移動運用地で「同好の志」と出会うことは思ったより稀です。
更に一般のハイカーすら殆ど遣ってきません。たまに通り過ぎるか暫く休んでいく程度です。
GWなどの行楽期間や著明な山頂、展望台、展望ロビーを除いては、基本的に運用場所には「誰もいない」のです。
移動地に向かうバスにも、乗客が自分ひとりだけという例も少なくありません。
むしろ移動運用では他の利用者に迷惑をかけるより、自分の身の危険を感じるケースのほうが多かった気がします。
ホームレスの塒だったり、挙動不審な単独男性がうろついていたり、素行不良な若者が屯していて逆にこちらが自主的に退去したケースのほうが多い位です。
更には野生動物やスズメバチの出現も注意。
単身移動運用だとこれらも自己責任として対応しなければいけません。


○これからの移動運用を考察する
●昔は何でもフリーだった
1970年代頃までパブリックスペースである公園等では、キャッチボール、喫煙等は基本フリーでしたし、犬の糞も放置状態でした。
IMGP7423aa
展望台や展望ロビーには普通に吸殻入れが置かれていました。
なぜならそれが「当たり前の日常」だったからです。
ところが現在これらの行為はすべて禁止行為かマナー違反とみなされます。
キャッチボールは人を怪我させる恐れありとして今は原則として公園内全面禁止に。
タバコも喫煙自体が健康を害するという概念が定着して特定の場所以外での喫煙は、屋外であっても受動喫煙の恐れありとしてほぼ出来ません。
焚き火や焼却炉でのゴミ焼きも「ダイオキシン問題以降」禁止。
落ち葉すら「燃えるごみ」として集めないと顰蹙を買う世の中。
ドローンも自由には飛ばせません。
世は「クレーム社会」で、管理者はトラブルを恐れ、些細なことでも禁止にしていきます。
そんな状況下、アマチュア無線やライセンスフリーの移動運用が、いつまでも自由である保障はありません。


●無線運用が制限される場所の増加
IMG_20180309_100559aa
実際のところ、近年「無線禁止」になるパブリックスペースが増えています。
特に高層ビル展望ロビー等公共施設内の無線使用が制限されるケースが目立ってきました。
2019年1月現在、主だった都内展望スペースで無線運用が規制されているとの情報があるのは、私の知る限り、以下の場所です。
東京スカイツリー展望室
新宿都庁舎展望室
練馬区役所展望ロビー
文京区役所展望ロビー
六本木ヒルズスカイビュー
江戸川タワーホール船堀

ここに上げた場所以外にも規制が入っている可能性もあります。
(但し、これら全てを実際に現地で確認している訳ではなく、ネット等からの情報も含まれているため、場所に寄っては可否が異なっている可能性もあります。
また時期や担当者によって対応が異なる場合も考えられます)
これらの多くはスカイツリーと都庁舎を除き、以前は運用が可能な場所でしたが、最近になって規制が入った様子です。
貴重な展望スペースで移動運用が実施できなくなるのは大変残念です。
明確な理由はわかりませんが、近年ライセンスフリー無線が盛んになった事やパブリックスペース迷惑行為に対するスタンスの変化、クレーマーに対する過剰反応等、様々な理由が推測されます。
実際、2018年10月に練馬区役所に展望ロビーでの無線規制理由を問い合わせたことがありました。
その際の練馬区総務部総務課長から頂いた回答を抜粋します。

「展望ロビーにおける無線通信については、来庁者および隣接する
会議室利用者から通信音等に対し、これまでに多数のご意見が寄せ
られてきた経緯があります。
 (中略)
 この度の通信機器類の使用をご遠慮いただく旨の表示については、
周囲を気にせず音を出したり、飲酒をしながら通信行為をしたりす
ることに対しご意見をいただくなどこれまでに寄せられた展望ロビ
ー利用者からのご意見の積み上げにより判断に至ったものです。
 展望ロビーのある本庁舎20階には、レストランや会議室もあり、
ご家族連れからご高齢の方まで幅広い多くの皆様にご利用いただい
ております。なにとぞご理解いただきますようお願い申し上げます。」

 (30練総総第950号)

IMGP7723aa

いずれにしろ、管理者としては無難で安易な「規制」という手段を取らざるを得なくなったのかもしれません。
今後、既存の展望スペースも昨今の時勢を考えると無線規制される可能性も否定できません。
貴重な高層ビル移動運用を継続可能にするために、極力他の利用者の迷惑にならないよう、努める必要があります。
具体的には、出来るだけ目立たぬよう、無線機はハンディー機のみ、運用も静かにイヤフォーンを使い、単身での運用に努める、運用時間も極力短時間で、多人数のアイボール場所にはしない等の気遣いが必要と思われます。
一方で、管理者側も一律に無線を「迷惑行為」として規制するのはあまりにも安直です。
「迷惑行為」の掛かる要素が「騒音」、「占有」とするならば、無線であったとしても禁止するのは長時間のフォーン運用に限るべきです。
すなわち、長時間占有を伴わない電信やデータ通信ならば規制する理由がありません。
電車内でも電話は迷惑行為になりますが、スマホ携帯でのメール、SNS書き込み等は特に限られたスペースを除き、実情はフリーです。
また、展望ロビー等での三脚を使う撮影は禁止でも、手持ちの撮影は可能な場所も多くあります。
これらと同様に、無線も規制するならば長時間占有のフォーン運用、あるいはイヤフォーン使用必須に限る決まりにすれば妥協点は作れるはずです。
ですので掲示する注意書きには
「無線等、迷惑行為云々一律禁止」
ではなく
「長時間占有を伴う電話無線交信、もしくはイヤフォーン不使用に限り禁止」
という掲示に改めるのが正しい。
とはいえ、管理者全てがアマチュア無線やライセンスフリーの実情を詳細に知っているとは限らず、これを周知させるのは至難の業かもしれません。


●展望ロビーそのものの減少
また、最近展望ロビー自体が消滅する傾向にあります。
新宿NSビル(30階展望ロビー2010年頃廃止、29階に小規模な展望可能なパブリックスペースあり)
DSCN9724a

新宿住友ビル(51階展望スペース2017年3月廃止)

IMGP2231a
IMGP2220

新宿センタービル(53階展望スペース2016年3月廃止)

IMGP9334a
これらは以前、最上階に無料の展望スペースがあったのですが、フロアごと会議室等に改装されてしまいました。
また、近年新築される超高層ビルには、初めから無料展望ロビーを設けないケースも多く、次第に「アーバン移動運用」の場所が少なくなっていく傾向にあります。


●最近は受信だけでも規制される?
無線に限らず受信オンリーのレシーバーすら安泰ではありません。
昨今、自衛隊や在日米軍のイベントでも無線機はおろか、航空無線のレシーバー、ラジオまで持ち込み禁止になるケースを耳にします。
2018年米軍三沢基地祭ではそのような規制が存在したそうです(参照先)。
かつては普通に持ち込めた機器がNGになるというのは「通信運用上の支障になる」という理由以上に奇異な印象を受けます。
スマホや携帯でかつてないほど高周波に満ちている今、正規のQRP無線機やラジオごときで「支障」が出てしまうそんな柔なセキュリティーレベルなら有事の時は大丈夫なのか、こちらが心配になります。
それにスマホに個々の末端同士で通信機能を有するアプリを入れたら立派なトランシーバーです。
どう区分けするのでしょう?結局「見た目」でしょうか?困ったものです。


●クレーム天国の憂鬱
いずれにせよ、今やあらゆる場所で監視カメラや個人所有のスマホカメラが狙っており、こちらに齟齬がなかったとしてもネガティブな印象でSNSに上げられる危険性は常にありえます。
また、なんでも白黒はっきりさせる傾向が強まり、コンプライアンス(法令順守)の徹底により、フレキシブルで柔軟な思考が失われ、少しでも「人と違うこと」を危険視する状況が増えつつあるのも確かです。
少子高齢化も加速し、世間はますます「貧すれば鈍す」の流れで息苦しく、世知辛くなっていきます。
今後、この傾向は強まることはあっても緩和されていく感じはしません。
いずれ、移動運用が「標的」とされる時が来るのは想像に難くありません。
このままだとアマ無線、ライセンスフリーというマイナーな趣味ですら遅かれ早かれ、ドローン同様に規制管理の対象になるかもしれません。
そんな息苦しい世の中で、これから無線の移動運用はどう対処すべきか、ちょっと考えてみました。


●結局「見た目」?極力目立たない運用に努める
たとえ無線運用可能なパブリックスペースだとしてもネガティブな印象を持たれる可能性を少しでも減らすためには、如何に「目立たないか」が重要になってくる気がします。
展望台、山頂等でも出来るだけ人目につかない場所での運用と服装に努める。
いずれアンテナポールやステー等は断念し、身に着けた無線機に直付けせざるを得なくなるでしょう。
迷彩服、迷彩シート、迷彩ネットで姿を風景に溶け込ませ、運用もイヤフォーンを使い、QRPPでデータ通信、電信オンリーにすればハイカー等に気づかれずに済みます。
実際、高尾山で迷彩ネットを三脚に絡ませて運用したこともあります。バードウオッチャーに偽装する効果もありました。
ただ、見る人によっては逆に「怪しい」と思われる可能性もあり、実施する場合は自己責任で。
IMGP0063
また敢えて家族連れやデートを装って一般ハイカーとして「日常に紛れ込む」運用も有効かも知れません。
家族団らんという日常風景に溶け込みつつ、交信に励むのです。
結局は全て「見た目」なのです。
問題は移動運用に協力的な知り合いやパートナーを確保出来るかが課題ですが。


●スマホ、携帯型の偽装無線機活用
高層ビル等の展望ロビーでの移動運用でも無線機器自体を偽装して周辺の状況に溶け込ます方法もあります。外観をスマホ、携帯そっくりの躯体にして恰もSNSを閲覧しているかのように偽装すれば怪しまれない。
無線は規制しても、スマホ、携帯を禁止するスペースは稀です。
スマホも「無線機の一種」であることは事実なので、こういった「規制」は矛盾に満ちているのですが、管理者に説得しても徒労に終わるのが常。
結局は見た目の問題。
すでにスマホ仕様のIP無線機も発売されているようです。
スマホ型IP無線機「TEK-7T506A」
a5cbea515c0cea2a512310017ce81c25

また日本では使用できないもののトランシーバ機能がメインの中国製アンドロイドスマホも存在します。
NOMU T18
nomu_t18-2
nomu_t18-4


日本の無線機メーカーがやる気になればすぐにでも開発可能でしょう。
いずれサードパーティーや無線機メーカーがスマホそっくりのRXを販売する日がくるかもしれません。


●狭いスペースで多人数の「アイボール」は行わない
移動地でのアイボールは楽しいものですが、狭いエリアで多人数がワイワイやると、自ずとスペースをそのグループだけで占有してしまい、他の利用者からあまりよい印象を受けません。
前述したように、以前は別に問題にならなかったことがクレームの対象になったりする息苦しい時代です。
ビルの展望ロビー等でのアイボールは避けて、出来るだけ広い人気の少ないパブリックスペースか談話可能なカフェで実施したほうが無難でしょう。


●移動運用に萎縮しない
逆にあまり自意識過剰になって周りの状況ばかり気にしだすと、移動運用自体楽しめなくなります。
これも前述しましたが、経験上、行楽シーズンを除いて、大多数の移動運用地には殆ど人がいません。
著しい占有や大勢で喧しく騒ぎ立てる運用をしていない限りは、殆ど誰も気にもしていないものです。
むしろ好奇心で話しかけてくる人のほうが多い位。
行楽地や山で目立つのは無線より遥かに趣味人口が多いトレイルランニングとかで、移動運用が矢面に立つことは(今のところ)あまりありません。
最低限のマナーを守っていれば、ハンディー、ポータブル機程度のシングルQRP移動運用で萎縮する必要はないはずです。
過剰な萎縮は自らの首を絞めることになります。
ネガティブなアクションをするのはごく一部の人間でしかありません。

●JARLの移動運用啓蒙
個人の力ではなかなか世の中の趨勢に抗うことは出来ません。
やはりアマチュア無線界最大の組織JARLが移動運用に対するポジティブな啓蒙に努める事が求められます。
JARL主催のフィールドデーコンテストや山や公園を対象にするアワードも盛んです。
これらが継続して楽しめるためにはアマチュア無線、ライセンスフリー移動運用の啓蒙周知が大切なことは論を待たないでしょう。


●アマチュア無線とライセンスフリー無線の関係性
IMGP7667aa
最後にこの両者の関係性について少々思うところを。
現在、アマ無線局免許者数が減少の一途だということです。
総務省「無線局統計情報」によると2018年8月の時点で42万224局とのこと。
過去最高は1995年3月末に記録した136万4316局。

その頃と比べると相当な減少です。
一方で、近年、ライセンスフリーの移動運用に人気が出てきたようです。
久しく新製品がなかったCB無線機が中小メーカーから発売され、完売するなど活況を呈しています。また新しい小電力コミュニティー無線機アイコムIC-DRC1が発売され、新たなライセンスフリーのジャンルが増えつつあります。
移動運用地に行くと、ライセンスフリーの方を見かけるケースが増えてきましたし、アイボールしてお話を伺ったりする機会も増えました。
時にはグループで楽しまれている方々も居ます。
もっとも1980年代、まだアマチュア無線が20~30代中心に活況で移動運用が盛んだった頃も似たような状況だったので、昨今のライセンスフリー移動が特段目立つという訳でもないのです。
当時の『ラジオの製作』記事など見ると、移動運用地に読者集合企画等載っており、むしろ当時のほうが賑やかでした。
自分はメインがアマ無線ですが、移動運用スタイルは殆どライセンスフリー無線と変わりありません。
ですので、この両者を区分けする考え方はナンセンスですし、意味もありません。
自分も1990年代末より、某CFMリスナーが中心となったグループで特定小電力無線を使って「フォックスハンティング」や遠距離交信実験を楽しんで1998年頃には無線雑誌の取材を受けたこともありました。
その頃は「フリラー」という言葉もない時代で、特小をレジャーや業務以外で使用するのが稀だった時代です。
当時はライセンスフリー無線がこんなに人気になるとは思ってもみませんでした。
10mwでDXを競うのは、何もアマ無線の専売特許ではありません。
特小や簡易デジタル(登録局)でアマ無線的交信をしてはいけない等という決まりもないはずです。
一方でアマ無線がQSL発行必須であることに毛嫌いするフリラーの方もおられるようですが、別に絶対条件である訳ではなく、昔からアマ無線家にNO QSLerはいくらでもいました。
偏狭な考えに凝り固まって一方を否定したところで得るものは何もありません。
臨機応変に楽しめばよいのです。
自分は今のところ、ライセンスフリーラジオは特小のみの運用ですが、小電力コミュニティー無線には関心が高く、導入も検討中です。


以上、私見ではありますが、移動運用に関する考察を述べてみました。
今後ともアマ無線、フリーライセンス無線共々末永く楽しむための参考になれば幸いかと存じます。
73&88.