2018年08月27日

真夏の夜に2・・・

夕方、日も暮れかかった頃、ショッピングモールからの救急要請。
50歳代の男性がうずくまっているとの事。

現場に着くと男性は横たわっており、声をかけても返事がない。
総頚動脈で脈を確認したが、触れない。

Q『CPA(心肺停止状態)!、早期に車内収容します。』

救急救命士・救急隊は基本的には現場で活動します。

ただ、このようにショッピングモールや道路上など、人目が多かったり二次災害の危険がある場合など活動に不適切な場合は早急に車内収容を優先することもあります。

搬送準備・搬送中に病院に連絡を取り、救急車内でCPR(心肺蘇生法)等処置を始める。

A『あれ?この人見た事が有る。誰だっけ・・・。』

早く家族に連絡をつけたいため、搬送中の、走っている救急車の中でCPRをしつつ、同時に持ち物から
この人が誰かを探す。

財布が見つかり、そこに名刺が入っていた。

Q『○○さん・・・かな。』
A『あ、そうだ、○○さんだ!』
程なく病院到着し、医師に引き継ぐ。

病院内で、何とか心拍は再開したが、意識は戻っていない。

帰り道、Aさんの話では、

この人は母親と二人住まいで、母親はこの二ヶ月くらい食欲もなく、元気がなくなり、
おととい自宅からこの病院に搬送した。
この人は付き添いとして同乗してきたという。

苗字が珍しかったからよく覚えていたらしい。

結果として、親子で同じ病院に収容できたのでよかったのかな・・・と思っていた。


日付が変わろうとした頃、救急出場指令。
母親が動けないと、息子からの救急要請。

Q『あれ・この住所!』
A『そうですよ!○○さんですよ!』

二人住まいで、二人とも入院しているはずなのに、しかもさっき搬送して意識が戻ってないはずの息子からの救急要請って・・・。



ホラーのようなオカルトチックな話になってきましたが、
もちろん霊が救急車を要請したわけではありません。

母親は点滴を打ってその日のうちに退院した。
息子は買い物に出掛け、そこで倒れ、救急搬送をなった。
搬送先の病院では連絡先として、この人の弟さんの電話番号も持っており、
そちらに連絡した。
弟さんは病院に駆けつけた後、母親のことも心配で実家に行ったところ、
母親は一人では何も出来ない状態で、食事も水分も取れずに再度動けなくなっていた。
そこで、今度は『弟さん』が救急要請をした。

ということでした。

二人暮らしだから、ほかに家族はいない・・・って先入観でいたのが間違いでした。



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2018年08月17日

真夏の夜に・・・。

『ねぇ、99さん、聞いてくださいよ。』

朝 出勤し席に着くと後輩が声をかけてきた。

『今朝 変な夢見ちゃったんですよ。なんか、不気味で・・・。』
話の内容は、

明け方、ある場所で交通事故が発生との救急要請。
バイクの単独転倒事故のもよう。

まだ時間も早く、車もほとんど通っていない時間なので遠くからでも事故現場が確認できた。
路上にバイク倒れ、その傍らに人が倒れている。

近くになり、状況がはっきり見て取れる。

大出血はなさそうだが、ヘルメットは被っていない。
現場に救急車を停め、怪我人の状態を確認すると、

『わぁっ』
頭が!頭の皮がめくれ上がってる!
その下の頭蓋骨まではっきりと見えてる!!




ってところで眼が覚めたらしい。

私『朝から変な話するなよ。そんな現実離れした事故なんてありえないでしょ。』
後輩『でも・・・予知夢とか正夢って言うじゃないですか・・。なんか心配で。』

この暑さで、そんな話も忘れるほど忙しく、ちょっと息をついた早朝。

『出場指令! 場所は○○、バイクの転倒事故のもようです。』

私・後輩『え?そこって・・・・・』
そう、朝、後輩が話してくれた夢の事故現場。

現場に駆けつける途中、

後輩『99さん、これ、夢で見た光景にそっくりなんですけど・・・。』

現場到着。
バイクの単独転倒事故、怪我をしてるのは中年男性、大出血はないが動けない。

しかも、ヘルメットは被ってない・・・。

後輩『あ!99さん。頭が!頭皮が・・・。』

そこで慌てても何も出来ないので、後輩を声をかけ、冷静になり事故対応した。

病院からの帰り道、

私『でもびっくりしたね。後輩君の夢にそっくりだったから。』

後輩『ほんと、びっくりしました。でも、99さんの声で冷静になれました。』



私が後輩に掛けた言葉は、

『よく見てみろ。あれは【かつら】だよ。』








ji2del at 13:06|PermalinkComments(9)

2018年07月20日

猛暑

連日猛暑が続いています。
先日5年ぶりに最高気温が40度を超える町があったそうです。

私の消防本部もこの猛暑で、普段に比べ約2倍の救急出場件数がありました。

増加した事案はほとんど暑さによる物と考えてもいいでしょう。

室内、路上、運動場・・・。

いろんな場所へと行きますが、当たり前なんですがとにかく暑いんです。
『暑い』より、『熱い』のほうが適当だと思えるほどです。

もちろん滞在時間は短いんですが、救急隊員の服装は感染防止を主としているので、

ヘルメット・ゴーグル・マスク・ガウン等で、露出部位はほとんどありません。
そんな装備で暑い場所に入っていくのですから、途端に汗が吹き出ます。

極力現場滞在時間を短くして救急車内に移動するのですが、一度熱を持った体は
救急車の冷房くらいじゃ簡単に冷えません。

患者さんを病院へ収容して、再度救急車内に戻ったときに初めて装備を解きます。

もうTシャツはぐっしょり。

対策はいつでも水分補給が出来るよう、車内にドリンクを持ち込んでいるくらいです。
1当務24時間で2リットルくらいは飲みます。
もちろん、署内にいる時はそれ以外にも水分補給はしています。

そうしてこまめに水分補給や冷房を利用しているおかげか、熱中症で倒れる救急隊員というのは聞いたことがありません。

救急車は限られた台数しかありません。
あまり沢山出場が重なると、救急車がなくなります。
必要なところへ救急隊が出場することが出来なくなります。

倒れそうになっても救急車を呼ぶな・・とは申しません。
体調不良になる前に、冷房を活用したり、水分塩分の補給など
自己防衛に勤めてください。

まだ暑い日は続きます。
何とかこの季節を乗り切りましょう。

ji2del at 11:25|PermalinkComments(6)

2018年06月30日

天罰ですよ。

平日の昼間、駅の階段から転落して怪我をした、との救急要請。

現場駅に着くと駅員の誘導で、駅長室に行く。
怪我したと思われる男性が車椅子に座っている。
意識ははっきりしているし、出血・明らかな骨折の認められない。
怪我そのものはたいしたことはなさそうだ。
痛いところを聞くと、足首と側腹部が痛いらしい。

それより、この男性を挟むように警察官が座っている。
なぜ警察が?

不思議に思いつつ、救急車に収容のため車椅子のままで移動。
移動中に警察官に事情を聞くと、

『この男性、盗撮していたんですよ。で、階段の最上段付近で被害者の女性が気が付き、
振り向いたんです。それに驚いたこの男性は足を踏み外してそのまま転倒。

で、駅員からの要請で私達は来たんですが、怪我をしているということでお願いしました。

まぁ、天罰ですよね。』

はい。天罰ですね。




ji2del at 13:52|PermalinkComments(2)

2018年06月20日

少しでも早く・・・

救急車が患者さんの元へ到着するまでに、年々時間がかかって来ています。

その要因のひとつに不適切な救急車の利用も入ります。

このブログでは、そんな不適切利用の実態を紹介し、適正利用をお願いしています。

では、そのほかに努力はしていないのか?
いえいえ、ほかにも努力しているんですよ。
これは私の消防本部の話であって、他の消防本部とは若干の違いがあるかもしれませんが、
最近の消防本部では似たようなシステムを構築してると聞いています。

皆さんが119番で救急要請したとします。

119『はい、こちら119番、火事ですか?救急ですか?』

市民『救急車お願いします。』

119『住所はどこですか?救急車はどこへ向かわせればいいですか?』

市民『○○町○番地の□△です。』

119『どなたがどうされたんですか?』

市民『お父さんが突然倒れて・・・。』

119『わかりました。すぐに救急車を向かわせます。』

⇒ 救急車に出場指令を出す。

こんなやり取りを想像されるんじゃないでしょうか。

でも、今は違うんです。

119『はい、こちら119番、火事ですか?救急ですか?』

市民『救急車お願いします。』

119『住所はどこですか?救急車はどこへ向かわせればいいですか?』

市民『○○町○番地の□△です。』

⇒ 救急車に出場指令を出す。

119『どなたがどうされたんですか?』

市民『お父さんが突然倒れて・・・。』

119『わかりました。もう救急車を向かわせてます。』

このように、救急隊には病状や内容は知らされずに少しでも早く出場できるようにしています。

そのあとの情報は無線にて救急車に知らされます。

また、電話からの聞き取りで緊急性が高いと判断された時は救急隊が患者さんと接触する前に病院へ収容依頼をすることもあります。

普通は患者さんに接触し、血圧等測定しながら病状やどんな状況であったかを問診しつつ、症状に応じた病院へ救急隊から携帯電話で連絡し、受け入れOKとなれば搬送します。
もしそこで心肺停止等、緊急度が高いであれば、救急隊・救急救命士がその場で必要最低限の処置を行い、119オペレーターが収容依頼した病院へ急行することが出来ます。


このように消防本部・救急隊も少しでも早く患者さんの元へいける様、日々努力はしています。
そのためにやかましくサイレンを吹鳴し、赤色灯で存在を知らせながら走っています。

どうかご協力をお願いいたします。




ji2del at 15:33|PermalinkComments(9)

2018年04月28日

アナウンスを変えてみました。

5月を迎え、新入社、人事異動、新入学などの新しい動きにも慣れ、落ち着いてくる頃です。

皆さんは街中で救急車を見かけたとき、

『救急車が通ります、左に寄って道を開けてください。』
とか、
『救急車左に曲がります。』
などのアナウンス聞いたことありませんか?

でも、なかなか進路が空くことってないんです。

先日聞いた話ですが、最近の自動車教習所では下手に車線変更したり、無理に寄せたりすると、
衝突する危険があるため、緊急車両を発見したら、

『その場で停まってください。』

と指導することもあるようです。

正直、こちらとしては非常に迷惑な話です。

数車線ある道路でも、その場で停まってしまうとクルマ同士が横並びになり、
救急車が通れるだけの隙間が出来ないことが非常に多いんです。

左右に寄って道を開けてください・・・。

とアナウンスしても、動いていただけません。

聞こえてないのかな?って思って通過するときに見ると窓は開いてます。
きっとそんな教えがあるから動かないんでしょう。

ですから、最近アナウンスを変えています。
今試しているのは、

『停まらないでください。そのまま前に進んでください。』
とアナウンスしています。

今のところ好調のようです。

もし緊急車両が後ろから近づいてきたら、
右側に緊急車両が通れるほどの空間が出来るように、左に寄って停まってください。
決して狭いところで停まらないでください。
出来ないようでしたら、広いところまで走って行ってください。

救急車でも、普通車より車幅はあります。意外と大きいんです。

無理をしないよう道を開けていただくことをお願いします。

ji2del at 14:55|PermalinkComments(6)

2018年04月07日

舞鶴市での出来事

4月4日、京都府舞鶴市での大相撲春巡業中、土俵上で挨拶をしている市長が倒れた事案がありました。
ニュースで話題になっているので皆さんもご承知かと思います。

『女性は土俵を降りてください』のアナウンスは緊急事態にもかかわらず、いかがな物かという話題ばかりです。

まず、youtubuに投稿されていた動画から時系列に検証してみました。


男性数人が土俵に上がるところから動画は始まります。市長が倒れた直後でしょう。
倒れた市長を取り囲むようで、何をしているのかは分かりません。

15秒:一人の女性Aが土俵に上がる。土俵上の男性と何か話してる。
23秒:男性を掻き分けて、市長の右側で心臓マッサージを始める。
    (今は心臓マッサージとは言いません。胸骨圧迫といいます。)
    ほぼ同時に女性Bも土俵上に上がる。市長の右側。
    (女性Aが、女性B に何か話しかけているようにも見える。)
    女性B、市長の左側に移動。
43秒:更に女性C.Dが土俵に上がる
46秒:AED到着
48秒:例のアナウンス。女性C,Dは一瞬降りようとするがそのまま残る。
    胸骨圧迫、女性Bに交代
50秒:警察官数名駆けつけ、土俵に上がる
58秒:胸骨圧迫、警察官に交代
1分10秒:救急隊(?)バッグを持って到着。
1分15秒:市長を取り囲んでいた輪が解ける。←AEDで解析していると思われる。
1分18秒:担架到着

その後胸骨圧迫は行われず、救急隊員の観察が始まる。すでに女性たちは土俵から降りている。
1分56秒:『救急車呼びました!』の声。
2分26秒:瞳孔確認
2分43秒:市長、担架に乗せる。
3分3秒:搬送開始
3分23秒 動画終わり。

例のアナウンスは置いといて、救命活動としての側面から考えたいと思います。
もちろん、この動画からだけの情報ですから、間違って考察していることもあると思います。

この動画から、私が感じたこと・・と御理解ください。

この動画からだけでは分らない事があります。
1 最初に土俵に上がった男性たちは何をしていたのか。
2 女性Aが土俵に上がった直後、男性たちどんな話しがあったのか。
3 AED解析後、胸骨圧迫が中断されたのはなぜか。

反面、分っていることは、
1 市長が挨拶中に急に倒れた。
2 女性が土俵に上がり、その後胸骨圧迫をした。
3 AEDの解析後、胸骨圧迫はされなかった。

考えられることは、
1 土俵に最初に上がった男性たちは、何もしなかったのではなく、脈の確認、呼吸の確認をしたのではないか。
2 女性Aが土俵に上がったとき、男性と話をしたのは脈も呼吸もないということだったのか。
3 その報告を聞いた女性はすぐに胸骨圧迫を開始した。
4 AEDが到着し、解析をしたらショックの必要なしのメッセージ。
5 そのメッセージの間にも、市長は手を動かすなどの体動があったのでは。
6 体動が認められたから胸骨圧迫は中止した。

一方
1 倒れ意識消失はあったが、心臓は正常に動いていたのでは。
2 ならば、看護師と名乗った女性Aの行為は、医療関係者として適切であったのか。
  (医療関係者であるなら、脈があるかどうか確認してから胸骨圧迫。一般人なら脈の確認はなくてもOK )
3 だからAEDでもショックの指示がなかった。

私達の隊でも、この動画だけ見ていろいろと喧々諤々、議論いたしました。

いずれにしても、女性Aの勇気ある行動で事態が動き出したことに違いはありません。

さいたま市のあすかモデルや、減らせ突然死プロジェクトの、
心止村湯けむり事件簿などを参考に、迷ったら前に進みましょう。

救急車が到着するまでに出来ることは沢山有ります。
少しでも突然死を無くしましょう。




   
    

ji2del at 18:11|PermalinkComments(4)

2018年03月13日

3月11日

3月11日は 救急救命士国家試験の日でした。
今年は同僚も受験しています。

試験は1年に1回、この時期に行われます。
受験資格はさまざまですが、そのうち、

(4)消防法(昭和23年法律第186号)第2条第9項に規定する救急業務(以下「救急業務」という。)に関する講習で規則第14条に規定するものの課程を修了し、及び5年(救急活動を行った時間が2,000時間に至った場合においては、それまでの間に救急業務に従事した期間)以上救急業務に従事した者(学校教育法第90条第1項の規定により大学に入学することができるもの(この規定により文部科学大臣の指定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第2項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)に限る。)であって、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した救急救命士養成所において、1年(当該学校又は救急救命士養成所のうち規則第16条に規定するものにあっては、6月)以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得した者(その年の指定する日までに卒業する見込みの者を含む。)。

と、なんだか長ったらしいんですが、
要するに、救急隊員としての経験が5年、あるいは2000時間に至った隊員が、更に救急救命士養成所で6ヶ月の講習を受けた者・・・。
と言う事です。

これはあくまで受験資格です。
この資格を持って受験し、合格しなければ救急救命士として活動は出来ません。

ではどんな試験問題かというと、

重篤化した急性膵炎に認められるのはどれか。1つ選べ。
1.カレン徴候
2.ホルネル徴候
3.ロンベルグ徴候
4.ケルニッヒ徴候
5.ブルジンスキー徴候


反跳痛を認めるのはどれか。1つ選べ。
1.胆石症
2.大腸穿孔
3.脾臓破裂
4.尿管結石
5.十二指腸潰瘍


スプーン状爪を呈するのはどれか。1つ選べ。
1.肝硬変
2.慢性肺疾患
3.先天性心疾患
4.鉄欠乏性貧血
5.慢性関節リウマチ


とか、


次のうち正しいものはどれか。2つ選べ。

1 血糖値低下に関わるホルモンはインスリンのみである

2 糖尿病の初期症状は自覚症状に乏しい

3 血糖値を上げる時間はグルコース(ブドウ糖)よりフルクトースの方が長い

4 況薪尿病は若年者に多く、インスリン製剤治療の絶対適用である

5 儀薪尿病は高齢者に多く、食事療法、薬物療法から治療を開始する

 

次のうち糖尿病を疑う検査指数として正しいものはどれか。2つ選べ。

1 HbA1c値 5.8

2 HbA1c値 6.0

3 HbA1c値 7.0

4 空腹時血糖値(mg/dl) 160

5 食後2時間血糖値(mg/dl) 135

 

次のうちインスリン分泌を促進する経口血糖降下薬はどれか。2つ選べ。

1 スルホニル尿素薬

2 グリニド系薬

3 α―グルコシダーゼ阻害薬

4 ビグアナイド薬

5 チアゾリジン薬

(他の人のブログから勝手に引用いたしました。もし不適切であればご一報ください。)


など、正解をひとつか二つ選ぶ問題や、図や写真を見て答える問題です。


このような問題を午前中 2時間で100問、午後2時間で100問回答し、マークシートに記入します。

問題読んで、回答出して、マークシート塗る。午前中だと1問1分ほどです。

完璧にわかったとしても、マークシート。塗り間違いがあったらアウトです。



消防本部からの期待・養成所からの期待、半年間留守にした消防隊への負担など、プレッシャーは重い物があります。


是非、全員合格! となって欲しいものです。




ji2del at 15:07|PermalinkComments(6)

2018年02月24日

クラクションを鳴らされて。

こんなタイトルだと皆さんはきっと、

『後方から来た車にクラクションを鳴らされて逆上。暴行になり怪我をして救急要請!』

そんな感じを想像されるのではないでしょうか。

今回は違います。

鳴らされたのは私です。もちろんその後、暴行を働いたなんてことはありません。

クラクションを鳴らされたのは、患者さんを病院へ搬送中に後方から鳴らされたんです。

おそらく後方にいた人は、救急車が予想以上に遅く、早くいけ!と合図をしたのかもしれません。

道路交通法上、救急車は緊急車両ですから最高速度は80キロとされています。

でも、法定速度で走ったら車内はとんでもないことになります。

乗ったことが有る人は理解していただけると思いますが、
ものすごく乗り心地は悪いです。
跳ねます。
揺れます。
進行方向を頭に寝ている状態なので、もし、気分が悪い患者さんが乗っていて、ほんのちょっと強いブレーキをかけたらほぼ100%嘔吐されます。

お酒の飲みすぎで気分が悪くて救急車呼んで(こんなことで救急要請も困るんですが)
そしたら間違いなく嘔吐。

骨折した患者さんを搬送しているときなら、道路状況で、マンホールを踏んだだけでも
激痛を感じるでしょう。

脳内出血が疑われる患者さんには、出血がひどくならないよう、振動には細心の注意を払います。

それほど最悪な乗り心地のクルマです。

ですから、救急車はサイレンを鳴らしていても意外とゆっくり走ります。

『サイレン鳴らしているのに、遅いなぁ・・』って感じたら、救急車の走行の邪魔にならない程度に
先に行ってください。



ji2del at 13:45|PermalinkComments(8)

2018年01月27日

先週からこの冬一番の寒気で、各地で積雪しました。

東京では23センチも積もり、48年ぶりに最低気温マイナス4度を記録したようです。

雪国以外で積雪すると、必ず出てくるのが、転倒、スリップ事故です。

私も明け方から何件か出場しましたが、すべてが滑っての転倒受傷です。

ニュースでも不要不急の外出は控えるように呼びかけていましたが、
出勤は控えるわけには行きません。

ところが、普段どおりの足元で出勤するから、滑って転倒。
最悪骨折も有り得ます。

こういった事故・怪我が増え、それに伴って救急出場も増加します。

そして、心肺停止状態等本当の重傷者の下への救急車の到着が遅れ、
結果、救命できなかった・・・なんて事例も実際に起きています。

こんな天候、道路状況です。
滑らない靴で出勤してください。
ゆっくり歩いてください。

そんなのかっこ悪いでしょ!

でも、転んで怪我して、救急車で運ばれる・・。

そのほうが余程かっこ悪いと思いますよ。


ji2del at 13:09|PermalinkComments(2)

2017年12月23日

包丁が落ちて足に刺さリ、病院へ行く途中で意識が・・・

今年もあと数日になりました。
今年一番印象に残った事案を紹介します。

夜、落とした包丁が足に刺さって、家族の運転で病院へ行く途中、意識がなくなってきた・・。
との救急要請。
現場は家ではなく、病院へ向かっている車の中。

現場付近に着くと車の前で手を振っている男性の姿を発見。
おそらく怪我した人の夫であろう。

夫『こっちです。こっちです。』

案内されると後部座席に女性の姿。
窓越しに見ると元気はなく、ぐったりとした感じ。

Q『わかりますか?救急隊です。』

ドアを開け呼びかけると何とかうなづく。

夫『夕飯を作っている時に包丁落としてしまって、足に刺さったらしくて、血が止まらなかったので家で止血して、病院へ行こうと思ってたんですけど、途中で話が出来なくなって・・。』

Q『わかりました。怪我を見せてください・・・』

え?え?え?え?え?・・・

見ると膝まですっぽりと入るくらいの大きなビニール袋に足を入れ、血がこぼれない様にしてある。
そのビニール袋の中には500ccはあろうというほどの大量出血。

観察すると、膝の下、足首付近にタオルでぎゅっと縛ってある。
さらに刺さったと思われる指付近にもタオルがまいてある。

そのタオルからまだポタポタ出血している。その出血がビニール袋の中に溜まっていた。

血がこぼれないよう、体とビニール袋を抱きかかえながらストレッチャーに移動し、救急車内収容。

明るいところで見ると、足の指が切断されるような怪我ではなさそうだ。

血圧等バイタル測定しながら同時に処置を進行していく。

まず最初に、膝下と足首付近のタオルを取る、そして指付近のタオルも取る。

ところが指付近のタオルは強く巻いてあるのと、血液で滑りなかなか取れない。

何とか取り外し、怪我を見ると長さ1センチほど。

出血はほぼ止まっていたが、新しいガーゼで怪我の部位を圧迫し病院搬送。

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自宅で止血していたのになぜ大量出血したか。

実は止血法が間違っていたんです。

皆さん、点滴したり、採血された事はありませんか?
その時、腕にゴムを巻かれましたよね?

あれは駆血帯と言って、動脈血は通すが、静脈血は通さない、つまり血管内に血液を留め、針を刺しやすくしているんです。

今回の女性はタオルで『止血』されていたんですが、効果としてはこの駆血帯だったんです。
怪我の部位には血は来るが、静脈は閉ざされ、帰っていくところが無い。だから怪我の部位から出血。
出血は止まらないどころか、かえって出血させていたんです。

しかも乗用車の後部座席に座っていて、怪我の部位は心臓より低く、さらに出血を酷くしていたんです。

今、救急講習で止血法は、怪我した部位は心臓より高く挙げ、怪我の部位を直接圧迫で止血するということを指導しています。この方法でほとんどは止血できるとされています。
間接圧迫止血法よほどうまく止血点で動脈が押さえられない限り、かえって出血を促す駆血帯となってしまいます。

3時間の救急講習では、このような出血に関する指導もしています。
なかなか3時間もの時間を割くことは難しいと思いますが、
まだ受けたことが無い方は、是非一度、救急講習を受けて見てください。

今年一番印象に残った事案の紹介でした。







ji2del at 14:09|PermalinkComments(6)

2017年12月03日

缶詰で指を切って、血が止まらない。

夕方、30歳代の女性から、缶詰で指を切って、血が止まらないと救急要請。

缶詰で手を切っても、そんなに出血はしないはずだが・・・。

と隊員間で話をしつつ、現場到着。

その女性は立って待っていて、押さえているハンカチは血に染まっている。

女『料理中、缶詰で手を切っちゃたんです。で、すっと血が止まらなくて・・。』

Q『指、見せてください・・・・』

Q『・・・・・・・・・』

Q『・・・・・・・・・・・・・・・?????』

Q『あのぉ・・怪我はどこにあるんですか?』

隊長が指を見ているが、怪我の箇所が見つからないらしい。
私も確認したが、らしき場所が見つからない。

女『ほら・・ここここ、こうすると。ね?血が出てくるでしょ?』

女性が指をしごくとジワッと出血する。

女『何分かこうしてたんだけど、やっぱり血は止まらなくて、心配で救急車呼んじゃったんですけど。』

Q『そんなことしてたら、血、止まりませんよ。さっき救急車待ってたときのように、傷口、ぎゅっと押さえてください。』

と、新しい清潔なガーゼを渡し、その間に血圧測定などをした。

Q『血圧などには異常はないようです。じゃ、傷口、もう一度見てみましょうか。』

先ほどと同じように、傷口が見えないほど塞がっている。

Q『このまま、触らないでください。絆創膏貼っておきましょう。で、これからどうしましょう。どうしても病院行きたいと仰るならお連れしますが、行くほどでもないと思いますよ。』

女『どうしましょうか。行かなくてもよさそうですしね。』

Q『一旦私達帰ります。もしこのまま出血が続くようであれば、また要請してください。』

とそのまま帰ってきた。

最近の缶詰は缶切りが無くても開けられる様になってきているが、縁は結構鋭い。

先日私も空になった缶を洗っていたとき、指を切ってしまった。

皆さんも指の怪我には十分ご注意ください。




ji2del at 16:30|PermalinkComments(6)

2017年10月18日

かお

秋になり、番組改編でたくさんのドラマが始まりました。

私の好きだったドラマも新シリーズとなり、再登場しています。

医師や看護師を描いた医療物、警察物、職業物などいろいろとありますよね。
その中に消防物が少ないのは残念な気もします。

ドラマそのものがすべてそうとは言えませんが、その職業の『かお』ともいえると思うんです。

医療物であれば、医師に、看護師に憧れる、警察物であれば刑事に憧れる・・。

実際に会った事は無くても、親しみも感じます。

ドラマばかりでなく、私たちも現場に行けば救急隊として消防の『かお』と見られるでしょう。

救急現場・火災現場などの特殊な場面ばかりでなく、制服を着ていればその職業の『かお』であり、
学生であればその学校の『かお』となります。

先日、こんなことがありました。


明け方、50歳代の男性からの救急要請。
内容は『昨日からしゃっくりが止まらない。それで眠れなかった。』との事。

これだけでも不適正利用とも思えますが今回は他の側面での話です。

その男性はいろいろとしゃっくりを止めようと努力されたようですが効果なく続いていました。
救急車で病院へ行くほどではないにしても、どうしても病院へ連れて行って欲しいと頼まれたら、
断れません。
そこで、近所の救急病院へ電話で受け入れ要請。

その病院は最初に警備の方が出ます。ほとんどの場合受け入れOKなんですが、内容によっては警備の人が医師に連絡し、受け入れの可否を伝えてくれます。今回は少し違いました。

Q『50歳代の男性がしゃっくりが止まらないということで救急要請があったんですが、見ていただけますか?』

警備『え?しゃっくりですか?症状はそれだけですか?』

Q『はい、そうなんですよ。』

警『ほかに、例えば血圧が非常に高いとか、何か症状は無いんですか?』

Q『はい。しゃっくりだけで、バイタルサインにも異常はありません。』

警『あのぉ・・素人考えなんですけど、驚かせるとか、水を飲むとか・・・なんか方法はありませんか?』

Q『いろいろと試されたそうですがダメだったそうです。本人が受診希望しています。』

警『そんなことで病院ですか?・・・・・・・・ちょっとお待ちください。』

医師と連絡を取っているようだ。

警『受け入れOKです。でも、そんな症状で救急車ですか?タクシーでもいいと思うん・・あ!ごめんなさい来て下さい!』



ドラマや制服だけでなく、電話で対応するということはその会社の『かお』として見られます。
この警備員さん、ついそれを忘れてしまったんでしょう。
このブログを読んで下さってる皆さんもどこかで『かお』になっていますよ。

私も『組織のかお』であることを忘れないで活動していきたいと思います。



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2017年09月15日

どっちもどっち・・

お昼少し前、初老のご婦人から救急要請。

具体的な訴えは無いが、体調が悪いと自身からの通報。

到着すると玄関に座っていた。

妻『救急車まで歩けるから、担架は要らない。』

Q『そうですか。で、どこか痛いんですか?』

妻『どこってことじゃないんだけど、なんだか体が調子悪くて・・。』

ぱっと見た感じ、冷や汗は無く、顔色も悪くはなさそうだ。

Q『では救急車まで行きましょうか・・。』

すると奥の部屋からだんなさんの大きな声が・・。

夫『おーい。どこ行くんだよ。』

奥様も負けないくらいに大きな声で、

妻『朝から具合悪いって言ってるでしょ!だから病院行ってくるよ。』

夫『病院行くのはいいけど、俺の昼飯はどうなるんだよ。作ってからいけよ。』

妻『もう救急車来ちゃってるんだよ。自分で何とかしてよ。』

その後も少しやり取りが有ったが、救急車で病院へ行くこととなった。





ji2del at 10:32|PermalinkComments(8)

2017年08月26日

9月9日は 『救急の日』

9月9日は救急の日、全国でいろんなイベントが開催されます。

CPRやAEDの使い方など、興味のある方はぜひ参加してみてください。
無題2































このブログでは救急車の不適切利用を紹介し、適正利用を呼びかけているのですが、
ではどんな場合に救急車を要請してもいいのか・・・。

なかなか難しいと思います。
検索していたら総務消防庁のHPに判断材料があったので紹介します。

全国版救急受診アプリ (愛称「Q助」) こちらからアプリをダウンロードして利用するようです。
Q助(WEB版) こちらは直接アプリに入れます。

また、もし目の前で人が倒れたらどうしようか・・。
そんなときのドラマ仕立てのゲーム風のサイト、

心止村湯けむり事件簿 AEDサスペンスドラマゲーム


今回は救急の日にちなんで二つのサイトをご紹介しました。







ji2del at 14:09|PermalinkComments(0)

2017年07月30日

夏真っ盛り

各地で梅雨も明け、夏休みに入っています。

この時期に多いのが『熱中症』

天気予報でも熱中症の危険度を示したりして、注意を促しています。

私の経験では、屋外より、むしろ室内での熱中症が多い・・そんな印象です。

先日も、こんな事案に出場しました。


平日の午後、60歳代の男性が、室内で気分が悪くなったとのことで出場。
付近に着くと、汗だくの奥様と見られる女性が誘導に出ていた。

建物は比較的新しいマンションで、この奥様、どうしてこんなにに汗をかいているのだろうと不思議に思い、

Q『奥様、あなたは大丈夫ですか?かなり汗かいているようですけど。』

奥『私は、まだ、大丈夫なんですけど、、、。。』

大丈夫と答えるが、やはりおかしい。

玄関に入るとこのマンション、メゾネットタイプで、旦那さんは2階で倒れているらしい。
夏の昼とは言え、階段室は少し暗い。
Q『 奥様、階段電気つけていただけますか?スイッチどこですか?』

奥『いえ・・電気来てないんです。』

Q『 え?電気来てないんですか?』

奥『はい・・』

事情を聞くと、数百キロ離れた郊外から、ここへ引っ越して来る、少しでも費用を安くしようと、自分たちで内装をしていたようだ。
だから電気の契約もしておらず、エアコンも動かない。
今まで住んでいたところでは、真夏の昼間でも。ここまで気温は上がらなかったらしい。
経験の無い暑さで、予想をはるかに上回り、水分補給だけでは追いつかなくなり倒れてしまった・・。

今回はレアケースですが、ご老人は感覚が鈍くなっていてエアコンも付けず、部屋に入った瞬間に私たちも倒れそうになるほどの異常な暑さになっていても感じず、倒れている、
そんなケースはよくあります。

決して無理をしないでください。電気代がもったいないって気持ちもわかりますが、まず体が大事です。

周りにご老人がいらっしゃる方は、少し気をつけて声をかけてあげてください。

ji2del at 09:50|PermalinkComments(18)

2017年06月13日

もうすぐ夏ですね。

6月も中旬に入り、各地で梅雨入りとなりました。
梅雨が明けると夏、また今年も急性アルコール中毒が増えることと思います。

以前、市内で最もビヤガーデンが多い地域を管轄していた時のお話です。

仕事上がりに同僚と一緒にビアガーデンに来ていた女性、どうやら飲みすぎたようで、トイレで嘔吐。
その後立てなくなったとのことで救急要請。

現場はBGMがやかましく、会話が出来ないため、すぐに車内収容。

あまり酔ってない女性に同行を頼んだ。
何時から、どんな飲み物をどれくらい飲んだかを聞く。

すると、
『実は私たち、A病院の看護師なんです。ですから、A病院にだけは行きたくないので・・・。』

そんな申し出があった。

このようなケースの場合、勤務先の病院を希望される場合と、断固嫌がる場合の二通り。
A病院は少し遠方のため近くのT病院へお連れした。

状況を話すとT病院の看護師は
『では403号室までお願いできますか?』
という事で、3人部屋で、まだ誰も入っていない403号室までストレッチャーで搬送。病院のベッドに移動させ帰署。

数分後、今度は違うビアガーデンから要請。
また、女性の飲みすぎ。

すぐ車内収容し、話を聞くと、
『この子、B病院の看護師なんです。ですから・・・・出来れば他の病院へ・・。』

結局さきほどのT病院へ。

『では、403号室までお願いします。』

先ほどの病室へ搬送。
さっきの女性はまだ点滴治療中。

帰署してから数分後、またビアガーデンからの救急要請。

何とか歩けるが、かなり酔っているようだ。
『私、C病院の看護師なんです。こんな格好恥ずかしいから他の病院お願いします。』

ということで、結局T病院へ。すると当直看護師が半分笑いながら、

『すいませーん。403号室までお願いします。』

またですか・・と内心笑いながら病室へ。

結局この日、403号室は満室となり、しかも全員看護師のアルコール中毒という、珍しい状況となった。


一部屋3人全員アルコール中毒の女性なんて、そんなにある状況じゃない。
ましてや全員看護師さんなんて。

看護師さんだから酒飲むなとか、酔っ払うななんて職業差別のようなことは言いません。

仕事上ストレスもたまるでしょうから、発散のために飲むのもいいでしょう。

でも急性アルコール中毒は、避けられる病気(?)です。
人災です。

看護師さんも、OLさんも、もちろん男性女性の区別無く、
みなさん楽しく飲んでください。楽しく解散し帰宅してください。

ji2del at 17:55|PermalinkComments(30)

2017年05月04日

そんときゃ自分で行くよ!

救急出場にはいろんな種別が有ります。

急病人、交通事故、自損行為、負傷等々・・。

その分類は消防本部によって多少の違いはあると思います。

その中にこのブログこでも時々紹介している、転院搬送という種別があります。

これは地元のクリニックに受診したところ、そこでは処置できないような重病が疑われる場合に、大きな病院へ転院搬送する場合がほとんどです。

全国的に見てこの転院搬送というのは、全体の1割を占めるそうです。

転院搬送の実態として、救急車を利用しなければならないほどの事案は実は少なくはありません。

そこで総務省はこのような通達を出しています。⇒ 総務省の通達

この通達後、少しは減少したかというと、ほとんど変わっていません。

ここからは先日有った事例です。


平日の午前中、60歳代の男性が、かかりつけのクリニックを受診のため訪れたとき、待合室で数分の意識消失。
医師は近くの3次医療機関に連絡し、受け入れOKだったため転院搬送として救急要請。クリニックからY病院までは救急車で1・2分、建物が見えるほどの距離。

私たちが到着したとき、その男性はすでに意識は回復しており、待合室内の血圧計で血圧測定をしていた。

医師『Aさん、救急車来たから、Y病院で診てもらいましょう。』

A  『えぇ?なんで!俺なんともないよ。』

医 『でもさっき、意識なくしちゃったじゃないですか。』

A 『意識なんて無くしてないよ。ちょっと寝ちゃっただけだよ。ほら、血圧だって普通だし、絶対にY病院には行かない。』

医『そんな事言わないで。もし帰り道でなんか有ったらどうするの?』

Å『そんときゃそのときに救急車呼ぶからいいでしょ。とにかく、今は行きたくない。』

こんなやり取りを隣で見ながら10分近く経過。

Q『先生、このままの状態では時間が過ぎるだけですから、私たち一旦引き上げます。で、この患者さんがY病院受診に納得されるか、あるいはまた意識が無くなる様なことがあったら、そのときにまた救急要請していただけませんか?』

医『わかりました。』 

Q『ではAさん、今度意識がなくなったらY病院受診ですよ。』

A『もう倒れないから心配無用だよ。』

Q『では先生、また意識が無くなったら救急要請お願いします。』

医『わかりました、でもまた意識が無くなったら、ここの車椅子でY病院まで連れて行きます』

こんなやり取りで現場を引き上げた。





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2017年04月07日

新年度

4月に入り、各地で入社式・入学式が行われたようです。

消防署にも新人が入ってきました。
そこで、今回は消防職員として採用されてからのお話をします。
以下のお話は私の消防本部での話です。
他の消防本部は、違ったやり方があるので参考としてみてください。

毎年、夏から秋にかけて、新規職員採用試験が行われます。
これは消防本部によって採用の仕方はさまざまなんでしょうけど、消防職員は、地方公務員、つまり市町村の職員なんです。
ですから、私の消防本部では、市の職員と同時に採用試験が行われ、受験申込書の希望職種に消防職を選択します。

1次試験は一般の地方公務員試験として行われ、その中の上位の人たちに2次試験が行われます。
内容は体力試験と、面接です。
この試験を勝ち抜いてきた若者が、4月から消防職員として採用されます。

でも、4月からいきなり消防署に勤務するわけでは有りません。
まずは『初任教育』と言う、消防学校で行われる教育課程に入ります。
全寮制です。
そこで、公務員と言う仕事にかかる、地方公務員法等の法令、消防職員として知っておくべき、消防法・消防組織法などの法令の勉強、沢山ある機械器具の基本的な取り扱い、訓練など、半年かけて知識や体力を養い、消防署へ配属されます。

でも、まだ『一人』としてカウントされません。
例えば、救急隊は3人と決められてますが、3人目として乗務は出来ません。
『4人目』で、しかも実習生と言う肩書きです。

消防署で2ヶ月ほど実務として訓練や知識を学び、その後再度消防学校に入校し、救急標準課程を2ヶ月間受講し、ようやく『一人』としてカウントされるようになります。

一人としてカウントはされますが、出来るのは『消防隊員』か『救急隊員』だけなんです。

消防車や救急車の運転は出来ません。救助隊にもなれません。

運転手になるには、またその課程を受講し、合格した者だけが運転が出来ることになります。

また、救助課程を受講しなければ救助隊にもなれません。救助隊のオレンジ服は遠い存在です。

隊長になろうとおもえば、昇進試験に合格しなければならないし、救急救命士として活動したいと思えば、国家試験に合格しなければなりません。

このように、消防職員採用試験に合格したからと言っても、初任教育を卒業したからといっても、消防職員として活躍できることはほんの少しなんです。
ずっと勉強なんです。

ずーっと苦しそうなお話ばかりいたしましたが、全寮制で半年以上一緒にいる同期生はの絆は、それは強い物があります。
人事異動先で同期がいると本当に心強いです。

4月に採用された消防職員の皆さん、私たちは諸君が卒業し、現場で一緒に活動することを楽しみにしています。初任教育中は長いし、苦しいし、辛い半年間ですが、どうか頑張って卒業してきてください。お待ちしてます!




ji2del at 18:09|PermalinkComments(14)

2017年03月19日

ちょっとしんどいかな・・・

冬の厳寒時期も終わり、そろそろ花粉症に苦しむ人も出てきました。

先日、19歳の男性から救急要請がありました。
数日前から風邪気味で、自宅で寝ていたそうです。
市販薬では回復しなかったための救急要請です。

血圧、酸素飽和度、熱などを測定したが、特に高熱ではなかった。
この症状なら近所の2次医療機関でも大丈夫と判断し男性に伝えた。

Q『 お熱も高熱ではないので、近所のS病院で診てもらいましょうか。』

男『そこならさっき電話したんです。そしたら今は診れないって断られてんですよ。
で、Y病院に電話したんですよ。そしたら来て下さいって。だからY病院お願いします。』

救急隊としてもS病院がダメなら次は1キロほど離れるがY病院に連絡しようと思っていたところなので特に問題は無い。

Q『Y病院もう連絡してあるんですか。じゃぁ。確認しますからちょっとお待ちください。』

男『S病院なら歩いて行けたんですけど、Y病院まではちょっとしんどいかな・・って思って。』

Q『・・・・・・・・そうですか。』



ji2del at 13:37|PermalinkComments(44)TrackBack(0)