2007年11月29日

 このところ、永年お付き合いのあった先輩、友人、知人が相次いで亡くなりました。
 今月16日にはベスター『分解された男』やクラーク『地球幼年期の終わり』、ヴァン・ヴォークト『宇宙船ビーグル号の冒険』などを訳された沼沢洽治氏と、早川書房の編集者でミステリマガジン編集長などを務めた菅野圀彦氏が逝去されました。沼沢氏は福田恒存門下の英文学者で、演劇人らしく、文体や会話が活き活きとしていて、躍動感溢れる訳文でベスターやヴォークトを平明な日本語に移された手腕は忘れられません。『分解された男』をお読みの方なら、原文でアインシュタインという暗号(?)を、箱入り娘と訳されたことを覚えておられることでしょう(といっても、お読みでない方には何がなにやら分からないでしょうが)。ベン・ベンスンやヘミングウェーなどの訳業もありました。
 菅野さんとはほとんど同期の編集者として、色々な場面でご一緒させていただきました。中でも日影丈吉氏の晩年を看取るなど、日影さんにまつわめ思い出は数々あります。東大仏文科出身で、いつも静かに原書を読んでいるお姿が目に焼き付いています。
 22日には翻訳家の大井良純氏が亡くなりました。大井さんは学生時代から存じ上げていて――というか、ぼくが大学に入った頃から卒業した後まで、大井さんはずっと早稲田にいて(後半は幽霊学生だったかも知れません)、ワセダ・ミステリ・クラブというとまず大井さんの顔が思い浮かぶほどです。大学近くのモンシェリという喫茶店に行くと、たいがい大井さんが、伊藤典夫さんなどと屯していました。ミステリクラブの先輩、小鷹信光氏について翻訳を始め、マーク・サドラー、チェスター・ハイムズなど数多くの翻訳を遺しています。
 年の瀬を迎え、今年は喪中の知らせが多い年のように思えるのは、ぼくだけでしょうか。

jigokuanjigokuan at 15:13コメント(0)トラックバック(0)本と著者について  

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