2009年01月05日

 あちこちから不況の話が聞こえる今日この頃ですが、出版界も勿論例外ではありません。
 今年元旦の新聞紙面を飾った出版広告を見ると、例年なら今年こういう本を出す、こういう新企画がある、と高らかに歌い上げるところを、
「不便は便利。『紙の本』は、ネット社会の中で人間の感覚が求める”最先端のスロー・メディア”です」――新潮社
「活字の力。文藝春秋のロングセラー」――文藝春秋
「人は、本と向き合いながら 自分と向き合っている」――集英社
「本が、読みたい」――講談社
 といった具合で、とにかく活字を、本を読んでほしい、という業界の悲痛な願いが読み取れるキャッチコピーが並んでいました。
 だいぶ前から言われていることですが、ここへきて返本率は限界にまで達しています。1冊ずつの部数が激減しているのを刊行点数を増やすことでカバーしようとする出版社、ますます安全策を採って大型書店中心に配本を行う取次、新刊ラッシュに対応しきれず、店頭に並べることなく返本せざるを得ない書店……その陰で、返された莫大な本が売れないまま資産として課税されるのを避けるために、多くの本が刊行して間もないというのに断裁の憂き目にあっているのです。こうなるともはや、業界上げて膨大なゴミを作り出している、と言わざるを得ません。
 良い本を息長く売っていこうとしても、補充しようとすると品切れ、または絶版と言われる本が増えています。
 読者としては、これと思う本の出版情報をキャッチしたら、あるうちに買っておく、それを逃したら図書館や古本屋を探す、といった対応策を考えていかねばならないでしょう。
 こういう状態を脱するにはどうしたらよいか。出版社は良い本をじっくり作り、書店は息長く棚に並べ……要するに読者が読みたいときに読みたい本を手に取れる状況になるのは、もはや無理ではないかと、ぼくはいささか悲観的です。
 ミステリの世界でも、ことに翻訳物の読者離れが深刻です。このままではベストセラーになっているような本以外が紹介される機会は、どんどん減っていくのではないでしょうか。超話題作や映画化作品、定評のある古典の新訳、あるいはコージーなミステリもいいけれど、それだけになったらちょっとお寒い気がします。
 がんばれ翻訳ミステリ編集者、とエールを送りたいと思います。そして、特に若い読者に、海外のミステリをもっと読んでほしい。面白い作品、すごい傑作がたくさんあるのですよ!

jigokuanjigokuan at 10:40コメント(1)トラックバック(0)日記・挨拶  

トラックバックURL

コメント一覧

1. Posted by やーこん   2009年02月05日 21:23
昨年からとあるきっかけでコミック漬けだった自分の目が『本』へと向きました。
今年も、自分でも読める内容の物から次第に幅を広げて本を読んでいけたらいいなぁとこの日記をよんで再度思いました。

『頑張り』はしないっす。
ただただマイペースで読んで行きたいと思います。
素敵な日記を…ご馳走様です。(笑)

コメントする

名前
URL
 
  絵文字
 
 
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ