名曲カバーの聴き比べ　その15「Stop! In The Name Of Love」

帰ってきました、名物企画（？）。1から10まで動画頼り。元の動画が削除されると、何の役にも立たないという致命的欠点もあるが。今回は「ストップ・イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」（Stop! In the Name of Love）です。オリジナルはダイアナ・ロス＆スプリームス（1965年）。作詞作曲は、超有名なソングライティングチーム、ホランド＝ドジャー＝ホランド。全米ではもちろん、NO.1となったヒット曲ですが、日本のオリコンでも7位を記録しているんですね。そのせいか、日本人のカバーも多い曲です。実は前記事のピンク・レディーとYMO（高橋幸宏）の共通点といえば・・・ってところから、この曲が浮かんできました。

しかし、さすがにカバー数多かった。ジョニー・リヴァース、アイズレー・ブラザーズ、ピンク・レディー、高橋幸宏、ホリーズ、globe　and many more!

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2015年10月18日06:43

カテゴリ: ピンク・レディー; 日本のポップス

ピンク・レディーの『TWIN BEST』を聴く。その10

ピンク・レディーが解散を発表したのは、1980年9月だった。そして、その同じ月に松田聖子の「青い珊瑚礁」が初のチャート1位に輝いた。絵に描いたように鮮やかなアイドル世代交代の瞬間だった。それにしても、ピンク・レディーほど巨大な人気と底無しの下落を短期間に経験したアイドルも他にいないだろう。わずか2～3年の間の恐ろしいくらいの乱高下である。私自身も、この頃（1980年前後）はYMOに衝撃を受けて熱中し、ピンク・レディーは眼中に無かった。他には甲斐バンドやオフコースなんかを聴いていたと思う。この頃は、他にも松山千春やら長淵剛やら中島みゆきやら佐野元春やら山下達郎やらといったシンガー・ソング・ライター達が一気に台頭してきた印象がある。桑田佳祐のサザンオールスターズもいた。当時はニュー・ミュージックという言われ方をしていたが、今のJ-POPに繋がる流れが出来上がりつつあった時期で、今にして思えば、非常に変化の激しい時代だったと思う。ピンク・レディーはその流れの中であっという間に埋没してしまった印象だ。

35.うたかた オリコン48位　売上枚数4万枚
第19弾シングルで、解散宣言直後に発売された曲。そのせいかどうかは分からないが、1980年代に発売されたシングルの中では最も売れた曲である。最も売れてわずか4万枚というのも虚しいものがあるが。

この曲は全米でのデビュー・アルバムとなった『ピンク・レディー・イン・USA』に収録されている「Strangers When We Kiss」の日本語ヴァージョン。ようするにセルフ・カバーだ。シングルに抜擢されただけあって、なかなか良い曲だとは思うが、私はこの日本語ヴァージョンがどうも好きになれない。基本的にオリジナルとそう大きく変わったわけではないのだが、エレキ・ギターやホーン・セクションなどを入れてロック色を強めたのが逆効果だったように思える。オリジナルのキュートなイントロが好きなのだが、日本語ヴァージョンでは全く変わってしまっているのが個人的に痛い。この辺は好みの問題だと思うが・・・。

「Strangers When We Kiss」・・・英語ヴァージョンの方です。

36.リメンバー（フェーム）　オリコン86位　売上枚数1万枚
第20弾シングル。すでに解散発表を済ませた中、この頃は活動停止までのカウントダウンをしながらの、悪い言い方をすれば、ほとんど惰性での活動となっていたのだろうか？　落ちも落ちたりオリコン最高順位86位のワースト記録更新である。

この曲はアイリーン・キャラのカヴァー・ヴァージョン。「フェーム」に関しては、以前、記事を書いた。仕事で苦しんでいた時期だったので、よく覚えている。「やるだけやった・・・」と自分に言い聞かせていたものだ。まあ、自分のことはともかく、寝る間も無く青春時代を疾走し続けたミーとケイにはぴったりの歌詞だと思う。まさに（ピンク・レディーとしては）燃え尽きたのだろう。

それなのに、この曲は聴いていてもあまりパっとしない。正直、不思議なくらいにつまらない。曲は好きだし、歌詞も悪くないと思うのだが、何故なのだろう？　アレンジの問題か？　「うたかた」同様、オリジナルのイメージを超えれていないのが原因かも知れない。　

37.Last Pretender 　オリコン85位　売上枚数0.8万枚
第21弾シングル。売上枚数は遂に1万枚も超えられなかった。この曲は、ステージ上では一度も歌われなかった、ほとんど幻のようなシングルだから売れなくても仕方ないか。

作詞：糸井重里、作曲：高橋幸宏。この二人がピンク・レディーに関わっていたとは、『TWIN BEST』を聴くまで本当に知らなかった。特にユキヒロ。前述のように、この時期、私はYMOに熱中しており、YMOに関する情報なら何でも収集していた時期だったのに、知らなかった。いかに話題にならなかったかの証明だろう。

私の頭の中では、不思議にピンク・レディーとYMOは繋がっているのだが、直接的な関わりはこの曲と「ウォンテッド」のカバーくらいだろう。ただ、見逃せないのは、同じころにアメリカに上陸していたという点。日本国内での反応は正反対で、YMOは「大成功」と讃えられたが、PLは「大失敗」と揶揄された。この辺の報道のされ方は、今更ながら疑問に思う。

また、ネット上ではピンク・レディーとパフュームを比較する記事も散見される。確かに共通点が全くないわけでもないが、年代があまりにも違いすぎるし、音楽性もほぼ対極の位置に近いので、比較のしようが無いと私は思う。ただ、この曲に関しては、テクノ風に仕上げられていて、パフュームの原型を示していると言えるかもしれない。また、この曲はミーの独唱部分が多く、まるでミーのソロを聴いているような印象がある。後ろの方でささやいている女性の低い声がケイなのだろうか？

2015年10月14日20:10

カテゴリ: ピンク・レディー; 日本のポップス

ピンク・レディーの『TWIN BEST』を聴く。その9

結局、アメリカでの活動は諸事情により早々に打ち切り。その上日本国内での急落な人気低下を招いたピンク・レディーの全米進出はやはり失敗だったと言わざるを得ないが、出だしは順調だった。「KISS IN THE DARK」のヒットに加え、米3大ネットワークの一つ、NBCでの冠番組"Pink Lady and Jeff"の放映。日本人が全米ネットワーク番組で、冠番組を持つなんて、それこそ快挙ではなかったのか？　その視聴率は10％台だったとか、20％を超えていたとか様々な情報が有るが、いずれにしても悪くは無かったようだ。番組の内容は確かに低俗だったが・・・。

結局、その番組は6回で打ち切られ、ピンク・レディーは日本に帰国することとなる。早期撤退を余儀なくされた原因は、実は主にピンク・レディー側の都合であり、その主要因はケイの恋愛問題だった。当時、ケイは日本の男性歌手と交際、結婚も考えていた時期であり、アメリカでの長期滞在を拒否。NBC側から7年契約の話も有ったそうだが、棒に振ってしまったのだ。

ここで、当時の日本では全く報じられることの無かった、ピンク・レディーのアメリカでの活動＝"Pink Lady and Jeff"の模様が見れる動画を貼っておきます。個人的には、「アメリカでこんなことまでしていた（させられていた）のか！」と結構衝撃を受けましたw　日本でいうドリフターズ的なナンセンスなバラエティ番組で、PLの二人もキワモノ的扱いを受けている感は否めないが、興味深い場面が多々あります。ゲストはなかなか豪華。アリス・クーパー、ブロンディ、チープ・トリックetc・・・。特にミーとケイが、あのロイ・オービソンにインタビューする場面は必見ですw

33.愛・GIRI GIRI オリコン58位　売上枚数2万枚
第17弾シングル。前記事にも書いたけど、この曲を歌っているピンク・レディーをテレビで見た記憶が無い。本人たちもステージでは、ほとんど歌った記憶が無かったそうだ。そんなわけだから、見るも無残なチャート成績になってしまったのか？　つい2年前までは「サウスポー」が、その100倍の売り上げを記録していたのに・・・。当時の音楽業界の移り変わりの激しさは、ちょっと今では考えられない。

しかし、曲の方はなかなか良い。このチャート成績が信じられないくらい良い曲だ。作詞は前回に続き、伊達歩、作曲は小田裕一郎。ついに阿久/都倉両氏とも退いた形となった。よって、従来のピンク・レディーのイメージとは異なる曲となったが、ここで注目は小田氏だ。この頃はまだ無名に近かったと思うが、この後、松田聖子の「裸足の季節」「青い珊瑚礁」「風は秋色」を手掛けることになる。まさにブレイク直前の作品である。

紹介する動画の方だが、見どころはズバリ直立不動のピンク・レディーw　つまり、振り付けが無い。彼女達の最大の特徴だったはずの振り付けがここでは無くなってしまったのだ。相変わらず親衛隊の人たちは元気に声援を送っているけれど、この曲の雰囲気とは合っていない。

34.世界英雄史　オリコン45位　売上枚数2万枚
第18弾シングル。個人的に、この曲は痛かった。曲自体があまり好きじゃないというのもあるが、何と言ってもミーのカーリーヘアが痛かったw　いわゆる「ミーちゃん派か、ケイちゃん派か」という問い合わせに対する私の回答としては、当時はやはり”ミーちゃん派”だったが、ここで一気にイメージが崩壊した。今見ると、「それも、まあ、いいんじゃない？」という感じだが、当時は自分も若かったから・・・ショックだったなあ。

この曲の頃は、アメリカから戻ってきていたのだろう。この時期としては珍しく、リアルタイムでも見た記憶があり、実際、映像もこの時期としては多く残されている。中にはビキニ姿で歌っている映像もあるが・・・知名度はもう十分あるのだから、そんなことまでする必要はないのに。何だか哀れに思えて見る気がしない。

作詞は伊藤アキラ、作曲は川口真。PLの曲の中ではロック色が強いアレンジだ。かつての阿久/都倉コンビが作り上げたPLのイメージを踏襲しているような印象も受けるが、出来の方は比べるべくもなく、魅力に欠ける。やたら歴史上の有名人を羅列する歌詞だが、人物の選定に脈略が無い。韻を踏んでいるわけでもないし、何を基準に選んでいるのかわからない。羅列した挙句の”あなたもいない”というオチは聴いている途中でも予想できてしまうので、意外性も無い。

2015年10月11日09:39

カテゴリ: E.L.O.; 70年代

『DISCOVERY』－ディスコ、たっぷり。

ピンク・レディーが活動していた1977～1981年頃は、私がまだ本格的に洋楽を聴き始める前だったが、記事を書いていてつくづく思った（正確には思い出した）のは、当時の私の洋楽に対するイメージというのは、ディスコ・ミュージックそのものだったなあということ。ロック・シーンの流れの中では、当時はパンク～ニューウェイブのまっただ中でもあったわけだが、そういった音楽は当時小・中学生だった私の耳にはあまり入ってこなかった。耳にするのは、圧倒的にディスコ（＝ダンス・ミュージック）タイプの曲が多かったと思う。

一口にディスコ・ミュージックと言っても、その定義は曖昧だが、私が印象に残っている当時のディスコ・ミュージックというのは、具体例を挙げるなら、ビー・ジーズの「ステイン・アライヴ」「サタデイ・ナイト・フィーバー」、アバの「ダンシング・クイーン」「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」、オリヴィア・ニュートン・ジョンの「ザナドゥ」「フィジカル」、アース、ウィンド＆ファイアの「ブギー・ワンダー・ランド」「レッツ・グルーヴ」、ノーランズの「ダンシング・シスター」「セクシー・ミュージック」、ブロンディの「コール・ミー」、グロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」、キム・カーンズの「ベティ・デイヴィスの瞳」、クインシー・ジョーンズの「愛のコリーダ」等々・・・。こうして列記してみると、ミソもクソも一緒といった感じだが、当時は細かいジャンル分けなどできる耳はなく、これら全てひっくるめて”洋楽”のイメージだった。もちろん、他にドナ・サマーやヴィレッジ・ピープルもいたし、日本でのみヒットしていた印象の（今から考えると「何でこんなのがヒットしたんだ？」と思うような）ジンギスカン、ニュートン・ファミリー、ドゥーリーズ、アラベスクといった人たちもいた。あ、そうそう、レイフ・ギャレットていうのもいたなw

本来ならディスコをやらないような人達もディスコ・ミュージックを作っていた。ローリング・ストーンズの「ミス・ユー」、クイーンの「地獄へ道づれ」、ロッド・スチュワートの「アイム・セクシー」などが代表例だが、ピンク・フロイドの「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」あたりなんかも以外にディスコっぽく感じるところがある。こうしてみると、欧州系、ロック系が多い。シックのような本格派（？）は不思議と印象に残っていないなあ。

そして、今回主役（？）のE.L.O.である。ストリングス隊を解雇して、身軽になったE.L.O.の1979年作品『DISCOVERY』。”アラビアンナイト”を連想させるようなジャケット・デザインが印象的。タイトルを直訳すれば”発見”であり、それらしい一場面になっているが、タイトルの本当の由来はズバリ”DISCO”+”VERY”であるという。それを証明するかのように、本作にはディスコ・ミュージックの要素がたっぷり含まれている。ジェフ・リンもディスコに影響を受けたようだ。「シャイン・ラヴ」「ロンドン行き最終列車」「ドント・ブリング・ミー・ダウン」といったディスコ風のヒット曲がここから次々と生み出されたのだ。

『DISCOVERY』に収録されているのは、計9曲。前作『OUT OF THE BLUE』が大作であっただけに、随分コンパクトな印象だ。ディスコ・タイプの曲の他には、ジェフ・リンがロイ・オービソンのようなヴォーカルを聴かせる優秀なポップ・ミュージック「コンフュージョン」や甘美なバラード「ミッドナイト・ブルー」などが収録されている。どれもシングル・ヒットしそうな曲が揃っており、各楽曲の質は高いが、全体的にやや甘味が強く軽めの仕上がりであるため、アルバムとしての重みに欠けるところもある。その点で評価を下げている部分もあるが、まあ、それは好みの問題だろう。

「Shine A Little Love」

「Don't Bring Me Down」