2012年09月

2012年09月30日10:06

カテゴリ: THE WHO; 60年代

ロック・オペラ『TOMMY』で、人生に光が射した。

TOMMY/THE WHO
1969年作品
『The Wall』で人生の方向性を見失った私に光を与えてくれたのが、このザ・フーの『Tommy』。今となってはアホみたいな話だが、このアルバムには救われた。それまで勉強は大嫌い、困難は避けて通る性格が一変。これでその後の進路が大きく変わった。大袈裟ではなく、私の人生を変えた1枚です。

三重苦の少年トミーを主人公にしたこの物語の『The Wall』との共通点は、一人の男性（少年）の人生を誕生から年代を追ってストーリーが展開していくところ。一度はスターに昇り詰めて、最後は転落するといった部分にも共通点があります。また、『Tommy』『The Wall』とも作者自身（ピート・タウンゼントとロジャー・ウォーターズ）の半生をテーマにした”自伝的要素”が含まれた作品とも言えます。

そういった『The Wall』との共通点はあるものの、印象が表と裏、明と暗ほど違うのは、物語の視点が根本違うからでしょう。『The Wall』のテーマは社会における疎外感や断絶で、最初から最後まで被害妄想的で陰鬱なのに対し、『Tommy』は若干の宗教色も感じられますが、障害を克服して成功を手に入れるというところに物語の主点が置かれているので、総体的にポジティヴな印象を受けます。

それにしても何故こんなにも『Tommy』に勇気づけられたのか？　今となっては自分でもよく解らないところがあります。三重苦に苦しむトミーと、自己嫌悪に陥り、八方塞だった当時の自分の姿をダブらせたのかも知れませんが、単純にストーリーに惹かれたというより、ザ・フーの高揚感のある演奏が私に勇気をくれたと感じます。
ストーリーは非常に解りにくく、歌詞カードを見ただけではあまりにも言葉足らずで「なんのこっちゃさっぱりわからん」という感じです。なので、『Tommy』のストーリーについてはこちらを参照して下さい。

「Overture」「It's A Boy」「1921」

「Pinball Wizard」・・・サントラ盤から。エルトン・ジョン・ヴァージョン。

「See Me Feel Me」・・・ウッドストックでの演奏。

↓クリックお願いします。

2012年09月29日10:11

カテゴリ: PINK FLOYD; 70年代

『THE WALL』を聴いて、人生が嫌になった。

THE WALL/PINK FLOYD
1979年作品
私が20歳位の頃、いろんなことで自己嫌悪に陥っていた時期があったのですが、そんな不安定な精神状態だった時期に聴いたこの作品には参りました。特に”教育なんて必要ないんだ。所詮は壁の中のレンガの一つじゃないか”（Another Brick In The Wall）という一節はグサリと刺さりました。生きていくのが嫌になりましたなｗ　

今から考えると、「何をそんなに深刻になっていたのだろう？」と思ってしまいますが、若い頃は狭い世界しか見えてないので、些細なことで思い悩んだりするものであります。
私の妻も落ち込んでいた若い頃にこの『The Wall』を夜一人で聴いていたそうで・・・。全く音楽の好みが違うのに、唯一二人共通で持っていたCDが、この『The Wall』でした（苦笑）。

一人の人間（男性）の誕生から破滅までのストーリーを描いた本作は、全26曲トータル演奏時間は80分以上の大ヴォリューム作品です。ドラマティックに展開する構成は”さすがピンク・フロイド”と思わせるものですが、終始重たい陰鬱な空気が流れているので、今も聴くにはそれなりの気構えが必要な作品ですね。

まずストーリー有りきの構成なので、中には単なるつなぎの曲（いわゆる捨て曲）もいくつか見受けられます。全体的にロジャー・ウォーターズ色が強く、まさに彼の独壇場。当時のロジャーはよほど苛立っていたのか、被害妄想に駆られていたのか。何だか彼のうっぷん晴らしを延々聴かされているような感じさえします。本来の彼らの持ち味だった幻想的なインストは、ここではほとんど無くなっていますね。

ここからシングル・カットされた「Another Brick In The Wall Part.2」は全米第2位となる彼ら最大のヒット曲となりました。・・・よくヒットしましたね＾＾；　こんなに重い内容の曲なのに。
ヒットの要因を冷静に分析してみると・・・フロイド当人達がどこまで意識していたのか分かりませんが、当時のディスコ・ブームに上手く乗った感じでしょうか。フロイドにしては珍しくテンポのいい曲です。同時期にヒットしていたクイーンの「Another One Bites The Dust」とも共通点が見出せると私は思います。

「In The Flesh?」・・・『The Wall』のDVDヴァージョン。

「Another Brick In The Wall」

↓クリックお願いします。

2012年09月28日07:22

カテゴリ: KING CRIMSON; 70年代

『LIZARD』－最近よく聴くキング・クリムゾン作品。

LIZARD/KING CRIMSON
1970年作品
最近なぜか個人的によく聴くようになったキング・クリムゾン作品が『Lizard』。彼らの通算3作目の作品です。ここ数ヶ月の間だけに限っていえば、マイ・フェイバリット・KC・アルバムになっております。それまで決して好きなほうの作品ではなかっただけに、自分でも意外な展開です。鮮やかな色彩のジャケットも魅力的。初めてKCを聴く人にはやっぱり『宮殿』や『レッド』をお薦めしますが、それらの名盤を聴き尽した後に聴くといい塩梅の作品です。

常にメンバーが入れ替わるKCですが、この作品も前作『In The Wake Of Poseidon』から激しく入れ替わっています。最初はゴードン・ハスケルのヴォーカルに馴染めませんでした。そりゃ、脱退したグレッグ・レイクと比較したらどうしたって聴き劣りしてしまいます。それと、全体的にライヴ映えするような曲が少なく、他のアルバムより密室的で大人しいというか、切り口が甘い印象もありました。

ところが、ある時からアナログA面の緻密かつフリーキーなサウンドがツボにはまってしまい、一転して愛聴盤になってしまいました。どなたかのブログに”フリップ翁によれば「何度も聞き続ければ、24回目には打ちのめされる」ように作ったそうなので是非繰り返しきいてほしい”と書いてありましたが、ひょっとしたらこの時が24回目だったのかも知れません（？）。特に1曲目「Cirkus including Entry Of The Chameleons」でのフリップのアコースティック・ギターにはゾクゾクさせられます。

対してアナログB面を占めていた大曲「Lizard」は、イエスのジョン・アンダーソンがヴォーカルで参加。ラヴェルの『ボレロ』のリズム・パターンを引用したり、得意のメロトロンで叙情味も出したりしています。フリーキーなサックス・ブロウも良いのですが、全体的にやや冗長に感じる部分があり、あともう一捻り欲しかった感も・・・。

「Cirkus including Entry Of The Chameleons」

↓クリックお願いします。

2012年09月26日21:53

カテゴリ: JONI MITCHELL; 70年代

『逃避行（HEJIRA)』－ジョニとジャコの遭遇

HEJIRA/JONI MITCHELL
1976年作品
ジョニ・ミッチェルの9作目。邦題『逃避行』。これもMOJO誌ランキングの”あと一歩でランク入りを逃した作品”として紹介されています。前記事で紹介したジャズ・ベーシスト、ジャコ・パストリアスとの共演が話題となった作品で、ジャコは9曲中4曲で参加しています。その他、ラリー・カールトンも前作に続き3曲で参加。

1974年発表の『Court And Spark』以降のジョニは、徐々にジャズ色を強めていくことになりますが、この作品では前作『夏草の誘い(Hissing Of Summer Lawns)』に引き続きラリー・カールトン等ジャズ系ミュージシャンを起用。最大の話題はやはりウェザー・リポートのジャコ・パストリアスの参加。ジョニとジャコ、共に唯一無二の個性を持つ二人の共演はやはり注目でしょう。全曲に参加しているわけではないので、そこが残念なところですが・・・。

個人的注目曲はやはりジャコが参加した作品。ジョニ、ジャコ、ラリーによる３ピース演奏「Black Crow」は実にスリリング。「Coyote」でも得意のハーモニクスを連発。そして「Refuge Of The Raods」では、空に浮かぶようなベースに聴き惚れます。ジャコのことばかり書いてますが、ジョニの歌とギターももちろん、素晴らしいです。

「Coyote」

「Black Crow」

「Refuge Of The Raods」

↓今回は試しに折りたたみなしで書いてみました。

2012年09月25日20:51

カテゴリ: JAZZ/FUSION; 70年代

エレクトリック・ベースの革命児－ジャコ・パストリアス

JACO PASTRIOUS
JACO PASTRIOUS
1976年作品
ジャズ/フュージョン界の伝説的ベーシスト、ジャコ・パストリアスの1stソロ・アルバム。邦題『ジャコ・パストリアスの肖像』。彼の天才的なベース・プレイは、影の存在だったエレクトリック・ベースに革命を与えたと言われている。1987年、不運な事故により、35歳の若さで死去。

↓クリックお願いします。