BALLAD DVD

監督:山崎貴 

企画制作プロダクション:ROBOT

製作共同:テレビ朝日、ROBOT

製作:2009BALLAD 名もなき恋のうた」製作委員会(テレビ朝日、ROBOT、東宝、ジェイ・ドリーム、電通、ADK、レプロエンタテインメント、シンエイ動画、双葉社、小学館、白組、朝日放送)

脚本:山崎貴

VFX:山崎貴

主演:草ナギ剛、新垣結衣

共演:夏川結衣、筒井道隆、武井証、吹越満、斉藤由貴(特別出演)、吉竹怜朗、浪岡一喜、菅田俊、香川京子、小澤征悦、中村敦夫、大沢たかお

原作:『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』(原作:臼井儀人/監督・脚本:原 恵一)

音楽:佐藤直紀 主題歌:「BALLAD〜名もなき恋のうた〜」alan

邦画 2009年 132

 

★ストーリー

天正2年。小国、春日の武将の又兵衛は、合戦のさなか命を狙われるが危機一髪で突然現れた少年に救われる。未来から来たという真一の話に半信半疑の又兵衛だったが、廉姫から面倒を見るよう命じられ、困惑しながらも次第に真一と心を通わせていく。そんなある日、廉姫に婚儀の話が持ち上がる。相手は大国の大名、大倉井高虎。それは小国の春日にとって願ってもない申し出だったが・・・。

 

☆映画総評
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BALLAD4原作が幼児マンガと呼ぶべきか、はたまた大人も楽しめる大衆娯楽的マンガなのか、その立ち位置が結構難しいようなマンガ「クレヨンしんちゃん」(実際は子供に見せたくないアニメとも言われているけど)のアニメ映画を実写化と言う思いきった事をしてしまった映画である。勿論、子供の為の映画には違いないが、やっぱりそこはそこ、家族みんなで楽しめるお父さんやあ母さんも観賞に耐えうる映画となっていた。

 

BALLAD3そして、タイムスリップものとは言え、歴史に忘れ去られていた(かつ)てあったであろう戦国時代の春日、現代で言うと埼玉県春日部市の小国が舞台と言うのが妙に気に入ってしまった。まあ、実際には春日部市一帯には城は無かったみたいだけど、そんなことはどうでも良くて、考えると、今までの映画って、例えば同じ戦国時代タイムスリップ物では映画「戦国自衛隊」(79)があって、これも戦国時代の武田信玄と上杉謙信の時代が舞台だから、歴史の表舞台なんだけど、だからこそ、歴史上の有名人がオンパレードで出てくるので、ある意味メジャーだけど、数多くの歴史専門家の解釈で、ほぼ決まった人物像だから、我々のような歴史の表舞台とは程遠い世界の住民にとっては、華やかな歴史舞台の有名人のお家騒動には正直ウンザリしていた時に、名もなき戦国時代の武将を主人公にすることに、なんか共感したし、また、そんなマイナーな世界なのに、VFXを効果的に使う事によって、16世紀の戦がよりリアルに再現されていた。

 

BALLAD5確かに、突っ込み処満載の映画ではある。タイムスリップの原理は廉姫(新垣結衣)の祈りらしいし、結構簡単に両親もタイムスリップには、まるでRV車にキャンプセット一式を詰め込んでの戦国時代へとは、殆どマンガの世界だし、16世紀の人々とのカルチャーショックは微笑ましいシーンで散りばめられていた。また、子供のショックを与えるようなシーンを避ける為に、あえて血の出るシーンはカットしているし、敵大将の大倉井高虎(大沢たかお)の首を打ち取るのも、まさかの断髪でOKとは恐れ入るが、それはそれとして、結構、合戦のシーンはリアルだった。

 

BALLAD2戦場では刀と刀とのチャンバラよりも基本的には長槍が主力だし、鉄砲にしても結構使い勝手が悪くて、弓矢を効果的に使うと戦場では鉄砲と大差ないと思われる感じだし、よくリドリー・スコットの映画では例えば「キングダム・オブ・ヘヴン」(05)でも城攻めで使った(やぐら)が「BALLAD 名もなき恋の詩」にも出ていたし、結構、合戦シーンは楽しめた。

 

BALLAD7マンガが原作だから主人公の川上真一(武井証)は「ドラえもん」のノビタ君と似たような設定で、臆病な小学生役なんだけど、生意気にガールフレンドはいます。この辺もノビタ君状態だ。もしくは「新世紀エヴァンゲリヲン」のシンジ君状態とも似てなくも無いか?この辺も、今時の草食系男子が小学生まで低年齢化していることなのだろうか?まあ、しかし、いくら埼玉県の春日部市が田舎とは言え、今時に昔風な苛めっ子がいるかはやっぱりステレオタイプだし、川上真一君が戦国時代に行って劇的に変化するのは、これって若者が戦場に行って変化して帰還すると言うのに似ています。まあ上記のようなベトナム帰りの凄い奴になってしまうと映画「ランボー」になっちゃいけど、多分、川上真一君はあの苛めっ子と喧嘩しちゃうんだろうな!

 

BALLAD6今、自分がいると言う事は、まるでこの映画BALLAD 名もなき恋の詩」のように名もなき人々の表舞台とは違う裏舞台での歴史からひっそりとした群像劇があり、それが延々と続いて自分がいるんだ、と、ホント当たり前な事を、ふっと考えてしまいました。過去の延長線上が現代であり、現代の日々の延長線上に未来がある。16世紀の戦国時代は、(いくさ)もだが、充分な食料や医療もなく、生と死が限りなく近い時代だが、だからこそ濃厚な人生や人間関係があった。反対に2010年と言う現代は、今日、明日、自分が死ぬと言う不安は無いが、だがしかし漠然とした不安が、現代の日本人に取り巻いている。自分は長生きするかもしれないが、あまり面白くない未来が待っているのかもしれないと言う、ぼんやりでもあり、憂鬱でもある不安は、今後益々大きく巨大になり、最後には日本だけでは無くアジアや大国中国をも飲み込むのかもしれない。そして、それこそが近代化の終焉であり、資本主義経済の終焉だと、個人的には考えている。

主題歌:「BALLAD〜名もなき恋のうた〜 」alan


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