彼女と二人っきりでいるとき、
なんかいい感じになってるとき。

まるで世界の中心に、
自分たちがいるような錯覚に陥る。

目の前の彼女の全ては、
いま自分に託されているんじゃないか。

自分だけが理解してあげられるのではないか。

自分だけが本音を聞けるのではないか。

彼女にとって僕は"特別"なんじゃないか。

誰かの特別になれたとき、
世界は自分を中心に回り始めていく。

けれども、彼女にとって。

そこは案外、
世界のほんの隅っこだったりするわけだ。

うーん。世辞からい。

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特別だとのぼせ上がってしまった男とは全く阿呆なもので。彼女との関係がいまふたつになってからも、世界の中心から抜け出せない。

本当はまだおれのこと好きなんだろう?
おまえのことを理解してあげられるのはおれしかいないんだろう?

自動車学校であれほどやってはいけないと言われていた"だろう運転"全開。事故る。"だろう?"は事故る。

新しくできた道路。
新しい彼氏の存在に気付かず、正面衝突だ。

元カノといつまでも連絡を取り合っていると、いつの日にか電話口の相手が変わる。
「てめえ、人の女に手出してんじゃねぇよ」
と、ドスの効いた声で怒鳴られて終了。

こわかった。
17歳の頃の僕の話です。

世界の中心から、一瞬にして陰奥底へ。
断崖絶壁、隅の隅へと追いやられる。

元カノに固執するのはダサいからやめよう。

そう誓った、17の夜。

友人からぼったくられて数十万で買ったオンボロの原付を走らせ、泣いた。

そしてそのとき彼女は、新しい彼と世界の中心でセックスを楽しんでいたわけだ。

誰かが泣けば、誰かが笑う。

世界中で今夜もそんな、
"居場所"取り合戦が行われている。

つい数日前。あのときのあの子からの結婚報告で、僕はまた、また、より一層世界の隅へと追いやられてしまった。

まぁさほど悲しいわけではないけれど、
たまには僕にも叫ばせてはくれませんかね。

世界の中心で、愛ってやつを・・・。

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