ウォーリー・フィスター

2014年07月08日

「トランセンデンス」をあえて擁護してみる!『これはSFなんかじゃないぞwこれは究極の愛の形だw』3



ノーラン製作総指揮でジョニデ主演だから普通に観に行ったんだけど、観賞後にネタバレの感想なんかチェックしてたらめちゃくちゃ酷評されまくって、今年のラジー賞有力候補にまでなってて正直驚いた。そんなダメな映画だったのかと自問自答したぐらいだ。

だから、ぼくはここではあえて擁護派の感想をしたいと思う。

ただひとつ言わせてもらえば、これはクリストファー・ノーランの作品ではない。ノーランは製作総指揮に関わってはいるが、それはこの作品が「ダークナイト」や「インセプション」で撮影監督を務めたウォーリー・フィスターの監督デビュー作だったからに違いない。ノーラン節はこの作品には込められていない。

物語は比較的単純ではあるが、現実と照らし合わせると非常にツッコミどころは多い。それを多くの鑑賞者が酷評しているが、まあ所詮SFじゃんと割り切れるぐらいの見方はあると思う。

ジョニデ演じるウィル・キャスター博士は、人間をも超える人工知能を研究開発しているが、それを脅威と考えているテロ組織によって瀕死の状態に陥る。そこでレベッカ・ホール演じる妻であり同じ科学者のエヴリンとポール・ベタニー演じる親友のマックスとで、ウィルが死ぬ前にウィルの意識をコンピューターにアップロードする。そして、エヴリンはそのウィルの意識データを研究中の人工知能に移してウィルの意識を復活させるのだ。

果たして人工知能として復活したウィルは本当に生前のウィルと同じなのか。しかし、ことは次第にエスカレートしていく。ウィルとエヴリンは夢の実現のための城を築き始めるが、その城によってウィルは怪物化していきエヴリンさえも疑問に思うほどの異常さを見せ始める。

そう、さも神にでもなったかのように。

そしてこの後、そのウィルの暴走を止めるべくいろいろあるんだけど、それはまあ興味があれば観てくれたらいいんだけど、結論から言うとぼくはこの作品が究極の愛の物語であったと思う。そしてふと似たような作品があったなと思い出す。それはブルース・ウィリス主演の「サロゲート」だ。ぼくはこの作品をSFをモチーフにした熟年夫婦の再起の物語だと嘯いた。

《参考》「サロゲート」は熟年夫婦の再起の物語である

このときも「ターミネーター3」のジョナサン・モストウが監督したと話題になったが大コケしたはずだ。今回の「トランセンデンス」もウィルがエヴリンの夢の実現のために神になって地球を救おうとし、エヴリンは自身の死を持ってウィルを信じることができたという、なんだか古典的すぎるぐらいのラブストーリーだったんだと妙に納得してしまった。

そう言えば、一緒に観に行った妻が観る前に「人工知能になったあなたを自分は愛せるかしら?」と冗談めかして言っていたが、この作品はそのひとつの回答となったのだろうか。


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jinfs at 15:06|PermalinkComments(2)TrackBack(2)