料理評論家ポール・ジェラードは評論家としての立場を利用してレストランの評判を左右するので取り上げて欲しい、貶して欲しくなければ金を払えと恐喝行為を続けていた。
しかしイタリア料理店の店主がこれに反抗して恐喝行為をバラしてやると立ち向かう。
そこでジェラードはワインの栓抜きの針に毒を仕込んで、自分はワインを飲む前に退出して店長だけに飲ませて毒殺する。
コロンボは同席したジェラードも死んでいないから料理を食べてみて食事での毒殺が違うと判断。飲まなかったワインだろうと見抜くのだが、そこに呼び出されたジェラードがやってきて、どこに毒が入ってるかわからないのに病院にも行かなかったからこいつだと確信。
だが、動機の背景がわからず、レストラン協会の会場を外したから口論になったと言うばかりで、それも実は賞がこのレストランを選ぶからだと弁明。
しかし店長が死ぬ間際に引き出しを開けていたことから小切手を調べるとレストラン協会に送金しており、その金をジェラードの秘書が会長を名乗って引き出しており、それを小切手を葬式で見せて反応したから徹底調査をして見つけ出す。
そしてほかにも送金した者からジェラードが不正蓄財を掴む。
しかし毒もふぐ毒でありふぐを調達したことまでは掴むが、栓抜きの針を回収されていたのでやった証拠はない。
この状況でコロンボは秘書と取引して不正行為を立証するところまで持って行き、それを伝えて一緒に食事をして証拠こそないが、毒の調達、針の回収、それが可能だったのはあなただけだと突きつける。
これにせめてコロンボだけでも殺そうと毒の栓抜きでのワインを出すが、コロンボは予期しており栓抜きに印をつけてわかるようにしていた。
このワインこそ毒を入れた証拠だと。
そして会った瞬間から毒の検査もせずに来たあんたが犯人だとわかっていたと告げる。

いつコロンボが犯人が怪しいと気付いたのかが最後までわからず、直前まで食事していて問題を抱えていたからかと思っていたら、最後に、毒殺なのに検査なしで来たのは何が毒か知っていたからだと。
これはお見事。犯人視点だからこそ、普通に駆け付けたことそのものになんの違和感もないが、それこそが犯人だと印象付けられる。

まただからこそ捜査が背景の動機調査で詰めていくのが堅実で面白く、ジェラードのレストラン業界への影響力を宣伝の評判はもちろんだけど、高額な協会への送金の小切手から不正蓄財に辿り着き、しっかり犯罪行為を特定させる。
これも見つけた小切手を葬式で関係者に見せて反応した者を決め撃ちする凄まじさで、見たことない人はなんだこれというものだが、知ってる人は、やべえで。
これを調べて、協会には金が入ってない、送金されて降ろされている、口座が別にある、降ろした女がいる、ジェラードの秘書は当然知ってるよなで、不正蓄財を証明。
この流れもお見事。
それらのことでコロンボはワインでの毒殺だとわざわざ伝えるし、秘書と取引して、殺人の証拠はないながらも状況証拠、動機があったことを掴んで追い込んでいく。

あの協会のパーティーでのコロンボの明日には捕まえる発言、秘書のもう手を切る発言。
たったこれだけで全部バレたと犯人を殺人をするように追い込むのだ。最後の晩餐を用意するというのも同じ手段での殺人の誘発で、警戒したとはいえ栓抜きではなく普通に毒薬盛られたらどうするんだと。
しかし栓抜きの交換を見抜いてグラスを交換して余裕で証拠を確保。
全てを仕組み証拠を得る状況を作るコロンボマジック。

今回は料理店での殺人ということで、料理が出まくり、コロンボも料理するという異色回なのだが、一方で被害者が協会の会場になるぐらいのリーダー格なので、コロンボが犯人逮捕を諦めない限りひもじい思いはさせないとレストラン協会全面協力。
協会の会議で英語をまだ覚えていない甥と一緒に、甥の目的は二つ、アメリカでの成功と叔父を殺した人物を罰する。成功は皆さんの助けでなんとかなるでしょう、罰するのは私が手伝えます。もう見当がついてますで。
コロンボがしっかりと途中でムシャムシャ食うシーンも多いのだけど、協会の味方だぜって礼服来てアピールしているのも楽しい。直前まで毒は栓抜きかと甥と試行錯誤しているのも良かったな。栓抜きの中身も盗まれてるからたぶんこれだけど確証なしで迷ってたね。

あと、犯人が吹き替え声優もあるだろうけど、売れっ子評論家として常に余裕を崩さず、しかしなんともテンションの高いおっさんだなって感じで、脅迫して不正蓄財して極悪ではあるし、さらっとコロンボの指摘も避けて行くのだけど、だからってそんなに魅力的なわけではないのに、妙に印象的だったな。