CIAの分析官だったジャック・ライアンが教官となってイギリスの軍学校で講演した日のこと。
偶然皇室のアイルランド担当大臣を狙うIRAのテロに遭遇して撃退するのだが、そこで射殺した男が拘束したショーンの弟でアメリカ人の干渉だとIRAの報復を受ける。
妻子を狙われて重傷を負わされたことでIRA壊滅へ向けてCIAに復職して動き出していく。
砂漠での軍事教練キャンプを衛星から確認したことで奇襲するのだが、一安心の状況で勲章授与のための詰めで自宅での妻子の退院パーティを狙われ、復讐に猛るショーンは大臣よりライアンを執拗に狙い反撃で死亡する。

90年前後のIRA暫定派に巻き込まれたCIA話。
あと10年もすれば和平合意に至るため、2000年代以降で視聴すると時代劇感が凄く感じるものの、敵役の存在をちゃんと肉付けすることで単純なアクション映画にしない。
ショーンが単純に肉親を殺されて怒り狂い最後は独走、暴走することで破滅するが、周囲がしっかりと穏健派のリーダーが皇室狙ったら支持が得られないと静止すると過激派リーダーが暗殺。ショーンのことを使えると保護するが、最後は暴走に引っ張られて政治的テロである皇室への攻撃に失敗してしまうということで、敵の一枚岩でなさ、暴走するショーン以外はちゃんと標的狙おうという判断が出来る人物もいることで馬鹿な敵という印象が薄まっており、穏健派、過激派、暴走する敵役と描いて。
そのショーンだって弟を殺されてとわかる描写で。

CIAのテロリスト壊滅ミッションも衛星で盗み見て居場所を確認して奇襲といういつも通りの内容だったけど、この時点でちゃんとそういう作戦だと描写してるのは時代が変わっても手口は変わらないなということで。

テロの脅威としては宮殿のまん前を襲撃したりするのは自爆覚悟でやるべきだしそりゃ死ぬと思うし、秘書がバラしたとはいえ大臣を呼んでお祝いしていたら襲撃してくるなんて、なんとも間抜け、瞬殺されてる警備もそうだし。
しかしそれよりも妻子が攻撃される際の突然の襲撃。講義帰りに新聞買ってる兄ちゃんが尾行してくるからこいつだなと気付いて返り討ち。トイレで間違ったと出て来る女性に緊張するなど、テロで命を狙われると安心できないのがわかる描写はなかなか。
IRAの報道官が金集めのために関与を否定してるとかでネガキャンされたくなかったら情報寄越せで、過激派だから渡しちゃうとか第三国でのテロもそうだし資金集めもだけど、多角的な感じが見て取れるな。

内容自体はシリアスだし、ヘイスティグス役の人が裏切っていたのは王道で、大したことないとは思うが、敵にいろいろ気配りのあることは評価したい。