パンドラの箱 〜 井村一巴
25日まで開催中の「パンドラの箱」より、井村一巴さんの作品をご紹介いたします。
井村さんがご自分で作品について解説を書いてくださいましたので、以下それをご覧いただきましょう。


「Thought α」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Thought β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Material α」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Material β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm
「Past β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Past α」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm
25日まで開催中の「パンドラの箱」より、井村一巴さんの作品をご紹介いたします。
井村さんがご自分で作品について解説を書いてくださいましたので、以下それをご覧いただきましょう。
「パンドラの箱」はギリシャ神話の中でも、私にとって興味深い説話です。
開け放たれた「箱」の中に残ったElpis(予兆・期待・希望)は、人間が「その希望により絶望せずに生きる」という説や「その希望ゆえ諦められず叶わぬ苦悩を味わねばならなくなってしまった」という説、「箱の中にしまわれたままなので機能していない」という説まで様々なとらえ方があるのだそうです。

「Elpis α」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
21.0x28.0cm

「Elpis β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
21.0x28.0cm
今回の出品作品は、以前から取り組んでおりますセルフポートレイトを撮影・現像し、その印画紙の表面をピンで引っかき描画を加えた写真作品ですが、今までモノクロプリントだった写真を初めてカラーのラムダプリントにて制作いたしました。
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
21.0x28.0cm

「Elpis β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
21.0x28.0cm
今回の出品作品は、以前から取り組んでおりますセルフポートレイトを撮影・現像し、その印画紙の表面をピンで引っかき描画を加えた写真作品ですが、今までモノクロプリントだった写真を初めてカラーのラムダプリントにて制作いたしました。
通常のプリントをした写真とその左右反転の写真(鏡像)とが対になったタイプの作品で、自らがピンによって自然と描き出したイメージから、解釈の両面性や、自己イメージと客観性の共存、自然と人工物の結びつきのあり方などを読みこみ、再びそれらに思いを馳せながら加筆し・・・と、自分の像や描いた点や線と対話を繰り返すかのように制作いたしました。
そして、今回の作品の中で一番初めに完成しました作品は「パンドラの箱」に残った「Elpis」をそのままタイトルとしました。
他の作品は「Thought」(思考)、「Material」(素材)、「Past」(過去)と、神話の世界とたった今自分が生きている世界とを結びつけるワードを、制作中に浮かんできたままにタイトルとしています。

「Thought α」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Thought β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Material α」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Material β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm
「Past β」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm

「Past α」
2016年
ラムダプリントにピンスクラッチ
28.0x21.0cm
そういえば、先日最終回だったドラマ「逃げ恥」でも「面倒を避け続けていると最後には息をすることまで面倒になってそれって死に近いことなのかも?」というようなくだりがありました。
煩わしさを以てこそが人間の姿であり、それゆえ苦しみや悲しみとともに喜びや幸せ、そして美しさをもこの世界に見出せるのもまた人間なのかも知れません。(井村一巴)
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