Deep Sessions

株式会社ジャパンインポートシステムの公式ブログです。海外生産者とのイベントや商品の紹介など、よりDeepな情報をお伝えしていきます。

しばしのお別れ~ベンロマックと共に!

こんにちは、ちょろまかし呑み助です。

とうとう本日が最終回のこのブログ。
もちろん再開を心に誓ってはおりますが、
いったんお休みをいただきます。

呑み助が最後に皆さまにお伝えしたいのは、
当ブログを開設以来、
弊社をあげてオススメしてまいりました

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です。

これまで、セミナーの内容を踏襲した記事がありませんでしたので、
本日はベンロマックの基礎であり、
また哲学でもあるそのこだわりについて、
お伝えしたいと思います。

とはいえセミナー内容をそのまま書き起こしてもつまりませんので、
今日はベンロマック蒸留所の歴史のサブストーリーに絡めて、
ご紹介します。

なぜベンロマックがこんなにマイナー蒸留所なのか?
その答えがフィロキセラにあるとしたら、
皆さまはその繋がりがご想像できますか?

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こっわ!!

1860年代の後半、フランスを襲ったブドウの病害フィロキセラ。
これにより、フランスはおろかヨーロッパのブドウが
ほぼ全滅に近い被害を受け、
素晴らしい生産者が消えていった、というのは有名な話ですが・・・

実は後日談として、この事件はイギリスへ大きな影響を与えます。

そのころ、イングランドの富裕層が楽しんでいたのは、
何を隠そうフランスからの輸入品、ブランデーがメイン!
ところがこのフィロキセラの害により、
ブランデーの生産がストップしたために、
これまで需要が高かった市場で飲めるものがなくなり、
代わりにブランデーに似た(ここポイント!)

「柔らかくて甘くて飲みやすくて熟成した」

蒸留酒が求められたのです。

そう、それこそがブレンデッドウイスキー!!

この機を逃さず、ジョージバランタイン&サンズ(エディンバラ)や
ジョンウォーカー&サンズ(カーマノック)、
シーバスブラザーズ(アバディーン)などのグロッサリーは
その舵を一気にブレンデッドウイスキーの生産に切ったのです。
(そしていまだに残る、その実力と品質の高さよ!)

そのため、スコッチウイスキー業界はその生産を
一気に増加することが求められました。

ご存知のとおり、ブレンデッドウイスキーを作るために必要なのは、
シングルモルトウイスキーとグレーンウイスキーです。

当時、ブレンデッドウイスキーを作るためのモルトウイスキーの蒸留所が
必要になり、ベンロマックもその一つでした。

図1
1960年当時の蒸留所

もともとの目的が「ブレンデッドウイスキーの量産!」なのですから、
シングルモルトウイスキーとして求められていたわけではありません。
そのため、ベンロマックのウイスキーはオフィシャルボトルから
リリースされることもほとんどなく、
ひたすらブレンデッドに使われていたのです。

そりゃあ、名前も売れないわ。マイナー蒸留所になるわ。

そのような背景から、1993年にゴードン&マクファイル社が
買収したことにより、不死鳥のごとく復活したベンロマック!!

2015年のラベルリニューアル以降、
その勢いは伸びる一方で、
世界的な受賞も重ねています。

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ベンロマックの特徴は、「古き良き味わいの復刻」に尽きます。

その味わいを復元するために、
蒸留所の機械化 / 自動化は最少単位に抑えられ、
5人のウイスキー職人が、その手でウイスキーを作っています。

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左から、マイク、ムルド、ブライアン、ジェシカ、蒸留所責任者のキース

生産工程を効率よく分担するにも、人数が少なすぎて無理。
ということから、この5名が発酵から樽詰めまでの
全ての工程に携わっています。

熟成庫も、床が地面の、昔ながらのダンネージスタイルを踏襲。
人力時代の熟成庫は、機械が積んだり取りに行ってくれる現在のように、
何十樽も縦に積むことはできません。
現在のベンロマックの熟成庫も、高くても3段までしか積まない、
というルールを徹底しています。
このため、熟成する樽も、簡単には増やせません。

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しかし、ウイスキーの熟成にはこの方式が最適、
効率を優先して段数を増やすことはないようです。

ここまでくると、もはや執念に近いこだわりですね。

他にも、仕込み水は天然水であったり、
原料の大麦もスコットランド産であったり、
土着であることを強く意識した工程もたくさん見受けられます。

ベンロマックの魅力は、語るに尽きません。

いつかまた、このブログが再開した暁には、
ベンロマックの新しいニュースを引っ提げて、
復活したいと思っています。

ブログは休載しますが、ベンロマックはその成長を止めることはありません。

弊社のフェイスブックツイッターでは
引き続き最新ニュースをお届けしていきますので、
こちらもぜひチェックくださいね。

これまでご愛読いただきありがとうございました。

皆さまが今宵も、これからも、よいお酒と共に健康に過ごせますように!

スランジ!
呑み助でした。

涼しい風と共に、シェリー酒をどうぞ!

こんにちは、ちょろまかし呑み助です。
このブログも、残すところあと2回となりました。

お休み前最後の記事は、
おそらく皆さまご想像がついているかと
思いますが、この「最後の1コ前」というのは、
なかなかにテーマを選ぶのが難しいものですね。

というわけで、本日は昨年10月に来日してくれた
バルデスピノのイベントに絡めて、
秋に向けてシェリーをオススメしたいと思います。

昨年、滞在期間が短いながらも弊社を訪れてくれ、
そのまま新宿でのキャンペーンに尽力くださった、
バルデスピノ社の営業、ギエルモ・アルセ氏。

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営業部長 ギエルモ・アルセ氏

何度か日本には来てくれておりますが、
今回は初めて、お客様にご協力を賜り
1夜限りのバルデスピノ☆ナイトを敢行!

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※当イベントは終了しております

すでに生産が終了している甘口のトネレスを引っ提げて、
ご参加いただいたお客様に
直接バルデスピノの良質さや丁寧な作り方を
説明してくださいました。

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新宿 371 BAR 様にて

バルデスピノは、かのワイン評論家ロバート・パーカー氏をして、
ヘレスのロマネコンティである、と言わしめています。

1430年にはすでにシェリーを生産していたことが確認できる
古いボデガで、生産の全工程を自社の管理のもと行っています。
1883年にはスペイン王室御用達のシェリーになり、
その評価を不動のものにしました。

バルデスピノが特別なところはいくつかありますが、
シェリーでは珍しい単一畑から生産していることもその一つ。

一番人気のフィノタイプの商品“イノセンテ”も、
単一畑から作られる1本です。
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このフィノについては、
ワイン評論家のルイス・グティエレス氏も
ワイン・アドボケイト誌において、
下記のように評価しています。

(以下引用)
バルデスピノイノセンテ フィノは、
今日でも600リットルのアメリカンオーク製のボタ(樽)で発酵を行う、
とても数少ないヘレスのワインといって間違いないでしょう。
大きなステンレス製のタンクで、
数万キロものブドウ(時にはそれ以上)を一度に発酵させる手法に比べると、
信じられないほど多くの手間をかけなければなりません。
昔はこの製法がスタンダードだったのですが、
あまりに重労働であるためほとんどのワイナリーが止めてしまいました。
(引用ここまで)

図1 バル

スペインワインの巨匠、ピーター・シセック氏も
言及していたように
シェリーはもっともっと知られてよいワインだと思います。

ちょっと考えただけでも、実はこんな利点が・・

・ ボディが厚いことから、楽しむグラス(カップ)の形状を選ばない
・ 美味しく飲める温度の幅が広く、持ち歩いた直後の開栓もOK
・ いろんな食材に合う
(タイプによっては1本で、和洋中のおつまみに対応できますよ!)
・ 度数がちょっと高いので、寒空の下でも身体が温まる、かも
・ 日持ちするので、その場で飲みきれなくても自宅で続きが飲める
・ なによりコルク抜きが不要なので、アウトドア向き
(蓋はスクリューキャップかコルク栓が使用されているので、
道具が不要。手で開けられます)

実はカジュアルに楽しめるワインなんです!

これから涼しくなる時期には、
フィノをトニックや7UPで割ったレブヒート、という
カクテルが飲みやすく、オススメです。

また、実はこれまでにも、シェリーの啓蒙を図って
いくつか記事を書いてきました。

ぜひこちらもご一読ください!

呑み助でした。
次回、いよいよ感動のLAST!?

オールドボトルという存在

もはや毎年のお約束。
立秋が過ぎても、暑い日が続きますが
皆さま体調を整えて、美味しいお酒を飲まれていますか?

ブログ公開最終日が決まったことで、
お話しし足りないことは何かないかな?と
考えておりましたところ、
そういえば弊社にはもう一つ、
オールドボトル、というカテゴリーもあったな!と
思い出しました。

ですので、今日は過去にお招きした
THE イタリアの良心=ナディ・フィオリ氏のセミナーを
振り返りながら、
少しだけお話ししたいと思います。

最近はその流行もあって、
オールドボトルを取り扱われる方も増えてきました。
とはいえ、オールドボトルの定義というのは
なかなかにむつかしく、
ハッキリこれだー!ということができません。

すでに流通在庫からは姿を消し、
人知れずずっと眠り続けたボトル、という感じでしょうか。

今や失われた時代の失われた味わいを楽しめる幸せは、
中毒性が高く、
お好きな方は本当にお好きです。

しかし。
オールドボトルの取り扱いは、
ほぼばくちのようなものでもあります。
環境がパーフェクトに整っていれば、
これ以上美味しいものはないかも・・・!とも思いますが、
何十年もの間にそのボトルに何があったか、
誰も知る由もありません。

人間も、そうですよね。
自分の過去を振り返り、
何十年も和やかでパーフェクトな環境に
身を置き続けられた方は、少ないと思います。

弊社では、ずいぶん昔からこのようなボトルを
取り扱ってきました。
そして、2008年には、
多くの著名なコレクターがいるイタリアより、
社長田中の古い友人でもあるナディ・フィオリ氏を招き、
セミナーを行いました。
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ナディ・フィオリ氏近影 2005年のアイラフェスにて

ナディさんは、シングルモルトウイスキーのボトラーズ業界では
大変に有名な人物として知られています。

今は気の向くままにご自身のボトルをリリースされていますが、
イタリア屈指のボトラーであるハイスピリッツ社の代表であり、
オールドボトル市場では、インタートレード社名義で
リリースされたボトルをたくさん見つけることができます。

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インタートレード社リリース ポートエレン17年

イタリアのボトラーズ商品といえば、
ムーンインポート社やサマローリ社の商品に見られるように、
中身が美味しいのはもちろん、
そのラベルの美しさも見どころの一つです。

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サマローリ社リリース グレンオード 1962 伝説のブーケラベル!
ロングロウ 1987 SM
サマローリ社と言えば、このボトルが特徴的。ロングロウ 1987

LAPHROAIG 1996  SAMAROLI-2
裏ラベルにはご自身の似顔絵を入れていました

P1010015ティーニニック 1981TAMDHU 1988 SHERRY  MI 2011 BOTTLING THE LAST FETISH
ムーンインポート社リリースの数々。
リリースごとに「ザ・シー」「アニマル」「ホラエ・ソラリス(太陽の時間)」
「コスチューム」「ラスト・フェティッシュ」など、テーマが決まっていたのが特徴的でした。

bird - コピーCOSTUME - コピーhorae - コピーsea - コピー
2010には、創立30周年を記念して、
これまでのラベルを使った記念ボトリングをリリース。
そろったところは壮観でした。


ハイスピリッツ社のボトルも例に違わず、
芸術性の高いラベルをたくさんリリースしてきました。
ARRAN 21YO  HS LIFE IS A CIRCUSLITTLEMILL 21YO  HS COLOURS COLLECTIONNATURAL CASK STRENGTH SELECTION CAOL ILA 30YO  HSラガヴーリン8年

左から、「LIFE IS A CIRCUS」「COLOURS」「NATURAL CASK STRENGTH」「SINGLE ISLAY」

その発端は、ナディさん自身がご兄弟と経営を始めた、
小さなレストランでした。

1970年代当初のイタリアでは、
シングルモルトウイスキーの輸入が増え、
市場にたくさんのボトルが見受けられましたが、
顧客が育っておらず、また大変に高価だったこともあり、
なかなか一消費者の手元まで届かなかったようです。

それでありながら、「何か人とは違うものを」と思うのは、
なんとなくおしゃれなイタリア人の気質が
見え隠れする気がしますが、
レストランのお客様のために、
珍しいボトルを探しにスコットランドを訪問し始めたのが、
ナディさんのボトラーとしての第一歩でした。
OLD INTERTRADE REPLICA LABEL BOWMORE 13YO  HSINTERTRADE OLD LABEL REPLICA LAPHROAIG 12YO  HS
インタートレード社 復刻ラベルシリーズ

できるかぎり安く市場に届けられるよう、
ナディさんは自分自身でモルトを輸入するようになります。
また現地で育んだ古いボトラーとの友情から、
樽を買い付け、自分自身のラベルでリリースもするようになりました。
これが、1983年に創設された、インタートレード社の始まりです。

その後もレストラン業とボトラー業を兼務しながら、
イタリアンボトラーとしての地位を確立していきますが、
1990年代の後半には、レストラン業に注力するべく
インタートレード社を閉めることになります。

ただシングルモルトへの情熱は燃え続け、
2000年には再度ハイスピリッツ社として復活を遂げました。

doc08057120180815150710doc08057220180815150854マッカランラベル

このように、ナディさんご自身がイタリアの
モルト業界の波をくぐり抜け、
実際に体験したきたことをお話しいただけたのは、
10年前のこととはいえ僥倖でした。

セミナー内では親交のあるイタリアの生産者
(モルトに限らず、天使のグラッパを作るあの方まで・・・)を
ご紹介いただいたり、イタリアンタックスの歴史を
教えていただきました。
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盲目のコレクター ヴァレンティノ・ザガッティ氏

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「天使のグラッパ」職人 ロマノ・レヴィ氏

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レヴィさんの蒸留所入り口(カワイイ!)

その中で、特に印象に残っているお話を一つご紹介します。

税制が定着せず変わったりするのは、世の政府の常ですが、
イタリアの場合、新しいタックスシールを使い始めるのと同時に
古いものは廃棄するのではなく、
ヤミに流して欲しい人に売ってしまうんだとか!!

こうなると、もはや手元のオールドボトルの流通年代も、
不安になるでしょう?
といたずらっぽくニヤリとされたそのかわいらしい笑顔に、
イタリアらしさを感じたと、
当時の通訳は申しております。

流通年代ももちろん大事だけれど、
そのボトルがいつ作られたか、
ということにとらわれ過ぎないで、
美味しさを楽しんでほしい、

とナディさんは続けたのでした。

最近、とても充実したウイスキーのオールドボトルの事典
発行されましたが、そういう本を片手に、
今ではもう過ぎ去った時間に思いをはせるのも、
一つの楽しみかもしれません。

呑み助でした。