9mm拳銃後継トライアル、決着
2019年12月6日、防衛省は9mm拳銃の後継となる「新拳銃」について、ヘッケラー&コッホ社のSFP-9を選定すると公表しました。
拳銃(試験用Ⅰ型)
ドイツのHeckler & Koch社製SFP-9です。
今回9mm拳銃の後継に選定されました。
時系列
2017年10月23日:
防衛装備庁 公告第輸-200号、
「拳銃(試験用Ⅰ型)」の入札公告。
数量は8丁、納入場所は成田空港で納期は
2018年1月29日:
拳銃(試験用Ⅰ型)を株式会社JALUXとの間で
103万6800円で契約。
2018年2月23日:
陸上自衛隊 富士学校で公告第B97号
「SFP9用ホルスター ほか17件」の公告。
(品番のDSE-SFL-7360/SFP9 (ブラック)からアメリカのサファリランド社製ホルスターであると思われる。)
2018年4月2日:
陸上自衛隊 富士学校 公示第11号
平成30年度役務(技術援助)希望募集要項において、「11-6-1 拳銃教育 アーマラ教育(HK社用拳銃) 技術援助」の公示。
2018年9月13日:
陸上自衛隊富士学校 公告E105号、
「技術援助 (H &K アーマラーズ講習)」の
公告。仕様書により試験用拳銃Ⅰ型(防衛装備庁では『拳銃(試験用Ⅰ型)』)がSFP-9であることが確認される。
拳銃(試験用Ⅱ型)
Beretta社製APXです。
メーカー製品ページ
http://www.beretta.com/en-us/apx-striker/
2017年10月23日:
防衛装備庁 公告第-輸201号
2018年1月29日:
拳銃(試験用Ⅱ型)を株式会社FLEが
71万7006円で契約。
2018年8月:
陸上自衛隊 富士学校 公示第11号
平成30年度役務(技術援助)希望募集要項に
「アーマラ教育(ベレッタ社用拳銃)」、
2018年10月11日:
陸上自衛隊富士学校 公告E121号
「技術援助(Beretta アーマラーズ講習)の
公告。仕様書に試験用拳銃Ⅱ型が
拳銃(試験用Ⅲ型)
GLOCK社製G17です。バージョンに関して仕様書には記載がありませんが、9mm拳銃後継となる拳銃の開発要求書によればグリップの交換が可能なことが条件に挙げられているのでそれを考慮するとGen4かGen5ではないかと思われます。
メーカー製品ページ
https://us.glock.com/Products/G17
時系列
2017年10月31日:
防衛装備庁公告第輸-208号
「拳銃(試験用Ⅲ型)」の公告。
2018年1月29日:
有限会社金子銃砲店との間で72万360円で契約。
2018年8月:
陸上自衛隊 富士学校 公示第11号
平成30年度役務(技術援助)希望募集要項に
「アーマラ教育(ベレッタ社用拳銃)」、
「アーマラ教育(グロック社用拳銃)の追加。
「製造元等」に記載された企業が装備庁での契約相手と一致するためⅢ型はGLOCK社の
2018年9月28日
陸上自衛隊富士学校 公告第E199号
「技術援助(GLOCKアーマラーズ講習)」
の公告。仕様書により試験用拳銃Ⅱ型がGLOCK17であると確認される。
9mm拳銃後継に要求されたスペックとは?
9mm拳銃の後継に求められるスペックは公表されています。軍事アナリストの岩本三太郎氏が防衛省に情報開示請求して開示された
「陸上幕僚監部平成28年度装備開発要求」
(https://drive.google.com/file/d/1WvNkV9uKTZgAIv63B78E3w7EUpRUd7xt/viewの「拳銃」の項目によれば特徴として
・握把の太さを調節できること。
・銃を保持している手で弾倉を外せること。
・現有の拳銃用弾薬を使用できること。
この3点が挙げられます。
選定機種決定までの経緯
2010年
陸上自衛隊富士駐屯地で放射製物質である
トリチウムのある部品を含んだ試験用拳銃3丁を業者に処分を依頼すべきところを誤って溶解処分(9mm拳銃後継との因果関係は不明)
2012年
陸自補給統制本部の平成24年度装備品等(火器車両関連)に係る契約希望要項(平成24年度2月7日公示)にS &W製・JKB DAIRA 製「新拳銃」の技術援助・調査の公募。
2016年
陸上幕僚監部平成28年度装備開発要求書に9mm拳銃の後継となる拳銃の要求項目の記載。
2017年
防衛装備庁の平成29年度中央調達見込みにおいて試験用の輸入拳銃Ⅰ型~Ⅲ型の3種の調達要求
2018年
陸上自衛隊富士学校の技術援助・アーマラーズ講習の公募を通じて、試験用輸入拳銃がHeckler &Koch SFP-9、Beretta APX、GLOCK G17の3機種であると判明。
2019年 8月30日
防衛省、令和2年度概算要求において
新小銃と合わせて新拳銃323丁を0.3億円分
調達すると公表。
2019年 12月6日
防衛省、ホームページを通じて
新拳銃について、ヘッケラー&コッホ社製SFP9を選定したと公表