2011年03月23日

本澤二郎の「日本の風景」(716)

<大震災と科学人災> 東日本の太平洋岸を壊滅状態にした長さ500キロ、幅200キロの超巨大地震と大津波、これだけでも空前の大惨事なのだが、さらに東電・福島原発の安全神話が崩壊、放射能汚染が人命と大地を直撃している。後者はまぎれもなく科学人災の典型といえよう。スリーマイル島原発事故よりも深刻だというし、水素爆発はチェルノブイリ原発事故と同じである。人類に突き付けた科学人災の象徴となってしまった。



 ここにきて、ようやく放射性物質が問題になってきている。善良な学者が、早く公表すべきだと警告していた深刻な問題である。当局もとうとう腰を上げたらしく、市民に理解できない数値を示し始めた。放射性物質のセシウムやヨウ素が野菜や牛乳・水道水からも検出されていたことを認めた。一方で「健康被害はない」といい、それでいて「出荷規制」をかける矛盾した政府の対応である。
 事態は大変深刻なのだ。素人はただおたおたするばかりだ。都民でさえマスクをして、洗濯物を干すのに気を使っている。
<自民党政府・電力会社・原発官僚・製造企業の重大責任>本来であれば、人々は巨大津波の被災者救済と復旧に総力を上げればいいはずだった。しかし、地球最大の科学人災である原発事故によって、首都圏ほか日本全体もふり回されて、ガソリン・食料確保から物価高など生活全般に不便と不安を抱えている。原発の安全神話を振りまいてきた自民党政府による原子力政策、電力会社と癒着してきた原発官僚と原子力発電機製造企業の責任は、どうしようもないほど大きい。どう責任を果たすつもりなのか。
中曽根バブルの崩壊で失われた20年が、今後10年、20年と続くのであろう。日本民族は展望の持てない新たな危機の時代に立たされてしまったのである。
 いま出来る大事なことは、全ての危機的状況のデータを、日本国民のみならず国際社会に公表・公開することである。マスコミは責任を持って、安全を吹聴する20キロ圏、30キロ圏の福島県住民の現状をつぶさに報道する義務があろう。テレビも彼らにマイクを向けようとしていないのだから。
 原発こそが恐怖の人災の最たるものであることが、スリーマイル・チェルノブイリと、今回の福島原発で証明された。非原発の地球にしなさい、というメッセージを送り続けているのであろう。この教訓を学ぼうとしなければ、人類も地球の未来もないのかもしれない。
 政府には原子力安全委員会・経済産業省原子力安全保安院・内閣府原子力委員会が、屋上屋を重ねて原発安全神話を宣伝してきた。菅総理は22日、肝心な場面で責任回避するばかりの3者のトップを官邸に呼びつけて叱り飛ばした。東電・東芝・GE・日立と一体となって国民に偽りの情報を流してきた官僚・官閥・御用学者である。配下に東大などの学者陣を置いている。
 マスコミが彼らの先兵を果たしてきた。
<姿消していた東電と東芝> この大惨事を引き起こした張本人・東電社長を1度だけ見た。計画停電を打ち出した場面である。しかし、謝罪しない。今どこにいるのか。責任感覚ゼロの東電社長である。現場で指揮を執るという信念もない。
 昨日(3月22日)副社長が初めて避難住民の元へ出向いた。そこで、もそもそと「補償」を口にした。人災感覚がまるでないのだ。東北各県の知事らは「国の責任で補償を」と叫んでいる。ちょっと待ってもらいたい。責任のない国民に負担を押し付けようというのである。
 第一義的には政府・官僚の原発担当責任者、東電や東芝であろう。刑事・民事の責任を負うことになろう。むろん、行政責任も。関係者は生涯、このことで苦悩するしかないだろう。資産の提供も。関係した御用学者や言論界も道義的責任を負うしかないだろう。神奈川知事選出馬のテレビ人は大丈夫か。生活を根こそぎ奪われた多くの主権者が沈黙するわけもないだろう。
 空前の人災処理には膨大なエネルギーを必要とする。辛い厳しい試練が関係者に襲いかかってくるだろう。
<10日後の海水検査> 原発周辺の海水が放射性物質で汚染していることが判明した。なぜか。10日間も海水汚染調査をしていなかった東電なのである。恐ろしくて調査しようとしなかったものか。ならば政府機関が代わってやろうとしなかったのか。これも驚くべき醜態であろう。
 周辺の大地や野菜の検査はどうなのか。これは文科省が担当しているのか。24時間調査をしているのかどうか、これも怪しい。住民の不安を煽るだけであろう。かなり遠方の野菜や牛乳から汚染が確認されている。ということだと原発の10キロ圏、20キロ圏、30キロ圏はどうなのか。
 当局は原発現場の冷却ばかり、マスコミもそればかりを報道して、国民が一番知りたい肝心の放射能汚染の実態をとことん追及していない。
<放射性物質被害から逃亡した米空母・各国救援隊も> 昨日になって横須賀を母港としている米空母「ジョージ・ワシントン」が突然、出港した。米軍の駐留は屈辱ものだが、それゆえに出港は大いに結構だ。しかし、理由は放射能汚染からの逃亡ということのようだ。
 福島より遠い。東京よりも離れている母港の横須賀である。しかし、この最強の軍艦・軍人も放射能には勝てない。危ない数値に敵前逃亡したようなものなのだ。そうだとすると、海外に逃げ出せない日本国民は?
 中国の救援隊は3月21日に帰国したらしい。韓国は23日に帰国するようだ。原因はやはり隊員の被ばくと関係があるのだろう。むろん、海外の救援隊が日本に止まる理由はない。非難しているつもりはない。放射能・放射性物質に対して人間は無力なのだから。
<原発上空温度検査週2回の見えない自衛隊> 22日に判明したことだが、原発上空の温度検査を自衛隊は週2回しか行っていなかった、と北沢防衛大臣が明らかにした。これからは毎日やる、というのである。この10日の間ほとんどサボっていたということらしい。
 そういえば、これまで自衛隊の活動が見えない。10万人動員は嘘に違いない。1万人もいるのであろうか。22日には、米原子力空母からの救援物資輸送をマスコミは大々的に報道した。
 サボタージュする自衛隊をよいことに、米原子力空母が活躍ぶりを日本国民に見せつけようとしていたのであろうか。
 阪神大震災の時もそうだったが、今回も自衛隊はP3Cのような偵察機を即座に飛ばそうとしなかった。最高責任者である菅総理と北沢大臣の無能・無責任ぶりはわかるのだが、傍に就いている秘書官らが進言すれば済んだことである。
 仮に自衛官がまともな感覚をもった人間であれば、とろい総理・防衛大臣であろうとも飛行機を飛ばすだろう。30分後の恐ろしい現場を生映像で官邸や各省に送ることが出来たのだ。そうしていれば「まず900人の自衛隊動員」という信じがたい指示などなかった。普通の人間感覚であれば20万人の動員をかけたであろう。多くの人命を救えたはずである。違うか。
 自衛隊はいらない。災害救助隊に改編すべきであろう。平和憲法が求めているところである。自衛隊は有害無益、恥を知れといいたい。
<逃げた東大学者> 震災直後にテレビによく登場していたのは、官僚・官閥の仲間で知られる東大学者だった。典型的な御用学者である。真実を伏せようとする無責任な御用学者だった。事態の深刻さが国民に分かってくると、彼らは姿を隠した。危ないと判断したのだろう。
 最近は菅総理の母校である東工大の学者である。あるいは広島大学だ。東大は逃げてしまった。総理も顧問に母校の学者を選んだ。東大官僚・東電・東芝と癒着する東大御用学者を、信用出来なくなったからのようである。
 今回の大人災も東大官閥の敗北を物語っている。
2011年3月23日8時35分記


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