2011年05月12日

本澤二郎の「日本の風景」(763)

<東電の巨額広告費> 東京電力のマスコミ対策費・広告費は250から300億円と言われている。電通を経由して新聞テレビに大金を流し込むのだが、普通の民間会社では不可能な巨額なマスコミ対策費だ。政治を動かす巨大企業群を財閥と呼んでいるが、東電は文句なしに電力財閥の雄である。電力会社全部合わせたマスコミ工作資金は、恐らく1000億円近いのかもしれない。暴利をむさぼれる料金設定のできる独占企業体だから、およそ競争原理の中で活動しているほとんどの民間企業とは異質である。そうして言論の自由を押しつぶしている。



 史上空前の犯罪的大惨事が、2か月前の福島原発事故である。「絶対事故は起きない。安全だ」と確約してきた東電である。大地も住民も生き物全てを、まんまと罠(詐欺)にかけてきたことになる。詐欺は犯罪である。刑事罰が科せられるのだが、お上(官閥)と電力財閥は、緊急事態に損害補償のほとんどを国民負担で処理するという、実に国民を馬鹿にした法律をつくっていた。
 官僚と財閥が支配する日本を裏付けている。電力会社の広告費も大いに役立ったことになる。マスコミも原発推進政治家と同様、共犯の一翼を担って真実を報道、批判しなかったからである。
 余談だが、今の政権は松下政経塾の傀儡政権と言ってもよいのだが、ここでも財閥・松下批判は皆無だった。年間300億円といわれる広告費がマスコミに支出されているからだ。マスコミは広告費で生きている悲しい商売である。ためにスポンサーを非難することはしない。出来ないのだ。
 公共放送・国民に奉仕すべき唯一のNHKでさえも、政府と財閥にからめとられている。
 日本に言論の自由があると信じ込んでいるアジアの日本研究者は、今も多い。困ったものである。
<東電は広告費・政治献金をゼロに> マスコミが財閥の側に立つと、実に恐ろしい事態が表面化する。福島はその典型であろう。大惨事が発生しても、マスコミは東電にメスをいれない。もっぱら政府・菅内閣批判をして溜飲を下げている。本末転倒である。
 東電ビジネスを徹底的に洗うと、人災でもある原発の抱える危険な課題が判明する。官僚との癒着関係が、原発の危険性を解き明かしてくれる。マスコミはそれを承知で批判・追及しない。
 同じく東電を追及しない議会・野党である。東電はここ政界にも大金を流しこんで口封じをしている。知らぬは民衆ばかりなのだ。
 東電は天文学的な損害を補償しなければならない。真っ先に広告費をゼロにする、政治献金をゼロにしなければ国民の立場はない。
<大学など研究機関工作費もゼロに> 原発の安全神話は、マスコミだけではなく学者を動員することで成果を上げることが出来る。博士号などは実に他愛のない肩書でしかないのだが、原子力に無知な素人には効き目がある。電力会社や霞が関の官僚は彼らを重用して人々を洗脳する。いうところの御用学者だ。
 新聞やテレビに登場する面々のほとんどがそうだ。学術・学問も、金やポストで動いていると思えばいいだろう。
 従って東電は学会・大学への支援金名目の工作資金もゼロにして、それを原発被害者の補償に充てる義務がある。以上のことが未だあいまいである。現に今でも週刊誌の一つが東電批判を開始したばかりだ。他のマスコミは相変わらず大惨事の加害者たる東電にメスを入れていない。
 政府の浜岡原発停止要請にも「唐突過ぎる」とか「説明不足」などといちゃもんを付けるマスコミが多い。中部電力の味方なのである。悪しきマスコミを演じ続けている。
<原発反対世論封じ> 思えば、電力会社は膨大なマスコミ工作資金によって、反原発の世論を封じ込めてきた。原発反対の市民運動をほとんど活字にしなかった。大手の新聞テレビが、である。中には報道しても、それはベタ記事でしかない。虫眼鏡を用意しないと、読者の目に止まらないくらいである。
 原発NOという当たり前の市民運動を、電力会社と一緒になって、わが日本のマスコミが協力して封じ込んできたのだ。およそ健全なジャーナリズムではなかった。
 この結果、日本の高い技術に支えられた原発政策は、官民一体となって強力に推進されてきているという、間違ったメッセージを内外に与えてきた。電力会社・政府・マスコミの3位一体の犯罪といっても言い過ぎではあるまい。
<国民に奉仕しないマスコミ> 金で動かないマスコミの登場が不可欠である。マスコミの腐敗を終始批判していた政治家が、平和・軍縮派の宇都宮徳馬だった。
 「健全な言論と健全な野党が民主主義を正常に機能させる原動力」と口を酸っぱく叫んでいた。特に読売新聞が中曽根内閣時代、政府の宣伝報道に徹するようになってから、彼のマスコミ批判は頂点に達した。
 日本の現状は、この重大な危機において議会とマスコミが死んでしまっていることなのである。言論の自由を高らかに歌い上げる時だというのに。電力財閥を再生させる好機を逸している。
2011年5月12日8時30分記


jlj001 at 08:29 この記事をクリップ!
Archives
訪問者数

QRコード
QRコード
Recent Comments
Recent TrackBacks
livedoor Readerに登録
RSS
livedoor Blog(ブログ)