2011年10月12日

本澤二郎の「日本の風景」(892)

<TPP大政局が遂に始動>
 野田首相は10月10日、米作農家を視察した後、TPP(環太平洋経済連携)参加問題の早期決着を図ると意思表示した。ワシントンの1%富豪が生き残りをかける、米資本主義の最後の野心的経済政策だ。対米従属政権が、それに自ら点火したものだ。TPP大政局の火ぶたが切られた。成り行き次第では、政党分裂・政界再編を招来させる大問題となろう。日本の命運をかけた危うい選択でもある。



 10月11日には早々に関係閣僚会議を開いた。筆者は昨夜気付いたのだが、東京の渋谷で10月9日に小沢裁判を糾弾する市民デモが行われた。市民が街頭に飛び出したのだ。正に「東京の春」である。そこでのスローガンに「TPP反対」があった。
 TPP政局は小沢にとっても正念場なのである。
<松下政経塾内閣は積極的>
 松下財閥の政治部門に過ぎない松下政経塾内閣は、根っコに財閥の意思が深く、太くこびりついている。先般のニューヨーク訪問では、オバマから直接「証拠を早く出せ」と普天間問題に絡めて脅しまくられた。
 オバマの前で平身低頭する野田が、それに応じたものである。農漁業団体・福祉医療団体が緊張し、反撃の準備を始めている。政経塾議員の前原政調会長や前原の子分・玄葉外相が、野田支援発言をしている。むろん、女房役の藤村官房長官も。
 鹿野農水相は慎重論を展開している。嵐の前の静けさとも表現出来る永田町だ。総選挙を意識して議員の多くは様子見だ。しかし、対米自立派の対応しだいでは郵政民営化の比ではなくなるだろう。TPP政局は政変含みなのだ。
<財界が後押し>
 業を煮やしているのが、住友財閥出身の経団連会長の米倉だ。この傲慢な態度と発言で定評のある人物は、財閥を代表してTPP参加を強く求めている。アメリカの強欲資本家と同様に、TPP参加で暴利をむさぼれると安直に考えている。
 果たしてそうだろうか。車や半導体などほとんどを、韓国と肩をならべられている日本である。柳の下にドジョウがいるか不透明である。携帯電話でも後塵を拝しているではないか。
<霞が関・マスコミも>
 対米従属派の震源地である霞が関の官僚たちは、いうまでもなくTPP推進派だが、一皮むくと、この問題は一枚岩ではない。農林官僚や医療・福祉の官僚らは推進派ではない。資本の論理の通用しない分野だ。経済官僚のように率先して推進派にはなれない。
 しかし、外務・財務・経済産業の主流官僚は、いうまでもなく対米従属派の牙城として、TPP推進派の先頭に立っている。それこそ彼らの天下り先の財閥と一体である。
 霞が関と財閥の連携の先には、金で容易に動くマスコミが控えている。公共放送のはずのNHKでさえも、会長は財閥出身者である。いまや偏向報道の一番手を走っていると見られるようになっている。
 松下政経塾内閣の頼みの綱は、霞が関とマスコミということになる。だが、そんなマスコミに対しての市民の目線は変化している。覚醒してきているのだ。不買・不払い運動に拍車をかけることになろう。真実を報道しないマスコミは、世論誘導するマスコミは、いずれ民衆から排除される運命にもある。
<ワシントンの野望>
 なぜワシントンはTPPなのか。莫大な軍事費で財政は破綻している。金の卵の震源地・ウォール街は、一端は崩壊、血税で救済されたものの、人々が覚醒して1%富豪に向かって挑戦を開始している。
 かくしてアメリカ再生の切り札が、唯一TPPなのだ。アメリカン資本主義が、再び花開くという経済侵略論なのである。ズバリ太平洋諸国の資産や産物を餌食にできる策略だと、筆者の目には映る。
 ワシントンが必死になる理由が、その証拠ではないだろうか。アメリカに好都合のよい経済政策は、他の参加国にとってマイナスということになる。パイは一定である。小学生でもわかる理屈だろう。
 対米従属派の致命的な欠点は、肝心要の日本・日本人の生活を第一に考えていないことである。ワシントンを優先し、そのおこぼれを懐に入れて満足する不条理な日本人である。
<資本の論理に問題>
 そもそも資本主義は崩壊している。いまのアメリカが証明している。超軍事力で他国の資源を略奪、他方で、超金融力でもって世界のドルを巻きあげる。さしずめギャンブルの胴元であろう。
 これが破綻して、いま史上空前の世界不況に追い込んでしまっている。衰退したアメリカン富豪資本の最後の生き残り作戦が、このTPPなのだ。違うだろうか。
<70億人口の胃袋>
 国連は、10月31日をもって世界人口が推計70億人になったと発表する。この70億人の胃袋を満たすためには、地球の耕作地を全て有効利用して食料生産することを人類に課している。
 TPPは、こうした人類の厳しい現状に蓋をかけることになろう。本来、各国とも食料は自給自足に向かって努力すべきなのだ。むろん、一部の国があり余った食料を輸出することは好ましいのだが、その結果として相手国の農業生産を押しつぶすことは、断じて容認すべきではない。
 命を守るために胃袋を温める政策は、人間が最優先しなければならない事項だ。TPPによって日本農業が破綻していいわけがない。地球上の農作地は、全て高度に利用してこそ70億人を生かすことが出来るのである。たとえ自由貿易であってもこの原則を破ってはならない。
<農業・医療・福祉にTPPは危険>
 何もかもを資本の論理に委ねていいわけがない。規制緩和が叫ばれるが、しかし、それによって農業や医療・福祉をおかしくしてはならない。人間が生きてゆく安心と安全の基本だからである。人間の営みの全てを資本家に任せる、という資本家中心主義は、間違いである。
 たとえば病院の全てを株式会社の経営にすると、どうなるのか。金もうけ優先の治療など恐ろしくて入院できなくなるだろう。医療事故多発を約束するだろう。
 思考・思索すれば、TPPの問題点、おかしさは容易にわかる。わからなければ人間失格ではないだろうか。ワシントンの罠にはまっては、ただでさえ沈没しているこの国はおしまいである。見方を変えると、米国の属国・属領でないことを誇示する好機ではないのか。
 「東京の春」の試練の場でもある。
2011年10月12日11時23分記


jlj001 at 11:21 この記事をクリップ!
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