2011年10月21日

本澤二郎の「日本の風景」(900)

<独裁者の殺害>
 2011年10月20日に独裁者・リビアのカダフィ大佐が反政府軍兵士に銃で殺害された。リビア市民は、自由を手にしたと歓喜に震えている。西側の指導者の多くは独裁者の死を歓迎している。イラクの独裁者のサダム・フセインの殺害とその後の混乱・混迷を見せつけられている人類である。欧米はこぞってリビアの利権確保に血なまこになっている。


 この地球には、人類が確認出来ないほどの長い前世紀があり、新世紀も2011年を数える。弱肉強食の歴史は、姿・形を変えて今も続いている。人類史を権力掌握者は、さまざまな装いで飾り付けて、後世に歴史的文献として残してきた。
 真実かどうかは不明だが、為政者はそれを真実だと教育して現在がある。問い詰めてゆくと、空しくなってしまうのだが、為政者の意向を受けた智恵者は、必死で彩りをそえて民の共感を得ようとする。その中にはすばらしい人物・思想・哲学も存在するのだが、なかなか現実世界に反映できない。そこに人々の苦悩が存在する。宗教などが活躍する舞台ともなる。
近代は独裁を拒絶する。しかし、存在している。市民が覚醒して独裁者を平和的に引きずり降ろすに越したことはない。しかし、フランス革命・ロシア革命・辛亥革命のように武力が用いられる。
 イラクの独裁者にも、リビアの独裁者にも外からの軍事攻撃によって死をもたらしたものである。正直なところ、直接の利害関係にない人間にとって血による清算方法は、安易に喜べないし、正直なところ複雑な思いにかられる。人類の智恵や行動は、依然として古典的なままである。
<仮面をかぶった民主国家>
 人類はことほど左様に前進が見られない。弱肉強食は姿を変えて存在している。民主国家を名乗る国々の中には、1%の富豪が支配している怪しげなものも存在する。典型的なのがアメリカである。アメリカの市民がようやく、そのこと気付いてきたのだが、他方、富豪に支配されている権力集団が存在する。彼らは軍事力や警察権力などを容易に動かせる。
 そこの主は、リビア独裁者の死を歓迎すると同時に「寛容な民主国家の建設」の誕生を呼び掛けた。それを素直に受け取れないのが悲しい。
 66年前のアメリカの日本占領は、日本歴史の大転換を予想させる希望を多くの人々に印象付けた。ところが、しばらくすると東アジアの反共の砦に衣替えさせた。戦費で自国経済が苦しくなると、円高ドル安政策を強要、中曽根バブルで浮かれさせた後、経済大国の座から引きずり下ろした。小泉内閣が強行した郵政民営化も同じ部類である。いまTPPを韓国に次いで日本にも押し付けようと懸命である。
 湾岸戦争からイラク・アフガン戦争の軍費を、日韓の同盟国という属国から絞り取ろうというのである。目下、マスゴミを使って日本国民を洗脳させている。
 アメリカに限ったことではないだろうが、大国であるワシントンのやり口は大胆すぎる。沖縄を事実上、軍事支配していることにためらいさえ見せない。寛容な民主国家・アメリカという定義を、そのままオバマに返上したい。
<前近代の近代国家>
 先日、月刊誌「財界にっぽん」の雑誌で対談した藤原肇氏とおしゃべりしたのだが、彼は宇都宮徳馬流の日本認識を披歴していた。
 「日本はいまだ前近代の国である」と断じた。感心してしまったのだが、彼は欧米から祖国を眺めてきて、それを体感してきたのである。フランス留学で革命後のフランス社会の人々の教養と意識を知り、その後にアメリカ大陸で石油採掘ビジネスを30年ほどした。その過程でワシントンの秘密を知ってしまったようだ。
 彼は「日本はアメリカの属領でしかない」という真実を知るのである。独立国で近代の日本という、それは虚構でしかないことに愕然としてしまったのだ。「何としても近代の日本にしたい」という思いは強烈である。日米同盟をわめき散らす政権ほどワシントンの属領というのである。
 米軍事基地と米兵が駐留する国、首都圏に米軍の司令部が存在する国、それが前近代の日本である。憲法の上に条約が存在する国だ。独立国ではないのにもかかわらず、それでも独立国といい、民主的な法治国家だと言い張る。どうみても無理があろう。覚醒しない奴隷国家にいたたまれないのだ。
<寛容・公正・公平な近代国家>
 本来、民主主義は自立した国民の公正な選挙によって代表を選ぶ。国会議員は憲法を順守することで、主権者たる国民の代表者になれる。実際は改憲軍拡論者が、総理大臣や党の要職に就いている。失格者である。
 失格者が国民を代表しているのだ。とても近代国家といえまい。自立した近代国家は、寛容で公正・公平な原理を貫く必要がある。こんな国が存在しているのか。世界を知る者に聞いてみたいものである。少なくとも日本もアメリカもこの仲間に入れそうにはない。自虐論ではない。事実なのである。
 「アラブの春」はワシントンの暴走による破綻と無関係ではない。対米自立派台頭の日本も、実を言うと無関係ではない。オバマの口癖となった「変革」は、世界をこれからも巻き込んでいく。
2011年10月21日19時25分記


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