2012年03月28日

本澤二郎の「日本の風景」(1022)

<踊った南北の朝鮮ダンス>
 ソウルで開かれた核安全首脳会議(3月26、27日)に53カ国の指導者が集まった。残念なことに各国リーダーは、最適地である日本の被爆地・広島や原発事件の福島を回避した。朝鮮半島に結集した結果、平壌が議題の主役に躍り出た。日本の首相は、せいぜい刺身のツマでしかなかったが、福島について「甘い対応に問題があった」と会場で発言した。これは野田にとって珍しく真相を突いていた。政府・東電の「甘い対応」はその通りであった。人災であることを初めて首相として認めたことになる。



<重過失認めた野田首相>
 要するに、重大な過失があったと首相自ら、外国の地で、世界の首脳が集まった核軍縮会議で公言した。となると、馬主で知られる法務大臣の対応が気になる。法務・検察として捜査を開始する義務が生じたことになるからだ。法務・検察の動向に注目したい。競馬にうつつを抜かせていられるだろうか。
 それはともかく、ここ数日間、世界の耳目は半島の南北朝鮮ダンスに集中した。戦後初めてのことであろう。内心、笑いの止まらない南北朝鮮ではなかったか。皮肉ではない。本当にそう思う。
<大満足のピョンヤン>
 これは南北朝鮮だけの成果ではない。アメリカのオバマ大統領のお陰でもあろう。「非核の世界」を主導したオバマの政治的感度が、ソウルでの会談を実現させた原動力である。
 東京よりもソウル重視のワシントンと分析出来るかもしれない。
 とりわけ、喜んだのは誕生したばかりの平壌の若いリーダーではないだろうか。「4月に人工衛星を打ち上げる」という予告に、韓国どころかワシントンほか世界が動いたのだから。それも隣国に53カ国の指導者が押しかけてくれて、あれこれと世界各国の踊りを見せてくれたのだ。
 欠席したメルケル夫人の踊りは見られなかったのが、さぞかし心残りであったろう。総合すると、それぞれの民族舞踊を交えたアメリカン・ダンスを見せてくれたことに感謝感激ではないだろうか。それも「一片の通告」に世界が興味と関心を示したのだ。しかも平壌は間近で、こんな大仕掛けの国際的芝居見学など過去に経験がない。期待するパートナーは38度線にまで来てくれて双眼鏡で視察までしてくれたのだ。平壌が世界を動かしたのだ。こんな芸当は、一度しか訪問したことのない筆者には想像もつかないことであるが。
 改めて史上初めての半島の快挙に敬意を表したい気分である。米中ロなどの核大国のトップが、頭を揃えて半島の非核問題を熱心に協議してくれたのだから。
<ソウルも大満足>
 韓国も同様だった。李明博は接待役・議長役として、彼にとって出来る限りの跳躍を見せた。米韓FTA協定批准で国民の支持を失っていた矢先であったのだから。体力の全てを投げ出してソウルの踊りを演じた。有史以来、こんな華麗な舞台はなかった。小国のリーダーは、米中ロなど大国の指導者と次々とペアを組んでダンスに興じた。そうして、南北問題を世界のテーブルに乗せることが出来た。
 オバマは直前に、世銀次期総裁に韓国系アメリカ人を推薦する手土産持参だ。ソウルにとって国連事務総長に次ぐ快挙である。東アジアの小国は、舞台の主役に抜擢されただけではなかったのだ。ワシントンからすると、単に戦略的な面だけではなくて、経済的利益にも貢献してくれた財閥大統領に少しでも見返りする価値があってのことだ。

 対して従軍慰安婦問題で反省を見せない日本首相は、教科書問題でも新たな火種を作ってソウルに乗り込んできた。そんな過去を反省出来ないリーダーを、脇役どころか舞台の端に追いやって、自らは平壌のスポンサーとも仲良くチークダンスを演じて見せた。
 なにはともあれ、そんな華麗な踊りを世界のマスコミが派手に数日、言葉だけでなく映像で発進してくれた。韓国ブランドを報道宣伝してくれたのである。数日、ソウルは世界の中心の演舞場になったのだ。
<たかが人工衛星>
 大山鳴動してネズミ一匹といえるのかどうか。
 平壌は先進国クラブ入りを目指して、細長い物体を地球上空に打ちあげる格好の環境を手に入れたことになる。ただ、これには貧乏国民の生活を削って、相当無理して着飾るわけである。そのための準備を完璧に進めてきた。建国の英雄の生誕100周年と新指導者誕生のお祭りとして。
 「人工衛星打ち上げ」はそのための大義だ。「弾道ミサイルは国連決議に違反する」といちゃもんをつけられても動じるわけがない。「ソウルの踊りに負けないダンスを見せたい」と血気盛んである。
 滑稽なことに、ワシントンが韓国と日本の軍部に指令を出した。「北朝鮮のダンスをよく観察しろ」と。舞台から落ちたら助けろ、というのだ。果たしてそんな能力があるのかどうか、当事者にとって使い勝手が悪いイージス艦とPAC3という宴席を用意させた。「うまく踊れなかったら引きずり降ろせ」という厳命である。
 「そこまで準備してくれるというのであれば、踊り子をわざと舞台から落として、本当に助け舟を出せるか試してはどうか」という気を起こさせないか?正直、心配である。日韓軍当局者の本音ではないだろうか。「張り子の虎」の発覚に怯えなければならないかも。
 もしも、失敗すれば、この恐ろしいほどの高額な玩具の損害賠償を、日韓ともワシントンの武器商人に請求しなければならなくなる。しかし、そんな勇気が東京やソウルにないことがワシントンの救いだ。
 たかが人工衛星の試験である。その技術はどこにでも流れている時代だ。「弾道ミサイルNO」とわめいても始まらない。
<非核と脱原発が人類の悲願>
 かつてソ連の核ミサイルに怯えさせることで、日本は高価な武器をワシントンから購入させられた。しかし、今のロシアの核ミサイルに怯える日本人はいない。それは中国にも言える。むろん、アメリカのミサイルや核に怯える者もいない。
 同じように日本は北朝鮮と友人になれば、何も怖くない。まずは友人になればいい。簡単なことである。友人になれば拉致問題も解消する。そうなると困る輩がいるからこじらせている。これくらいのことは人間であれば、そろそろ理解出来なくては困る。
 人間は皆兄弟である。仲良くダンスを踊れば、市民生活を破壊する武器弾薬を削減しようと衆議一決するだろう。武器商人・財閥に屈しない人間がリーダーになれば、この世から殺し合いはなくなる。

 非核も脱原発も不可能ではない。なぜなら地球・人類も核と共存できない。核エネルギーに依存するような社会は、人類を滅ぼすだけである。わかりきっている。広島・長崎・福島を経験した日本人が、そのことを一番理解している。世界に発信する責任と義務が、日本にあるのである。

 今回のソウル首脳会議の教訓は、産軍複合体に支配されているような指導者は、リーダー失格・人間失格だということだろう。ワシントンに限らない。軍需財閥にコントロールされるような悪しき指導者は、悪魔であると断じたい。この美しい地球に住む資格はない。
2012年3月28日22時15分記


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