2012年12月11日

本澤二郎の「日本の風景」(1220)

<無教養列島>
 このところ、新聞テレビは毎日のように北の人工衛星(日本は弾道ミサイル・米国は長距離ロケット)打ち上げ問題を取り上げて、あることないことをまるで半狂乱のように報道している。戦争前夜・危機を煽っている。実際問題、こんな報道は馬鹿馬鹿しくて見ていられない。だが、教養のあるお上(おかみ)とマスコミは「日本人は大馬鹿三太郎だから、なんでも引っかかってくれる」と信じているのだろう。必死で緊張を増幅させ、無教養な主権者を引きつけようとしている。官尊民卑は戦前から変わっていないのも事実だ。思考しない無教養な日本人を大量に誕生させた官閥の成果だ。これに誰か反論できる日本人がいるだろうか。


<「原発は時間かけて結論」の大馬鹿>
 NHKの世論調査によると、それを裏付ける結果が出たらしい。3.11と福島東電原発事件は、地球の裏側のドイツの原発政策に即座に影響を与えた。いまでは原発建設を受け入れる国も地方も、この地球に存在しないと言っていいくらいである。当たり前であろう。
 核物質は地球や人間と共存できない。存在してはならない猛毒物質である。原発で燃やした核のゴミの処分も不可能だ。総合すると、もっとも危険で最も高価な発電施設なのである。
 多少の教養があれば、これくらいのことは誰でもわかる。だが、これさえも分からない日本人が沢山いる、とNHKが報じたようだ。「時間をかけてどうするか結論を出すべきだ」に36%が回答した、というのである。「直ちにゼロ」は12%。広島も長崎も忘れてしまっている。自然エネルギーに切り替える絶好の機会であることさえ理解していない。ドイツでも出来る。日本に出来ない理由などないだろう。
 教養のない人間が沢山、列島にいるという証拠であろう。馬鹿者は少なくないのだ。日本自立の困難さを物語っている。 
<美人なら誰でも立候補>
 教養のない政党・政治家は、永田町に掃いて捨てるほどいるようだが、目下の総選挙でも、こうした手合いが街頭でマイクを握っている。
 ひどい大阪の選挙区を某テレビが報道していた。なんと維新の会は、まだ世の中のことが何も分からない美人さんを擁立した。すると、負けるものかと共産党も、日ごろの知性を放り投げて追随したのだ。自民はというと、元スキャンダル候補を出馬させて、あろうことか清潔を専売特許にしている公明が支援しているではないか。
 「品格のある政治家を誕生させる場面で、まるでこれでは美人コンテストではないか」と皮肉られていると言う。「教養のない有権者には、無教養の候補者でないと当選できないと各党とも認識しているのではないか」との分析も聞こえてくる。
<馬鹿につける薬はない>
 古来、馬鹿に付ける薬はないと言われてきた。いまも通用するだろう。「馬鹿は死ななきゃ直らない」というが、古典落語にこうした男性日本人が頻繁に登場する。漫談の世界では、ごく一部の例外として扱われてきているのだが、自己批判を込めて言うと、最近の日本はどうやら列島全体に及んでいるのではないだろうか、と思えてならない。
 教養は長じても身に付くが、だいたいが中学・高校で卒業しなければならないものだ。実際はそうではない。馬鹿馬鹿しい報道と低レベルの選挙戦が繰り広げられている今だ。良い結果など出せるわけがない。
<無知の知は向上の源泉>
 無教養と無知は違うのではないか。無知の知は、人間を常に向上させる原動力である。たとえば、無知のせいで医療事故に遭遇した家庭は少なくない。その結果、医療現場には、いい加減な無能医師や看護師の存在を知ることが出来る。そうして2度と失敗しないように身構えることが出来る。しかし、無教養の者には教えても無駄である。基礎的な判断を欠いているからである。
 感情で物事を判断する。彼らにはおよそ反省する、自己批判するという観念がないのである。学ぶという姿勢が欠落している。実に始末に置けない人種なのだ。これが列島を占拠している?
<憲法の基本原則さえ知らない日本人>
 筆者の言わんとする教養とは、日本人の立ち位置・振舞いの基本は、日本の基本法である憲法にあるということである。戦前の天皇制国家主義による過ちを2度と繰り返さないための教訓がちりばめられた、文字通り世界に冠たる民主憲法のことである。
 平和主義・民主主義・国際協調主義は、日本人に限ったことではないが、歴史を教訓にして生きる人間の、もっとも大事な原理である。
 思想信条の自由・信教の自由・生存権などが、しっかりと明文化されている。ところが、これらを知らない日本人が一杯いる。これは嘘ではない。本当なのである。強制される祭礼寄付に従う大馬鹿が一杯いる列島である。法治主義は絵に描いた餅でしかない。
 大学の教壇に6年立ってみた経験でもある。学生が憲法を読んでいない。知らないまま大学に入っている。過去の歴史についても、ほとんどの学生が知らない。教えられてきていない。無教養の子供を義務教育で大量に排出している。
 中学や高校で、日本人としての基礎的教養を学んでいない。そうした無教養の日本人が、極右政治家に投票することになる。改憲軍拡に投票する今回の総選挙なのだ。
<国会議員の中にも>
 実際問題、国会議員の中にも憲法を知らない者がいる。以前に自民党参院議員が「9条について派閥の会合で意見交換していて気付いた」と筆者に教えてくれたことがある。
 国会議員は国民の代表である。日本国憲法は、政治家や役人に対して「憲法順守義務」を課している。政治家も政治屋も、憲法に違反してはならない。当然であろう。
 安倍も石原も、憲法尊重義務に違反している無教養な極右の日本人であることが理解出来るだろう。72年から自民党派閥と交流してきたジャーナリストにとって、これほどの無教養政治屋は初めてである。
<経済対策が希望のNO1?>
 政治家がこのレベルだから、有権者の中にも無教養な日本人が多くいることになる。残念ながら容認せざるをえない。3・11と東電福島原発事件は、昨年2011年に起きた世界史上最悪のものといっていい。
 だが、無教養が災いして原発ゼロに向かおうとしない、というNHKの世論調査結果である。それよりも「経済を何とかしてくれ」に関心が集まっている。それなりに理解出来ることだが、世界不況と日中貿易を破綻させたことによって、日本経済はさらに沈下していく。2013年はもっとひどくなる。「経済をよくせよ」は、ないものねだりである。
 せめて新エネルギー革命に踏み出すしかないのだが、自民党も維新も原発存続に必死である。
 これも無教養の極みであろう。日本は、90年に中曽根バブルがはじけて1500兆円の資産が消えて以来、日本経済は崩壊してしまった。その後の借金は1000兆円、隠れ借金を足すと、さらに膨らむ。金が無い。金利はゼロ状態で、円札は膨れ上がっている。景気対策どころではない。
<魯迅出でよ>
 景気はよくならない。御用エコノミストは、新聞テレビで偽りの予想を繰り返している。それを受け入れる無教養な日本人が多いからだ。安倍ごときは公共投資をばらまく、円札を刷りまくると公約して、世界中のエコノミストや政府から文句を言われている。
 安倍の嘘を信じる日本人がいるから、政治屋は次々と嘘公約をする。大不況で仕事はない。節約でしのぐしか方法などない。唯一の方策は、北欧諸国が実践している仕事の分担(ワークシェアリング)だ。1人でやっていた仕事を2人、3人にする。1人当たりの給与は少なくなるが、余暇時間・余裕が生まれる人間らしい生活が約束される。
 無教養人間の氾濫は、中国の清朝末期に似ているだろう。魯迅の出番だ。
2012年12月11日7時50分記


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